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「宙の発明家」第一章二.世界の果て⑥




日が沈んでから、二人はランドエンドを囲む城壁に上った。城壁の向こうは闇。
クラフは少し青ざめた顔で、再びその果てを見つめた。
降りると少しの地面がある。そこで終わっていて、その先には何もない。そこを踏み出せば落ちるのだろう。
石ころを投げてみれば、それは闇に吸い込まれ、どこかに当たる音もない。だから、果ての先には何もない。それが、宗教の教えでもあるし、真実でもある。

「うーん。きれいな夜空だ!」
城壁の上でぐんと伸びをして、クラフは星をつかむように手を伸ばし、少し遠い目をする。
「ね、本当にあるのかい?この下に」
カカナが城壁の外側を、恐る恐るのぞく。
「ああ、昼間見たんだ。ちょっとだけ、取って来たいんだ」
クラフが笑って、持ってきたロープを、突き出たレンガに結びつけた。
腰には、あの皮で出来た道具入れを巻く。
「なんだか、風が強そうだよ。大丈夫かな」
「平気だよ。行ってくるよ」
「ああ」



カカナに見送られ、クラフはするするとロープを伝って城壁の外側の、ほんの少しの地面に立った。
そこは、座ることすら怖いくらい狭い地面だ。
クラフは、城壁の途中に金具を打ち込んで、そこにロープを引っ掛けると、ぎゅっと縛る。それを支えに地面の端からそろそろと降りた。
「クラフー?大丈夫か?」
カカナからは姿は見えない。月明かりでは、陰になっている城壁の下まで見通せない。
「平気―」
そう返事があったきり、後は何度声をかけても、返事がなかった。

カカナは不安になってくる。
ロープを引こうとした。途中で縛り付けられていることをカカナは知らなかった。
引いてもびくともしない。
「なんだこれ?」
カカナは、心配で、さらに目いっぱいの力でロープを引いた。
城壁に突き刺しただけの金具は、あっけなくはずれ、クラフの悲鳴とともに、急激な重みがカカナにかかった。
「わあ!」
よろけた。
もともと城壁の端に立っていた。
バランスを崩して、落ちる。
結局ロープに、カカナも一緒にぶら下がっていた。城壁に片手をかけて何とか支えている。
「あ、クラフ!大丈夫か?クラフ!!」
「もう少し…」
どこかで聞こえる声。
「早くしないと落ちるよ!二人も、支えられない…!」
カカナが叫んだ。風が横から吹き、クラフが下で揺れたのを感じる。ロープが城壁の縁に当たってミシリと嫌な音を立てた。
カカナは片手でクラフのロープを支え、もう一方でで城壁にしがみつく。城壁の上に縛ったロープは、めいっぱい張り詰め、今にも切れそうな気がした。ロープを掴む手や肩が城壁にこすり付けられ、傷が増えていく。
手の平の下で、城壁の石ががくんと崩れた。
「わあ!!」
ずるりとすべる。同時に二人の体重がぐんとかかり、ロープが切れた。
視界全体が上に流れる。
と、その瞬間。
上に引かれた。
「え?」
見ると、上にクラフがいる。
「あれ?え?なんだ?」
ロープにつながれた二人は、クラフを上にしてふわりふわりと宙を舞い。
気付くと城壁の上まで来た。
「降りるよ!」クラフが上で何かをガツとならした。
きらりと金色の粉や欠片が、月明かりを浴びながら天に昇る。
二人はゆっくりと下降し始め、カカナはすとんと城壁に降り立った。
続いて、クラフ。
「な、なに?今のなんだったんだ!?」
カカナがクラフに駆け寄ると、クラフは、両手で大切そうに石を抱えていた。たいして大きくない。丁度クラフの両手で収まるくらいだ。それはつややかな黒。
「?あ、悪魔の石?やっぱりあったんだ!」
クラフはにっこり笑った。
「この下にね。ほら、混じりけ無しの浮遊石」
クラフがそれを持つ手を放すと、石はふわりと浮き上がる。そこをすかさず押さえ込んで、クラフは石を腰に下げた袋に詰め込んだ。袋は腰からぷかぷかと浮いた。
「ふゆう、せき?」
「そうだよ。悪魔の石なんかじゃない。役に立つんだよコレ、発明に使うんだ、おっと」
クラフは腰の浮遊石に引かれて足元がおぼつかない。すかさずカカナがその肩を抑えた。
「ちょっと、大きすぎるかな。転んだら浮いちゃいそうだ」
そう言ってクラフはまた、石を取り出して腰のノミで少し削った。削られた粉はきらきらと光って空に昇っていく。
「へえ、きれいだなぁ」
「これでよし!コレ、セキアには秘密だぞ」
片目をつぶるクラフに、カカナは笑った。
「お前、本当に、すごいんだ!」


クラフは帰り道、カカナに誘われて、礼拝堂から少し離れた丘の上に散歩に来ていた。そこからだと星が近く見える。
月明かりに照らされる木々は、時折風に葉を揺らし、そのたびにクラフはソチラをじっと見つめた。
「なんだ、怖いのか」
「そんなことないよ!」
睨みつける少年にカカナは微笑んだ。普段ほとんど外にでないのだから、慣れないのも無理はなかった。それは夜道を歩き慣れないカカナにしても同じことだ。

「な、クラフ。今の場所、窮屈じゃないか?一緒に来ないか。僕の父上の領地、ここに来る途中に通ってきた、迩史の街なんだ。この辺りも、父上の領土になる。七つの街で一番大きい。苔沼が広がる緑豊かなところだ。領土内なら、自由にしてもらっていいんだ」
「…オレが決められることじゃない、と思う」
クラフは、しゅんと下を向いた。
「君に、その意思があれば、協力するよ」
「…セキアから逃げ出すって、こと?」
「そう。父上が、家を用意するって言っているし、父上は進歩的な考えの人なんだ、髪や肌が違ったって、別に問題じゃないっておっしゃっている。自由でいられるんだよ」
「そんなこと、していいのか?賢老士会で決まったんだろ、オレを人質にするっての。黙って連れ出して見つかったら、カカナやカカナのお父さんの立場、まずくならないか?」
「なんとでもなるよ。父上は一番の権力者だし、大教皇とも仲がいいんだ」
「…」クラフは、カカナの手をぎゅっと握り締めた。

 迷ったらインデックスへ!(^^)
「宙の歩き方」

 続きはこちら!(^^)
「宙の発明家」第一章二.世界の果て⑦
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Kazuさん

コメントありがとーhttp://blog70.fc2.com/image/icon/e/266.gif" alt="" width="14" height="15">
短くしたのは、携帯から修正できるようにだったんだけど…やっぱり、表示されなくて残念(T_T)
でも、この形でしばらく続けてみます!

こんばんは。
クラフ君が、カカナ君の言葉に迷ってしまう気持ち、分かる気がします・・・。
自由でいられることに、誰だって憧れる。
クラフ君はその自由が、他の人よりも狭い。
カカナ君の言葉に、すぐ頷きたいよね・・・。
でも、「…オレが決められることじゃない、と思う」、そう思ったクラフ君、そうだよね。踏みとどまるよね、他の人の事を考えたら。
最後にぎゅっと手を握ったクラフ君、何か決意したのでしょうか。
続きがきになるとです♪
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