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「宙の発明家」第一章 二.世界の果て③



夕刻。斜めに差し込む夕日は、すすけたステンドグラスの赤を透かしてさらに色濃く小さな礼拝堂を彩る。既に出発の準備を済ませた男たちを待たせて、リスガは一人聖壇の前に膝をついていた。聖職者でもあるリスガは、旅の無事を祈っていた。まだ少し、眠いのか、ぼんやりとしている様子で、セキアが急かしても、まったく無視していた。
結局、リスガはあまりよく眠れなかった。日が沈んだら、また、禁忌とされる夜の旅に出る。お許しを、と小さくつぶやく。
聖母の優しい表情に、ふとリスガはセキアの話を思い出した。
クラフが寝台に貼り付けた、黄色い花は綺麗に咲いていた。

「おや、先客だな」
知らない男の声。夕闇に、礼拝堂の中は薄暗い。リスガは入り口を振り返った。夕日は地平線に沈み、暗がりで男が大きな人だということくらいしか分からない。
「いえ、祈りをささげていたのです。どうぞ、お使いください。さ、もう行きましょう、リスガ様」
黙って男を見つめるリスガに代わって、愛想よく返事をするセキアの声。既にクラフたちは外に出ていた。
「ええ」
リスガは、男の脇をすり抜けて礼拝堂を出た。夕方の冷たい風に目を細めた。
少女の背後を守るように立つセキアに、先ほどの男が声をかけた。
「日が暮れたというのに、これからお出かけかい?」
「……」
セキアは、改めて、男を見つめる。四十代前半くらいか。少しやせ気味だが、しっかりした骨格の、体格のいい男。商人のような格好に似合わない太い剣を腰に差している。
濃いひげが顔を覆い、男はくせなのだろう、鼻の下のひげを、人差し指の背で盛んにこすった。
「急ぎですので」セキアはにこりと笑って見せた。
「へー。じゃ、俺と一緒だな」
セキアは、聞こえないふりをして歩き出し、手を振って、男から離れる。
まだ、少し眠そうなリスガの肩をぽんと叩いて、言った。
「大丈夫ですか?」
「ええ」
「リスガぁ!早く」
すでにラマに乗って、クラフが手を振っている。黒いフードつきのマントに身を包んでいる。深くかぶったフードの奥で表情は分からない。
リスガはさっと、自分のラマに乗り込んだ。
「えー、こっちに乗らないの?」
残念そうな少年に、リスガはつんとして見せた。
「いやよ、クラフはママとセキア父さんと、一緒がいいでしょ」
既にラマを歩かせ始めていたカカナとピーシが笑った。
「何だよ!子ども扱いして!!」
「子供ですから」
笑いながらセキアもクラフの後ろにまたがると、ラマの胴を軽く蹴った。
なにかまだ、不満そうにぶつぶつ言っているクラフのフードを軽く抑えて、より深くかぶせた。セキアは背後の男にちらりと目をやる。礼拝堂の入り口で、男がこちらを見つめていた。



陽は既に落ちかけていて、夕闇に黒く沈む木立に、セキアはまた、表情を引き締める。
この礼拝堂から先は、苔沼と山林、村も民家もない。ランドエンドの城壁、そのすぐそばにある最後の礼拝堂までずっと、ごろごろと石くれの転がる、足場の悪い山道が続く。
クラフの作ったランプをラマにつける。その灯りだけでは、先の道まで見通せない。心もとない気がした。

