08
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
   

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「宙の発明家」第三章一.変わらない②

●変わらない?2

クラフは夢を見ていた。
ミッキーマウスが、追いかけてきた。
捕まえられるとくすぐられてしまうのだ。うひゃ、と変な声を上げながら逃げ回って、おなかが痛いほど笑って、ぎゅ、と胸が苦しくなって立ち止まった。
すぐに追いついてきたミッキーは、背後からぎゅうと抱きしめて、でも、その手には銃があった。
震えた。
「何でミッキーはそんなもの持っているの!危ないよ!」
怒ってみたものの、ミッキーは笑顔のまま頭をかいて、首をかしげる。
「ダメだよ、危ないんだ!セキア、危ない…」

ぞく、と寒気を感じて目を開けた。
夢の余韻でぼんやりした頭。ピクリと無意識に動いた指先。ぎゅと握ってみる。
ほう、と一つ息を吐いた。
とたんに、ぱ、と室内が明るくなった。
白い壁、天井の全体が淡く発光していて、クラフは目の前にあるガラスのふたを押してみた。やっぱり、重い。あの飛行船の中じゃないんだな。

ふと、足を蹴り上げてみる。
こん、とガラスに突き当たる。裸足。あ、オレ、服着てるのかな?
やだな、裸かな?
手で探ってみた。かろうじて薄いシャツみたいなものを着ている。袖はない。裾が丁度膝の上くらいまである。

まわせるだけ首を回してみる。白い壁くらいしか見えない。
持ってきた荷物が気になっていた。どういう状況になるか分からないから、使えそうなものを持ってきたのだ。お気に入りの小さな「空の羊」号も。
人を実験に使ったくらいだ。何をされるか分からない。
また、ため息をついた。父さんの顔が浮かんだ。見覚えのある、青い瞳。正直嬉しかった。だから、余計に腹立たしかった。

「オレを、どうするつもりなんだろ」
ポツリと言った。
それに応えるかのように、こつん、と音がした。目を開けると、目の前に覗き込む人の顔。デアマンだ。クラフが笑いかけても、相変わらずにこりともしない。苦手な人間かもしれないとクラフは思う。

ふ、と体の上を覆っていたガラスのふたがスライドして消えた。
「目が覚めたかい?」

デアマンは少し丸い鼻、太い金色の眉だ。緑の目はくりくりとしていて、案外まつげが長い。少し赤ら顔で、鼻の頭がぴかりと光る。
「あの、ここは?」
英語で答える。

上半身を起こそうとするクラフを、デアマンはそっと支えた。
「君のお父さんの研究所だよ。大丈夫かい?心臓と肺の手術は終わったんだよ。新しいものに変わったんだ。もう、発作が起きることもない。こちらの大気に順応できるか確認を取るのに時間がかかってね。向こうは酸素が薄いからね、向こうの人間がこちらに来た場合は本来問題はないはずなんだ。我々が向こうに行くには、酸素マスクが必要なんだけどね。気分はどうだい?」

「少し、ふらふらする。でも、大丈夫。ねえ、父さんは?」
変なベッドから降りようとしながら、クラフは室内を見回した。
見知らぬ機械がたくさん並んでいる。

ぺたりと、裸足のまま床に降り立ち、クラフは歩き出した。白いそこから、デアマンに付き添われ、ぺたぺたと裸足のまま廊下を歩く。
「ね、父さんは?」
「あ、ああ。今、大事な会議中なんだ」
「ふうん。デアマンさんは会議に出なくていいの?」
「私は単なる助手の一人だからね。ここだよ、ここが当分、君の部屋だ」
廊下の一番奥、両開きの白い扉が、音もなく開いて、クラフは目を丸くした。

薄い水色の絨毯を敷き詰めた小さな部屋。
壁には猫の足跡の絵が書かれていて、腰くらいの高さで、点々と続く足跡から上は白、下はきれいなブルーに塗られている。

濃いブルーのブラインドが下ろされた小さな窓。その脇の棚には茶色いクマのぬいぐるみが置かれていた。その隣に宙で作ったデンワや「空の羊」号の100分の1模型。部屋の窓に向かって右側の壁にベッドが置かれ、ミッキーマウスのクッションと枕。ベッドのサイドテーブルは深い茶色の木でできていて、小さな白いランプが置かれている。
テーブルの下の棚に、絵本。

床にはたくさんの色とりどりのクッション。まん丸だったり、三角すい、円柱。ごろごろと無造作に転がっていた。ベッドと反対の壁には、机と本棚。本棚の中には、何かの全集だろうか、同じ背表紙のものが並んでいた。
机の脇に、クラフが作ったパンダバーが立てかけられている。ぺタッ葉ともえ球入りの箱も机の上に置かれていた。
クラフはほっと目を細めた。

「どうだい?可愛らしい部屋だろう?」
「うん。ボクには、ちょっと可愛すぎる気がするけど」
「十年かかるとは思わなかったんだ」
「え?」
「言っただろう?もっと早く迎えに行きたかったんだ。ただ、いろいろ事情があってね」
クラフはデアマンの丸い鼻をじっと見つめた。
子供に話すような口調。

