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「宙の発明家」第三章一.変わらない①

らんららです!少しお休みをいただいて、久しぶりのクラフくんです。
宙の世界に迎えが来て、その中にお父さんがいた!
彼はクラフくんの「ここにいる理由」を語りました。
それでも、クラフくんには、帰るしかありません。
そう、「命を握られている」のだから…。

いよいよ、最終章です。

●変わらない?1
 

「すげー!」

クラフの感嘆の言葉に、カーチスが笑った。
彼は、肩にクラフの荷物の入ったトランクを担いで運んでくれていた。
「だろ?世界で一つだけなんだぜ、この飛行船。お前のお父さんが開発したんだ」

白い楕円のそれは大きくて、クラフはずっと上を見たまま歩く。月明かりに浮かぶそれの下に入ると、いっそう暗くなるが、クラフは気にせず見上げている。夜目が利くのだろう。
「へー、翼?普通は尾翼くらいだよね。そっか、エンジンも積んでるんだ。もしかして、成層圏と対流圏とで動力を変換するのかな?」
クラフは夢中になって見つめる。
「なんだ、詳しいじゃないか」
傍らを歩く背の高い白いスペーススーツの男に、クラフは笑いかけた。
まだ、夜が明け始める前。薄青い早朝の風に、クラフの金髪がなびく。
カーチスはおしゃべりで、楽しい青年だった。歳も二十五歳で一番クラフに近い。そのためか、馬車の中で二人はすっかり仲良くなっていた。カーチスが三人の中唯一の軍人で、セキアのことを腕が立つと褒めていたことも、クラフには嬉しいことだった。
青年は英語で話そうとするクラフに、こちらの言葉で話そうと言ってくれた。
「ここの世界の言葉、英語の語源になっている言葉なんだぜ。俺、そういうの不得意なんだ」
「じゃあ、英語でいいよ。ボク、英語だって話せるから」
カーチスは笑いながら、クラフの肩をとんとんとたたいた。
「せっかく覚えたんだぜ、帰ったらすぐ忘れちまうんだ、今のうちに使っておかないと、努力の意味がないってもんだ。だから、古英語でいいぜ」
「じゃあ、帰ってもオレ、カーチスとはこの言葉で話す。そしたら、忘れないだろ?」
カーチスはまた笑った。

存在を否定したい賢老士会の意向で、見送りなどない。
四人を乗せてきた馬車と付き添いの二人の警備兵だけが、四人が本当にこの世界から消えてくれるのかを確認するべく見張っていた。
背後に、その視線を受けながら、クラフは前を向いていた。
その胸には、デンワがかかっている。銀色のそれをぎゅと握り締め、クラフは飛行船に乗り込んだ。
アルミ製の小さな階段を上る途中で、遠く、ランドエンドを縁取る朝焼けが目に入る。
薄桃色の空に目を細めた。


乗船してすぐ、カーチスの操縦を見たいと言い出したクラフを、オクトがたしなめた。
「ちぇ」
口を尖らせる少年に、カーチスが笑った。
船内で皆スーツを脱いだので、今はちゃんと顔が見えた。

操縦席で真剣な顔になっているカーチスは、プラチナブロンドを短く刈り込んだカッコイイ青年で、クラフはその耳についているピアスにも感心する。
オクトは予想以上に歳をとっている印象だった。
クラフは、なんとなく照れくさいような、怖いような気分で、オクトとはあまり馴染めない気がしていた。オクトは白髪の混じった茶色い髪で、太くて少し下がり気味の眉、青い瞳。眉間のしわは、笑わなくてもそこに貼り付いている。
オクトの助手だというデアマンは、オクトとそんなに変わらない年齢のようだ。金髪で癖のある短い髪。小さな緑の目。少し太っていて、常は丸い鼻の下で口をぎゅっと一文字に結んでいる。あまり表情のない人だ。クラフはまだ、彼の笑顔を見ていない。

「クライフ、お前はここに寝ていなさい」
オクトが示したのは大きな楕円の、透明なカプセル。
クラフは思わずぞくっとした。クラフが宙の世界に残されたときに入っていたものより当然ながら大きい。違うものだ。
ただのカプセルではないことは、ふた部分につけられた何かの機械で分かる。子供のころクラフが入っていたのは、本当にただのカプセルだった。

躊躇していると、デアマンも言った。
「クライフ君、君の体のことを考えてね、この中では空気を調整できるんだ。急に環境が変わって負担が大きくなるだろうから、それを防ぐんだよ。そういえば、ぬいぐるみはどうした?あれを抱いていると落ち着くんじゃないか?」
「あれは、あっちの荷物の中、別になくたって平気だ」
クラフは、子ども扱いするデアマンを軽く睨んだ。さっさとカプセルに横たわる。固い樹脂の手触りは冷たくも、温かくもない。
「ああ、少し、大きかったかな」
デアマンが横たわった少年を見て、ぽつりと言った。
「なに?」
カーチスが背を向けたまま笑ったのが聞こえる。
「いや、もう少し高い身長を想定していたんだ。一応平均的な十五歳の男の子にあわせたつもりなんだ」
生真面目に答えるデアマンに、クラフは頬を膨らめた。
「オレは、ゆっくり成長するんだ!先に脳に栄養が行ったんだ」
カーチスが声を出して笑い始めた。
オクトも、口元を苦しそうに押さえる。
「怒ることかなぁ?」
デアマンは首をかしげた。
「あのさ!父さん、このおっさん無神経だよな!」
「だれも、お前のこと小さいだなんていってないよ」
オクトは穏やかに言った。
「!…」
クラフが何か言いかけたのを制して、オクトはふたを閉じた。
声が遮断される。
聞こえていないと分かったのか、クラフも大人しくなった。
そのうち、目を閉じる。

