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「宙の発明家」第二章 四.飛行機、友達、クラフ⑤

■■らんららです!友人が短編小説の書き方なる本を読んで、小説を書き始めました。彼女いわく、人間が一回に集中して読み込める文章量は原稿用紙五枚と。2000文字…案外、短いけど…常に連載していると、一回の長さって割と悩むものなんだよね。少し試しにその話を信じてみようかなぁ…この章はもう、インデックス切ってしまったから直すの面倒くさい…(おい ^^;)第三章からはそうしてみますね!■■


那迦(なか)の街の皇宮の一室で、ピーシは窓から外を眺めていた。すぐ隣に見える大聖堂は、夕闇にそのシルエットを黒く見せるだけになっていた。敷地内の森。城壁。その向こうに、かすかに残る夕焼けを見つめていた。
冷たくなった風が、ふわりと髪を揺らす。
昨日は早朝から様々なことが起こって、自分はただ、手をこまねいてみているだけだった。
バルコニーの大理石の手すりに、腕を置き、頬をうずめる。
ため息。
「ピーシ様」
柔らかな毛織物の上着が背にかかるのを感じて、ピーシは振り向かずに口を開いた。
「キタキ、傷はいいのか?寝ていなよ」
複雑な思いで、ピーシは温かい上着を首元に引き寄せる。
キタキは怪我をした腕を肩からつっていた。
怪我をした理由も、状況も、結果も。ピーシはキタキから聞いていた。

あれほど、仲のよかった父親を亡くして、カカナがどんな状態なのか気になっていた。自分は、自分自身のために父親から離れることを決めたのに、カカナは永遠に父親から引き離されてしまった。もし、父親が死んでしまったら、自分はどう感じるのだろう。そう考えてピーシは少し身震いした。
キタキは背中を見せたまま、思いにふける少年に、目を細めた。
「お父上には、会われましたか」
ピーシは、肩をすくめた。
「会える時間なんか、ないんだ。分かっているよ。それより、僕は、二人が気になっていて」
「私のことも、お怒りになるかと思いましたが」
「それは!ショックだったよ、お前はあの時、僕を慰めてくれたのかと思っていたんだ。味方になってくれたと。それが、結局、お前はお父様、いや、あの人の命令で、僕からセキアの行き先を調べようとしていただけだったんだ」
「…はい」
キタキは、ピーシが父親とやりあった日の夜、ピーシからセキアとカカナの行き先を確認すると、セキアの後を追うと言い出した。ピーシには止められなかった。

「お前は、あの人がクラフを捜索するために派遣した黒馬だったんだ。あの人の部下だからね。仕方ないよね。だけど、それはいいんだ、結局、クラフを保護しようとしたんだから。今ここにいるのも、そうなんだろう?あの人の命令なんだ」
キタキは穏やかに笑った。
ピーシは悔しそうに、視線をそらす。
「分かってるんだ。あの人が、お前をここによこす理由、そうだろ?僕を、守ろうとしているんだ。僕がクラフにかかわって何かするんじゃないかって、警戒しているんだ」
「心配なさっておられます」
「…そんなこと、分かってる。だから、こうやって、大人しくしているだろ。ただ、反発したって、勝てない」
あんなに、冷たいことを平気で口にする父親が、体面のためなのか、本気で心配しているのか本心は分からない。けれど、キタキが黒馬だと気づいたときから、ピーシはかなわないと痛感していた。
ぴぴぴ。
デンワが鳴った。
「!」
「はい、ピーシです」
キタキは表情を引き締めた。
「ああ、分かった。行くよ。キタキも一緒だけど、いいかな」
そういいながら、ピーシは男をちらりと見る。
「すぐ行くよ。じゃ」
「ピーシ様、どなたですか」
ピーシは冷たくなってきた風に身をすくめて、コートを取りにクローゼットに向かった。
「一緒に来てくれるだろ?セキアがね、手伝って欲しいんだって」
そういいながら、ピーシはキタキの上着を手渡した。


