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「宙の発明家」第二章 四.飛行機、友達、クラフ④

らんららです!奇数日更新、コレで一日おきだわ!と考えていたら。今日は連続で奇数日なんですね!そうかぁ。当たり前のことに今日、気づきました(^^;)
てことで。更新です。
父親を失ったカカナくん、迎えの着ているクラフくん。さて。
どうなるんでしょうか!




「放せ!僕に触れるな!」

カカナの声で、クラフは目覚めた。
声のした方を見ようとして、体を横に向けようとする。
動けず、肩をセキアの手が押さえていることに気付いた。
「あ、」
「気が付かれましたか」
「カカナ、は…ブール候は?」
動こうとするクラフを、セキアは優しく押さえる。
「見ないでやってください」
「カ、カナ?そこにいるのか?」
「そっとして。今は、誰とも」
セキアの覗き込む顔が、悲しげで、クラフは悟った。
ブール候は、死んでしまった。




涙がこぼれた。
「カカナ」

ふいにセキアの背後に影が立つ。
「お前が!」
クラフの喉元を掴もうと、血まみれの手が伸びた。
「止めなさい!カカナ様!」
「放せ!クラフがあんなもの、あんな、ものを造るから!お前が、お前が父上を」
クラフは自覚もないまま起きあがっていた。
じわりと、肩や背中が痛んだ。
セキアに押さえつけられている少年は、血とすすと涙にまみれ、鋭い視線で睨みつけていた。
あんなもの、作るから…
お前が、父上を?

心臓がとくとくと、嫌な鼓動を刻んだ。
視界が暗くなって、締め付けられる痛みにクラフは身をかがめる。

「クラフさま!」
気づいたセキアだが、カカナはまだ、すきあらばクラフに詰め寄ろうとしている。
「放せ!あいつが悪いんだ、あいつの…」
カカナの声が途切れる。
セキアはカカナを気絶させると、クラフのそばに駆け寄った。

「…キア」
「大丈夫、いつもの発作です。クラフさま、これを」
セキアの大きな手のひらから、薬を舐めると、クラフはぐったりと横になった。
向こうに、カカナが横たわる。
「カカナ…」
クラフの言いたいことが分かったのか、セキアはカカナを抱き上げて、もともと彼が横たわっていたらしいセキアのベッドに連れて行く。

震える手で、心臓の場所を押さえながら、クラフはじっと、動かないカカナを見ていた。

息が整って少し楽になると、クラフは周りを見回した。
久しぶりに、帰ってきた。あの、離れだ。
散らかっていたものも今は綺麗に片付けられていて、だから、すぐに分からなかったのかもしれない。
セキアのと、二つ並ぶベッド、壁についている青いランプ。飛行機の落書き。
ソファーと柔らかな敷物。テーブルに四つの椅子。テーブルの上に白いレースのクロスがかかっている。
クラフは皆で食事をしたことを、昨日のように思い出していた。リスガの料理が、とても美味しかった。
カカナも、楽しそうだった。
涙がこぼれそうになった。

カカナは憔悴した様子で、横たわっていた。
乱れた髪、やせた頬。あの時のままの服装で、それはすすと血だろう、茶色く汚れている。綺麗好きで、気品あふれる賢老士の息子、だった。
ああ、今はもう、違う。賢老士の父親はいない。
「あれ?どれくらい経ったんだ?」
まだ少し、ぼんやりしている。

「あの事件の翌日、今は夕方になります。ずっと、眠っていらっしゃいました」
「…そう」
「クラフさま。カカナ様はあなたのそばにいると言い張っておられて。すみません。本来なら、カカナ様のお屋敷で休養していただきたいのですが、どうしても聞いていただけないので」
「セキアは、大丈夫?」
クラフはセキアの腕に巻かれた包帯を見つめた。
爆発の時の傷だろう、顔にも切り傷らしきものがいくつもある。
今は柔らかな黒いニットを着て、包帯の巻かれたほうだけ袖をまくっている。クラフも気付けば、清潔なふわふわした生地の服に着替えていた。
ただ、カカナだけが、あの時のままだった。

「ええ、軽い切り傷です。クラフさま、お怪我はないようでしたが、どこか痛い所はありますか?」
「え?ああ、オレ、大丈夫。その、カカナは、オレのこと…」
「今は混乱なされているのですよ。仕方ありません、落ち着くまで、気の済むようにしていただくしかないのです。表向き、ブール候は事故で亡くなったことになっております。遺体を収容できなかったので、葬儀の日ももう少し後に出来ますしね」

クラフは少し悲しげに目を伏せるセキアを見つめた。爆弾で、死んでしまったなど、この世界では初めてのことだろう。だれも、予想できない、むごい死だったはず。
クラフは、目を伏せた。

