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「宙の発明家」第二章 二.父親②

★★★らんららです。久しぶりにゲームを始めました!ふふ♪いえ、のめりこんでいて更新遅れたわけじゃないです、決して、けっして…(><)
一日おきくらいにちょこまか更新しますね!小説の更新のないときに、たまには日記らしきものとかも、やってみようかなぁ…★★★



しばらくブール候が消えた扉を見つめていたが、クラフはそっと扉に近づいてみる。
大きな木の扉。開こうとしたけれど、取っ手はびくとも動かなかった。
空にしたカップの底を扉に、反対側に耳を当てて、音を聞く。人の気配はない。
クラフは室内を見回し、ベッドの棚にある時計を手に取る。毛布をかぶって、見えないようにしながら、分解する。長針をはずすと、残った部品を隠し、再び扉に近づく。
扉の隙間からは留め金は見えない。取っ手の根元にある、金属の小さなネジを、器用に外した。取っ手が根元から取れる。その下にある、鍵の部分を分解し始めた。
時計の長針を口に軽くくわえながら、いつもの作業のように淡々とこなす。
カチ、と扉を固定していた金属の棒を外した。
そっと開く。
隙間からのぞいてみたが、あまりよく見えない。
思い切って外に出た。
そこは、二階の部屋のようで、部屋の前に廊下、廊下の向こうは吹き抜けになっていて、木で作られたきれいなフェンスの下をのぞくと、一階の居間が見える。派手な模様の絨毯、大きなソファー、ラウンド型のテーブル。居間の扉の脇から、階段があって、ここに上れるようになっている。そのまま視線を、階段から自分の閉じ込められていた部屋、そして廊下の奥へと移していく。クラフのいた部屋の隣に同じような扉。廊下の突き当りにも、これは少し大きめの両開きの扉がついている。主寝室、といったところだろう。とりあえず、そこからのぞいてみる。

鍵がかかっていた。隣の部屋も。
仕方なく、そっと下の階に降りてみる。ふかふかした絨毯のおかげで足音が響かない。ちょうどいい。
はだしの足に、気持ちいい。
階段を途中まで下りたところで、人の気配を感じて、座り込んだ。
居間の奥から、ブール候が出てきた。出かけるようで、黒いコートを着て、帽子をかぶっていた。
クラフは小さく縮こまって、男の後姿を階段の上から見つめる。
男は振り向きもせずに、居間から出て、少しして、外へ出たのだろう、扉のしまる音がした。
クラフはじっとしていた。
息を潜めて。
室内はどの窓も、厚いカーテンが閉められていて、薄暗い。他に人はいないようだ。
探検を続けた。
居間を見回して、隣のキッチンを見る。さっき、クラフが食べた、食器が、そのまま捨てられていた。世話をする人を呼んでいないのだろう。外から運んできたらしい。キッチンの炊事場は使われた様子がなかった。
「そういえば、デザートなかったじゃないか」ぶつぶつと、文句を言う。
ここには、普段人は住んでいないんだ、クラフはそう判断した。
でも、カカナの子供部屋。肖像画。
昔住んでいた家、ということかな。確かに、この街を代表する政治家の家にしてはさほど大きくも贅沢でもない。
キッチンから、隣の洗面所。鏡を見たら、殴られた傷が頬に赤く残っている。
顔を洗って、くしゃくしゃの髪を整える。
洗面所の、小さな窓。
緋色のカーテンの向こう、クラフはそっと外を見てみようとした。
カーテンの隙間から漏れる陽光に、目を細める。
慣れれば、見える、かな。
目を閉じたまま、そっとカーテンを開く。まぶたの向こうが真っ赤になって、それだけでもじりじりと痛い気がする。しばらく、我慢して、そっと目を開けてみる。
「うわ」
目を押さえた。
白い。
慌ててカーテンを閉じ、座り込んだ。
暗がりでもしばらく目が見えない。
真っ白。
そのうち、だんだんうっすら見えるようになる。
意味もなく、息が荒くなる。鼓動が、とくとくと耳を打つ。
見えない。
ランドエンドに旅したときも、まだ明けきらない朝日をまぶしく感じた。
あの時も嫌な気分になった。




