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掌編小説:「描く」

さて、三回目の挑戦です。
1000文字でお題は「描く」

いやぁ~。今回は締切ぎりぎり。
しかも、あははは。
という内容です~。

ま、多少楽しんでいただけたらいいかな~?(こら)


****

飽きないなぁ、お前。そう言いながら先輩がカンバスの脇から顔を出した。
「お前、それ撫ですぎだろ」
「おっぱいは大事ですよ」
先輩と目が合えば、俺も口元が緩む。
モデルの顔や年齢はともかく、裸婦に絵具を乗せるのは好きだ。
性的な欲求なのか。絵具の艶と色と形が総合的な美に変貌していく過程が好きなのか。
俺にも分からない。なぜ、描くことが好きなのか。

「ばかひろぉ!!!」
美術室の扉の音と同時にそいつが飛び込んできた。

「玲ちゃん」と先輩が声を甘くするのを無視して、玲は俺に丸めた画用紙を投げつけた。それは外れ、裸婦の肌に小さな傷を作って落ちる。
画用紙には見覚えがあった。
「よくも、そんなもの描いたわね。人の裸を勝手に妄想して、信じられない」
派手にシャツの胸元をつかまれて揺すられながら、俺は依頼人を恨んだ。
あいつが金出すっていうから描いたのに、なにばらしてんだよ。
「これで、一万円って、どこまで汚いのよ!!」
「おおっ、すげぇ。って、肝心のとこ描いてねえじゃねえか」
先輩が画用紙を広げると一緒に玲を模した女も脚を広げ。玲は慌ててそちらに突進。画用紙をつかみ取った。
「先輩、ひどいと思いませんか!こんなもの描いて売りつけて儲けるなんて!」
「玲ちゃん、モデル代で5万要求すれば?これが油絵なら10万は出す奴いるぜ。さすがだなぁ。何って構図が……」
「先輩!そういう問題じゃなくて!」
「いやいや、芸術的見地から言って、これは価値があるよ」
さすが先輩。俺はこっそり美術室を出ようと机と椅子の間を縫って歩く。

「尋ぉ!!」
廊下に出たところで、今度は背中にくっついてきた。
振り返れば小柄な玲の顔。うるんだ目に夕陽を映して俺を睨んでいる。
「怒るなよ。描きたいから描いたんだろ。お前でなきゃ描かない」
「じ、じゃあ、なんで売りつけるのよ!!自分で大切にしてよ!」
今度は照れて怒る。
「お前って何度描いても飽きないんだよな。なんていうかさ、描いたものより描きたいと思う存在の方が大切でさ」
玲は黙った。代わりにぎゅうと抱きついてくる。
「金あるし、飯食ってくか?」
「あの1万円ね?」
くるりと回り込んで、玲は俺の腕に腕をからませる。
「フレンチがいいっ、ワインとかぁ」
「なにがワインだ、ばか」
玲はまた、すねる。
少し尖らせた唇、頬の紅色、陽が透ける髪。
シャツを握りしめる小さい手。
だから俺は描くことが好きなのかもしれないな。

「仕方ないな、じゃあ牛丼だ」
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