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「宙の発明家」第一章 二.世界の果て⑦



「すぐに決めなくてもいいよ。
十年、あそこにいたんだ、違うところに行くのは、少し怖いよね。
…ね、クラフ。僕はこの世界の人間にしては、よくないことなのかもしれないけれど、お前の生まれた世界に興味があるんだ」
クラフは驚いて顔を上げた。

「でも、この世界の神様の教えでは、この世界以外の世界はないってことになってるんだろ?興味を持つって、教えに反することなんだろ?」
カカナは、深い草を掻き分け、クラフを歩かせながら進む。
クラフは黙って、ついてきていた。

とろんとした緑色の水をたたえた、池。さほど大きくはない。
よく見ると今、歩いてきた道も、今立っている足元も、すべて同じ緑だ。小さい規模の苔池。
カカナは池のほとりの月明かりで明るい場所に、座った。隣にクラフも座る。苔の柔らかな感触が心地いい。少年は嬉しそうに、何度も手のひらを押し当てて感触を確かめていた。

「そうだね。聖職者のセキアやリスガに聞かれたら、どう思われるか分からないけれど。でも現実に、お前の生まれた違う世界がどこかにあるんだろう?
僕は、そこを見てみたい。なんだかロマンを感じるんだ!なんだかステキじゃないか!誰も知らない世界があるんだ。
だから、さ。クラフ。教えて欲しいんだ、どんなところなんだい?」

クラフは、じっと目の前の緑の水面を見つめた。トロンとして、水面に微かに蒸気のような白いもやが見える。この中にこの世界の酸素を作り出すバクテリアがいる。もやは酸素なのかもしれない。

ロマン、ね。どうしても、少し大げさで気障なんだな。
クラフは少しくすっと笑って話し始めた。

「まず、さ。この世界のこと、分かってないんだ。みんな」
「今の、この世界?分かってるよ、七つの都市、辺境の村が二十一、その先には山地と、苔池が広がる。そして、城壁に囲まれ、城壁の外が果て。それだけだ」
「ん。オレのいたとこ、仮に地球って呼ぶけど、そこは、果てがないんだ」
「果てが、ない?」カカナは目を丸くした。

「そう。ほら、ボールみたいな形している。どこまで歩いても果てはない。広い広い海が丸いそこの七割を占めていて、残り三割の陸地に人が住んでいる」
クラフは左の拳を丸めて地面に見立て、右手の人差し指と中指で人の歩く姿を再現してみた。

「でもそれじゃ、下の人は落ちちゃうじゃないか」
「丸くても落ちないのは、球体の中心に向かって引っ張られる力、重力があるから。広いところだから、皆自分の足元を下、だと思っているし。
この世界だって、重力がある。
その力がないと、ふわふわ浮いちゃうんだよ。
こうして、地面に立つのは、地面に吸いつけられている、って考えていいんだ。地球の人もね、今この同じ空を同じように見上げている。
オレはこの星を見て、この世界の位置を確認したんだ」

そういって、クラフは星空を見上げた。深く黒く、それは宇宙の姿だ。
「同じ、空?」
「ここ、この世界は、浮いているんだ」
「意味が分からないな」
「オレ、知っている星座があったから六分儀って言う道具を作ったんだ。それは、あの北の一つ星を基点に位置を測ることができる。
地上ではなくて、でも同じ空を持っていて。
ここだって、太陽と月の運行で暦を作るだろ?比較してみるとね、そういう結論になるんだ。
オレのいた世界のずっと上のほう、空に近い位置に、この世界はあるんだ。つまり、オレのいた世界は、この果てのずっと下、遠い遠いところなんだ。セキアはバカだから、わかんないって言うけど…」

クラフは立ち上がって、伸びをした。あくびもついでとばかりにわいて出る。
「遠いところ、果てのずっと下…か」
カカナも考え込むような難しい顔をしながら、立ち上がった。
手をつなごうと、クラフが手を伸ばしても気付かない。

「十年前、お前を連れてきた連中が、あの物体で突っ込んだのは、僕の住んでいた迩史の街だった」
カカナがクラフの肩に手を置いて、もとの場所、礼拝堂のほうに向かいながら言った。
「夜の間の出来事だったし、民は怖がって家にこもっていた。父上は警備隊の連絡を受けて、大教皇を呼びに使いを走らせた。
おかしな白いぶくぶくした感じの、それでも頭らしきものと手足のある人間ふうな奴らが三人いた。言葉が通じなくてね。
そのうち、三人は自分たちが乗ってきた丸い大きな乗り物に乗り込んで、どこかへ行ってしまった」
クラフの手が、カカナの手をぎゅっと握り締めた。
気付いて、カカナが握り返した。
「僕が直接見たわけじゃないが。まだ、小さかったからね。後から父上に聞いた話だ。そして、彼らが壊した礼拝堂の中に、お前が取り残されていた」

「…オレ、いつもどおりだった」
クラフは、つぶやくように言った。
「え?」

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 続きはこちら!(^^)
「宙の発明家」第一章二.世界の果て⑧
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