皇宮での昼食会には、大教皇も、セキアも同席していた。
客用のさほど広くない一室で、五人はテーブルを囲んだ。
皆、話したいことはたくさんあるのだろうが、セキアの放つ威圧感が、無口にさせる。
「くーちゃんが心配よのう」大教皇が、白身魚のベリーソース焼きをつつきながら、つぶやいた。カカナとピーシはくーちゃんという聞きなれない呼び名に一瞬誰のことか分からず、そちらを見つめた。
「くーちゃんが自分から逃げ出したのか、何者かに誘拐されたのか、今だ確証はなくての」
大教皇が、ひげについたソースをナプキンで拭き、話はセキアが引き継いだ。

「クラフさまが行方不明でも、公に捜索するわけにはいかないのです。それはお分かりですね」
皆が頷いた。

「賢老士会がクラフさまの身柄の拘束を決め、その処置の途中でクラフさまが行方不明になった。責任は賢老士会そして、処置を任されていた那迦の街にあると、彼らも認めています。ただ、先日臨時の会合が終わったばかりで賢老士たちはそれぞれの街に戻ったところですし、昨夜の出来事を至急知らせるにしても、七人の賢老士を再び集めるとすれば明後日以降になる。そこで、一番動きの取れるこの那迦の街の賢老士、つまりピーシ様のお父上が、捜索のために守護士を数人派遣されるようです。その旨、各賢老士には事後承諾となるでしょう。セクトール候も場合によっては、黒馬も辞さない覚悟のようです」
「くろうま…って、なあに?」
リスガが、首をかしげた。
セキアがふと笑う。カカナが、隣でリスガの肩に手を置いて話し出した。
「リスガ、『黒馬』っていうのはね、夜、公の活動することを言うんだ。宗教で禁じられているから、普通は皆昼間しか動かないだろう?それを侵してまで行動しなければならない公の事由が発生したときにのみ、許可される。賢老士と大教皇様の命によってね。内容や誰という特定なものがいるわけじゃない。禁じられた夜の間に行動することを、『黒馬』と、呼んでいるんだ。
これは、賢老士会、司教会、ともに位の高いものは知っているんだ」
「ふうん」自分だけが知らなかったことに気づいて、リスガは少し口を尖らせる。
「ということで、司教会は聖騎士を派遣することは出来ない状態にあります」
セキアの言葉の最後は、怒りがこぼれかけている。まったく手をつけていない昼食は冷め切っている。

「もし、無事にもどっても、また、監禁かのう」
大教皇は憂鬱な表情で、デザートの果物に手を伸ばそうとする。少し遠くて届かない。セキアが無言のまま、果物の皿を近くに動かす。
「ふむ」
満足そうに葡萄を一房取ると、大教皇はひげをなでた。
葡萄の紫が白いひげに残る。
「大教皇様…」
セキアが布巾を差し出す。
「飛行機、面白いのにのう。何も危険などないのに」
大教皇はぶつぶつと、独り言にしては大き目の声で話す。
「あの、お父様」
リスガが口を開いた。
「あの、私が話したんです」
亜麻色の巻き毛が、今は華奢な肩に柔らかに落ち、漆黒のベルベットの上着に施された刺繍をすかしてきらりと光る。流れるような美しい髪はそのまま、柔らかな丸みの胸の曲線に沿って、揺れる。
どうしてもそこに視線が行くのは、この席にいる全員が男である限り、仕方ないことだろう。
カカナだけは、リスガの顔色を気にしていた。
「私、大聖堂で、ブール候に会って、その。お話したんです、だって、お父様も候とは仲良しだったし、カカナのお父さんでもあるし、だから、クラフは今何を作っているのって聞かれて…飛行機のこと、話したの。私なの」

