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1000文字小説 『夏』

ブロともの楓さんが、掌編小説のススメで紹介されている、
1000文字小説を書いてみよう!!!
ということで、私も久々に小説、書きました。
1000文字。
課題は「夏の風物詩を入れること」

タイトルは浮かばないんだけど(笑
『夏』にしておきます。
では……楽しんでいただけるといいなぁ~


『1000文字小説:夏』

「よし、怪我も治ってきてるな」
ドウジロは可愛く首をかしげ俺の手を前足で掴んだ。30センチの体長を支える細い足は、案外力強くて、俺は嬉しくなった。
「これなら夏休みが終わる前に森に返してやれるな」
「うん。シンに拾われてよかったね、お前」
ドウジロが鼻をひくひくさせて応える。先週、結と一緒に見つけて、今は結の家においてもらっていた。
結のうつむく長い睫、クリクリした目はドウジロに似ていた。狭い籠の中、結の手と俺の手がわずかに触れた。
「あ」
結の声に顔を上げる。
「今日ね、」
彼女を呼ぶ声が表から聞こえる。
「来た。父さんの知り合いで、島に来てる東京の学生さんが見たいって言うの」
結は慌てて立ち上がった。

男は日に焼けた顔で笑っていた。
「ケナガネズミが見られるって聞いてさ。結ちゃんだね、初めまして」
標準語が白い歯からこぼれると、結は見たことのない顔で笑った。
「初めまして。この子はシン。獣医の息子でドウジロの手当をしてくれたんです」
「ドウジロ?島ではそう呼ぶんだね。絶滅危惧種なんだ、日本で一番大型のラットで固有の進化をしているんだよ。会えるなんてラッキーだな」
結が、さっきまで俺がいた場所に男を手招きして、ドウジロを覗き込む。
「俺、帰るよ。餌、頼む」
袋を渡すと、男が歓声を上げた。
「こんなものを食べるんだな!」
「何でも食べるんです、雑食で」
俺はその場を抜け出した。


翌日、俺は結の家に向かった。結が不在でも納屋への出入りは自由だ。
庭先で、結とあの男の笑い声が聞こえた。
俺は少し迷って、もときた道を帰った。


夏休み最後の登校日。教室では結があの男のことを女子に自慢していた。
「納涼祭に一緒に行くの。それに、来年もドウジロを見に来るって」
俺は立ち上がっていた。
結もこっちを見た。
「もう決めたから。届出すれば飼えるんだから」
「森に返すって約束だろ」
教室が静まった。
「シンだって世話するって言ったのに来ないじゃない」
そう言った結の顔は、可愛くなかった。


夜。納涼祭の花火が結の家を赤く照らす中、納屋に行くとドウジロは嬉しげに俺に寄ってきた。
俺はドウジロを袋に入れた。

結と拾ったのは学校の帰りだった。
来年の受験の話をした。一緒の高校だといいねと、結は言った。

森は黒々と鎮座していた。
袋を草の上に置くと、ゆっくりと可愛い顔がのぞく。
ドン。
空が震える音に、ドウジロは飛び出した。
花火が消えるとドウジロも森の中に消えていた。






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1000文字小説:嘘

掌編小説『嘘』


風が潮の香りと一緒に空き缶を転がしてきた。
転落の直前に俺の足元に引っかかったそれを、「やだ」と笑いながら由梨絵が拾い上げた。
「もう秋みたいな涼しさね」
「秋だよ。夏休みも終わりだし、俺も明日は大学に戻るしさ」
「いいな、東京。私も来年絶対行くから」
「受かったら、だろ」

由梨絵は手にした缶をバケツに入れた。中には、花火の残骸が海水に浸かっていた。
「志望校は全部東京、もしもの場合の予備校だって東京にするの」
「お前、親父さんが許さないだろ」
「東京に行きたい。淳也もいるし」

