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「宙の発明家」第二章 二.父親④

★★★らんららです!最近食べすぎです。年末の大掃除に、邪魔だと言って体重計をしまいこんだのが、いけませんね…でも、今更、出すのも怖い…(><;)
さて。カカナくんの決断はいかに?★★★


「僕ら、考えたんです」
ピーシが、コーヒーを苦そうに飲み下すと話し出した。
「クラフの誘拐のことは、僕らではどうしようもないけど、クラフが戻ってきた時に前みたいにいられるようにしようって。そのために、僕、お父様と話して、賢老士会の決めた監禁を解いてもらえるように頼んでみます。カカナも、同じように、話してみてくれるって言うので」

デンワで、クラフと何を話したかは分からない。けれど、必要なことであればカカナが明かす。ピーシは、それまでは、様子を見ることにした。



「賢明じゃが、ピーシ、君のお父上は、なかなか頑固じゃぞ」
大教皇がひげをなでながら微笑んだ。
「はい。ですが、僕も同じくらい頑固のつもりです」
「ほっほ、よいなぁ、若いのは」
「お父様」
リスガが少し顔をしかめた。
そんなことに感心している場合ではないと、言いたいのか。

「カカナ、君は、セキアとともに行くといいのう」
「え?」
カカナは、穏やかに笑いながら好物の胡桃を割る大教皇を見つめた。
「はい。私もそのつもりでした」
セキアがデザートにも手をつけずに、さめたコーヒーに形ばかり口をつけた。

「ええと、僕より、ピーシのほうが大変じゃないかと思います、が」
カカナが、胸元のナプキンを取って、少しくしゃくしゃと丸めながら、珍しく自信なさげな表情で大教皇を見つめた。
セキアは、笑っているのか怒っているのか分からない表情で、少年を見つめ返した。
「カカナさま、私ではご不満ですか?」
「!セキア、そういうわけじゃない。自分の父親に会うだけなんだよ。話をするのに、同伴者は必要ないよ。ピーシよりはぜんぜん平気だと思っているんだ。ピーシのほうが、きっと大変だよ」
それでも、セキアは首を横に振った。
「いえ、カカナ様、私はブール候にお話しなくてはなりませんので」
「!…もしかして、その、父上を疑っているのか?」

聞いていたピーシが、フォークにさした洋ナシをポトリとテーブルに落とした。
「セキアさんひどいわ、飛行機のことを議題にあげたのが、ブール候だとしても、クラフの誘拐とは話が違うわ!」
リスガが、立ち上がった。
「落ち着いてください、リスガ様、なにも、疑っているわけではありません。ただ、昨夜死んだのは迩史の街の警備兵です。この場所で死んだ以上、我らが迩史の街に赴いて、ブール候に直接その経緯を説明しなくてはなりません。ただ、それだけのことです」

カカナは、視線をテーブルに戻し、黙り込んだ。
「そうですね、確かに。分かりました。一緒に行きましょう」
顔を上げたカカナの表情は、厳しく、そして、凛としていた。

「では、お二人に、これを。クラフさまがお渡しする予定だったデンワです。ここを開いて、中のボタンの文字が相手の頭文字です。押すことで呼び出せます。呼び出されたときはここを押してから話すことが出来ます」
セキアが、銀色の豆の形のデンワを二人に一つずつ渡した。
「相互に連絡できますので、何かありましたら連絡してください」
二人は手のひらに半分くらい納まる、柔らかな丸みのデンワを、じっと見つめた。


セキアとカカナは、リスガの見送りを受けながら、食後すぐに出発した。
那迦の街の南西に位置する大聖堂から、迩史の街までは、そう遠くない。それでも、深夜動くのとは違い、人やラマ、馬車でごった返す町の通りは、簡単には進めない。
特に、馬に慣れないカカナは、どうしてもセキアより遅れ気味になる。
「セキア、すまない、少しゆっくり進んでくれ」
ちらりと振り向いて、セキアは一旦馬をとめた。
「すみません、カカナ様」
二頭を並んで歩かせながら、セキアは少し表情を緩めた。

「少し、気が急いていまして」
「…やっぱり、父上を、疑っているんだね」
カカナはため息を一つついて視線を落とした。
「カカナ様」
「そうだろ?今は一刻も早く、クラフの居場所を見つけたいはずなのに、死んだ兵のことを父上に話しに行くだなんて、おかしいよ。隠さなくてもいいよ」

セキアの視線が、ふと厳しいものになる。
「カカナ様。簡単な理由なのです。賢老士会での、クラフさまの議題は、ブール候が提案したわけではありません。ピーシ様のお父上、セクトール候なのです」
セキアの静かな言葉に、カカナは市場の喧騒を忘れた。
「?どういうこと?」
「おかしいでしょう?ピーシ様が話していない。そして、あなたが話したのはブール候。だとすれば、何がしかの理由で、ブール候、あなたのお父上がセクトール候の耳に入るように、仕組んだとしか考えられない。あの二人は仲が悪い。直接話したはずはありません」

