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「宙の発明家」第三章三.檻の中の狼③

らんららです。春です。眠いです。周りは花粉で泣かされています。
一人、風邪も引かず、花粉にも平気で、意味のない元気を振りまく私。職場では、「いずれ、私の免疫力を商品にして売り出したい」と豪語しております!絶対儲かる!
ご予約の方はお早めに…もれなく、副作用として「なんとか」がついてきます。語源は「~は風邪引かない」といういわれのあれです(^^)



●檻の中の狼3

気づいた時には、ベッドに横たわっていて目の前に、黒髪の白衣の女性が覗き込んでいた。
クラフは睨みつける。
額に手を置こうとする女性を押しのけるように、体を起こす。




「バカね!いい加減に子供じみたボイコットは止めなさい!だから、倒れるのよ!そんなことしたって、あなたの境遇は変えられないの。目が見えるようになるわけじゃないわ!」

少し、くらくらする頭を振って、クラフは、女性の向こうに立っているカーチスを見つめた。彼なら、わかってくれると思った。
協力してくれると。
それも、無理なのだろうか。

「クラフ、お前、まさか自殺したいなんて、思ってないだろうな?」
カーチスの言葉に、ローザは振り向いた。
そして、怖い顔でクラフを睨んだ。

クラフは、穏やかに笑った。
「それは、しない。違うよ、カーチス。ボクは他に何も、出来ないから」
「何がだ?」
「子供の頃に読んだ図鑑で、絶滅したオオカミの記事、読んだんだ。保護しようとしても、人の手から餌を食べない。飼育できずに、餓死していくんだ」
目を細めて穏やかな表情で話す少年を、二人は見つめていた。
「餌の問題とか、環境の問題とかじゃなくてさ。あいつら、きっと、それしか出来なかったんだ。食べないことでしか、人間に訴えられなかった。抵抗できなかったんだ。自由にして欲しいって伝えたかったんだ」
「!ふざけないでよ!君も同じだって言いたいの?そんなの、バカげてるわ!」
クラフの視線は本気だった。悲しげに眉を寄せて、ローザをまっすぐにらみつけた。
「ローザ!」
カーチスが嗜めるように女性の肩に手を置いた。
クラフは膝を抱えて、うつむくと、小さく丸くなっていた。
その後二人が何を言っても、話しかけても、視線すら合わせなくなった。
ローザが鎮静剤を用意しても、少年は無視したまま抵抗しなかった。クラフを眠らせると、点滴をつけた。

カーチスは、しばらくその寝顔を見ていた。
「これで、少しはよくなるはずね。よく、七日間も食べないでいられるものだわ。意地っ張りなのね。成長期なのに。あの、カーチス中尉、ありがとうございました。わざわざ来ていただいて」
ローザはカーチスに向き直ると仕事の顔になる。それを少し残念に思いながら、カーチスは言った。
「本当に、こいつの言うことの意味、分からないかい?ローザ」
「…分かっていても、私たちにはその権限がないわ。中尉、同情していては、この仕事は勤まらないの」
青年は、大げさなため息とともに肩を落とした。
「確かに、軍事目的の人工臓器の開発を手がける君は、実験体に同情なんか出来ないだろうし、君のそう言うところは嫌いじゃないが…」
ローザはきゅと唇をかみ締めた。
「本当に、クライフのことを、嫌っているのかい?」
「仕事です。私情は禁物ですよ中尉」
そこで、カーチスは面白そうに少し笑った。
「それにしては、君らしくないよ。…嫌いでも好きな振りしてあげればいいじゃないか。何だかんだいっても子供なんだ。笑ってやれば素直に言うことを聞くだろう?仕事ならなおさら、そのくらいの演技できるだろう?なぜ、出来ない。簡単だろう?」
「中尉の、それは、演技なのですか」
カーチスがにやりと笑った。
ローザは視線をそらすと、ケーキの箱を見つけて手に取った。
「これ、いただいていいのかしら?」
「…クライフに買ってきたんだよ。俺は、仕事じゃなくこいつを気に入っている。面白い子じゃないか」
ローザはぱっと顔を赤くすると、箱を乱暴に本の上において、出て行った。
カーチスは、ふと笑った。
優秀な心臓外科医。人工臓器の天才的開発者でもある。軍に属して研究していくには、あんなむき出しの感情は邪魔だったはずだ。子供相手に、彼女ほどの人が、なぜ感情を抑えられないのか。不思議な気持ちになる。
再び、ぐっすり眠る少年を見つめた。
「お前がうらやましいぜ」
ぽつりと言った。


ぴぴぴ。
変わった音に、カーチスは少年の眠るベッドの棚を見つめた。
薄いピンク色に光る、丸い物体が置かれている。
ずんぐりした豆のようなそれを、手に取ってみた。
にゅ、と棒のようなものが伸びる。