時折草を揺らす夜行の生き物たち。
まるで、夜の世界に踏み込む人間を観察しているかのようだ。
ラマは、慣れない夜の行程で疲れるのか、あまり言うことを聞かない。
「昼間、歩いてみたいなぁ」
盛んに長い耳をパタパタ動かすラマの後頭部を眺めながら、クラフがつぶやいた。
「な、ママ、お前もそう思ってるよな?」ラマの首をなでる。
今はフードを取って、月明かりに顔をさらす少年に、セキアが笑った。
「仕方ないですよ」
「…な、一回くらい、いいだろ?」
「だめよ」
隣から、リスガが少しむっとした声で話す。
「ただでさえ、お父様が変な機械を使うものだから、みんな興味を示しだしているのに。噂になっているのよ、離れになにかいるって」
「そりゃ、いるもん、しょうがないだろ。案外、知られたって平気かも」
クラフが人差し指を鼻の頭に乗せた。何か考える時の癖だ。
「今度、髪の色とか隠すものを発明すればいいだろう?クラフ、そうすれば外に出ても平気になるよね」
「そう!そうだよ!カカナ、いいこと言った!」
喜んでいるクラフを横目に、セキアがごほんと咳払いした。
「なんだよ、文句あるの?」
クラフは振り返って睨んだ。
「きっと、クラフならできるよ!本当にすごいと思うよ」
左隣にラマを並走させながら、カカナが笑った。身長はクラフより頭一つ大きいので、クラフは少し無理して体をひねって見上げる。
「カカナ、いい奴だ!ほら、セキア、お前はいつもバカにしているけど、ちゃんと分かる奴には分かるんだ」
クラフは屈託のない笑顔で、カカナの肩に手を伸ばす。
「なんだよ、触るなよ。君、馴れ馴れしいな」
「あ、れ?なに?キライ?」
むしろ驚いたような少年に、セキアがため息をつく。
「すみません、カカナさま。クラフさまはちょっと、人恋しいお年頃で」
「ぶ」
吹き出したのは一人後ろを行くピーシだ。
「くく、そうか、子どもだからね」カカナも笑う。
「ほんと、子どもみたい。甘えん坊なんだから」
チクリと刺すリスガの言葉にクラフは傷ついた顔をした。
皆を見回す。
「なんだよ!いいだろ、俺、手つなぐのとか、好きだぞ!おかしい?な、おかしい?」
「クラフさま」
左右のリスガ、カカナに手を伸ばそうとひらひらしているクラフの両手を、セキアが取り上げる。
「なんだよ!」
「まあまあ、クラフさま。危ないですよ。落ちますよ」
「おかしいのか?」
「ですから、そういう時期なんでしょう」
「…お前が、悪いんだ」
「え?」
今度はうつむいて、拗ねた声を出す少年に、セキアは戸惑う。
「お前が、オレを育てたんだろ、お前のせいだ」
「わかりました。それでいいですよ」
あきれて笑いながら、セキアはクラフを抱きしめた。
「やあだ、甘えん坊。十五歳にもなって」
リスガはぷんとして、一人だけラマを前に走らせた。
「機嫌、悪いな」
カカナが少女の後姿を見てつぶやいた。
「寝不足なんでしょう」セキアが答えた。
じっとしているクラフに気付いて、セキアは顔を覗き込もうとする。もたれかかるクラフは、セキアの胸くらいしか届かない。
「クラフさま?」
「…オレ、変かな?甘えん坊なのか?」
セキアが金色の髪をくしゃくしゃとなでた。
「あなたには、ご両親もいませんでしたし、私だって、常におそばにいたわけではありません。閉じ込められて話し相手は私だけでしたから。新しいお友達に嬉しくなるのは仕方ないですよ。あなたはすべて、ご自分で勉強なされた。多少、我がままですが、尊敬しております」
「え、そうなの?先生とかいないの?」
カカナが問いかけた。
「ええ、カカナさま。ご存知でしょう?クラフさまは人質ですよ?教育を施す理由などありません。言葉も私のを真似て覚えたのです」
「へえ、じゃあ、あの発明とかって、全部自分でなんだ」
「そ。オレ様、天才だからな!」
背後のセキアにもたれかかって甘えていたクラフが、背筋をピンと伸ばして、嬉しそうに笑った。
「どうやって勉強したんだ?だって外にはでられなかっただろう?」
「それはさ、オレが拾われたときに一緒に残っていた本がいっぱいあってさ……」
楽しげに話す二人を見つめながら、セキアは目を細めた。