カカナは、唇をかんだ。
「申し訳ありません、先ほどの、死んだ兵が迩史の街の警備兵だというのは、嘘です。三人とも、那迦の街のもの。締め上げた二人も、話すとおり何も知りませんでした。ただ、死んだ警備兵が自ら一人残ったことは不自然ですし、彼は通常警備兵が装備しないはずの短剣を懐に潜ませていた。クラフさまを暗殺しようとしたと、考えられます」
「まさか!父上はそんなことなさらない!きっと、セクトール候が…」
「と、考えるのが通常。しかし、実際は彼は背後から斬られ、死んでいる。クラフさまも行方不明。セクトール候の命によるのか、他の者の命によるのかは、誰も分かりません。ただ、セクトール候ほどの方が自分に疑いをかけられるような状況で、暗殺を謀るはずはない」

「…それで、手がかりは、父上だけになったってことか」
「そうです」

カカナは、口をつぐんだ。
整った顔に浮かぶ苦しげな表情をセキアはじっと見つめていたが、それ以上何も言わずに、馬を進めた。
午後の日差しが、セキアの黒髪を照らす。
腰の剣が、派手な装飾をきらりと光らせるのを、カカナは見つめていた。
このまま進めば、迩史の街に入ったあたりで宿を探し、明日の昼前には、迩史の街の中心にあるカカナの家に到着するだろう。
それまでに、カカナは気持ちを決めなくてはならなかった。

なぜ、クラフを捕らえて脅すのか、なぜ、飛行機を造らせるのか。
考えてみれば、十二歳で那迦の街の学校に入った。全寮制だから、ここ五年、父親に会うのは学校の長期の休暇だけだった。年に数回だ。たまに食事を共にするくらいはあったが、記憶の中の父親の様子はいつも穏やかで、クラフを誘拐する動機を探ろうにも、思い当たることはなかった。
そばにいるつもりで、分かっているつもりでいた。
たった二人の家族なのに。
クラフがせっかく気を使ってくれているのに、クラフの作ってくれた時間を有効に使えるのだろうか。
カカナは、下がり始めた気温に身震いし、フードを深くかぶった。

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 続きはこちら!(^^)
「宙の発明家」第二章二.父親⑤
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楓さん

ありがとー!
カカナくん、つらいですよね…
でも、彼は父親と二人っきりだからこそ、強い信念を持っています!!(多分…)
強く、信じているはず…お父さんは悪くないって。
読む側はブール候のこと、知っているから余計にカカナクンのことが、哀れに見えるんだなぁ…
皆さんのコメント読んで、改めてどの時点で何の情報を読者に見せるか…その重要性を実感しました!
上手く、配置できているかなぁ…(^^)
また、コメント楽しみにしていますよ!!
楓さんがカカナなら…、その想像する行動とぴったりになるかなぁ?

花さん

セキアさん、味方かどうか…。
それは、まあ、今後のお楽しみってことで!
そうなんです、いろいろ、ごちゃごちゃなってきまして。
上手く収拾つくのかしら…ドキドキ。v-12
らんららのこのドキドキと同じくらい、花さんをドキドキさせられたらいいのになぁ!!

どうなるの?!

こんばんわ。
カカナの気持ちになってみました。
ずっと2人で暮らしてきた。父のことは、気持ちは、分かっていると勝手に思いこんでいた。。。
甘えるだけで良かった5年前とは少しずつ変わってきている。大人になろうとしている。だから、考えて、その目で真実を見極めなければ・・・
でも、
難しいですよね。僕がカカナだったら、例え父の口からクラフを脅していることは本当だと聞いても、もしかしたらそれでも心のどこかで「嘘だ。この前見せた父の姿が本物だ」って思うかもしれない。そして、本当にそうなのかもしれない・・・嗚呼、やっぱ先を読むなんて無理ですよ!!
つ、続きが気になる!!←ありきたり;笑

おひさしぶりです。まぁた見ない間に、大変なことに…。
カカナ君、辛いなぁ。むむぅ…これは厳しい状況だぞ。
でも、カカナ君側にはセキアさんの援軍がいるもんね。面と向かって受け入れられはしないだろうけど…でも、頑張って!
ドキドキな展開に今年も大期待です!!

ホーリ先生

救命丸…懐かしい響きです!
先生の期待に答えられるかしら、セキアさん(^o^)v-~~~
ニトロ用意させるくらいのもの、書いてみたいですねー(^_^)

kazuさん

ありがとうございますo(^-^)o
カカナくん、どうするのか…
一番つらい立場なのに、うちに潜めています(T_T)
セキアさんはどう動くのか。
見守ってあげて下さい。f^_^;
セキアvs カカナ

いよいよだな!

これからカカナの正念場だね。
頼むぞ、カカナ!

果てさて、ブール候はどんな対応を見せるんだろうか?
そしてセキアの卓越した能力と気転が見ものですね。
ああ、まだドキドキが治まらないぞ。
救心は何処だ?うず救命丸をくれぇぇぇ!

カカナ君の立場、とても辛い・・・。

クラフ君に対しても、セキア様・リスガさんに対しても・・・、それ以上にピーシ君に対してどんなに罪悪感を抱くか・・・・。
考えただけでも、痛々しいです。
そして、お父様との関係も。
カカナ君、お父様を本当に尊敬しているのに・・・。

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