リスガの顔色が優れなかった理由を、カカナは理解した。
「リスガ、いいんだ。君にそんな風にかばってもらっては、黙っているわけには行かないね」ふと息をついて、カカナは微笑んだ。
「カカナ!」
リスガは自分の犯した失敗に気づき、口を手でふさいだ。すでに、遅かったのだが。


<<クラフがんばれ!考えてみれば、宙に来てはじめて、一人っきりになったのかも…(@@)>>

 続きはこちら!(^^)
「宙の発明家」第二章 二.父親③
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楓さん

いい読みです!
きゃー!!ドキドキですよ。
この宙の世界での事件は、あんまり、自信ないんだなぁ。
推理小説とか、絶対かけない自身ありますから。納得していただけるかどうかv-405
でも、がんばりますよ!

「水凪ぎの国」読んでみてください。らんらら的には、こっちのほうがすんなりと書けました!

そんな予感はしてました。。。

やっぱしブール候でしたね。
ふふ・・・あの時の演技はクラフをカカナになびかせるためではなく、本当は自分の息子カカナからの信頼を自分が勝ち取るためのものだったと言うところでしょうか?それとも、実はさらにその裏があるのでしょうか?
この後の展開が気になります。
ただ、ここまで読み進めた段階では、やはりブール候はクラフの技術力を悪用し軍用兵器を開発しようとしているようにしか見えないのですが・・・もしそうだとすると、父が子を裏切る・・・カカナにとって辛い選択がこの先待っていそうな予感がします。
さて!
これで最新記事にひとまず追いついたのでしょうか♪
時間があれば「水凪ぎの国」も読んでみたいです☆

ホーリ先生

ダブルコメありがとうございます!!
何ゆえ…。
本当に、相手がブール候でなければ、クラフ君もカカナ君も気楽なんだけど(^^)
この先どうなるのか、見ていてやってください!

何ゆえにブール候に?の真相が解けそうですね。
クラフ君の大どんでん返しが楽しみです。
やる時ゃ、やるぞ!クラフ君。ってね。

さて、どんな活躍が待っているのやら・・・。楽しみ!

kazuさん

いえ、kazuさんは悪くないと思いますよ!!
らんららは数ヶ月先まで予約用の記事作っていて、自動更新だったりします。
そうすると、時間がなくて、記事の更新はされても、その分のインデックスが更新できなかったりするんです。
多分、そのために、分かりにくくなったのだと思いますよ(><)らんららの責任です!
小説の更新と、インデックスの更新がぴったりそろわないといけないのに。ごめんなさい!!
今後気をつけますね!
あのシーン。二人の大切なシーンなので、後からでも読んでいただけて本当に嬉しいです!


らんららさん・・・、すみません・・・。
おいら、らんららさんに謝りに・・・。

一話、読み落としていたようです・・・・。
らんららさんからのコメ返読んで、ん?ピーシ君?ん??と思って今読み返しにいってきました。
そしたら!!ちょうど、ピーシ君とカカナ君が話している一話を、読んでいなかったようで・・・・。
すみません!変なコメントしちゃいました!!
許してください~v-435
今後気をつけます!!

kazuさん

そうなんです!
ピーシくんに話したとおり、深い意味もなく、話したんです。
カカナ君の性格や行動、これからじわじわ分かってきます。

クラフ君、がんばりますよ。
子供っぽいのはセキアの前だけだよねって言った、ピーシ君の言葉。ピーシ君の読みを証明していきます(^^)

カカナ君だったのですか!ブール候に話したの・・・。
何で話したのか、とても気になります。
軽い感じで・・・?それとも、ブール候のために・・?
リスガさんはそれを知っていて・・・。
いじらしいっす!リスガさん!!

セキア様の、悔しさが、怒りが、なんだか伝わってくるようです・・・。

クラフくん、やっぱり凄いですね!
時計の長針で扉、開けちゃうなんて!
誘拐されても落ち着いて行動している、初めて一人でいるのに、凄い。
でも、昼間の日の光を見ることができない。
逃げ出せるのかな、クラフ君!!
Secret

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