俺もいるし。そこで傍らの由梨絵を見てしまったら、目があうだろうと思う。だから俺は聞こえないふりをした。

「遅いな、啓志のやつ。ジュースのついでに漫画でも読んでるんじゃないか」
「ケイはいつもコンビニで立ち読みしてるよ。この間エロ本に真剣だったから、窓の外からノックしてやったの。そうしたら真っ赤な顔して慌てちゃって、棚の本をばらばら落として。子供なんだもん、ケイは。兄弟で一つしか違わないのに、淳也と全然違う」
「違わないさ」
女の好みも、不器用なところも。

「東京に行って、もっとちゃらい奴になるかと思ったのに。違うんだよね、淳也は。同じ茶髪でも他の人と違うの。安心しちゃった」
「地味でつまんない奴だって言われてる」
「言わせとけ。私はそれがいいんだもん」
俺は密かに唾を飲み込んだ。雲行きが怪しくなってくる。

啓志のやつ。好きならちゃんと告っておくとか、ものにしておくとか。しろよ。
由梨絵の浴衣の裾は嫌になるほど風にはためいて、白い足が時折のぞく。
慣れない下駄が由梨絵の足取りを危うくする。小さい手で、俺のシャツの裾をつかんでいた。

「ねえ、淳也」

自分の鼓動と戦っていた俺は、この沈黙がほんの一瞬だったのか、由梨絵の決意を固めるに十分な長さだったのか、分からなかった。

「ずっと好きだった。気付いているでしょ。東京に行っちゃって、すごく寂しかったよ」
由梨絵の瞳は夜空を映し、深く潤んでいる。俺は目をそらせなくなった。ふっくらとした唇が開く。
「ね、淳也。好きなの」
「俺は」
啓志の声が、聞こえてきた。由梨絵を呼ぶ声。
由梨絵はそれに背を向けたまま、俺に抱きついた。
髪が頬に触れ、柔らかい身体を俺に預ける。由梨絵の囁きは確信をもって、俺の気持ちを後押しする。

「嘘は言わないで」

由梨絵の向こうで、啓志がぎこちなく自転車から降りた。




あとがきと言い訳は続きからどうぞ♪

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掌編小説:「描く」

さて、三回目の挑戦です。
1000文字でお題は「描く」

いやぁ~。今回は締切ぎりぎり。
しかも、あははは。
という内容です~。

ま、多少楽しんでいただけたらいいかな~?(こら)


****

飽きないなぁ、お前。そう言いながら先輩がカンバスの脇から顔を出した。
「お前、それ撫ですぎだろ」
「おっぱいは大事ですよ」
先輩と目が合えば、俺も口元が緩む。
モデルの顔や年齢はともかく、裸婦に絵具を乗せるのは好きだ。
性的な欲求なのか。絵具の艶と色と形が総合的な美に変貌していく過程が好きなのか。
俺にも分からない。なぜ、描くことが好きなのか。

「ばかひろぉ!!!」
美術室の扉の音と同時にそいつが飛び込んできた。

「玲ちゃん」と先輩が声を甘くするのを無視して、玲は俺に丸めた画用紙を投げつけた。それは外れ、裸婦の肌に小さな傷を作って落ちる。
画用紙には見覚えがあった。
「よくも、そんなもの描いたわね。人の裸を勝手に妄想して、信じられない」
派手にシャツの胸元をつかまれて揺すられながら、俺は依頼人を恨んだ。
あいつが金出すっていうから描いたのに、なにばらしてんだよ。
「これで、一万円って、どこまで汚いのよ!!」
「おおっ、すげぇ。って、肝心のとこ描いてねえじゃねえか」
先輩が画用紙を広げると一緒に玲を模した女も脚を広げ。玲は慌ててそちらに突進。画用紙をつかみ取った。
「先輩、ひどいと思いませんか!こんなもの描いて売りつけて儲けるなんて!」
「玲ちゃん、モデル代で5万要求すれば?これが油絵なら10万は出す奴いるぜ。さすがだなぁ。何って構図が……」
「先輩!そういう問題じゃなくて!」
「いやいや、芸術的見地から言って、これは価値があるよ」
さすが先輩。俺はこっそり美術室を出ようと机と椅子の間を縫って歩く。