「僕は、甘すぎると思いますけど」
背後で、ピーシが口を尖らせていた。
「何がですか?」
穏やかに尋ねるセキアに、黒髪をかきあげて見せて、ピーシは言った。
「お父様が懸念していました。あなたはクラフを可愛いがりすぎています。大教皇様も。父上があなたを交代させようと考えるのもそのためです。クラフはいずれ、この世界からいなくなります、いえ、もともと、ここにいてはいけないのです。深く関わるのは、よくないですよ」
「ピーシさま」
セキアは、背後の少年を見つめた。言葉が、浮かばない。
確かに、可愛がりすぎている、それは分かっていた。しかし、クラフの存在を知る人間を最小限に抑えるために、今まで十年間交代がなかったのだ。
「意地悪で嫌味な奴」
クラフが聞いていたのだろう、ピーシをにらみつけた。
「正しいことを言ったまでだよ。お前のためでもある。どうせ、人質は人質。いざとなれば、セキアはお前に剣を向けなくてはならない」
「バカ。オレ様は天才だからな、可愛いし、かっこいいんだ。五歳のオレなんか、お前、女の子落とし放題だぞ!神童とかって呼ばれていたんだ!セキアがオレに惚れたっておかしくないだろ!」
「クラフさま文脈も言葉も、ちょっとおかしいです」セキアがため息をつく。
カカナが隣で見つめている。
「あれ?使い方違うかな?とにかく、いつかどうかなるとしても、オレは楽しく生きることに決めたんだ。口出すな」
「僕も、クラフに賛成だな。ただ、クラフの研究していること、知っている知識は、もっと利用してもいいと思う。
ここで会うまで、どんな奴かはわからなかったけど、確かに尊敬に値するよ。僕の父上は、いつも言っているんだ。せっかく、クラフがいろいろな知識を持っているのに、それを学ばないのはもったいないって。利用できるものは利用する。それが、政治を行うものの手腕なんだって」
カカナは穏やかに笑う。
「だから、クラフ、僕は君のこともっと知りたいし、君の知っていること、教えて欲しい」
その言葉が終わるかどうかのうちに、クラフは隣のラマに乗るカカナに抱きつこうとして、落ちかけた。
「うわ、危ない!」
ラマがうるさそうに首をひねる。
「クラフさま!落ちますよ!」
「お前、いい奴だ!オレ、感激した!だろ?オレ様の発明を知りたいだろ?」
腰をセキアにつかまれ、支えられながら、クラフはカカナの肩にしがみついていた。
「すみません、あの、本当に、初めてのお友達なので…」
困ってあやまるセキアに、カカナは笑顔で答えた。
「いいよ、なんか、弟ができたみたいだ」
クラフはぎゅっとしがみついたまま。落ちないように支えながら、カカナは整った顔をほころばせた。クラフの月明かりに輝く金髪の頭をなでる。
「なんだ、泣いているの?」
「……」
クラフは顔をカカナのわき腹の辺りに押し付けたまま、しがみついて小さく震えている。本当にまだ、五歳の子どもみたいだ。
カカナは不思議な気分で、少年を見つめた。
「なあに、どうしたの?」
前方から、リスガがラマを下がらせてきて、隣に並んだ。
セキアは親ばか丸出しの表情で、満足そうにニコニコしていた。
「感激したそうで」と笑う。可愛いでしょうと言わんばかりだ。
「ふん、カカナのお父上はいろいろと考えがあるようですからね」
嫌味なピーシの言葉に、カカナがむっとする。
「嫌味ばかり言ってないで、ピーシも認めるべきは認めたほうがいいよ。どんな立場だって、クラフはいい奴だよ、僕はそう思った」
「?クラフ、さま?」
セキアの支える手にぐんと重みがかかる。クラフが手を緩めたのか落ちかける。カカナが支える。
「おい?」
「クラフさま!」
慌てて、セキアが少年を引っ張りあげた。
意識がない。
「あ、しまった…」
ラマを止まらせて、セキアは慌ててクラフを片腕で支えたまま、飛び降りた。
「え?」カカナもラマをとめた。
「どうしたんですか?」ピーシは首をかしげた。

