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「宙の発明家」第一章 六.クラフとセキア

<<らんららです!このところ、忙しさにまぎれてすっかり冒頭の雑記はお預け…すみません。
心のこもった記事になってない気もする…(反省…><;)
クリスマスもののSSを書こうと思い立ったものの、結局時間なくて出来ませんでした。それなら、せめて、小説のちょっと恋愛色強めナあたりをクリスマスにあわせてしまえ、と。(強引…)
本当は、ここまでを、クリスマスまでに、と思っていたのだけど。さすがに、長すぎるかなぁ…ということで。やっと、出てきました。セキアさん。堪能してください!>>



司教会の会合を終えて戻る大教皇に付き従いながら、セキアはあくびをこらえる。
皇宮の回廊をあるきながら、中庭からの日差しに目を細めた。
「まだ、慣れんかのう」
背が低いので、どうしても見下ろす形になる大教皇にセキアは胸に右手を当てて、穏やかに微笑んだ。




「いえ、もうあれから一月たちます。お心遣い、嬉しく存じます」
「ふん。十年、あれにつきあって夜昼ない生活をしていたのじゃからな、無理はするな」
「はい」
大教皇様のクラフに会っていたときのはしゃぎぶりは、普段の生活の中ではうかがえなかった。つねに、穏やで慈悲深い大教皇様のままだ。そう、本来この方は、こういうお人柄だ。クラフといる時が特別であるのだと、やっと飲み込めてきていた。

「今夜、例の試験飛行をするのじゃが、お前もついてくるか?」
「どのような形でなさるのですか?危険では?」
「ふむ。わしもまだ、迷っておってな。あれは自信があるようじゃが。ついてくるのかの?」
「はい」

あれから、クラフには会っていなかった。
カカナが後任になったと言うが。様子を知ることはできなかった。もともと、彼の存在は大教皇さま、賢老士会の七人、司教会の七人、そして、リスガ、カカナ、ピーシの三人しか知らない。噂など、流れてくるはずもなかった。
今、聞かなければ、聞く機会はない。常に大教皇と二人というわけではないからだ。

「あの、カカナさま、どうでしょうか。クラフさまはわがままですから、大変かと」
「気になるかの?」

再び歩き出しながら、大教皇はちらりと振り向いた。

「あ、はい。あのように、クラフさまがわがままになられたのも、自分に責任があると、思っております」
「ふん。律儀な性格じゃの。カカナとクーちゃんはの、たまに取っ組み合いの喧嘩をしとる」
「!あの!カカナ様が、ですか?」

穏やかで紳士的、彼を語るものは皆そういう。将来の賢老士候補として期待されている。立派な政治家になると、セキアも思った。
「お前と違っての、カカナは騎士ではないのでな、暴れられると本気でやらねばならんようじゃ。傷だらけだぞ二人とも。最近は少しましになった。クーちゃんも少しは食べるようになった」
「え?」
前を歩く大教皇は、振り向かずに、言った。
「言ってなかったかの、拗ねておったのじゃ。お前がいなくなって」
「…」
「父親代わり、だったのじゃろうな、あれにとって。本人が気付いているかどうかは、わからんが」

大教皇は、セキアに背を向けたまま小さな頭をつるりとなでて、まじめな口調とは裏腹に、顔は笑っていた。


その夜、日が暮れて町中が闇に包まれた頃、セキアは携帯用の小さなランタンに炎を灯し、大教皇を迎えにいった。
久しぶりに、夜の空を見上げる。夜でも気温はほとんど変らない。

美しい星空。北の一つ星が煌く。
いつか、クラフがあの星は北の位置を指す、大切な星なのだと言った。言われてから、夜空を見上げるたびに、位置を確認する癖がついた。
この世界では、星を見る習慣はない。夜の行動で位置を知ることが出来るのは確かに便利だった。

「こっちじゃ」
大教皇の後について、セキアは暗い足元を、小さな明かりで照らす。
試験飛行は皇宮の端にある、鐘楼の上で行うらしい。
鐘楼への渡り廊下を進んでいくうちに、人の声が聞こえてくる。
クラフだ。すぐに分かった。

「だから、ひも付きなんて嫌だ!」
クラフが怒っている。
「そういう約束だよ。なんだよ、セキアとは意味もなくひもでつながっていただろう?」
「アレとコレは違うぞ!どこの世界に飛行機をひも付きにする奴がいるんだよ!かえって危ないだろ」
もめているのは、カカナのようだ。

