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「宙の発明家」第二章 二.父親③

カカナは、持っていたナイフとフォークを静かに置き、ナプキンで口元を軽く拭くと、一つ息を吐いてから、言った。
その場の、全員を見回して。

「僕が、父上にクラフの飛行機のことを話しました。
すみません、父上は、大教皇様とも話し合って、僕たちにクラフの新しい発明や知識を学ぶよう計らってくださっていて。だから、僕は、父上がまさか、クラフを賢老士会に諮るようなことをなさるとは想像できなくて。
僕の落ち度です。セキア、すまなかった。大教皇様。すみませんでした」
立ち上がって、深々と頭を下げるカカナ。
ピーシが立ち上がって、肩に手を置いた。
「カカナ、君は悪くないよ!」

大教皇は目を細めて、穏やかに笑うと手をパンと一つたたいた。
「よいかの。カカナ、ピーシ」
二人は姿勢をただし、大教皇を見つめた。
「カカナの言う、ブール候の気持ちはわしも知っておった。この世界のこと、クラフはわれらの知らぬことを知っている。この世界を背負う若者が、知っているべきだろうと考えたのも事実じゃ」



小さな目をぱちぱちとして、大教皇はあごのひげを優しくなでた。クラフの前で、「くーちゃん」と彼を呼ぶ大教皇とは別人だ。

「だが、カカナ。わしはブール候と、お前たちに学ばせる、という話をしたことはない。わしがお前たちにくーちゃんの世話を頼んだのは、くーちゃんがお前たちを気に入っているからじゃ。友達として、必要だと考えたのじゃ」
カカナは目を丸くした。
「では、あの、セキアのいないときに、父上がクラフに会いに来たのは、ご存知ない?」
「いつのことじゃ、クラフに面会していいのはわしが許可したものだけじゃ。賢老士のうち一人だけ会わせるなど、出来るはずもないが」
カカナの顔色が、変わった。
そのとき、だった。
セキアの首に下げたデンワが、鳴った。

「!クラフさま!」
「え?クラフ?」
皆がセキアを見つめる。
『セキア?』
セキアは思わず目をつぶった。ほんの数時間、行方不明なだけなのに、皆の不安と安堵と、切なさがセキアを見つめる視線に入り混じる。

「ご無事ですか?今どちらにおいでなのです?」
セキアの問いに、少し間をあけて、クラフが答えた。
『やっと目が覚めたのか、お前。ずっと寝ているんだから!役立たず!』
「クラフさま!?」
『……とりあえず、生きているって、教えておこうと思ってさ』
「こんな時にふざけないで下さい!それより、場所はどちらですか?お怪我は?皆心配しております!」
クラフのいつもの口調に、セキアも平常を取り戻した。
一旦止まっていた時間が、一気に加速する感覚を覚えながら、ピーシは嬉しそうなセキアを楽しむ。カカナ、リスガ、そして、目を細める大教皇も同じ気持ちなのだろう。

『オレがここの場所なんか知るわけないだろ!離れしか知らないんだ。三人組に捕まって、その後は覚えていない』
「危険ではないのですか?窓はありますか?どんな部屋ですか?窓から見える景色でも結構です、おっしゃってくださればお迎えにあがります」
また、少し間があった。セキアはピンクのリボンがクシャとつぶれるのも気づかず、デンワを強く握り締めている。
『…バカ、景色なんか言ったって、分からないだろ…あのさ、カカナ、いる?』
「!え、ええ」
『代われよ』
今度はセキアがしばし固まる。視線を受けてカカナがびくりとする。
「……カカナ様、クラフさまがお話したいと」
「僕に?」
カカナがデンワを手に取った。

「クラフ、大丈夫なのかい?」
『多分ね。あの、カカナ。カカナが子供のころ、住んでいた家っての、ある?』
「え?ああ、迩史の街の郊外に…?なんで?」
『子供の頃の部屋って、レンガの床と天蓋のついたベッドと、犬の形の毛皮の敷物、壁に家族の肖像画?』
「何で知っているんだ?」
『オレ今、多分そこにいる。カカナ、カカナのお父さん、何を考えているんだ?飛行機たくさん造れって、オレを脅すんだ』
「そんな!」
『とにかく、さ。カカナ、オレは当分、危害を加えられることないと思うから、のんびり助けを待つよ。セキアや他の人に話すかどうかは、カカナに任せる。オレは決められない』
「…クラフ。お前…」
『オレは大丈夫だから、怪我も手当てしてくれたし。食事ももらった。だから、オレはとりあえず大人しくしているからさ』
カカナは唇をかみ締めた。
「分かった。また連絡するよ」
『だめだよ、デンワの存在を知られたらまずいから、オレからかけるまで、そっちからはかけちゃダメだ。セキアに、オレ元気だからって、心配するなって伝えて。じゃあ、また』

「何の、お話でしたか?」
セキアの低い声に、カカナは一瞬視線をそらして、数回瞬きすると、皆を見回した。
ピーシがちょうど、デンワに気を取られている間にこぼれかけた、パイのクリームをなめたところだった。
「クラフは、怪我は手当てしてもらって、大丈夫だって。こっちからはデンワするなって」
「それだけですか?」
セキアの細い目が、無言の圧力を加えている。
リスガも、大教皇もじっと立ったままの少年を見上げる。
「カカナ、座りなよ、セキアも」
そう言ったのはピーシだった。