「発作です、気付けなかった」
セキアはクラフをそっと地面に横たえさせる。
「ピーシ、ラマを押さえておいてくれ。リスガ、水と灯り」
落ち着いた様子で皆に指示を与えて、カカナは自分のマントを脱ぐと丸め、クラフの頭の下に置いた。リスガは水筒とクラフの作った明かりを差し出した。
セキアは、クラフの名前を呼びながら、懐から薬の小さなビンを取り出したところだ。
「それで、治るの?」
「はい、舐めるだけでいいのですが、意識がないので」
一瞬躊躇するセキアに、カカナが奪うように薬を取り上げた。
「貸して」
「二滴くらい、です」
カカナはクラフの顎を押さえて、少し口をあけさせると、そこに二滴、薬を落とした。
変化はない。息をしているのだろうか。
カカナは耳をクラフの口元によせる。かすかに呼気を感じた。
「カカナ様」
セキアが厳しい表情で、見つめる。カカナは、薬を指先につけると、クラフの口に突っ込んだ。
「うえ、けほ!」
無理やり舌に指を押し付けられて、クラフはむせる。
「いて、クラフ薬だ、噛み付くなよ!」
「うー」
苦しげにぎゅっと閉じた瞳。そのうち、力が抜けて、クラフはうっすらと目を開けた。
「クラフ!」
「!あ?」
やっと指を開放されて、カカナは痛そうに右手で包む。
「気がついた?大丈夫?」
「あ、カカナさま、しばらくは起きられませんので、そのまま」
抱き起こそうとするカカナを制して、セキアが言った。
クラフはまだよく、意味が分からないようで、ぼんやりしている。苦しそうに、右手で胸の辺りを押さえていた。
「で、どうするんだ?」
離れたところから、ピーシが声をかけた。彼の両脇で、ラマたちがめーとつぶやくように鳴いた。
「仕方ありません、ここで休みましょう」
「え?ここで?」
リスガが周りを見渡しながら、灯りを高く掲げた。
街道のすぐ脇とはいえ、生い茂る木々、辺境の山は民家もない。薄気味悪いこと、この上ない。

「大丈夫です。私が見張ります。カカナさま、落ち着いた対処、立派でした。ありがとうございます」
セキアは剣を持つと、立ち上がり、深々とカカナに頭を下げた。
「あ、いや。そんなことないよ。僕も、少し怖かったけど。僕がすぐ気付けばよかったのに、気付けなかったから。すまない」
セキアは、目を細めた。まだ十七歳の少年だが。さすがに賢老士のご子息だけはある。将来が楽しみな人だ。そして、ふと、同様の視線をカカナに向ける少女に気づいた。
セキアはさらに、うれしげに笑った。

四人は、ラマを木の幹につなぐと、短い緑のコケが一面に生えた平らな場所を選んで、座った。クラフは荷物で作られた臨時のベッドに、横になっている。
セキアは肩に剣を抱き、腰を下ろしていた。
灯りと言えば、クラフが発明した白い光を放つものだけ。
夜活動しないために、こういうときに火を焚くなど想像もできないのだ。
クラフはぼんやりとそんなことを考えながら、じっとしていた。
少し、眠れば震えもとまる。動けるようになる。
「お休みになりたければ、どうぞ。少し休んで、クラフさまが起き上がれるようになったら出発しましょう」セキアの声がする。

「ちょっと怖いけど、ここで、夜を明かせばいいのに」
リスガがため息交じりで言った。進むなら進む。休むならゆっくり休みたかった。いつになるか分からないのでは、うかうか眠ることも出来ない。だったら、夜明けまで眠れる方がいい。

「だめですね、そうすると、明るい中クラフを移動させることになります。いくらマントとフードで隠しても、見つからなくても、それは危険です」
リスガの隣でピーシが無表情なまま言った。
「でも」
「大げさだよ、ピーシ。クラフがこの世界の住人じゃないって分からなきゃいいんだ。どうせこの辺りはそう人が通る場所じゃないし。昼間歩いても、大丈夫だと思うな」カカナがリスガに賛成する。リスガは心なしかカカナのほうに少しすり寄る。
「ね、セキア、ここで寝て、明日昼間移動しましょうよ」
リスガも、すでに眠い。大きな目をこすった。
明日、昼間移動するなら必然的に次の夜は宿で休める。楽になる。

