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「宙の発明家」第二章 五.迎え①

大聖堂の敷地内にある講堂を会談の場所とした。
長方形の講堂内は、中に二列、シンプルな装飾の、大理石の円柱が並び、そこから四方につながるアーチに支えられている高い天井には、タイルでモザイクが作られている。
明り取りの窓の光をうまく反射するつくりのタイルが、室内を満遍なく照らす。
並べられた胡桃色の長机とベンチ。つい先日流季節の式典が行われたばかりのそこは、そのときの華美な様子を想像できないくらい、静かに静まり返っている。
列柱に沿って二つの通路が走り、正面の真ん中に演壇がある。
演壇を向くように並ぶベンチの一番後ろに、楕円のテーブルと、椅子が持ち込まれた。

怪しげな異世界の人間を、宗教上聖なる場所である聖堂の建物内に入れることははばかられた。
普段、賢老士が講堂に入ることなどはないが、今回だけは特別だった。
集まったのは、ごく少数。
大教皇、賢老士ではセクトール候をはじめとする六人。そして、司教会の代表が三人。
計十名と、白い三人は一つのテーブルを囲んだ。
白い服の三人は、真ん中の一番背の低い男が、オクトと名乗り、その左側に座る少し太めの男がデアマン、右側のひときわ背の高い男がカーチスと名乗った。
一通り、紹介を終えると、オクトが切り出した。

「私たちはここに、三つの目的を持ってきました」
穏やかな口調の男だ。
白いごわごわした服で全身を覆い、頭も同じ白い丸いものを被っている。顔のところだけ透明なガラスのようになっていて、じっと見つめれば、中の顔が見える。四十代後半くらいの男、髪は金色、目は青い。
オクトは続けた。
「私たちは、地上の世界にある、アメリカ連邦政府を代表してここにきています。一つ目に、あなた方に私たちの存在を知っていただこうと考えています。そして、二つ目。わがアメリカ連邦政府との友好的な関係を築くために、今後双方が行き来できる環境を整えることに同意願いたい。そして、三つ目の目的は、ここに十年前においていった子供を引き取ることです」
賢老士たちが、ざわりとどよめく。

大教皇が、手を挙げ、それを制した。
「よく分かった。では、わしらの立場をご説明しよう」
小柄な老人がひげをなでながら話し出したので、三人はさっきまで正面に座るセクトール候を代表と考えていたのだろう、そちらに向けていた視線を、右隣に座る大教皇に移した。

「我らの世界は、一つの神の教えによって統治されている。その教えでは、この地には、果てがあり、その先は無。人は命を失い無に還る。この土地以外には人など存在しておらんし、果てを越えて無に旅立つなど、あってはならん。
あなた方にしてみれば、下らぬ思想に思えるかも知れぬが、我らの地は空を飛ぶ必要もなく、夜灯りを灯すこともない。必要以上に富を得ることもせんし、命を奪うこともしない。あなた方の世界とは、存在が違う。相容れないものと、わしは思っておる。
よって、あなた方の友好的な申し入れは嬉しいのじゃが、受け入れるわけにはいかんのじゃ。われらがあなた方の世界をないものとするように、あなた方にも、我らの世界など存在しないものとしていただきたい」
背の高いカーチスが腕を組んだ。
「それから、子供のことじゃ。確かに、十年前、この地に置き去りにされた者がおる。あれは、あなた方がここに来ることを予想して、われらが保護していた」
「ありがとうございます」
オクトが笑ったようだ。

「しかし、十年は長すぎたかもしれんな」
賢老士の一人が言った。
その後を、セクトール候が継いだ。
「十年間も放っておかれて、今更帰りたいと考えるはずもなかろう」

「返さないつもりか!」
オクトが立ち上がった。
彼らを囲む警備兵が、剣の鞘を一斉に鳴らした。

「だれも、返さないなどと言ってはおらん。だが、我らは十年間あの子を育てたのだ。可愛がってもいる。あなた方が本当にあの子の保護者であるかどうか、我らには分からない」
大教皇が頷いた。セクトール候は、ひげをなでて話し続けた。
「あなた方が、先ほど言っていた友好とやら、それを育むに足る存在かどうか。クラフを幸せに出来るのかどうか。疑わしいのだ」
「何を!」
オクトが怒鳴る。それを抑えようと、背の低いデアマンが立ち上がった。
腕を組んで一人座ったままだったカーチスが、ゆっくりと話し出した。
「……なにを、条件とするのですか?どうすれば、信用するというのですか」
セクトールは、にやりと笑う。

「クラフに会ってもらう。彼が帰るといえばそれに従おう。そして、クラフを返したからには、あなた方がこの世界に残る理由はない。早々に立ち去っていただきたい。そして、二度とこの地に足を踏み入れることを禁じる」

「それは脅迫ですか。それに従わねば子供を返さないと?」
カーチスの表情は見えない。しかし、その低い声には怒りが伺えた。

「本来ならば、勝手にあの子をここに連れてきておいて、今更連れて帰りたいなど都合のいい話、けっして受けるものではないのじゃ」
小柄な大教皇が話し出した。手で、胸から下げたデンワを握り締めている。
「わしらはクラフが可愛い。返したくはない。
だがの、あの子が帰りたいというのであれば、本心からそれがいいのだと思うのならば、わしらの憤りも苦労も、我慢しようといっておる。
それを、脅迫などと言われる筋合いはない。
それほどあの子が必要ならば、最初から、こんな遠いところに、小さな子供を置いていくなどしなければよかったのじゃ」

