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「宙の発明家」第一章 二.世界の果て⑩

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男に視線を戻して、セキアは笑っているのか怒っているのか分からない表情で言った。

「お前こそ、何ゆえ夜、獣を追うのだ」

急に、変わったセキアの言葉遣いに、男は眉を寄せた。
「は、関係ないだろう?」
「私は聖騎士だ。聖職であるからには、無為な殺生は見過ごせない」
「俺が話せば、あんたも教えるのか?」
「次第による」
「ふん!何が聖職だ。神の教えなんか当てにならんね!俺は二年前に相棒を、あの獣にやられたんだ!だから追ってた」
「襲われたのは夜出歩くからではないのか?」
セキアは、一歩、男に近づいた。

「は、俺たちはな、十年前から日陰の身でな!見ちゃいけねえもんを見たって、警備隊に追われているのさ。だから、夜逃げ回るわけさ」
そこまで話して、男は、セキアの顔をじっと見つめた。目を見開いて。

「あ、あんた、もしかして。そうだ、思い出したぜ!あんたもあの時、いたよな。聖騎士。そうだな。セキアってあのガキが呼んでいたな、あんただ。そうか、あの時飛んでいた変なもん、あの気味悪いガキはアレに関係するのか?え?」
男はセキアに手が届くほどの距離まで詰め寄る。
その目が血走り、この男が歩んできた十年の重みがしわに刻まれている。
セキアは男のつかみかかる手をすっとかわし、にやりと笑った。


「あのときの、旅の商人か」
十年前のあの銀色の大きな物体、白い三人の人間。最初に通報したのは、二人連れの商人だった。
セキアは目を細めた。髪が、風でゆらりと頬にかかる。

男は何かを感じて、一歩下がった。
熊の血で薄気味悪く光る剣を構えた。

「俺は、俺たちは、あれを警備隊に教えたんだぜ!役に立ってやったのに、あだで返しやがって!あのガキ、普通じゃねえよな。あれは、あの白い人間の仲間だ、そうだろう?」

「……夜は、闇に魔のものが潜む。出会わなければよかったな」

セキアはゆっくり、腰の剣を抜いた。白刃は早朝の闇にきらりと光る。



「お待たせしました」
ニコニコしながら、追いついてきたセキアに、クラフはカカナの隣を明け渡した。
肩を貸しながら歩くのも、なかなか疲れるのだろう、少し息を切らしている。
「遅いぞ」
「すみません。さ、戻りましょう。宿でもう一度きちんと手当しませんとね」
「うん、オレがやる!」
「いいよ、セキアにやってもらうから。聖騎士は一通りの医学を学んでいるんだ」
カカナが笑う。
「オレが助けてもらったんだ、オレがやる」
「素直に、ありがとうと言ったのですか?クラフさま」
クラフは照れくさそうに二、三歩ぴょんぴょんと進むと、二人を振り返る。
「あ、ありがと」
カカナは笑った。

カカナは歩きながら自分で腕を押さえている。セキアはカカナの肩に腕を回して、ゆっくり歩かせる。
「本当にありがとうございました。しかしお怪我のこと、お父上になんとご報告してよいものか…」
セキアが小さな声でカカナに話した。

「いいんだよ。父上は僕の性格をよく分かっていらっしゃる。今回のも、同行すると言い出したのは僕なんだ。僕の行動は常に父上の影響を疑われるけれど」
「カカナ様」

長身のセキアより、少しだけ低い。この年齢にしては背も体格も、大きいほうだろう。それでいて物腰が穏やかで、思慮深い。女性に人気があるのも、頷けるか。セキアは目の前を歩くクラフと、少しだけ比較した。
「僕は、僕でありたいから。もちろん、父上には賛成しているけれど。クラフの友達になりたいのは僕の本心なんだ。那迦の街に戻っても、クラフに会いたいんだ。いいかな」
「それは、私が決められることではありません。それに、カカナ様。
今回のご同行を大教皇が許可された時点で、それは許されると私は思いますよ。大教皇様も、クラフさまに同年代のお友達が必要だとお考えなのでしょう」
「そうだね。これからも、よろしく。セキア」

低い声で話し合う二人は、いつの間にか先を行くクラフより遅れている。それに気付いて、クラフは後ろを向いて立ち止まった。

朝日が丁度、クラフの髪を後ろから照らし、金髪がきらりと揺れる。
一瞬、セキアもカカナも目を細めた。

「うわ!眩しい!…あ?」
後ろ向きのまま歩いていたクラフが、マントのフードをかぶろうとしたとき、足元の何かにつまずいて、転んだ。
「クラフさま!」
小熊、だった。
まだ、小さい。座り込んでいるクラフの周りを、ふんふんと匂いをかいでいた。
剣に手をやるセキアに、クラフは首を振った。
「大丈夫、行こう。放っておくしか、ないよ」
小さな声で鳴きながら、向こうに歩いていく小熊を、クラフは見送った。