「…仕方ありませんね。ただ、クラフさまは、本当に初めてなんです。昼間の日差しを受けたことがありません。体調が、心配なんです」
セキアはリスガの様子も気になる。四人の子供を守らなくてはならない。慣れない夜のたびで体調を崩されても困る。慎重な判断が必要だ。
「昼間のほうがクラフだって体調よくなるわ、きっと」
「うーん」
カカナは考え込む。
「クラフは、どうしたいのかな」
「昼!昼歩く!オレ、それに賛成!」
クラフは飛び起きて、嬉しそうに叫んだ。
「あれ?クラフ…」
「なに?仮病?」
「え?」
クラフは皆を見回した。
「なんだよ、起きちゃダメだった?」
きょとんと、青白い顔で目を見開いている。
「気がつかれましたか。では、出発ですね」
セキアがニコニコ笑って、クラフを立たせた。
「え?仮病?」リスガがクラフの肩に手を置いた。
「違いますよ。治ったんです。薬が効けばこんなものなんです」
セキアが微笑む。
「なんだ、治ったら悪いか?何で、みんな変な顔しているの?オレ、なんかしたか?」
「クラフさま、皆、あなたのためにここに止まっていたんです。お礼を」
「あ、そうか。ごめん、ありがと!オレもう、大丈夫だから!」
照れたように素直に礼を言う。立ち上がりつつ、それでも胸に置いた手はそのままだった。まだ少しつらいだろうにとセキアが気付く。そっと、肩を支えた。

「さ、出発しましょう!明るくなる前に、次の宿にたどり着かなくてはなりません」
「次ぎ、そうか!ランドエンドの宿だ!やった!」
嬉しそうにセキアの肩に手を置いて、ラマに乗り込むクラフを、二人の少年と一人の少女は見つめていた。
「案外、あっさりしてる」カカナが笑った。
「せっかく、昼間歩くチャンスだと思ったのに」
と、リスガ。
「あれ、リスガ、クラフが昼間歩きたいって言ったときは反対していたのに」
ピーシは面白そうにちらりとリスガを見やりながら自分のラマを引く。
「やっぱり、つらいから。ね、リスガ、眠いんだろ?」
カカナにも言われて、リスガは少し顔を赤くする。

「それにしても、カカナ、君、医学を勉強しているんですね」
いつもどおり少し伸びた前髪をかきあげてピーシが言った。カカナは表情を緩めた。
「まあね。父上は、反対しているんだ」
リスガは感心したように言った。
「カカナは将来、お医者様になるの?」
「理想は、医者であり、賢老士でもある、両方だな」
「理想高いですね。僕は父上の後を継いで那迦(なか)の街を治めます。兄上には、まかせられません」
「ピーシのとこ、三兄妹だったね、ピーシは真ん中だったか」
「ええ。長兄はどちらかと言うとあまり物を考えない人です。思うがまま行動して、決して、徳のある人物ではありません」
「君、兄妹のことそんなふうに…」苦笑いするカカナ。
「カカナは一人っ子ですからね、羨ましいですよ」
ピーシが目を細めて遠くを見つめた。
いつの間にか並んでラマを歩かせる男の子二人を、リスガは後ろから見つめていた。
不意に、カカナが振り向いた。
「リスガは、何になるんだい?」
少女は、ぎく、として、口ごもった。
「え、あの、私は、別にまだ、何も考えてないわ」
少し、恥ずかしい。聖職者としての研鑽は積んでいるが、成り行きでやっているだけのことだ。ごく普通のどこかの奥様で十分幸せだと、少女は思っている。
「そうだね、リスガは僕のとこに来るといいよ、君は庭で薔薇とか育てているのが似合うよ。リスガはピンクの薔薇が似合うと思うんだ。その笑顔にぴったりだよ」
自分の空想が気に入ったのか、カカナは精悍な顔立ちでにっこりと笑う。
それはまるで、プロポーズだ。リスガは少し慌てる。ピーシもさすがに口を出せずに見つめていた。
「き、キザね!」
リスガは気持ちとは裏腹に顔をしかめて見せた。

<<楽しんでくださった方、一つポチお願いします!(>_<)>>

 続きはこちらです!(^^)
http://ranrara.blog70.fc2.com/blog-entry-190.html

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南瓜人形さん

そう、皆して人質人質と、苛めます(?)
でもその割りに、クラフくんは平気。
悟りなのか開き直りなのか。
子供のようですけどね。いろいろと、考えているわけです(^^)
その辺は、また後ほど。このあたりの展開とか、ちょっとテンポ悪い気がして。らんらら、一番修正したい部分なのだけど、何かアドバイスあったら教えてくださいね!!

こんばんわ

うーん、クラフ可愛らしいですね。
でも、両親が居なかったことを考えるのならば、これが丁度いいくらいなのかもしれませんね(笑

そして、夜に行動しようとしている謎の男。
盗賊の類の気がしますね。
何かが起こりそうな……

しかし、人質、人質と。酷い物言い!
もっと、言葉を選べっ!と言いたくなります。

chachaさん

ありがとー!
そうね、ピーシ君、なんだか人気ですよ!