大教皇は穏やかに、そして、きっぱりと言った。

カーチスは、力が抜けたように座り込むオクトを横目で眺めて、再び大教皇をまっすぐ見据えた。
「わかりました。子供を返してもらえるのなら、今後、この世界には足を踏み入れないこと、お約束しましょう」
そういって、カーチスはどかっと椅子に座った。デアマンもそわそわしながら、それに従った。
三人は講堂で待つことを了承した。
「つまり、お前の意思を確認するために、我らは来たのだ」
そう、セクトール候は話を結んだ。

 続きはこちら!(^^)
「宙の発明家」第二章五.迎え②
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ミナモさん♪

ありがと~♪
はい、実は真面目(?)な大教皇様。

ほんと、いい人ですよ~♪

長いのに、もうここまで!お忙しいのにありがとうございます!
身の回りのごたごた、分かりますよ~。
らんららも先週はお出かけばかりで…。夜はPC触れなかったりしました。
いろいろと大変な日常だからこそ、こういう非日常が楽しかったりするんですよ~♪

大教皇様!

マジメにかっこいい。
いつもふざけた印象が…(笑)

ほんとに、くーちゃんのこと好きなんだね~♪


あっと。らんららさん!
ずいぶんとご無沙汰しちゃってすみませんっ!!
少々身の回りが、ゴタゴタと忙しかったものですから…。

これから、またグググッっと読みにきますよ~!!!

コメントありがとう!

kazuさん
大教皇様照れますよ、きっと、褒めると調子に乗って、「アイシテル?」と聞いてきます。その時はばしっと、きっぱりシバいておいてください(^^)
さらに、喜ばれます(?)
(実はかなりMで、クラフくんに怒鳴られたりジジイ呼ばわりされるの大好きですから!)

chachaさん
そうです!宇宙服!
実物を見たことがないので、説明が不足気味なのと、この世界の描写で宇宙服、という言葉は(クラフくん以外は)使えないので。分かりにくくてごめんなさい(^^;)
そうですね、帰ったら会えない…かな。
かなぁ?
ああ、思わず何かポロッとしそうになりましたよ!
ふふ。すぐです、すぐ。

楓さん
コメありがとう!
ふふ。イロイロ考えてくださってますね!うーん、らんららの設定で、満足いただけるかなぁ!!どきどき。
おお!もう一つのブログ!!すごいです!
らんらら、ファンタジーでない小説を書いたので、もう一個作ってみようかと思ったものの、もう一個って、どうやって作るんだろう、と二分考えてあきらめました。
異質になるけど、このブログにしました。

短編!しかも、合作!!
すごいー!
遊びに行きますよ!(^^)b


ぬむむむむ!!

出てきましたね。アメリカ連邦政府。
この世界のトップとして、ここは一歩も譲れぬ場面ですよね。
それにしても、アメリカ人達の態度も腑に落ちません。おじいちゃんも言ってますが、なぜ今になって引き取りに来たのか。そもそも何故10年前に置き去りとしたのか・・・彼らの反応からすれば、もしかするとクラフ君がこの世界に落ちてきたのは、彼らにしてみても想定外の出来事だったのではないでしょうか?そして再びこの世界に足を踏み入れるのに、何かしらの事情で10年という歳月が必要だった。。。もしや、クラフ君の血筋はアメリカでも相当高いのでは?と考えてみたりしています。
さて、クラフ君の出す答えや如何に?
ぬおおお!これは次回も見逃せませんね!!!←いや、毎回見逃してませんが(苦笑

* * * * *

あ、ところでですね・・・誠に恐縮ですが、以下営業コメさせて頂きます。汗
この度とある3人でコラボ小説Blogを立ち上げました。
一人2話。全6話完結の短編小説を、1話ずつ順番ランダムの持ち回りで書くというものです。さきほど、僕が第1話をアップしました。が、この先この話がどう転がっていくのかは、書いた僕にも分かりません(笑
もし、お時間がございましたら、ちらっとで結構ですので遊びに来て下さい♪あ、でもお忙しいのは重々承知しておりますので、お暇ができたときにもし覚えていて下されば・・・で結構ですよ!!ほんとに!!
え~。では、しつれいいたしやす。滝汗

うんうん。

大教皇かっこいい!^^
クラフのこと、本当に想っていることがよくわかります。
セクトール候もなかなかしっかりしてますね!
確かに、本当にクラフの保護者なのか、この人達が安全な人物なのかどうか、わからないままですからね。
さすが賢老士!ちゃんとしてますね^^

さてさて、クラフが出す結論は・・・??
kazuさんも言ってますが、本当、クラフを返してしまったら二度と会えなくなるんでしょう?;;
生まれた土地、自分の親を選ぶのか・・・
それとも、成長期に育った土地でこれからも過ごしてくのか・・・?
うぅ~ん、気になりますね、本当に@@;

それにしても・・・
オクト達が着ている服ってもしや・・・宇宙服!?^^

う・・・うわぁ・・
大教皇様、かっこいい・・・
おじいちゃんと思っていたけど、白い人を目の前に一歩も譲らない、その気迫。
今までも垣間見ることがあったけれど、あぁ、やはり流石大教皇様なんだなと、改めて思いました。
そして白い人、オクト デアマン カーチス。
子供を返してくれれば、もう、この世界に足を踏み入れない・・・。
決めるのはクラフ君。
・・・、今の状況でクラフ君が決めるの、とても辛いですね。
しかも、もう、この世界には戻ってこれそうにもない・・・。
ううー、どうするんでしょ、クラフ君。
次回も楽しみにしています。

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