ピーシが、キタキを伴って、離れに向かうと、丁度、迷路の前でリスガと一緒になった。リスガも、セキアに呼ばれたのだという。
事情を大まかに聞いていたようで、少女はカカナを慰めるつもりだろう、彼の好きな食べ物を抱えていた。
「それ、カカナに?」
「ええ、そう。あと、栄養のつくお薬も。だって、きっと、ちゃんと寝ていないだろうから」
「…そういうところ、女の子って気が利いていいね」
「それ、誉めているの?」
リスガの視線は疑っている。嫌味なのかと、思っているのだろう。
「なんだと思うんだよ?」
ピーシは、ふと笑った。力の抜けたような柔らかな表情に、リスガは珍しいものを見た気がして、何度も瞬きした。
「…別に、嬉しくなんかないわ」
「あ、そう」
キタキが声を出さずに苦笑する。

「でも、クラフが無事でよかったわ」
リスガが視線を足元に落としたまま言った。

「ブール候のことは、本当に悔やまれるけれど、カカナも、クラフも無事でよかった。私は、これでよかったんだと思うな。ひどい言い方に聞こえるかもしれないけれど、ブール候が選んだことだもの。

人は、選んできた道の先に何があるか知ることは出来ない。けれど、選んだのは自分なのだもの。誰かのせいにしてはいけない。教えは、そう説いているわ。
カカナもきっと、大丈夫。自分で道を選べる人だと思う。それでも、つらくて仕方ないときに、神を恨めばいいの。そのために、神という存在はあるわ」

そう、まるで自分に言い聞かせるように話して、少女は顔をあげた。正面を見る。
迷路の終わり、クラフの寝室が見えてきた。

ピーシは少女を少し驚いた顔で見つめるキタキに気づいて、苦笑した。
リスガは聖職者なのだ。
人の死について、思うところ感じるところは、彼らとは違う。
少女の亜麻色の髪が、通路の灯りにきらりと白く光る。
ピーシは少女の後姿に、強さを見ていた。


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 続きはこちら!(^^)
「宙の発明家」第二章四.飛行機、友達、クラフ⑥
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コメントありがとうございます!

v-345kazuさん
そうなんです。キタキさん。皆さんにキタキさんいい人!と喜ばれていたので、ドキドキしてしまいました。(^^;)キタキさんがピーシ君を振り切って、セキアの後を追うシーンは、考えてみたのだけど、多元的になるし、分かりにくくなるかと思って…まだまだ、力不足ですね(^^)
そう、原稿用紙五枚…、それにほぼ合わせた形で次章からやってみます。でも、そういうのって、どうなんだろうとかね。らんららのは、描写が少ないから、それでなんとかなるけど、すごく細かい描写をする方では単純に文字数で切られたら…描写だけで終わってしまう可能性もv-388
とにかく、やってみますね!

v-345chachaさん
ありがとー!
リスガちゃん、かっこよかったですか?
ぜひ、使ってください(笑)
普段影が薄いキャラクターなので、出られるときに少し語らせてあげようかなぁと。カカナを支えられたらいいのだけど。
セクトール候、多分、親の立場の人なら何となく分かるかもしれないですね(といいつつ、らんらら人の親じゃないですが…^^)親子で相性があわないことってあるらしいです。そういう親子見ていると、些細なことで不自然なくらい厳しく叱っていたりするのだけど、でも、やっぱり親だから、心配だし大切に思っている。そう言う人を描きたかったんです。
ふふ。どうなるでしょうね(^^)

v-345楓さん
そうピーシ君の回です。
ふふ。相変わらず鋭いですね。
かなわない。自分の想像できない範囲のことを考えて行動している大人に、まだ、勝てないと自覚しているのだと。
大人だって、子供にそんなにすべてを理解されたいと思ってもいないですしね。子供が知らなくてもいいことは知らせずにおく。やさしさでもあり、子供にとっては歯がゆいことですが。
さて、この後。
うーん!楓さんの期待にこたえられるといいなぁ!!


v-345花さん
ありがとう!!
まとめて読んでくださったんですね!
また違う感想をえられるから、嬉しいです!
悲しい事件のために皆、せっかく仲良くなったのに…リスガちゃん、一人女性でもあるし、男の子たちみたいなしがらみを一番持っていない、自由な子です。だからこそ、ああいう言葉をいえるのかなと。
カカナを目の前にして、いえるかどうか…。
続きまた、読んだら感想くださいね!