「尋ぉ!!」
廊下に出たところで、今度は背中にくっついてきた。
振り返れば小柄な玲の顔。うるんだ目に夕陽を映して俺を睨んでいる。
「怒るなよ。描きたいから描いたんだろ。お前でなきゃ描かない」
「じ、じゃあ、なんで売りつけるのよ!!自分で大切にしてよ!」
今度は照れて怒る。
「お前って何度描いても飽きないんだよな。なんていうかさ、描いたものより描きたいと思う存在の方が大切でさ」
玲は黙った。代わりにぎゅうと抱きついてくる。
「金あるし、飯食ってくか?」
「あの1万円ね?」
くるりと回り込んで、玲は俺の腕に腕をからませる。
「フレンチがいいっ、ワインとかぁ」
「なにがワインだ、ばか」
玲はまた、すねる。
少し尖らせた唇、頬の紅色、陽が透ける髪。
シャツを握りしめる小さい手。
だから俺は描くことが好きなのかもしれないな。

「仕方ないな、じゃあ牛丼だ」

掌編小説:冬

さてさて。
初の一番乗り!?

今回のテーマは「冬」

いつもの通り、1000文字以内の掌編小説です♪


『冬』


このままでは勿体ないね。
そう言われた。

美術部の顧問、新井先生の隣で地下鉄の喧騒に揺られながら思い起こす。
新井先生は今年から芸大の講師になった。俺たち美術部も盛り上がり、芸大の新任講師作品展でのおまけ的な若年公募展にこぞって出品した。
俺の作品は評価され、展示会最終日に呼ばれたのだ。
その時、芸大の教授に言われたのだ。

このままでは勿体ない。
言葉の意味を考えると、
「僕には何が足りなくて、それを補うには何が必要なんでしょうか」
と問いたくなる。口を滑り落ちた言葉は新井先生にも届いたらしい。
「あの教授は自宅でも教えているらしい。一度会いに行ってみたらいい」
そう言ってくれた。

「教授に師事するとになると、費用が掛かりますよね」
俺の家は一般的な家庭だ。次男だから自由にしているだけだ。特別な期待を背負っているわけじゃないから、親の出資は見込めない。
先生も分かっていた。
「まずは道を歩いてみることだ。行き先はその後決めればいい。今、お前には歩き出すだけの力はあるんだ」
「歩き続けられるかは、僕次第ですか」
先生は頷いた。
「部活、続けられますか」
「分からん」

地下鉄はふわりと地上に浮上する。通学に地下鉄を使う俺は、この瞬間がいつも楽しみだった。
生き物が息を吹き返す、春の芽吹きを感じさせる。
けれど外は雪混りの雨だった。

「白い、絵を描きたいです。藤田嗣治みたいな生命感のある特別な白で」
「藤田がフランスに残したユキのように、一緒に女まで捨てるなよ」
見抜かれた気がして振り返ると先生は穏やかに笑っていた。
「海外じゃないんだぞ、お前は。考えすぎだ。玲ちゃんが可哀想だろ」

「でも。いいんですか。絵にのめり込んだら、玲を構ってやれなくなる」
「学校に戻れば会えるだろ、俺に聞くな。ほら着いたぞ。画家には生涯描き続けるモチーフがあるものだ。大作にならずとも、スケッチブックを占めている存在がな。そういうのは、大事だろ」

俺たちはホームに降りた。
夕暮れの空は薄暗く、濡れたタイルに反射した蛍光灯の光がやけにたくましく見える。
寒さに一つくしゃみをして俺は鼻をすすった。

「何があっても、必ず春は来る。耐えて見せろよ」
先生が背中を押した。
帰宅途中の学生が改札の前でたむろしていた。知った顔が数人、俺に手を振る。
玲もいた。

玲の華奢な手が、俺に向かって大きく振られた。
人の流れに逆らい、自動改札ですれ違う悲劇を全身で防ぐ。
俺を待ち受ける。




プロフィール

らんらら

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