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「宙の発明家」第一章 四.カカナとピーシ⑤

<<らんららです!大掃除、始めました!一日六時間くらい、を週に二回。あれ?後何週間あるの?…終わるのだろうか?年末までに>>

★★★さて、クラフ君、体調悪いのも手伝ってか、それともセキアさんがいないためか。怯え気味です(^^;)がんばれ!!★★★

「…オレは、人質になんかならないし、ここにずっといるつもりもないし、あんたのとこに行くつもりもない。オレ、あんた嫌いだ!」

「…残念だなぁ、クラフ、私はお前のことを気に入っている。カカナもね。帰ることは出来なくても、自由にさせてあげるといっているだろう?信じないのかね?」
ブール候が立ち上がった。
同時に、従者たちの放つ雰囲気も険しいものになる。

「父上!あの、乱暴はやめてください!」

カカナがクラフを背後に庇う。ピーシも従者を遮る。
「そうです!ブール候!このことは、父上に報告しますよ!」
「クラフ、お前にとって、得になることを考えてみるのだな」
クラフは震えながらも、にらみつけた。

「堅物のセキアに閉じ込められて。つまらない十年を送ってしまっただろう?この先もずっと、この薄暗い牢の中で過ごすのかい?セキアだって、一生、お前のためにここにいるのかい?お前は、セキアを犠牲にしてもいいのかな」

クラフの顔色が変わったのを見て取ったのだろう、男はにやりと笑って見せた。
「出て行け!」
ひゅん、と、ぺたっ葉が飛んだ。
それは見事に、ブール候の片目をふさいだ。

「お?!」
従者が剣を抜いた。従者にもぺたっ葉ガ飛ぶ。一つはあごに。もう一人は防ごうと剣を抜いたため、その刃にぺたっと貼り付いた。
さらに赤い「もえ玉」を取り出したクラフを、カカナが抱きとめて押さえつけた。
「止めろ!クラフ、危ない!父上も、止めて下さい!何も、今、ここでこんなことしなくても!」
「放せ!カカナ!カカナもオレを連れて行くつもりなんだ!」クラフは、暴れる。
「違う!僕はお前の味方だ!」
「落ち着いて、クラフ!」ピーシもクラフの肩に手を置いた。
「嫌だ!いやだぁ!」
クラフがピーシを突き飛ばそうとした瞬間、手に持っていた「もえ玉」がボワと炎を上げた。

高可燃性の液体の中身は一瞬で燃える。一瞬で、それは消えたが、ピーシの肩に丸い火傷が残る。
「いって…バカ、落ち着けって…僕はお前の味方だぞ」
「ピーシ…」

気が抜けたようにクラフはぺたりとベッドに座り込んだ。
握り締めたままの、残りの「もえ玉」を取り上げると、カカナはクラフを背後に庇って、父親を睨んだ。

ブール候は張り付いた「ぺたっ葉」をはがそうと悪戦苦闘していた。
「父上、それ、無理にはがすと眉毛がなくなります。はがし方をお教えします、ですから、今日はこのままお帰りください!お願いします」
「カカナ、お前は私に逆らうのか」
あくまでも、ブール候は穏やかに言った。そこに含まれる感情が何であるのか、カカナすら読み取れない。厳しい表情で、カカナは言った。

「はい。お怒りを買っても、今日の父上のやり方は間違っています」
「ふん。まあよい、次には、逃さぬから覚悟しておくのだな、クラフ」
ブール候の合図で、二人の従者は部屋の外に出た。それを見届けて、カカナは父親のそばに行き、腕を取った。
「すみません、父上。それ、水でぬらせば簡単に取れます。こちらへ」
カカナが父親を伴ってキッチンに向かう。


