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「宙の発明家」インデックス作りました!

◆宙の発明家◆

少年発明家クラフ。今日もわがままいっぱい、大暴れ。
いたずら作品多数、オレ様的才能を爆発させている。

けれど。
彼の目的は…

「いつか、帰る。自分が生まれた世界に」

信じて、甘えて。
それでもこの世界から飛び立とうとする少年の冒険の物語。



第一章一.発明家クラフ   
第一章二.世界の果て          
第一章三.信じることと甘えること   
第一章四.カカナとピーシ      
第一章五.リスガとカカナ  
第一章六.クラフとセキア 

第二章一.二人の賢老士    
第二章二.父親       
第二章三.黒猫     
第二章四.飛行機、友達、クラフ      
第二章五.迎え  

第三章一.変わらない?  
第三章ニ.ローザ
 
第三章三.檻の中の狼   
第三章四.夢の国    
第三章五.取引     
第三章六.HOME    
第三章七.隠し事       
第三章八.逆転  
第三章九.天才は永遠に  エピローグ

番外編です♪こちらから♪ 
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「宙の発明家」第一章①

『宙(そら)の発明家』

 プロローグ

宙(そら)って、知っているだろうか。
もちろん地上ではない。宇宙でもない。
そして、空でもない。
その場所。
その世界、ちゃんと分かっているのはオレ様だけ。
ま、仕方ないさ。オレは天才だもん。


*****

七つの街の最も西に位置する、迩史(にし)の街から郊外に数キロの地点。
気温は摂氏0度。
きりりと締まった夜の空気を押しのけるように、それは現れた。ずんぐりとした楕円を描く機体。月明かりに鈍く銀色に光り、宇宙の深遠を見せる夜空を遮った。音もなく、漂うように月夜を進む。
例えるなら魚。その丸い物体の側面には、トビウオのヒレのような物体が大きく左右に飛び出ている。極端に丸みを帯びた体、尾ヒレに似たものがついている。腹ビレのある位置には、なにか小さな箱のようなものが巨大なそれに張り付くようにあった。大きめのムナビレがひらりと動いたかに見えたその瞬間、その巨大な物体は、ぐんと沈むように下降し始めた。
巨大だ。下降するにつれ、その大きさが把握できる。それの作る月影は下を走る街道を覆い隠す。全長五十メートルはありそうだ。
それは、ゆったりとした動きのまま真っ暗な大地にずしりと身を置いた。
ゆったりとした動きからは想像もつかない地響きを発した。その音は遠く離れた迩史(にし)の街まで響き渡り、地を揺らした。

「な、なんだ?」
迩史の街から真南にある南制(なんせい)の街へと旅の途中だった商人は、真っ暗な寝所で目を覚ました。そこは、旅人のために解放されている小さな礼拝堂の地下。地響きとともに、天井の埃らしきものが顔にかかった。
「うぷ、なんじゃ、こりゃ」
「おい、お前、ガキじゃあるまいし、落ちるなよ」
闇の中、仲間のあきれた声がする。
「俺じゃねえよ、お前だろうが」
「だからこんな、薄汚ねえとこ嫌だったんだ。街で女のいる宿がよかったのにさ」
「そりゃ、話し合って決めただろうが」
男は髪をかきむしりながら、ムクリと起き上がった。隣の男を見ると、簡単な木でできた寝台から落ちている様子はない。ふん、鼻息を一つ吐き出すと、鼻の下に伸びたひげをごしごし指でさする。
「なんだよ、じゃあ、さ。さっきのは」