「もう、クラフ、いい加減にしないと試験飛行はとりやめよ!」
「クラフ、お前天才なんだから、ヒモぐらい平気だよ」
リスガも、ピーシもいる。
すっかり仲良しになったのだろう。セキアは目を細めた。


「ええい、セキア、わしを背負え!走るのじゃ!」
先ほどから、地上五階まである塔の階段を上り続けていたが、気が急くのだろう、ついに大教皇はセキアの力を借りることにしたらしい。
「はい、どうぞ」
苦笑いしながら、セキアは小柄な老人を背負った。
軽いわけではないが、走れないほどでもなかった。
ほんのり、香油と聖壇に供える蝋燭の苦い香りがする。クラフが、じじい臭いといっていたそれだろう。
少し段差の低い階段を、一つ跳びに駆け上がる。
「いそっげ、急ぐのじゃ!」
背から灯りを差しかけながら、大教皇は肩をたたく。
さすがに、三階分を一気に駆け上がると息が切れた。

明かりを灯された最上部。石をしかれたそこに、立派に出来上がったあの乗り物が立っていた。銀色の機体が月明かりにきらりと光っている。豆のように見えたそれも、翼がつけば飛びそうな様子を見せる。
「クーちゃん!」

機体の下で、ロープを結ぶ位置でもめていたのか、座り込んでいた四人が、大教皇の声に立ち上がった。
「じじ、…」
振り向いた少年は、立ち尽くした。
切らせていないのか、伸びた金色の髪が、夜風にゆらりとゆれ、相変わらず白い顔で、じっとセキアを見詰めた。
「セキア!」先に声をかけたのはカカナだった。
大教皇を降ろしているセキアに、カカナが駆け寄る。

「お久しぶりですカカナ様」
「本当に、辞めたのか?戻ってきてほしいよ。僕じゃ、とても勤まらない。そうだろう、クラフ」
クラフは黙って、セキアを見上げた。先ほどから足が貼り付いてしまったかのように、一歩も動かない。
「お久しぶりです、クラフさま」
セキアの言葉に、はじかれるように少年は背を向けた。

「やだ、また拗ねてる」
あきれたようなリスガ。
「ごめん、セキア、あいつ意地っ張りなんだ。本当は嬉しいんだよ」とピーシ。
「そうですか」
セキアは目を細めて、三人を見回し、それからクラフの作り上げた飛行機を見つめた。

「出来上がったんですね。すごく綺麗です」
その表情は、寂しげでもある。
睨みつけるように一度振り向いて、再び背を向けると、クラフは機体につけられた足場を上り始めた。

「一人では危険ですよ!二人乗りでしょう?どなたか、一緒に…」
思わず、セキアが声をかけた。
「僕は、嫌ですよ」
カカナが数歩下がった。リスガもカカナの後ろだ。ピーシは腕を組んだままだ。
大教皇はすでにクラフに手を振っている。
クラフは聞こえないふりをしているのか、すとんと、操縦席に乗り込んだ。
「!待ってください!」
思わず走りよって、セキアはよじ登る。
「!だめだぞ!」

怒鳴るクラフにお構い無しに、後部の座席に座った。小さな機体は、前後に座席がついていた。ふわりと、羊毛の感触が柔らかい。
「さ、行きましょう」
セキアの言葉を無視して、クラフは何か操作を始めた。
パタン、と頭の上の丸いガラスが閉じる。内側から留め金を止める。それをまねして、セキアも自分の両脇の留め金を止めた。
「知らないからな」
一言つぶやくと、クラフは腰の辺りのレバーをかたり、と動かす。
一瞬、ふわりと浮いた。
「うわ」思わずセキアが声を上げる。

