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「宙の発明家」第二章 一.二人の賢老士④

<<らんららです!今日は朝からもちつきです!杵と臼で、ちゃんとやります。張り切りますよ!食べることに…>>

「リスガ、大丈夫?」
カカナは皇宮のエントランスに入ったところで、傍らのリスガの肩を抱いた。
離れからすぐ隣にある皇宮は、数段の大理石の階段を上り、シンプルな白い列柱を抜けた先にある。快晴の日差しは明るく照らしていたが、リスガの手は冷たいままだ。
聖騎士の守るエントランスの大扉を抜けたところで、リスガが足元の敷物に、一瞬足を取られた。
顔色も悪い。
「ううん、大丈夫よ、その、ちょっとびっくりして」
「そうだね、セキア、あんなに怖いとは思わなかった」
カカナがにこと笑って見せた。その手の暖かさに、リスガは少し落ち着く。
二人の前を歩くピーシが、一つ息を吐いたのだろう、肩の力を抜いた。
「さすが、というか。僕、セキアが聖守護士っていうの、すっかり忘れていたから、驚いたよ。考えてみれば、セキア一人で、重要な機密を守っていたんだ。誰にも知られてはいけない。そのこと、僕ら少し、甘く考えていたのかもしれないね」
ピーシは首の後ろに両手を組んで、皇宮の天井の装飾に視線を移す。
柱から続くアーチ部分に、聖騎士が伝説の怪物と戦うシーンが描かれている。
セキアを、思い浮かべた。
セキアは仕事として、クラフのそばにいる。守っているのでもあるし、監視しているのでもある。同時に、衆目から隠すことも彼の仕事だ。
誰かに知られてしまったらそれは、セキアの責任が問われる。
秘密を守るために、幾度か血を流すこともしたかも知れない。穏やかで、クラフにからかわれるとむきになったりして、大人気ない面白い人だと思っていたピーシは、その裏にある男の顔に少なからず衝撃を受けていた。そして、今更ながら重圧を感じた。ピーシも同じ秘密を共有している一人だ。
飛行機のこと、クラフの発明品のこと。それを、誰かに話したことはないけれど、ピーシが疑われることも当然なのかもしれない。もし、ピーシが誰かにクラフのことを話していれば、何かしらの処分が下されてもおかしくないと言うことだ。
ピーシは、ごくりと唾を飲み込んだ。
自分は誰にも、父親にも話していない。だとしたら。
ちらりと背後を見る。カカナはリスガに笑いかけている。カカナの冗談で、リスガも少しだけ笑顔が戻っていた。


リスガの気分が優れないというので、一旦休ませることになった。その後、昼食をかねて皆で話し合う。セキアも昼食には戻ってくるかもしれない。
それまで、カカナとピーシは客室を与えられて、二人で同じベッドに何となく寝転んでいた。どちらがどの場所を使うなど決めるような気分ではない。二人とも無言だ。広い室内。高い天井。白い、石膏で塗られた壁には、美しい色合いの宗教画が描かれている。
二つの天蓋つきのベッドが窓を挟んで並べられている。
ここに案内された時まで、ニコニコしていたカカナは、リスガが自室に戻ると表情を一変させた。ちらりと、ピーシを見つめて、だまったまま今、寝転んでいる。
ピーシも、言いたいことを飲み込んで、仰向けのまま伸びをする。

どれくらい、沈黙が続いたのか、ピーシが口を開いた。
「な、カカナ」
「なんだい?」
二人とも上を見つめたままだ。
「話、したのか?」
「……」
「クラフが飛行機を造っていることとか、ハナビのこととか、さ」
「…ああ」
ピーシは、黙った。
「クラフの味方だった父上が、どうして、クラフを閉じ込めることになるような話を、賢老士会に持ち込んだのか、僕は、分からなくて」
カカナは、組んだ手で目を覆った。ため息を一つついて、続けた。
「父上は、僕にクラフの知っている新しい知識や、この世界についての大切なことを学んでほしいって、おっしゃったんだ。もっと自由に研究できるように、クラフを自分の街に住まわせる事だって考えていた。ほら、父上がクラフに会いに来た時、あの態度は演技だったんだ。あの時のクラフは、拗ねて手に負えなかったから、父上自らが怖い存在になって、クラフに僕らを頼らざるを得ない状況を作ろうとしたんだ。
僕も、後から知らされたんだけど。
だから、父上もクラフを大切にしたいのだと思っていた。飛行機のことは先週末、会議でこちらに来ていた父上に会って、話した。すごく驚いて、喜んでいたんだ。すごいなって、言って。まさか、それが、こんなことになるなんて」
ピーシは左隣のカカナを見つめた。
手で目を覆ったままのカカナ、表情は分からない。
それでも、想像はついた。
「ごめん、君を責めたいわけじゃないんだ。僕も君の立場ならそうしていた。僕はたまたま、父上は考えが逆だから。自分が手伝っていることは伏せているからね。僕は、父上に君のこと見張るように言われていて」
「え?」
今度はカカナがピーシのほうに振り向く。
ピーシもまた天井を睨んだままだったが、カカナと向き合った。
「ごめん、でも、大丈夫だよ。僕も研究が楽しくなっていたから、いつも、父様には適当にごまかしていたんだ。飛行機のことも、この間君の父上が訪問したことも、伏せてある。ただ、今回のことで僕が、父様を欺いていたこと、ばれちゃったけどね」
カカナは同情の視線を向ける。
ピーシの父親、セクトール候は厳格な人だ。宗教の解釈にしても、とても厳しい戒律を求めていて、今の大教皇様では物足りない様子だ。そういう意味で、今の司教会と、もっとも距離を置いている。逆に、宗教的な縛りを嫌うカカナの父親は、かえって大教皇と仲がよかった。大教皇は、つねに、神の教えは人を幸せにするためのものである、と説く。
セクトール候は、神の教えはこの世界を守るものであり、世界の規律を乱すことは教えに反する、とも言う。
どちらも正しくて、簡単には答えの出ない問題だった。
「なんだか、似ているね、僕ら」
「ああ、父親に、振り回されている。もう、慣れているけどね」
二人同時に、ため息をついて、目が合って少し笑う。
そろそろ、自分の意見をはっきり言う時なのかもしれなかった。十七歳。
それは、この世界では大人に最も近い年齢だから。
「僕は、父上に本当のこと確かめるよ」カカナが言った。
「僕は、父様に本当のこと、話す」ピーシは、表情を引き締めて、続けた。
「どちらにしろ、クラフはなにも、悪くないんだ」
「そうだね。僕らに出来ることは、クラフが無事に戻ってくることを祈ることと、戻ってきたときに今までどおり研究が出来るように、お父様たちに話をつけておくことだ」
「ああ、飛行機がどれだけ意味のあるものか、クラフの発明が、どれほどこの世界に役立つかを説明すればいいんだ。理解してもらえば」
二人同時に、体を起こした。


