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「宙の発明家」第一章三.信じることと甘えること②

<<らんららです!ブログペットのローローくん飼っていますが、彼からのエントリーとコメント、たまに入って来ます。どんなのかと思って気になったので…変な記事とか、コメ、あるけど、気にしないでくださいねー(^^)飼い主としては彼が何を言ってくるのか、見守ってみたいと思っています(^^;)>>

丁度、この前ここに来た時に完成した。
まだ改良は必要だろうけれど。
部品のうちは目立たないから、セキアに見られて問題はなかったが、形が見えてくるとさすがに、彼の目の前で造るわけには行かなかった。

アルミに似た金属を作り出すことから始めた軽い主翼。
初めは竹の骨組みなんかも考えたけれど、ここから地上までの間にある、気温の寒暖差と気流のことを考えれば、丈夫に越したことはない。重さはその分、浮遊石の量を調整すればいい。この間、不足分を、クルマに使うと言って余分に採取してきた。
そうやって少しずつ作ったのだ。
地上に帰るための、飛行機。




苦労したのは、耐寒性能だ。成層圏から対流圏、さらに地上までの気温は、実に零下七十度から四十度くらいが想定される。この宙(そら)は薄い大気に覆われているから、かろうじて太陽光を吸収して常に摂氏十度を保っている。ここからでればすぐに零下の世界だ。
街のガラス工房で、じじいのクルマのためと偽って、丸いガラスを作ってもらった。それを数枚組み合わせて、コックピットのカバーを作った。
コレだけでは、寒いので、羊の毛皮で断熱している。だから、コックピット内は計器盤以外毛皮でもこもこだ。
太陽光発電の装置を翼につけ、その電力でコックピット内を暖める。
地上の飛行機と違うのはエンジンがないこと。つまり燃料は要らない。動力は浮遊砕石。グライダーに似ているが、グライダーが重力を利用して揚力で飛ぶのとは違い、これは浮遊砕石の浮遊力を使う。上に浮く力を主翼に受けて、機体が前に進むようになっている。
簡単に言えば、モータースポーツで言うダウンフォース、(クルマが前進する時の抵抗を利用してクルマを下に押さえつける力を得る)と逆に、浮く力によって起こる下向きの抵抗を翼によって前進する力に変える。だから、通常のグライダーや飛行機とは翼断面の形状が異なる。
下降するときには、上昇するために使用していた砂状の浮遊砕石を駆動装置内に移動させ、パンダバーのように回転運動に利用する。その回転を使って、尾翼に取り付けた小型のプロペラを回すのだ。回転運動に利用した分の浮遊力が減少することで、飛行機は機体にかかる重力と、プロペラによる調整とで機体のバランスを維持したまま下降できる。
ここが、難しいから、時間がかかった。

クラフは、そっと、操縦席に座ってみた。
目の前にシンプルな高度計と、速度計。羊の毛皮で巻かれた、もこもこした操作レバー。丸くて手のひらに収まるそれを、そっと握り締める。あとは、専用のゴーグルとマスクを作って。手袋もかっこいいのがいいな。マスクはもしもに供えて、成層圏大気を遮断して、必要な酸素を確保できるものにしなきゃ。問題は気密性、気圧の変化に耐えられなければ危険だ。
それから、大気温度。
果てを越えれば、零下60度以下の世界だ。
この素材で耐えられるのかどうか。
もちろん、人間も耐えられなければ意味がない。

この飛行機、「空の羊」号は誰にも見せていない。
見つかったら、取り上げられる。逃げるため、とばれるだろう。この宙の人たちには、空を飛ぶ乗り物は不要だ。あってはいけない技術だ。だから、隠れて、少しずつ作った。
やっと、形になってきた。
試験をしたい。
運び出すことを考えて、翼は組み立て式だ。外で組み立てなきゃならない。どういうタイミングでやろうか。
「はあ」
クラフはため息をついた。まだ、仕事はたくさんある。
もう、十年も、たってしまったのに…。

ふんわりしたシートに身を沈めて、クラフは目をつぶった。
帰るんだ。フロリダに。オレの生まれた街、オーランドへ。

俺が三歳の時に新しく家を買ったんだ。庭にはチェリーの木があって、春は綺麗な花が咲いた。それからおいしい赤い実がなった。大好きなチェリー。
だから、アメリカンチェリーを使った太陽電池に興味を持った、それが、オレが科学や物理に興味を持った最初だった。
パパは、面白がってオレにそういうおもちゃをたくさん与えた。面白かった。本を読みたいがために、いろいろな言語も一緒に覚えた。オレの家では、ママとパパがどの学校よりレベルの高い教育をしていた。それが、今この場所で役に立つとはね。

庭の芝生にママと座って、ランチにサンドウィッチを食べた。温かい日差し。亜熱帯のオーランドは最低でも二十度以上。温暖な土地だった。
白い壁の、グレーの屋根の小さな家だった。でもミッキーの赤いポストと、僕の部屋のミッキーのベッドが自慢だった。

パパのお仕事の関係だとかで、よく招待されて、WDW(ウォルトディズニーワールド)に行った。大好きだった。パパの会社のイベントで貸切の時は、何でも一番に乗れた。隣に住んいたエリナと、手をつないで園内を歩いた。
エリナはオレより背が大きかったな、あの頃。ブルネットの髪がくるくるして、可愛い子だった。もう、十年。きっと、可愛い子になっているだろうな。一番のガールフレンドだった。
よく、幼稚園の先生に笑われたけど、オレは決めていた。
断然、女の子はまあるい目のパッチリした子だ!きれいになっただろうな。WDWで、デートしたいなぁ。
ここにきてオレ、女の子に会えなかったし、そういう方面ではすごく遅れたよな。