二人が宿泊している無人の礼拝堂は、城壁で囲まれた街の外に点在している。ここでは夜の外出を宗教で禁じているために、旅人が困らぬよう、礼拝堂の地下を、簡易の宿泊所として誰でも利用することができるようになっている。
都市に近いあたりなら整備もされるが、この辺境では埃くさいくたびれた礼拝堂に好んで泊まるものも少ない。この夜、ここを利用しているのはこの二人だけだった。この街はずれ、しかも禁じられている夜の時間に、活動する人間なんていない。
「んー?なんだって?」
二つ年下のくせに態度の大きい相棒が、不機嫌に寝返りを打ったようだ。
「うるせえ」
一方的に自分のせいにされたような気分で苛立ち、男は、闇の中、這うようにして地下室を出る。
男は唖然として、階段の上を見上げた。
上階の礼拝所は半壊し、失った屋根の間から差し込む月明かりで青く照らされている。
「おい、一体」
意を決して立ち上がる。崩れた瓦礫の中に聖人の像が横たわっているのに気付き、小さく十字を切った。寒さだけではない何かに震えながら、夜空を見上げる。
生まれて初めて見る夜空に、男は不吉なものを見るように思わず身を縮ませた。何度も瞬きする。そして、目の前に横たわる大きな物体に気づいた。
「なんだ、おい、どうした?夜の闇に身をさらすなんて、何を考えてる、教えに反するぞ。うわ!なんだこりゃ!」
背後から声をあげる仲間に、逆に男は気を落ち着けた。仲間を振り返ると、声をかける。
「おい、警備隊に知らせるんだ!」
仲間があわてて隣に立つ。
「けど、おい、夜は動いちゃいけねえんだ!」
「ふざけるな!そんな、こと、言ってられるか!それにな、上手く行きゃ、コレはお手柄さ、報奨金、もらえるぜ」
男はにやりと笑った。逞しい、商人の顔だ。
礼拝堂の脇に縛り付けてあった二頭のラマのうち、一頭は既に死んでいた。
残った一頭は音と地響きで興奮している。二人の姿を見ると鼻を鳴らした。
乗れと言わんばかりに。

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tag : *

「宙の発明家」第一章②



その部屋には、ごちゃごちゃと、様々なものが散らかっていた。
四方の壁面を埋める棚には、金属の塊やら、木の切れ端、巻かれた針金のようなもの、色とりどりの液体の入ったビンや石の固まり、いろいろと詰め込まれている。部屋の真ん中の作業台には広げられた設計図、定規が散らかる。飲みかけのホットミルクが書類の下に隠れて冷たくなっている。作業台の上には配線図のような細かい記号やら文字やら書かれた紙が分厚く束になって、積まれている。
天井の全面から入る、柔らかい白い光が空中の埃とともにそれらを照らす。
背を向けて、木の椅子に座って、手元のデンワを見つめて黙り込む少年。
セキアは腕を組んで、少し笑った顔になって言った。
「クラフさま、ここでもできるじゃないですか」
「な、にができるって?」
険悪な空気が漂ってくる。
「クーちゃん、できたかえ?」
ほうけた声をかけて、扉を開けたのは、クラフよりもっと背の低い、禿げた老人だ。髪とは対照的に、白い立派なひげが、胸の辺りまである。黒い足首までの長い上着、黒いブーツ。まるでハンドパペットのように見える。歳の割りにぴょこぴょことすばやく歩く。杖もない。
「丁度いい時に!じじい、コレ持って外出てみて」
クラフは顔をほころばせ立ち上がると、セキアの持つデンワを引っつかんだ。
「クラフさま!教皇様にじじい呼ばわりはやめなさいと、いつも言っているでしょう!」
「うるさいな、役立たず!」
力をこめるセキアからひったくるようにデンワを取る。
「まあまあ、セキア。クーちゃんは特別じゃ。どれ、貸してみなされ。楽しみじゃ」
ニコニコ笑う教皇に、セキアは黙って一礼する。表情は険しいが。
「クーちゃんっての止めろよな!」
デンワを渡しながらクラフは教皇をにらみつけた。
「あなたが言えた義理ですか!」
セキアの怒鳴り声も無視して、クラフは教皇に舌を出してみせる。笑うその顔は整って美しく、教皇は嬉しそうに笑った。
「どれ、行ってこようかの!クーちゃん、わしがワシじゃ、と言ったらアイシテルじゃぞ」
「ふざけんな!じじい!」
ほほほ、と変な笑い声を残して、老人はちょこちょこと部屋を出た。
「まったく、教皇様はクラフさまに甘くていかん」
ぶつぶつ言いながら傍らに立つセキアを無視して、クラフは再び椅子に座るとデンワのスイッチを入れた。