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 続きはこちら!(^^)
「宙の発明家」第二章 二.父親④
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似てますか♪

こんばんわ!☆
似てますか~嬉しいです♪
あ、ご心配なく。
いくら何でもこの先の展開を読み切ることなんてできないっす!!おそれおおいっす!!ただ、僕がカカナだったらこう思うだろうなとか、クラフだったら・・・って考えるのが楽しいんですよね!!
だから、絶対そんな冷たい感想はあり得ないですよ~。もし万が一僕なら・・・ってのと同じ方向にお話が進むなら、僕ってばすげぇ!!って自画自賛するでしょうし、そうでなければないで、そう来たかぁ!!って(笑
騒がしいやつですがご容赦下さい。。。
で、今時点で「ばればれ~」って考えておられると言うことは、やっぱし感性が似てるのかも。すごい嬉しい!

楓さん

楓さん、やっぱりらんららと似ている…。
やばいですよ、ばればれです!
きっと、「ああ、そうだよな、そうだよ。こうなるよな」って、思うんだろうなぁ…。
どきどき。楓さんってば読みもいいし、勘もいいので、驚かせることは出来ない気がする。
でも。代わりに、ちゃんと、カカナ君たちのこと見ていてくれて。嬉しいです!
カカナ君の選ぶ方向。
でも、その思惑通り進むかは…。
ふふ。また、感想聞かせてください!

ホーリ先生

コメントありがとうございます!
なんていうか、重苦しい展開ですね…作者ながら、それぞれの心情を思うと、どうしたらいいんだ、なんて、かなり苦労しました。
これから、それぞれの思惑で動き始めますよ!
見ていてください!
ああー!気合はいりましたよ!!

あ、最新記事こっちでした(汗

いやはや、先ほどコメつけたそばから最新記事がこちらにまだあったときがつきました・・・
して、
カカナ、早々と父ブール候の仕業だと分かってしまいましたね。父が子を騙す・・・いくら国のためとは言え、それはやはり許されることではないと思います。
まさか、
まさか国のためでもなく私利私欲のためではありますまいな!←あんた誰よ(笑 ・・いや、僕が作者だったらそこまで考えかねないから怖いです;滝汗
それとクラフ君・・・
クラフがブール候に囚われ、兵器の量産をと脅されている事実や今の自分の居場所をカカナにだけ教え、それをみんなに言うか言わないかはカカナに任せるだなんて・・・なんてカカナ想いのいいヤツなんだぁ!
・・・だんだん大人になってきたんですね。
てか、いつだったかピーシが言ったように、クラフが甘えているのはセキアの前でだけで、この行動力と機転の利かせ方こそが本物の彼だったということでしょうか?
カカナはどうするのでしょう?
一人で解決しようとするのか、皆に父の愚かな行為を語り、協力し合おうとするのか。いずれにせよ、やはり彼には辛い決断を強いられることに・・・

クラフ君!頑張れよぅ!

ぐ~る~じ~い~。。。
何だか、妙にドキドキして・・・、胸が詰まって・・・
兎に角、息苦しさを感じながら興奮して読ませて頂きました。
いいですね。とってもいいですね。ハラハラ・ワクワクしますわ、年甲斐も無く。。。(笑)

それから、どうなるん?
気になって仕方ないですわ!

コメントありがとう!!

kazuさん
カカナくんの気持ち、分かってくれてありがとーv-409
実は、この中で一番表情を出さない子なんですよ!たくさん考えていて感じていても、表面に出す前にきっと、どこかでセーブしてしまっていて。
見ていてあげてください(><)
クラフ君も、この場で話をそらすピーシ君も。二人ともカカナ君のこと気遣ってくれてます。そんな思いを、お父さんたちは分かってくれるんでしょうか…

アポロちゃん
微妙な表現を察してくれてアリがトー(^^)
セキアさんにとって、何より一番だもんね!クラフが…ああ、らんららも、そんな風に守ってくれる人がほしいなぁ!
あ、でもちょっと、うっとうしいか…(おい^^;)

ユミさん
うわい!ユミさんからのコメント、嬉しいです!!
クラフ君、いいでしょ?いいでしょ?v-345
子供にもつなら、こういう子…なんていいながら、これからちょっと、苛めちゃうかも…許してねー(^^)

クラフくんの無事良かった~~。
わたしもちょっとクラフくんにv-238してるので、
皆と同じく、不安と安堵が入り混じってます!!
カカナくんは、この先どう動くんだろう・・・。
また読みに来ます!!

(○▽○) オー

なんだかすごいことになってきたゾ。
クラフ君とお話できてセキアの安堵した感じとってもあったかい。
うふふ。カカナと電話かわってっていわれたセキアの気持ちは複雑だろうなぁ。
今後はカカナ君にかかっているのね!!
彼はどうするんだろう・・・。
ドキドキ。

カカナ君・・・。
ブール候に・・・、少しだけ騙されていた・・・のかな。
寂しいよね・・・。
大教皇様が、ブール候がクラフ君の所に来たことを知らなかった・・・。
そのことを知ったときのカカナ君の心情、とても辛いですね。
クラフ君から連絡があってよかった!
カカナ君を気遣うクラフ君、ピーシ君が言ったとおり、セキア様以外の場所では子供じゃないんですね・・v-10

続き、楽しみにしています♪
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