クラフは肩の力を抜いた。大きく、ため息をついて。目の前でピーシはカカナとその父親を見つめている。
その肩に、丸い焦げあと。繊維の燃えた嫌なにおいがする。
「ピーシ、痛いか?」
ポツリとクラフが言った。
「ううん。落ち着いたかい?カカナの父上が言ったこと、気にしなくていいんだ。お前はセキアを犠牲にしてなんかいないよ。ほら、お前も火傷してる。カカナの薬も、ちゃんと飲みなよ」
「……あれ、苦いから嫌い」
「わがまま言わない。カカナが折角作ってくれたんだ。あれでも一応、医者になるつもりらしいし、クラフは、カカナの患者第一号だね」
「なんか、やな感じ。第一号なんて実験台と同じだ」
口を尖らせながらも、カップを手に取るクラフに、ピーシが笑う。

ピーシは先日会った、父親の言葉を思い出していた。

「ブールにクラフの技術を与えるわけにはいかん。
クラフを哀れむふりをするなど、あの男らしいが。偽善者が、結局クラフを利用する腹づもりだろう。

ピーシ、物事を片側からだけ見ていてはいけない。一見私の意見はクラフにとって冷徹に思えるかもしれない。
だが、結果的に彼を守ることになるのだよ。
お前はクラフにあって、悪い人間ではないと判断したね。
誰もがクラフの持つ知識や技術を利用しようとしたら、決してクラフにとってよいことにはならないだろう?

あってはならない存在として、不可侵の領域とすることが彼のためになるのだ。そして、この世界のためにもなる……」
父親の言葉は正しい。
逆らえはしない。

けれど、目の前の少年は、既にピーシに笑いかけることを覚えてしまっている。
あってはならない存在だなどと、思えるはずもない。

「父上、何ゆえあのような、厳しいことをなさるのですか」
カカナは、父親にタオルを渡しながら言った。いつもの、父ではない気がした。クラフさえ納得すれば、父親の提案は決して悪いものではないはずだ。カカナはそう、信じている。ただ、今回の父親の態度はふに落ちなかった。

「ふ、カカナ、お前はよい性格だ。私の期待通りだ。これでクラフもお前を信用し、頼るだろう」
「え!?そのためにわざと、…演技ですか?」
「大教皇とも話をしてね。お前はクラフの持つ資料を見せてもらえないとこぼしていたね。なかなか、今のクラフを懐柔するのは困難だろう。素直ではないし、セキアもいない。だから、手助けに来たのだ。ずいぶん、慣れない事をしておるのだろう?母上が見たら嘆くぞ。顔に傷など」
喧嘩の跡が残る頬を、カカナは手で隠した。幼い頃の母の思い出がよぎる。
ブール候は穏やかに笑った。
「クラフには、ああ言ったがね。いつか、彼は自分のいた世界に戻る時が来るだろう。その前に、この世界について、クラフの知っているたくさんの役立つ知識を得てほしいのだ。お前なら知識を正しく使えるだろうと、大教皇様も賛成してくださっている。
お前が思うように行動するといい。お前ももう、十七歳、来年は成人だ。私のような政治家になる必要もない。お前が、この世界の未来を担ってくれることを、私も、大教皇も期待している。お前は自らクラフの味方だと言った。わが息子として、誇らしく思うぞ」
「父上」
カカナは、大きな手で肩を叩かれ、照れくさくて笑った。

母親が早くに亡くなってから、父はたった一人の息子を育ててくれた。忙しい仕事の間でも、カカナに学ばせること、物事を理解させることに力を注いだ。代々、賢老士を賜る家系、再婚の話も多々あったのに、父親はカカナのためにすべて断った。
今も、家に帰れば父子二人の生活だ。

カカナは父を誇らしく感じた。
ただ、同時に、クラフに突きつけたこれからのこと。一生ここにいるのか、という問い。それは、少し演技にしては過ぎるような気がしていた。
ますます、セキアとクラフを、引き離してしまうのではないか。
クラフの目を、故郷に向けてしまうのではないか。
それも、どうしようもないことなのかもしれない。
気持ちは自由だ。

どんなに、付きっきりで世話をしても、話しかけても、それでも、カカナはクラフの本当の気持ちを理解できていなかった。そう、十年そばにいたセキアですらも。セキアがどんな気持ちでここを去ったのか、カカナには分かるような気がしていた。