<<ピーシ君、いいと思いません?!いい子だなって思った方ポチをお一つ!あなたの応援が続きを書く勇気になります!>>

 続きはこちら!(^^)
「宙の発明家」第二章二.父親①
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chchaさん

ありがとー(^0^)
サブタイトルにある、父親。二人の少年がどう父親とかかわっていくか、見ていてあげてくださいね!
…セキアさん、怖かった?v-405

はぁぁ^^

カカナとピーシの男同士の約束。
決意。
かっこいいです^^
ジーンときちゃった☆
セキアの怖い一面も見てしまって、リスガと一緒にビクビクしながら様子を見守ったり・・・
クラフは一体どこにいるんでしょう><
無事でいますよね!?動けない怪我とかしてないですよね??
心配です・・・;;

親に振り回される時期は、まだ自分で行動出来ていない証拠ですよね。
強い意志を持って行動すれば、親も一人の人間・・・心を動かすことは出来るはずですもの^^
カカナとピーシの大人になる瞬間、楽しみにしています☆
そして、クラフが無事救出されることを祈ってます><

ユミさん(^v^)

コメが返しすっかり遅くなってごめんなさい!
お正月は二日から十八時間耐久新年会を催して、今朝三時にやっと終わったので…
読みに逃げも歓迎です…ちょっと寂しいけど(笑 ^^;)
でもいいんです!らんらら、ユミさんとこで朝子を応援するたびに、力と勇気をいただいていますよ!がんばらねば!!やらねばやられる!!がんばれ朝子、がんばれ自分!!って感じでね。
今年こそ、朝子の起死回生の一発を期待していますよ!!

ホーリ先生

一月二日の十八時間耐久新年会を制して、今朝さわやかに帰還のらんららです!!v-392
お忙しい中ありがとうございます!
今年も、どきどきのお話、がんばります!!
先生の小説もすごーーーく、そうか!!こういうことか!でもどうなっちゃうのぅ!?とドキドキしっぱなしですよ!!
また遊びに行きますよ!
今年もよろしくお願いします!!



風花さん

あけおめです(*^o^*)コメ返し遅れてごめんなさい。
ピーシくんがんばります!対決、しますよ(>_<)

遅れましたが…

明けましておめでとうございます♪
いつも読み逃げごめんなさい~v-35
丁寧な描写に、想像が膨らみます。
「どちらも正しくて…」分かります。理解し合うこと、相手を
認めること、難しいけど、必要なこと。
大人と大人に近付いている彼らに大変なことが起きなければ
いいんだけど!!
クラフくんの無事を祈ってますv-218

らんららさんの小説は、夢や希望がある作品ですよね。
ドキドキしながらも、どこか心が安らぎます♪
今年もステキな作品を書き続けてください!!
また読みにきまーす。

らんららさんにとって、Happyな1年になりますように・・・v-238

慶賀新年

ご無沙汰しておりました。
改めまして「明けましておめでとう御座います。」
らんららさんにおかれましては、より一層の素晴らしい年と成りますように心よりご祈念申し上げます。

何だか予想外の展開にドキドキしっ放しで読ませて頂きました。
クラフ君、どうなっちやっちんでしょうか?
とっても心配です。
続きがとても待ち遠しいです。
セキア、そしてピーシとカカナの心模様・・・
どうなるんでしょうか?ドキドキハラハラで更新をお待ちしてます。

ピーシ君、いい奴!花も賛同!
親に振り回されるのって、ツライよね。難しい立場…。
頭カチカチの大人は、何だかちゃんと話しても取り合ってくれなさそうな気がして悲しいけど…頑張って!
今年は大変お世話になりました。ズボラでバカな花ですが、来年も宜しくお願いします!

あ~(>_<)

アポロちゃん、ありがと!確認する暇も昨日のコメント返すのも、時間なくて…
教えてくれたのに、携帯からは、長すぎて修正できないんだぁ(>_<)
ごめん~
夜、コメ返しと修正します!

(゜□゜; アウー

文字化けで肝心ななところが・・・。
最初なにかの暗号かとおもってしまった。
さてさてピーシ君いい奴だ!
んでもって言うときは言うのね!
カカナにキッパリと話したのかっていったの
「すげー!!(>∀<)」って感動した。
結局二人ともクラフのこと思って行動してる。
仲間っていいなぁ。
Secret

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