「寂しかっただろう?もう、大丈夫だからね。あちらでは監禁されていたって言うじゃないか。怖い思いをしたね」
そういって、クラフの肩を優しくたたいた。

少し眉をよせて、複雑な表情のクラフを、ベッドに座らせると、デアマンは食事を持ってくるといって、部屋を出て行った。
扉は、デアマンの真似をしてその前に立って小さな黒いプレートに手をかざしてみたけど、開かなかった。取っ手のない両開きの自動扉。結局、自由ではないということか。

変わらない?3へ続く♪
関連記事
スポンサーサイト

ユミさん

ありがとー!
クラフくん、一人ぼっちです。でも、男の子だから。がんばりますよ!
今までセキアさんの保護の下だったけど、そろそろ、自立しなきゃですから!

kazuさん

セキアさん、kazuさんに呼ばれて、きっとドキドキしてますよ!
お父さん。宙の世界でもカカナくんやピーシくんのお父さんとのかかわりを描いてきたけど、いよいよ本命。なかなか、わかりにくい人ですよね、オクトさん。
みんなの願いに答えてくれるといいのだけど…

せつない

クラフくんが、「父さんは?」って問いかけるたび、
なんか切ないです~!!家族だから、信頼したいのに、
結局自由になれないんですね(>_<)

クラフくんの心臓と肺が新しくなって、また何か実験
するのかな…?

何がしたいのか、真相が分かるまで、ハラハラです!!

増えてますね

私もうつった人間です
むはー すみません、パクリまして(笑

ディズニーランド・・・・フロリダ・・・。
その象徴が、銃をもって・・・・。
あぁ、なんだか地上に帰れたのは、いいことなのか、悪いことなのか・・・。
忙しくてもなんでも、クラフ君の側にいて欲しいです、おとうさん。
夢で、セキア様を呼ぶ・・・。
セキア様・・・・。kazuも、セキア様を呼びます!!(殴

自由ではない、地上。
夢見ていた帰還だけに、この状況は寂しいですね。

コメントありがとうございます!

ホーリ先生
そうです、クラフくん。状況的に見ればかなりつらい。本人は平気な顔してますが…。
これから、彼はがんばれるのか…みまもってあげてください(><)

chachaさん
ミッキー、怖かった?ふふふ。クラフくんのフロリダへの思いの象徴ですから(^^)不安とかいろいろが混じっています。
お父さん、お母さん。感動の再会シーン、となるかどうか。
ハンカチ予報、当分は晴れの模様。まだまだ、楽しんでもらえるあたりだと…v-219

楓さん
むはー!!増えてます、増殖されていますよ(^^)
カーチスさん、そう、彼大切!ミッキーの夢は暗示になるのかどうか?そこまで深く考えてないかも…このバカ作者。
いや、みんな、セキアさんを危ない目にあわせたいのかしら、そう想像したらドキドキしたわ、そうしてみようかしら。期待にこたえるのも作者の役目。
セキア:やめろ…
じゃあ、クラフくんだな。
セキア:…クラフさまを危険にさらすよりは、私が…
なんてね。
うーん、朝から妄想走っちゃって…


むはむはー!笑

なんか僕の「むはー」が皆さんに伝染しつつあるような・・・笑
ま、いっか♪
で、銃を持って笑顔で返すミッキーと、ダメだ!セキア・・・これは今後の展開を暗示させるプロットなんでしょうが、そう思うだけに不安がよぎりますねぇ・・・
ああー、どきがむねむね~!!
・・・
えと。
クラフ君。ですね。はい。
結局地球に戻っても監禁なんですね。
しかもまだ向こうの世界の方が人としての温かみを感じたのでは・・・?
父親がそばにいるはずなのに、顔さえ出さない。冷たく開かないドア・・・嗚呼カーチス!せめてカーチスを呼んでくれぇぇぇぇ~!!!

むはー><

いよいよ!地上でのお話が始まりましたね!^^
もぅすっごく上手いです!らんららさんの描写にはいつも感動です!^^

最初、クラフの夢には私も思わずぞくりときました><
ミッキー、怖っ!!
また笑顔のままっていうのが怖さを増幅させますね(笑)
で、セキアの名前が出て・・・
ちょっと顔がほころんだと同時に、少し、寂しい思いもしました。
もう、側に居ないんですよね・・・。

帰ってきても、結局自由の身ではないクラフ。
お父さんもクラフの側に居ないし・・・
この後どうなるんでしょうか?><
ドキドキと同時に、そろそろハンカチいりますか??と聞いてみたり(笑)

おぉ~!

ついに地球でのクラフ君物語の始動ですね。ワクワクしますねェ!

父親との対峙、政府の政策と父親の立場、離れていた地球での今後、そして何よりも気になるクラフ君のお母さんの行方。
それらに取り囲まれたクラフ君の小さな胸の内・・・
想像するだけで、とってもドキドキしてきます。
もしもクラフが自分だったら・・・、と思うと胸が苦しくなってきます。
これからの展開、そしてクラフ君の言動が凄く気になりますぅ。
Secret

プロフィール

らんらら

Author:らんらら
のんびり小説を書いています
日記ブログはこちら♪

ランキング参加中です♪

クリック よろしく~♪

FC2Blog Ranking

最近の記事+コメント

FC2カウンター

リンク♪

小説ブログの皆様

カテゴリー

ブログ内検索

RSSフィード

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。