「どうなるんだ、カカナ。お父さんと二人きりだったよな」
「…生活に困ることはありませんよ、クラフさま。今、迩史の街は修士会が代理の者を立てようと検討中です。いずれ、正式な選挙が行われるでしょう。ですが。今まで賢老士であるブール候に仕えていたものたちは、皆、新たな賢老士に必要とされるものばかりでしょう。カカナ様は、寂しくなるでしょうね」
「じゃあ、オレと一緒に…あれ?」
「なにか?」
セキアはニコニコした。
クラフは、なにか、忘れている気がしていた。

「あの?あれ?」
「カカナ様さえ、落ち着かれて、一緒に研究を続けたいとおっしゃるのでしたら、私は一向に構いませんよ」
「あの、…!あ、オレの迎えって」
セキアは黙った。

「セキア?な、あの、迎えが来たってカカナ言ったよな?」
ベッドから出ようとするクラフを、セキアはまた、押さえる。
「…な、オレ、なあ、セキア!」
「…あなたは、人質だと、申し上げましたよね」
「嫌だ!オレ、帰るんだぞ!放せよ!」

セキアを押しのけてクラフは立ち上がろうとする。
セキアはロープを取り出した。
腕を引かれて、クラフは思い切り、男の顔を殴った。
「放せ!バカ!せっかく迎えがきたのに、なんだよ!オレは帰る!」

セキアはクラフに叩かれようと、蹴られようと、掴んだ左手首を離さない。
「落ち着いてください。人質なんです、いずれは彼らと面会することになります」
「!本当か?」
クラフはぴたりと止まった。
セキアは、深いため息をついた。

「私も、あの後、大教皇様とデンワでお話しました。彼らは、前回と同じ、白い丸い乗り物で、昨日の早朝、まだ日の昇らぬうちに南制(なんせい)の街の郊外に来たそうです。街の警備隊が取り囲んで、かの街の賢老士デスカナ様がお話なさったようです。そこから、早馬で使者が走り、臨時の賢老士の召集がなされて。とにかく、クラフさまを確保することが第一に優先されたのです。大教皇様に連絡があったのは、賢老士会の招集と同じ時刻だったようです。
ちょうど、私たちが、クラフさまを救い出そうとしたあのときです。ブール候の代わりに連絡を受けたカカナ様は、街の警備隊がブール候の意思ではなく、賢老士会の決定で召集され、クラフさまを確保するために派遣されるのを、ただ見ているしかなかったのでしょう。それで、警備隊より先にブール候を救おうと駆けつけたのです」
セキアは、ため息をついた。

カカナは、最後まで、父親を信じていた。
賢老士会の決議を受けて手のひらを返すように追い詰めようとした、警備兵たち。力があるといっても賢老士も一人の人間。世情の流れには逆らえない。翻弄される。その無情さが、クラフの心にしみた。
その意味では、ブール候もクラフも、違いはなかった。一生懸命生きている、一人の人間だった。
カカナの痛みが、分かるような気がした。

クラフが涙目を振り払うように首を横に振るのを、セキアは目を細めて見つめていた。

「それで、…その、迎えの人たちは?また、白い人間、なのかな?どこにいるんだ?」
「今、この那迦の街に来ております。今回は、言葉が通じたそうです。私もまだ会っていませんので詳しくは分かりません」

クラフは、いつの間にか手首を縛られていたことに気づいて、顔をしかめた。
「念のため、です。それに、この方が、人質らしいでしょう?」
「…お前、性格悪い」
「クラフさまほどではありません。さ、少し休んでいてください、私は様子を見てきます。私も気になりますから」
「!どんな様子か、デンワで教えろよ!そうしないと大人しくしていてやらないからな!」
「あなたのデンワ、壊れているでしょう?」
「!じゃあ、ピーシ、ピーシ呼んでこいよ!」
「わがままですね。知りませんよ、そんなこと」
「僕が、持っている」
二人は声のほうを振り返った。
クラフのベッドの奥に、並んでおかれているセキアのベッド。そこで、カカナが体を起こして、二人を見つめていた。
青白い顔だが、落ち着いた口調だ。
「!カカナ!ありがと!」
クラフは満面の笑みを浮かべ、ベッドの上をごろりと転がってカカナのいるほうに向き直った。
「いて、なんかあちこち痛いな」
そういいながらも、いつもどおりの笑顔のクラフにカカナは鋭い視線を投げかけた。
扉に向かっていたセキアが、気付いて立ち止まり、戻ろうとしたときだった。
カカナはデンワを振り上げた。
「!」
「クラフさま!」

殴られて、よろけて、クラフは床に転がった。両手を縛られている、うまく立てずに、もがく。
「カカナ様!」
セキアに押さえつけられると、カカナはすぐに大人しくなった。
その口元に、歪んだ笑みが浮かぶ。
クラフは言葉もなく、座り込んで、見上げていた。