すー、と音もなくそれは舞い上がった。
最初は垂直に浮いた。そのまま止まる。クラフの操縦棹の動きにあわせて、前進する。
何の音もしない。

「下見るなよ、セキア」
「はい?」

水平に進んでいたかと思うと、ぐんと機首を上げて上昇を始めた。
ある程度上がったところで、旋回。機体が右に傾くと、セキアの視界に月明かりに輝く町並みが見えた。足元にちらりと、たわむロープが見える。機体を、鐘楼の柱にくくりつけているのだ。高い。本当に飛んでいるのだ。
「うわ!」目が回る!
変な声を上げて、セキアは目の前の座席、クラフにしがみついた。
「ば、ばか!邪魔するなよ!高いとこ苦手なくせに、何で乗り込んだんだよ!バカ!」
反動で、機体が揺れる。
「うわわ、いえ、でもっ!」
「オレのことなんか、忘れてたんだろ!どうでもよかったんだろ!何で、乗ったんだよ!」
「空の羊」号はそのまま、ロープの範囲内で上空をぐるぐる回る。
スピードはあまりないのだが、セキアは必死だ。しがみつく手に力が入る。
「一人では危ないでしょう!ほっとけませんよ!」
セキアも怒鳴る。
「じゃあ何で、交代したんだよ!」
「…」
「ほら、答えられないじゃないか!オレのこと嫌いになったんだろ!」
「嫌ってなんかいませんよ!ただ、あなたは帰ろうとしているじゃないですか!いなくなってしまうじゃないですか!十年もそばにいて、ずっとお世話して差し上げたのに、私に何も言わず黙って、逃げ出そうとしていたんです!そんな、悲しいこと、耐えられません!」
ふと、機体が止まった。ふわりと浮いたまま、惰性で宙を漂う。

「…、これ、改良したんだ」
クラフが静かに言った。
「?」
「地上からまた、ここにこられるように、帰っても、また、みんなに会いに来られるように、改良したんだ」
「クラフさま…」

そういえば、最初から二人乗りだった。ただ、自分だけ逃げるつもりなら一人でいいのに……。
「オレ、一度帰って、それからまた、ここに来てもいいんだ!…オレ、皆のこと好きだ、セキアのこと、も」
少年の肩が、小さく震えるのが分かる。
「でも、それでも。自分を生んでくれた両親に会いたいんだ、確かめたいんだ。なんで、オレがここに来たのか。だから、お前がなんて言ったって、帰る…」

セキアが後ろから、髪をくしゃくしゃとなでた。細い目が穏やかに笑っている。今は、誰が見ても、笑っていると分かるだろう。
「そう簡単には、帰しませんよ。私だって、寂しいです。クラフさま?泣いているんですか?」
「…」
「相変わらず、甘えん坊ですね」
「うるさい!お前がそう、育てたんだ!」
「分かっていますよ。おそばにいさせてください。寂しい思いをさせてしまって、申し訳ありませんでした」
クラフは黙って頷くと、涙を拭った。

「さて、テスト、始めるぞ!」
「え?まだ何かやるんですか!?」
「うん、急降下、とか」
「きゅう、こうか?」
悲鳴が、夜空に響き渡った。

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 さて、次回から、第二章です。クラフ君の冒険はここから始まるのかもしれない。続きはこちら!(^^)
「宙の発明家」第一章 七.二人の賢老士
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theme : 自作連載小説
genre : 小説・文学

鯨さん!

うを~!!ありがとうございます!!
らんららもちょうど、なんとなくこの頃のを読み返していたところでした!
この頃…一回が異常に長いですね…。ちょっと反省です。ケータイで呼んでいたら途中で表示しきれないくらい長いのが…リンクも途中から変になってるし…がんばって修正しますね~!!

ここまで一気に読みました!
しかしまだまだ物語りは序盤。

また来ます。

涙の道化師さん

そんなことないと思うけど!
道化師さんとこのキャラクターはみんな、きちんと個性が書き分けられていて、すごいなっていつも思いますよ!
バッツが、ほら、無口だから。しょうがないです。アレが彼のいいところ。行動にアマリアへの愛情が出てますから(^▽^)そう言うのもとっても、尊敬してますよ!

名台詞。いいなぁ……。
俺のとこの主人公はホント無口だからほとんど何にも言わないし……。
今度何か言わせて見ようかな(笑)

桜さん

ありがとう!
ふふ、そうですね、一気読みのほうがいいかもしれない感じです(^^)
でも、まだまだ、連載は続きます♪
うーん、シンカくんを超えちゃいますか…どきどき。
作者としてはどちらもお気に入りなので…シンカくんは、もう、大人になっちゃってるし。結婚話も出てるし。(あと一章でシリーズ完結しちゃいます)
このさい、若いクラフで手を打ったほうが(って、何の話…^^;)
忙しいだろうけどまた来てね!
あ、でも、先に、バレンタイン企画期待してますよ!!!

前に一章読みました~とコメントしておいて、実は途中だったことに気づき……(あぅ)
今日こそホントに一章読了です!!
最新話に追いつくまであと少し!