っていうか、オレ、今オーランドに帰って、まともに馴染めるのかな。十年も、こんな、電気一つない田舎で生活したんだ。
軽く頭を振った。
いや、大丈夫、オレ様は天才だ。

ため息をついた。

早く、帰りたい。

ママ、パパ。
オレがいなくなって、泣いているかもしれない。
もう、あきらめちゃったかもしれない。


「……」
誰かの声で、目が覚めた。

ゆらゆらする光が、まぶしくて、クラフは目をこする。
「おはよう、ママ」
返事はなかった。
体を起こして、見上げる小さな子供から、距離をあけるように覗き込む、大人たち。
皆、少し長めの髪を一つに束ねた変わった髪形で、服は、そう、絵本で見た中世の頃のに似ていた。暗闇の中、灯りに映し出される顔は不気味で、クラフは悲鳴を上げた。
「ママ!パパ!助けて」
逃げようとして、自分がお気に入りのベッドにいるのではないと気付いた。
丸い透明なアクリルのような素材のカプセルに入っていた。逃げようとした子供の肩を、一人の男が、今思えばあれは、セキアだったが、つかんだ。
怖くて、声を失った。震えるだけで、何もいえなくなった。
「……」
セキアが何か言った。聞き取れなかった。
腕を引かれて立ち上がると、小さな家の残骸の中にいることに気付いた。もしかして、眠っている間に戦争が起こって、家が壊れたのではという考えが、一瞬、クラフの脳裏をよぎった。こいつらは侵略者で、オレは捕虜になるんだ、と。
歩かされながら、何かぐにゃとしたものを踏んだ。本だ。たくさんの本や雑誌が散乱していた。
意味がわからないまま、暗い夜道をラマに乗せられ、揺られているうちに、気分が悪くなって、嘔吐した。胸が苦しかった、動悸が激しくなって、目がくらんだ。
今になって考えてみれば、あれは、いつもの発作と同じだった。
クラフは思い出して胸を押さえる。苦しい。そう、胸の辺りがぎゅうぎゅう、こんな、感じ…

発作だった。
いつの間にか、うたた寝していたのだ。
そのことに気付いて、クラフは慌てて、「空の羊」号から降りようとする。
手が震えて滑った。
まだ取り付けていない主翼との接合部に肩が当たって、ど、と床に背中から落ちた。
動けなくなった。
苦しい。
転がったデンワに、手を伸ばした。
デンワのライトがきれいな色に光った、ようだ。



目を開けると、また、あの時と同じように、彼の顔がのぞきこんでいた。
(なんだ、また、夢?)
「クラフさま」
今度は聞き取れた。
はっきりしない頭の隅で、何をしていたのか、どこなのかを考えた。
「あ、れ?」
「見つけるのに、苦労しました。こんなところに、隠れているなんて」
慌てて起き上がった。
また、ぎゅ、と締め付けられる気がして、目をつぶる。
「勝手に、入るな、よ」
「…入られては困るのですか?」
怪訝な顔をして、セキアが隠し部屋の中を見回した。

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 続きはこちら!(^^)
「宙の発明家」第一章三.甘えることと信じること③
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tag : 小説 少年 冒険 ファンタジー 仲間

南瓜人形さん

ありがとー(^^)
そう、フロリダ!いいなぁ、フロリダ!!
遊びに行きたいっ!という、らんららの勝手な妄想の結果、フロリダになってます。
鋭いですね!そう、飛行機なんです。成層圏って言うと宇宙にちかい、そうですね。かなり。
ただ、さすがに、クラフくんが宇宙船作れるとも思えないし(^^)天才という割りに小者かも?
簡単に言えば科学ヲタ、といううわさが定着しつつある彼ですから…

どうも、お久し振りです。
まさか、クラフ君フロリダ出身とは……。
って、ことは英語ペラペラ!?
しかし、飛行機を作るとは……
さすがとしか……。
でも、宇宙船では無いのですね。
其処に何かありそうな予感。
本当に此処と地球は宇宙空間によって遮られているのか……。
まだまだ、謎が多そうでワクワクしますね。
それでは、またデス

コメントアリがトー(^^)

アポロちゃん!
セキアさん、どうするでしょ?
ふふ、秘密ですー
フロリダ…らんらら行きたい、憧れの地(><)
ううー!楽しそう!
ディズニーワールド!!

kazuさん
飛行機、ちゃんと理にかなっているかすごい自信ないけど…今回、いっぱい資料読みました。
想像すると、結構架空の乗り物とか、面白くて。
分かりやすく書けてるといいのだけど(^^)

こんばんは♪
地上に帰る方法、クラフ君、飛行機を作ったんですね。
凄すぎる・・・・。
フロリダに住んでいて、気になる子もいて。

発作があって、セキア様が見つけてくれたのは嬉しいですが、隠れて作っていた飛行機、見つかってしまいましたね。
うわ~、どうなっちゃうんでしょうか。
どきどきです!

のわぁ

すごいなぁクラフ君。アポロの頭パンクしそうだよ
(;▽;) そっか。クラフ君はフロリダ出身なんだ!
気になる女の子もいたなんて。やっぱりクラフ君は帰りたいのね。なんだか切なくなりましたょ。
あ~セキアに隠してたものみつかっちゃったのね。
お願いだから取り上げないで(TωT)
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