「なんだよ、驚いた顔して。分かってないんだな。お前が悪いんだ。あんな危険なもの作るからだ。もえ玉とか、あの火薬のものとか、お前があんなもの作らなければ、父上が亡くなることもなかった!お前のせいなんだぞ。自覚しているのか?ねえ、クラフ、僕はたった一人の父上を亡くしたんだ」
カカナの頬に、涙がこぼれた。
「カカナ様、それは違うでしょう!」
セキアはクラフを助け起こすと、カカナから庇うようにソファーに連れて行こうとした。
「セキアは黙っていろ。誰が何をどういったって、僕は、クラフを憎む。お前を帰したりしないからね。お前は、僕に協力して苔池の病を研究するんだ。お前にはその義務がある。お父さんやお母さんが待っている向こうの世界に帰るなんて、許さない」
「カカナ様!」
「お前だけ、幸せになるなんて許さない」
クラフは、黙って、じっとカカナを見つめていた。


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「宙の発明家」第二章四.飛行機、友達、クラフ⑤
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chachaさん

カカナくんの気持ち、皆分かってくれてうれしい!
こんな風に荒れているけど、根はいい子だって、皆知ってくれているんですねv-406
嬉しいです!
どうやったらこの氷が解けるのか。次回ピーシ君登場ですよ!がんばってくれる、かな?

楓さん!!

イラストありがとう!!
ふふ(^^)
もう、二人のらぶがあふれる作品でv-345嬉しいです!!
いいなぁ、私もクラフくんみたいにセキアさんにぎゅーと、甘えてみたいーーー!!
さて。そうか、かかなくん、泣いてないかも。
泣かせようかな、どこかで。
でも、男の子って、あんまり泣かないんだよね…あ!!そうか。
楓さんはよく泣くんですよね!
らんららも涙もろいから、泣くシーンは割と多いけれど、泣かない男の人が読んだら女々しく感じるかと思って、できるだけ泣かせないようにしてます。
どうなんだろ、そう言うの。

kazuさん

そうですね;;
カカナくんは精一杯がんばったのだけど…
父親を亡くす。どんな気分だろうと。
なんとかしようとがんばったのに結局、大人や政治の都合で壊れていった。
自分がその政治の力で生かされてきたことを肯定的に受け止めてきた子だからこそ、余計に受け入れがたい現実なのだと思います。
次回、仲直りできるのか…それともお迎えが先に来てしまうのか…それから、kazuさん期待のピーシ君、活躍なるか!!



カカナ・・・;;

カカナが憎悪の塊になっちゃってますよ・・・
そりゃ、クラフの作った物が原因にはなりますけど;;
本当に、怒りをどこにぶつけたらいいのかわからないんでしょうね。
私がカカナの立場だったらどうだろう??
理性とか吹っ飛んでる状態でしょうから・・・
同じこと考えて、同じこと言ってしまうかもしれません@@;
今回ばっかりは、カカナの言動に反感を持ちませんね。

問題はこれからどうするか、ですね。
起こってしまったことは変えようのない事実ですから・・・><
この先カカナとクラフがまた、元の仲に戻れたらいいのだけれど・・・(泣)
迎えの件もあるし、心配が続きます><

はむぅ。

おはようございます!
カカナ・・・心を閉ざしてしまいましたね。たった一人の、父親を亡くした。それも、親友だったクラフが作った爆弾で。過程はともかく、結果だけ見ればそうなる。尊敬し、信用し、大好きだった父親の死を、カカナはまだ受け入れられないのでしょうか。そして、最後にクラフに言い放った言葉・・・お前だけ幸せになるなんて許さない!・・・そうですよね。一連のクラフに対する異常なまでの怒りは、きっとそう言う感情から来てるんだろうなって思いました。経緯が経緯だけに、この絡まった心の糸を紡ぐには時間がかかるかも知れないですね。。。
カカナ君、たぶんまだ泣いてないですよね。まだ怒りと混乱の気持ちに満ちていて、泣くことすら忘れているのかな?遺体が無いというのもその要因かも。一杯泣いて、全てを洗い流して欲しいです。。。
一方のクラフ君は、一体どうするのでしょうか?あんな事を言っていても、こんな状態でみんなを置いて帰ってしまえる子でもないような気がします・・・が・・・さて?
いよいよ物語から目が離せません!!
・・・
・・・
あ、あとですね。。。
イラスト・・・描いてみました。
クラフ君とセキアさん(に無理矢理見ようと思えば見えなくもない人たち)です。
らんららさんのように巧くないし、
キャラクターのイメージ丸つぶしだし、
カラーでもないし、
全身でもなく顔だけだし、
ましてや背景なんぞ皆無だし・・・
ぐはぁぁ恥ずかしいのですがぁ(恥。。。_| ̄|○

うー・・・、カカナ君・・・。
気持ちは痛いほど分かる・・・、分かるけれど・・。
それは・・、クラフ君のせいじゃないよ・・。
でもきっと、カカナ君も心の中では分かってるんだって信じたいです。
怒りをぶつけるところがなくて・・。
大切な敬愛するお父さんだったから。
クラフ君のつくるもえ玉や飛行機。
使い方によって、楽しみを与え、そして苦しみを与える。
まさか、自分のお父さんが最初の犠牲者になるとは思いもせずに・・・。
あぁ、なんだかクラフ君の心中も・・・カカナ君も、とても切ないですね。
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