「今の、さっきの生き物の子供だろう?僕はあんな大きな生き物がいること知らなかった」
カカナは小熊の後姿をちらちら振り返りながら、つぶやいた。
彼を支える傍らの男が、ふと笑った。
「私も、クラフさまについて、夜出歩くようになってから、知ったのです。われらが獣たちの時間と場所を邪魔しているのですね。あの子供の熊には、可哀想なことをしました」
いつの間にか、セキアの隣を歩くクラフが、また、小熊を振り返っている。
「クラフさま、また、転びますよ。ちゃんと前見てください」

「ん、ああ。…あいつ一人になって、可哀想だな」
クラフは自分と重ねた。
「クラフさま、あなたは一人じゃありませんよ」
「…そうだな」

そうつぶやいて、セキアの開いている右手にすがりついた。
カカナと目があった。
少し照れくさそうに、クラフは笑った。

<<お一つポチ、お願いします!(^^)>>

 続きはこちら!(^^)
「宙の発明家」第一章三.甘えることと信じること①

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genre : 小説・文学

tag : 冒険 ファンタジー 小説 砂漠 少年

chachaさん

コメありがとう!!
らんらら、飲み会の真っ最中でした(^^)
だから、ぜんぜん大丈夫!
どんどん読んじゃうのー?(@o@)
すぐに追いつかれちゃいそうだ(><)
がんばりますよ!
ありがたいポチを励みにして!!v-42

こんな時間に(笑)

なんだか・・・少しずつ背景が見えてきました^^
そうか、クラフ、私達の仲間なんだ。
セキアさん達が少し違った所に居て・・・
でも、そこはどうして出来たのかなぁ?
まだまだ謎は多いままですね。
だから続きが気になって仕方ない!(笑)

本編を少しずつUPに変更したんですね^^
こうなったらどんどん読んじゃいますよ~!(笑)
ポチッと押していきますね☆

来年もどうぞよろしく!!!

こんばんわ☆
今回は年末のご挨拶ですー。
今日は子供が年1回の夜更かしでまだ起きているので小説読めないのですが、これから寝かしつけて、それからまた読みに来ようと思います!!
僕と同じファンタジー物ってことでものすごく刺激になりました。そしていろいろ関心しております。勉強させて頂いております。
コメントを頂いたり、そんなこんなで今年はあれこれありがとうございました。もうすぐ今年も終わりますが、また来年宜しくお願い致します!
正月にわくわくしながら続き読み切って追いつきたいです☆

何となく分かります♪

感情のキメみたいなものが似ている・・・それ、何となく分かる気がします。ここが似てる!ってはっきり言えないですが、何というか、登場人物の感情とか思っていることを表現するときの表現のしかたというか、受け止め方というか、そう言うのが似ているような気がします。
あ、それと、浮遊石のこと、全然変だなんて思ってないですよ!だって、そういう発想って言うか、設定ていうか、それが楽しいわけですし、「こんなことは実際あり得ないだろ!」なんてこといちいち気にしてファンタジー書いてて読んでてもつまんないですよね。そしたら魔法なんて非現実的で使えなくなっちゃうし(笑 調べたり想像したりするのがファンタジーの楽しみ・・・全くその通り!!!それこそがファンタジーの醍醐味ですよ。でも、それだけにそうした設定背景・情景描写をきっちりと読者に伝えていかなければならないのでそこが難しいですよね。あまり最初に書きすぎても読み手も書き手も疲れるし、やっぱし物語の中でじわじわ浸透させていくしかないんですが、その加減が・・・ねぇ。その点らんららさんは巧い。巧いと思います。
あ、またこれから続き読ませて頂きますねー。

楓さん

(^^)やったぁ!
当たりました?
いえ、単純に、らんららと似ているからです。言いたいことを的確に捉えてくれるのは、感情のキメみたいなものが似ているのかなと。
らんららも、感激やさんで、「●ざましテレビ」のサンキュー企画とやらのいろいろなありがとうの新聞記事で泣く奴です(^^)
ふふ。浮遊石。これがないと、理屈が通らないので、どうしても欲しい存在です。もちろん細部にわたって考えれば、技術的に不可能に近いものもあるのですが…。
浮遊石だけは、勝手に創らせてもらいました。成層圏内は重力はあるので、重力に反する力(楓さんの言うとおり、空気より軽い存在…ありえないけど^^;)で浮きます。だってほら、月だって、地球の重力によってくっついているわけですから、多分重力はあるのだと。

空気は薄いながらも、この土地のおかげで存在することにしました。ただ、一番難しいのが、気圧。
宙の世界は、薄い空気(約10キロくらいの高さまであるって言う設定…どこにも、書いてないのですが)の層をまとっているので、一応気圧はあります。が、成層圏に出れば0に近い。
で、いつかクラフ君が地上に帰るのなら、途中の気圧変化に耐えられなきゃならないんです。そこが、難しくて。いえ、克服できたらそりゃ、本当に天才だわ…ってことで。あいまいにさせてもらいます!(^^;ひどい?)
一応、いろいろ調べて、ない頭を振り絞って設定作ってみました。楓さんのすごくしっかりしたものに比べると、ぜんぜん、つめが甘いのですが。
そこそこ、許される程度には、というところでしょうか。
また、ここは変だよ、ってのがあったら、教えてくださいね!(特に、機械類…どうしても、男性の基礎知識にはかなわないですよ><;)
でも、こういうこと、調べたり学んだり、想像してみたりするのが、ファンタジーを描く上での楽しみでもありますよね!