クラフもセキアもカカナもみんな素敵ですねvv
私の中でクラフ&セキアコンビがシンカに怒涛の猛追撃をみせています(笑)

物語りも面白くてしかたがないので、ラストまで一気読みしたいー!!(笑)

chachaさん

ありがとう!
この二人の関係、不思議で、でも強い。そんな感じを表現したくて。
らんららも、セキアさんみたいな人がそばにいたらなぁと(^^)彼氏でもなく、家族でもなくて。
いいなぁと。憧れですね!

面白かった^^

良かったです、この二人の会話といい、表現といい。
じんわり涙が出ました。
あったかいものを感じました^^
素敵です。とってもほんわかなお話☆らんららさんってやっぱり凄いなぁって改めて思ったり!

クラフ、ちゃんと戻ってくるって言ってくれて
セキアさんもかなり感動したことでしょうね。
帰ってしまったまま二度と会えなくなるわけじゃない。
永遠のさよならじゃなく、また会おう!のさよならなら・・・大丈夫。

二人は本当の親子みたい^^
そして兄弟。
先生と生徒。(笑)
これからもずっと二人は仲良しでいて欲しいです☆
また来ますね!^^ポチッと押していきます~♪

楓さん

ふふ、ありがとうございます!
喜んでいただけると本当に嬉しいですよ!
すぐ忘れる、バカだから…って、らんららと同じです(笑)
よく、記憶中枢麻痺している気分がしますよ。
集中するときは脳みそがんばってくれるのだけど、ぼーっとし始めると、三秒前の話も覚えていないです。…ビョーキかしら(^^;)
なので、台詞は頭の中で考えるときもありますが、最近はパソコンに向かってふと浮かんだもので構成されています…って、行き当たりばったりってことですねーv-12

またしても名ぜりふ!!!

こんばんわ!!!ここまで来ました!!あともう少しで最新記事に追いつく?追い越す?!って追い越してどうするのよ(笑

「そう簡単には帰しませんよ」
いい。。。やっぱセキアさんいいです。
そしてまたしても名ぜりふです!!!
いったいこの物語にはいくつの名ぜりふが出てくるのでしょうか・・・ガンダムと張るかも・・・あ、お気を悪くなさらないで下さいね。僕の中でガンダムはホント名ぜりふの多い最優秀作品でして・・・(笑
らんららさんの小説を読んでいると、僕ももっともっとキャラのセリフに魂を注がねばといつも勉強させてもらいながら帰るんですが、いざ書くとなると忘れるんですよねぇ。なんででしょうか?←ばかだから。
いやほんと名作には必ず心に残る名セリフがあるわけで、僕の作品もとても名作ではない(どころのさわぎではない;笑)シロモノですが、心に残る名セリフをいつか書きたいです。
・・・
うん、ほんとらんららさんといい、あきららさんといい、セリフ巧いんですよね・・・ぼくもかえららとかに改名すれば・・・←こらこら。

お~( ̄∀ ̄*

どうしよう。アポロもどきどきだ。
らんららさんサービス最高☆
プレイボーイ新刊用意してまってるからね
(^w^ ウププ

アポロちゃん

コメありがとー!
クラフ君的に言えば。
「セキアもカカナも好きだけど、女の子と話すのがいいに決まってるだろ!オレ、アポロちゃんの隣に座る!」
って感じ。
おお、書いていて、どきどきしちゃった。

kazuさん

何度でも言って見せます!kazuさんのためなら!
すっかりコメ返し送れちゃって、ごめんなさい!
これからお話が、動き出します!
やっと…長かった(^^;)
セキアさまと二人きりでは、変われなかったクラフくん。今後どうなるか、見ていてやってください!

(T▽T)ノ わぁい

クラフくんセキアに会えた!
お話できた!感動だぁ(><)
そうだょ。帰っちゃうだけなら一人乗りでいいんだもんね~♪カカナやピーシとのコンビも好きだけど、やっぱりクラフとはセキアじゃなきゃ☆
ってそんなこといったらクラフくんに「そんなことないぞ」っていわれちゃうかなぁ。
(*^ω^*) ウフフ

きゅうん・・・
セキア様とクラフ君の心が通じた・・・。
クラフ君はただ帰ろうとしているんじゃなくて。
やっぱりみんなの事、好きで。
でも、自分がここにいる理由を、両親に確かめたい。
クラフ君、ほんと、いろんな事考えているんだなぁ。

「そう簡単には、返しませんよ。」
セキア様!!なんてお優しい言葉!
私も言われてみたい~←浮気者
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