再び怖い顔をして、クラフを睨みつけながら帰って行く父親を、カカナは見送った。
ベッドの隅で縮こまっていた二人の視線が、カカナに集まる。
「何だよ」
「もう、来させるなよ!出入り禁止だ」枕を抱きしめたまま、クラフが上目遣いで睨む。
「ぷ、分かってるよ。父上は忙しいから、そうは来られない。安心しなよ。言ったろ?僕はお前の味方だ」
にっこり笑うカカナに、クラフは少し恥ずかしそうに枕を抱きしめる腕に力を入れる。
カカナが、テーブルを片付け始めた。
「あ、僕も手伝うよ」
ピーシが立ち上がる。
「クラフは寝てなよ」
カカナが、空になったカップを見つめて、嬉しそうに顔を上げる。
「やあだ」
枕を抱えたまま、ピーシが見ていた『プレイボーイ』を床から引っ張りあげる。
「クラフ、大丈夫なのかい?早く治さなきゃ、美味しいものも食べれないだろう?」ピーシが笑う。
「平気」
「明日は僕が美味しいの作ってやるのに、いいのかなぁ?鶏肉を甘いワインでぐつぐつ煮込むんだよ。きのこと、たまねぎがとろけて。バタートーストに蜂蜜添えて。おいしいのになぁ」
ピーシの言葉に、カカナが目を丸くした。
「なんだい、カカナ、僕が料理したらおかしいかい?」
「!嬉しいけど。本当にいいのかい?」
「誘ったのは君だろ?それに、僕も一応、クラフの友達だからね」
クラフは、笑いあう二人の片づけをちらりと見ながら、お腹を押さえた。
蜂蜜たっぷりのバタートースト…お腹が鳴る。
「お腹すいた!」
クラフが叫んだ。ベッドに座り込んだまま、枕を頭の上に持ち上げて、二人をにらんでいる。
「クラフ、お前、あきれる…さっき二人分を吐いて、だめにしちゃったのに」
「スープの残りがあるよ。そういえば僕も食べてないよ、クラフが取っちゃったからね。食べられるならクラフも少し食べたほうがいいし。夕食、やり直しだ。ピーシも食べる?」
「ああ」
「わーい!!」
二人の脇を駆け抜けて、一番最初にキッチンに駆け込むクラフ。その笑顔に、カカナはほっとしていた。やっと、まともな日々になりそうだ。
あんなに、拗ねて食事も取らなかったのが嘘のようだ。
ピーシの態度も変ってきている。
何が、そうさせるんだろうか。カカナは考えていた。

「見てみて、コレ、泡だらけ!」
クラフが煮立った鍋を覗き込む。ピーシが後ろから見て叫ぶ。
「ばか、温度が高すぎだよ!クラフお前が発明した調理器だろ?使い方間違えるなよ!」
「自分で使ったことない!」
「ふきこぼしちゃだめだよ!味が…え?ピーシ、待って、なんで、塩入れるんだ!?」
カカナも両手に皿を持ったまま、駆けつけた。
にぎやかな食事が始まった。

<<(^^)応援が力になります!>>

 続きはこちら!(^^)
「宙の発明家」第一章 四.カカナとピーシ⑥
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tag : ファンタジー 冒険 小説 少年 仲間

kazuさん

ふふ。ブール候とカカナの関係。
次章以降の重要なファクターですので(^^)
見ていて上げてください!

演技だったとですか・・・・。
どこに真実が隠れているのか分からない・・・・。
カカナを信頼させる為の、ブール候の演技・・・。
効果、絶大だった気がします。
ピーシ君もクラフ君も、カカナ君はブール候よりクラフ君の味方という風に感じたと思います。
でもでも、そのことを知ったら、またクラフくん悲しむだろうな。
カカナ君も、自分からそうしたわけじゃないけど、後ろめたくなるんだろうな。
あぁ、続きが気になります・・・・。
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