「そろそろいいかな」

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「宙の発明家」第一章③

★★★ さ、今回もクラフ君は元気いっぱい我がままし放題!★★★



この世界に、名前はない。
クラフがそれを知ったのは、いつだったか。
透き通る夜空。久しぶりの外の空気を吸って、クラフは空を見上げた。
黒々とした闇に、星が煌く。美しい。
静かに流れる風は、いつも西から東に吹く。偏西風。一年のうち半分は偏西風だが、残り半分は偏東風になる。季節は、それに合わせて祈季(せっき)、典季(てんき)と言われている。北の一つ星に向かって、祈りの印を作る右手から吹く風の時が祈季、逆に経典を持つ左手から吹く風の時期が典季。この国を統べる宗教の最上位となる大教皇の、祈りの形を現したものだ。
そんな立派な立場の大教皇は二階のバルコニーから応援と称して黄色い声をあげる。クラフは皇宮のもっとも高い位置、大きな球体を描く屋根キューポラの尖塔の部分に、デンワのためのアンテナを取り付けながら、大教皇を見下ろす。
「クーちゃん、がんばれ!」
「うるさいっての!言われなくてもがんばってるさ」
声は届かず、振り向いたことを異様に喜ぶ老人の姿が見て取れた。
無邪気に手を振る。
「…ま、いいか」
最後の固定用ボルトを締め終わったところで、視線を自分がいる尖塔の根元、鋼の柱に向ける。

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theme : 自作小説(ファンタジー)
genre : 小説・文学

「宙の発明家」第一章 二.世界の果て①



二・世界の果て



この世界を治める身分制度には、聖職者と政治家、二つの柱がある。
聖職者は大教皇を頂点とし、その下に七つの街の聖堂を代表する大司教の司教会。以下、ピラミッド状の身分制度がある。一方政治家は、頂点には一人ではなく、七つの街の代表、賢老士と呼ばれる政治家が開く、賢老士会という議会制をとっている。
司教会も賢老士会も親密で、この宙の地はとても平和だ。
大教皇は、クラフのために賢老士会に掛け合って、賢老士会は二人の使者を派遣することで了承した。
実際、クラフがたった五日の小旅行をする程度のことで、いちいち呼び出されてはたまらないというところだ。

クラフたちは、彼らの住む那迦(なか)の街を、日が暮れてから密かに出発した。
初めのうちは、久しぶりの外出と夜の街の景色になんだかんだと興奮していた少年も、数時間かけて隣の街、迩史(にし)の街に入るころ、ただ揺られているのに飽きてきていた。
大きなあくびをして、クラフは背後の男に声をかけた。
「セキア、眠い」そういって、セキアにぐんともたれかかる。
「昼間きちんと寝ておかないからいけないんです」
「嬉しくってさぁ」
大きなラマの背に、二人で揺られながら、手綱を持つセキアはクラフの頭を軽く叩いた。
「いて」
「子供ですか、あなたは!それに、眠ってもいいですが、みっともないです。皆さん我慢していますよ」
見回す。二人で乗っているのはクラフだけだった。横に一頭、後ろに二頭それぞれ一人で騎乗している。目をこすりながら隣を進むリスガと目が合った。
少女は月明かりにいつもよりさらに色白に見える。この世界の人は皆、少しだけ褐色の強い肌をしている。東洋人、でもないけれど白人とも違う。典型的な白い肌のクラフと比べれば、リスガも少しだけ濃い色の肌だ。
寒さをしのぐ緋色のマントを羽織って、くりくりした亜麻色の髪を二つに分けて縛っている。それがラマにあわせて揺れる。顔を縁取るフードのふち飾りが、ふわふわと少女を余計に柔らかな印象に見せる。小さな鼻、小さな口。ちょっと丸い頬に大きな丸い瞳。
十七歳。あどけなさと大人っぽさが混在する危うさが、月明りで強調され見るものをどきりとさせる。少し笑いを浮かべて見つめる少女に、クラフは慌てて姿勢を正した。
「あのさ、リスガ!オレ、リスガと一緒に乗りたい!」

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theme : ライトノベル
genre : 小説・文学

「宙の発明家」第一章二.世界の果て②

<<最初のお泊り。クラフ君、どきどき、だよね(^^)>>



白い石を積み上げた小さな礼拝堂は、正面の入り口を入ると、中はひっそりとしている。くすんだ色の木のベンチが並び、正面に一段高くなった聖壇。夜活動することのない習慣のため、灯りはない。昼間は天窓のステンドグラスの光が差し込んで、美しいのだろう。
今は、クラフの作った、電池式の小さなライトだけがその礼拝堂の一部を丸く照らし出す。
ベンチの並ぶ一階の両脇から地下へと続く階段があり、旅人のための部屋があった。部屋と言っても、低い天井の何もない部屋に、木でできたベンチとも寝台ともつかない台が六つ並んでいるだけだ。両側に三台ずつ二列に並び、それで部屋はいっぱいに見えた。
「オレ、リスガの隣!」
クラフは自分の荷物を右側の真ん中の寝台に置くと、さっさとリスガの荷物を取り上げて、隣の寝台に置く。いつもの場所、と言った感覚で、セキアもクラフの隣に荷物を置いた。クラフは自分の寝台に座って足をばたばたさせる。
「もう、本当に子どもみたいなんだから」
苦笑いしながら、リスガが自分の荷物を置かれた通路から向かって右奥の寝台に座った。
向かい合う形で、クラフはニコニコして少女を見つめる。