「なかなか、にぎやかな子に育ったな」
オクトが腕を組んで少年を見つめた。
「別に身長が低くたっていいのに」
そうつぶやくデアマン自身も、平均よりかなり低い。気にしたことがないのだろう。
カーチスは後ろを見つめて、ため息をつく。
「催眠ガスですか?…可哀相に」
オクトとデアマン、二人の研究者はカーチスに一瞥をくれると、再び少年の寝顔を見つめた。

変わらない?2へ続く♪
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こめんとありがとー!!

ユミさん
待っててくれましたのね!!v-408
嬉しいです!
一人ぼっちのクラフくんに、カーチスさん、重要ですよ!
楽しみにしていてくださいね!!


kazuさん
「次にこの地を踏める確約も無いまま…」ドキッとしちゃいました!
クラフくんにとって、この冒険が、どういうものであるのか。
うーーん。
…ひみつ…。
楽しんでくださいね!!

楓さん
うははは(^▽^)
天間博士、やりますよ!ますます、どんどん、お前それ、人間?ってくらい…おっと、そんな非道なネタばれ(?)していてはいけませんね。
クラフくん、ある意味わくわくしてますよ!地上は彼の知らない科学がたくさんですから!!科学ヲタ!もう、チビの頃から、遊ぶものはすべてソレ。
やばいでしょう、ソレ。
これはもう、タウくんと同じ。19になってもハタチになっても、色っぽい話とは無縁…やばい、それ。
タウくん、今はときめく相手がそばにいるけど…クラフくん、君は、飛行船にときめきですか?カーチスさんのピアスにドキドキですか?…困った子だ。
って、私のせいだって?…zzzz
(楓さんのテンションに釣られて、まともなコメ返しになってない^^;)

chachaさん
やさしいな!クラフくん、元気な振りしているけど。どうでしょうね。
セキアさんにあんなに甘えていたくせに、独りっきりで。
ま、そこは、男の子ですから。がんばりますよ!chachaさんの暖かい応援があればなおさら!
見ていてあげてね!

とうとう!

最終章ですね!^^
常にハンカチ用意しとかなきゃ!(笑)
らんららさん、本当に終わりに近づけば近づくほど泣かされますからねぇ;;

クラフは「宙」を後にして・・・
実のお父さん、オクト。そしてカーチスにデアマン。
3人は本当にクラフを大事に思ってる・・・??><
何か悪さしたら、承知しないんだからねっ!
次にクラフが目を覚ましたら・・・
どこに居るのかな?
らんららさんの描写、大好きなのでドキドキします☆^^
続き、楽しみにしてますね~!

ぬわにぃ!!

すげー、と感心しまくるクラフ君を見て、
嗚呼タウと一緒だ♪
と微笑ましく思うと同時に、
そうか、クラフ君は科学ヲタだったんだ・・・
と今更ながら頷いてしまいました。
えっ?!ヲタじゃない?
いえいえいえいえいえいえいえいえいえ(笑
で・・・
オクト・・・あんたそれでも本当にクラフ君の父親か?科学省長官か何か知らんが子供に催眠ガス使うたぁ~あ、なーにーごーとーかぁ~!!!ゆ、許さんぞ!天間博士!!!←二度目(笑
て、科学省長官なのかどうか知りませんが(おい。
・・・ごほっ。
それに比べてカーチスいいやつ。
セキアさんのことを認めてくれて喜ぶクラフ君の可愛いこと。
それに比べて天間博士!!!!!怒!!笑

おぉっ

とうとう、クラフ君、この世界から飛行船に乗り込みましたね。
次にこの地を踏める確約も無いままに。
カーチスさん、いい人ですね♪
唯一の軍人さんだけあって、他の二人とクラフ君を見る目が違うみたいで、ほっとします。
しかも催眠ガスって・・・。
体のことを考えてなのかもしれないけれど、お父さん。もう少しこう、家族の情を・・・。
英語の元となった、古英語を話す宙の世界の人々。
最終章、とても楽しみにしています♪

待ってました!!

クラフくんの更新を♪
あぁ、ちょっとカーチスいい人じゃない。
クラフくんに合わせて、古英語で会話してくれたりして(^^)
自分の本当の世界へ帰っても、何かが起こる予感は大ですが、
彼が、味方になってくれそう?!

催眠ガスで、クラフくんをどうなっちゃうの??
オクトたちは、何をしようとしているんだろう???

続き、ドキドキしながら待ってます☆


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