あの男、なんなのか。
それは後々のお楽しみってことで。
もうしばらくこの、のんびりした旅が続きます(^^)
よろしくお付き合いくださいー!

今日も

読みに来てますよ~^^(笑)
何だか意味ありげな男が現れた時には、何か起こるのかとヒヤヒヤしましたが・・・何もなくてホッとしました☆
でも・・・うーん、怪しい@@

クラフが発作。
皆の行動でそれぞれの性格や育ちがわかりますね^^
カカナとリスガがいい雰囲気☆
でも、私はピーシ好きですからね(笑)

無事宿屋まで辿りつけますように・・・ポチッ!

楓さん

ありがとうございます!
表現、褒めてもらっちゃって…w
うれしいですー!
お話的にはのんびりしたあたりなので、さらっと、そうですね、一回に三話。
ちょうどいいかもしれない(^^)
楓さんのとこにも遊びに行きますね!
楽しみですよ!どんな、方なんだろう?

こんばんわー。

あ、どもです。今日はこんな時間に家から拝見させて頂きました(笑。日々3話づつ読み進めている。。。そんな感じです。
でもってクラフ君!
君って子はとことん我が儘でかわいらしいです。。。が、みんなに弟みたいって言われてますね(苦笑 リスガちゃんにまで・・・恋愛対象外かぁ・・・それにすら気付いていないクラフってあぉぅぅって思っていたらリスガちゃんカカナさんに熱視線?!
カカナさんの人柄、気障だけど志は高くしっかり者?それと、クラフ君のことを子供扱いしておきながらリスガちゃんもまだまだ子供だなぁ・・・ってだいぶん登場人物の性格というかキャラクターが掴めてきました!表現巧いですねー。感心しきりです。。。

kazuさん

いつもコメントありがとうです(><)
人質発言、多いです(許してねクラフ君 ^^;)。このお話のキーワードですし。
きっといつか、この状態を乗り越えると思います!

うう、それにしても、うだうだと展開がのろくて、らんららも書き直したい気分…でもでも。一個一個、この後に響くので、やっぱり難しいということで。
kazuさんがまとめて更新した気持ち、何だか分かる…らんららも、このうだうだのんびり旅、スピードアップして更新していきます!
kazuさんが読んでくれるし!ほんと、いつもありがたいです!勇気です!がんばります。

ひろさん

あう!
痛いとこつつかれちゃいました!
そうですね、単調です。
らんらら自信、微妙に「ありかこれ?」と苛立ち。
ちょっと修正かけて、更新早めて…(解決できているとは思えないけれど^^;)
いえ、いろいろと異世界ですので説明必要かなと(言い訳)じわじわした進み方なのは、本当に、自覚しているとこです。
今回、カカナ、ピーシ、セキア、リスガ、それぞれがんばって描きたかったのでついつい、というところでしょうか。
忌憚のないご意見、ありがたいです!
がんばりますよ!
…でも、もう少し、この旅は続くのです…(本来の起承転結の起にもなってないんです。この部分。さすがひろさんです^^;)見捨てないで読んでいただけたらと思います!

こんばんは

本当に過保護に育てられているクラフくん。
わがままいっぱい。だけど優しい。
そしてみんなに受け入れられている、幸せを受け取っている感じがしますね。
これから、彼がどんなことになるのか、何か事件が早く起こらないかと楽しみにしています。
冒頭に出てきた男の存在が気になりますね。
あえて、少しだけ難を言わせてもらうと、少し単調になってきているかな?
次に続く事件への布石、謎が欲しいところではあります。
また読みに来ますね!

おはようございます。
リスガさんは、まだ昨日の事をちょっと引きずっていますね。
確かに、私でも引きずっちゃいそう。
自分が意図したことじゃないことを言われてしまうと、自分が恥ずかしくて反対に怒ったりしますよね。

カカナ君がクラフ君をいい奴っていってくれた言葉、嬉しいですね。
でも皆で人質人質って、言わないで~、セキア様までv-406

「いつかどうかなるとしても、オレは楽しく生きることに決めたんだ」
クラフ君の考えに賛成v-423
更新楽しみにしています♪
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