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theme : オリジナル小説
genre : 小説・文学

「宙の発明家」第一章 二.世界の果て③



夕刻。斜めに差し込む夕日は、すすけたステンドグラスの赤を透かしてさらに色濃く小さな礼拝堂を彩る。既に出発の準備を済ませた男たちを待たせて、リスガは一人聖壇の前に膝をついていた。聖職者でもあるリスガは、旅の無事を祈っていた。まだ少し、眠いのか、ぼんやりとしている様子で、セキアが急かしても、まったく無視していた。
結局、リスガはあまりよく眠れなかった。日が沈んだら、また、禁忌とされる夜の旅に出る。お許しを、と小さくつぶやく。
聖母の優しい表情に、ふとリスガはセキアの話を思い出した。
クラフが寝台に貼り付けた、黄色い花は綺麗に咲いていた。

「おや、先客だな」
知らない男の声。夕闇に、礼拝堂の中は薄暗い。リスガは入り口を振り返った。夕日は地平線に沈み、暗がりで男が大きな人だということくらいしか分からない。
「いえ、祈りをささげていたのです。どうぞ、お使いください。さ、もう行きましょう、リスガ様」
黙って男を見つめるリスガに代わって、愛想よく返事をするセキアの声。既にクラフたちは外に出ていた。
「ええ」
リスガは、男の脇をすり抜けて礼拝堂を出た。夕方の冷たい風に目を細めた。
少女の背後を守るように立つセキアに、先ほどの男が声をかけた。
「日が暮れたというのに、これからお出かけかい?」
「……」
セキアは、改めて、男を見つめる。四十代前半くらいか。少しやせ気味だが、しっかりした骨格の、体格のいい男。商人のような格好に似合わない太い剣を腰に差している。
濃いひげが顔を覆い、男はくせなのだろう、鼻の下のひげを、人差し指の背で盛んにこすった。
「急ぎですので」セキアはにこりと笑って見せた。
「へー。じゃ、俺と一緒だな」
セキアは、聞こえないふりをして歩き出し、手を振って、男から離れる。
まだ、少し眠そうなリスガの肩をぽんと叩いて、言った。
「大丈夫ですか?」
「ええ」
「リスガぁ!早く」
すでにラマに乗って、クラフが手を振っている。黒いフードつきのマントに身を包んでいる。深くかぶったフードの奥で表情は分からない。
リスガはさっと、自分のラマに乗り込んだ。
「えー、こっちに乗らないの?」
残念そうな少年に、リスガはつんとして見せた。
「いやよ、クラフはママとセキア父さんと、一緒がいいでしょ」
既にラマを歩かせ始めていたカカナとピーシが笑った。
「何だよ!子ども扱いして!!」
「子供ですから」
笑いながらセキアもクラフの後ろにまたがると、ラマの胴を軽く蹴った。
なにかまだ、不満そうにぶつぶつ言っているクラフのフードを軽く抑えて、より深くかぶせた。セキアは背後の男にちらりと目をやる。礼拝堂の入り口で、男がこちらを見つめていた。

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「宙の発明家」第一章 二.世界の果て④



クラフの騒ぎで少し遅れてしまったために、空がうっすら白む頃に果ての礼拝堂に到着した。
「さ、クラフさま、着きましたよ」
セキアの言葉にも、クラフはうるさそうにフードを目深にかぶった。眠いのと、先ほどからずっと、先を行くカカナとリスガの楽しそうな会話が、彼の神経を逆なでしていた。
つまり、不機嫌なのだ。

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theme : 自作小説(ファンタジー)
genre : 小説・文学

「宙の発明家」第一章 二.世界の果て⑤



セキアとラマに乗り込む。日よけのフードを目深にかぶったクラフの表情は見えない。
「僕も行くよ」
ピーシが自分のラマの手綱を解く。
「もちろん、私たちもね」
リスガがそういい、カカナと同じラマに乗っても、クラフは何も言わなかった。
ただ、セキアの前でじっとしていた。

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プロフィール

らんらら

Author:らんらら
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