やや・・・ナゼばれたですか?

感激やさんですねぇ・・・自他共に認める涙もろさでもありますね・・・ドラマ見てしょっちゅう泣いてますわ。昨日も江原さんのスペシャル見て号泣してましたし(笑
何でばれましたか?
ちょっとびっくりしました。ドキドキ・・・
ところで、実は先ほど、家に帰ってからまた続き読みました。第一章三信じることと甘えることの4話分です。
やっぱ心理描写巧いですねぇ。。。羨ましいです。セキアさんの気持ちも痛いくらい分かります。ちょっと父親のような気持ちになってるのかなと。クラフが逃げようとすれば相対さなくてはならない・・・それは事実でしょうし、その思いが今回のクラフの行動=飛行機の作成に思わずムキになってしまった原因の一つではあるんでしょうけど、やっぱし一緒にいたい、自分を信用して欲しいというエゴっていうか、そう言う気持ちがあるんだろうなと。
それはそうと浮遊石!これがまた気になりますね。僕の小説でも青い石が登場したり、主人公が鉱山で働いていたりと某人気アニメーション映画を彷彿とさせる設定があるんですが(笑 浮遊石!!だ・・・大好きですこれ♪
たぶん原理的には空気よりも比重の軽い鉱物(実際には存在しないですけど、あると僕も信じています!笑)でできていて、空気の重力を振り切って浮くんだろうなと想像するんですけど、その場合それをそもそも重力や空気の存在しない宇宙に持っていったときにはどういう力が働いて、それをどうやって飛行機の推進力に変えるのか・・・←うざい(汗
・・・おおお、想像しただけでもわくわくします。らんららさんの科学・物理学についての知識に共感している楓です。

楓さん

じっくり読み込んで、感じていただけて嬉しいです!
楓さんも、実は感激やさんでしょ?割と、涙もろいほうでは?v-392
この辺のお話は、クラフ君が何で、今の立場で、こういう風になっているのかを、ちゃんと分かるようにしておかなきゃと、かなり文字数かけています。
カカナ君と、ピーシ君、彼らは常に比較される対象です。物語の中でもそうですし、読者の方から見てもそうですね。
いろんな考え方や性格、うまく描きたいと思ってます!
楽しんでいただけるといいなぁ!!

奥深い。しみじみ

こんばんわ。
ここまで一気に読ませて頂きました。
って言ってもまだまだ先は長いですが、それだけ先々楽しみがあるって事で嬉しい限りです♪
クラフが誰かにしがみつくあの癖?は、そうか寂しさから来る必然的な行動だったんですね。納得です。作品の中のそういう細かな配慮が好きです。
信じるのは、楽だ。
あの表現がもすごくすとんと僕の胸の中に収まって、ぱっとクラフの気持ちが理解できたような気がします。
カカナとセキア。
互いにクラフを思う気持ちは一緒でも立場が違えば相容れぬ部分も出てくると言うところでしょうか。まだこの時点ではカカナはセキアに対しクラフの扱いに疑問を感じているようですが、、、まだまだ真相の見えない僕にはこの二人の確執?というか少しのずれ?が今後どのように埋まっていくのか興味津々です。
あとはピーシの役所。これがまたキーマンになりそうなならなさそうな・・・登場人物を巧く使い分けておられるのに感心しきりです。
また続き読みに来ますね♪

アポロちゃん

ありがとー!
やっぱり、アポロちゃんのコメント、うれしいなぁ!(><)
カカナくん、これから活躍です!
また来てねー!!

電柱|ω ̄) ウフフ

またもったいない読み方しちゃった・・・。

一気読みさせてもらいました(><;
すいません最近急ピッチで忙しくて・・・。
↑イイワケですハイ スイマセン

そうか!あのときの商人さんだったのか!!
にしてもカカナってばかっこいいわ(浮気じゃないのよ!)
必要以上にクラフの話聞いてるのもちょっぴり気になるけど・・・。
次のサブタイトルもなんだか気になる内容。
また読みにきます!

kazuさん

ふふ!
セキアさん、悪い人じゃないですよ、でも。仕事に忠実なお堅い人なので、許してやってね!
やっと、プロローグ的な部分が終わって、お話が動き始めます!(ほっ^^;)
見てやってくださいねー!!

セキア様!!

この男性は、最初に出てきた商人の方でしたか。
本当に、セキア様・・・、手にかけてしまわれたのですかね・・・。
なんと・・・、いや、でも・・・。
不条理だとは思うけれど、でも、クラフ君を護る為なんですよね・・・。

小熊と自分を重ねているクラフ君。
なんだかぎゅっと、してあげたくなりますv-10

皆さんお忙しそうですよね。
私は短時間バイト女なので、訪問できる限り遊びに来ますよ♪
らんららさんから頂くコメント、私も嬉しいですもん♪
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