本当に世界の縮図を眺めているようで、様々な思いと哀しみが手に取るように分かって、胸が一杯です。。
カカナ君の気持ちもよく分かる。でも…ダメだよ、一度信じた友達を責めるのは。疑うなら、許せなくなるなら、友達なんて簡単に言っちゃいけないんだ。
ピーシ君も、頭がいいから、動けない自分が辛いよね。自分の味方であるキタキさんは、味方だけど敵でもあって…キタキさんの心情も分かるから、尚苦しい。
そんな中で花は、やっぱりリスガちゃんの言葉が胸に響きました。
>「つらくて仕方ないときは、神を恨めばいい。そのために、神という存在はある。」
その言葉が素で言えるリスガちゃんが、いいなぁと思いました。
皆で神様を恨みましょう。そして、拗れた関係が元に戻って、皆が幸せに暮らせますように。

こんばんわ。

今度はピーシ君・・・ですね。
キタキさんとセクトール候、そしてピーシ君。
この3人の関係も微妙ですね。
キタキさんはセクトール候の黒馬ではなく、黒猫。そして、クラフ君を保護しようとしたのではなく、殺そうとしていた。。。ですよね、確か。
つまり、まだキタキさんはピーシ君に嘘をついているわけで、つまりはキタキさんはセクトール侯の忠実な部下であり・・・キタキさんに嘘をつかせているそのセクトール候の本心が知りたい!!
ピーシ君がかなわないと思う理由には、こうした大人の対面と本心の2面性をまだ理解できない・・・というか、漠然と怖いと思う気持ちがあるのかな?ってふと思いました。
リスガちゃんの言葉、
クラフもカカナも無事で良かった。。。
身近な友達が無事だったことが、何より彼女の救いだったでしょうね。
さて、セキアさん。みんなを呼んで何をする???

ピーシ…

セクトール侯はピーシのこと、あんなに言ってたけど実はかなり想ってくれてるんじゃ…?
キタキがセクトール侯の黒馬としてクラフに近付いたのも、こうやってピーシの傍にキタキが居ることも…
きっと全てピーシの為なんだろうな。
カカナは永遠に父親と離れてしまって、もし自分がその立場だったら…と考えてましたね^^
どんなに反感を持った親でも、血のつながりはなくならないから、完全に離れるなんて出来ないんでしょう。
カカナは本当に辛い結末になってしまったから…
せめてピーシ、時間をかけてでも、親子の関係を良いものにしていって欲しいです><

リスガ、かっこいいこと言うなぁ!
ちょっと私も誰かに使ってもいいですか?(笑)^^
セキアに呼ばれたみんな、これから何が起こるんだろう??

続き、楽しみにしてます☆

キタキさん、最初からピーシ君を謀っていたのですね・・・。
きっとキタキさんを派遣したセクトール候は、本心からピーシ君を心配してると思う。
ピーシ君、今まで押さえつけられてきたけれど、セクトール候にはむかい、自分の生きていく道を見つけたことで、素直な・・・本来の自分に戻った感じですね。
そしてリスガさん。
きっとこの後、とても心を痛めるのでしょうが・・・。
「選んだのは自分、誰かのせいにしてはいけない。つらい時は神を恨めばいい・・・。」

その通りだな・・、本当にそう思います。
自分の人生、自分で責任を持て・・・ですね。
そうありたいです。
リスガさんの凛とした強さ。
素敵ですね。

集中してよめる量は、原稿用紙5枚ですか・・。
ほんと、1回の長さ、悩みますよね。
常に気になるところです・・・。
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