「お?…電話か?そういや、クラフこれに向かって何か話していたな」
形状から何となくそう思った青年は、耳に当ててみた。

「?ハロー?」
『クラフさまですか?』
聞いたことのある言葉、声だ。
「あんた、クラフのそばにくっついていた軍人だな」
カーチスは通話ボタンの存在を知らない。
それを押さなければこちらからの声は聞こえないのだ。

『クラフさま?聞こえますか?』
「だから、聞こえてるって」
『…心配しております。ブール候の葬儀が終わって、カカナ様が今こちらに来ているのですよ。ピーシ様とお二人で研究室にこもっていらっしゃいます…クラフさま?なぜ、私を避けるのですか!私とは、話したくないのですか?クラフさま…』
「切り方も分からんな」
そうつぶやいたとき、ぷつ、と通信が途絶えた。

カーチスは、まじまじと銀色のデンワを眺めた。
携帯電話よりは大きいし、重みもある。しかしそれは、紛れもなく電話なのだ。樹脂は使われていないようだ、ごく薄く延ばした金属で覆われている。よくみると、それが鍛えられて形を成しているのが分かる。手作り、か。クラフの寝顔を見つめた。
飛行機を造っていたといった。

こんな子供が、ろくな設備もないあの世界で造ったというのか。
室内に散らかる書類や本を見つめた。それらは、通常のこの年代の少年が読むようなものではない。学術書、研究著書、論文。大人でも単語の意味が分かるかどうかのタイトルが並ぶ。
自慢の息子、そう、オクトが言っていたのを思い出した。

「…BSAと交信できるって、おい、そりゃ、すごいことなんじゃないか?」
いずれ国交を持ちたいと考えている軍部にとって、その技術は重要だろう。クラフなら、向こうの設備を整えることが出来る。
これをオクトはまだ知らない。知っていれば、これをこんな所において置くはずはなかった。
デンワを持ったまま、きびすを返しかけた。

が、立ち止まる。
一つ息を吐いて。
デンワを元の場所に、そっと置いた。

「心配してくれる人の待つ、場所か」
唯一コレだけが、クラフとあの世界を結んでいる。取り上げてしまったら二度とクラフが笑わなくなる気がした。

檻の中の狼④へ続く♪
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ホーリ先生

お疲れ様です!
お忙しいみたいで、らんらら宗像先生のその後を知りたくてうずうずしているんですが。我慢してますよ!
本当に風邪も引かない、健康診断ではオールA。私ほど健康保険料無駄に払っている人間はいないってくらいです(^^)昨年は一度も病院にいかなかった…。
本当に、特殊な免疫をもっているんじゃないかと、時々思いますよ!
また、遊びに来てくださいね!コメント、ありがとうございました!

出張帰りのおっさんでっす!(ニカッ!)

風邪も引かず、花粉症もモノともせず、元気ハツラツのらんららさん、こんばんわ。
お久し振りです。
是非、らんららエキスを分けて欲しい今日この頃です。
出張で疲れ過ぎて、本日、丸1日夫婦2人で爆睡してました。
久し振りにPCを立ち上げ、いの一番にクラフ君の物語を一気読みさせて頂いています。
地球でのクラフ君の生活も宙とあまり変わらない、否、もっと過酷な運命が待ち受けている様相ですね。
でもローザと言い、カーチスと言い、良い人に恵まれてクラフ君は果報者ですね。
今後の展開に期待、大です。

こめんとありがとー!

ユミさん
そうです、カーチスさんは演技なんかしない人です(^^)
安心キャラです!
大丈夫!でも、あんまり、力もないけど…。いくらなんでもクラフくん、ちょっとつらい境遇なので、そろそろなんとかしてあげようかな…。
しばらくは、楽しく読めるはずです!

kazuさん
鋭い!その読み!kazuさんもカーチスさんと同じくらいやさしいのね!
彼がローザのこと気に入ってるのは、彼女のそう言う部分でもあります!カーチス、ローザ!この二人が、いなくてはクラフくんのこちらでの生活は成り立たないのです!!
うーん!
とにかく!
この後しばらくは幸せかみ締めてもらいますよ!ご期待ください!

chachaさん
セキアの電話、胸がすーすーしちゃいました?
それでも、何だかんだいって自分からデンワしてくるセキアさんも、かなり素直なお方です。黒猫さんもクラフくんの前では喉をゴロゴロしちゃうわけです(^^)
カーチスさんとローザさん。二人は、こちらの世界でのセキアさん。二人合わせて、かな?多分。
ローザさんの理由も、そのうち出てきます。
しばらくは楽しく読めるはずです!期待しててくださいね!

花さん
くーちゃんの幸せな未来…
思わず考えてしまいました。
幸せ…いやいや、いやいや。
大丈夫、ちゃんと幸せになる!多分…?
カーチスさん、そうですね、セキアさんと同じくらい、いえ、実はもっと頼りになる?
向こうの世界と、こちらの世界。それぞれ状況が違うから…。どうでしょうか。
ふふふ!

楓さん!!
そう!みんな大好き!カーチスさんv-344
て、楓さんプルプルしなくても(^^;)
クラフくんがセキアパパと話したくない気持ち、分かってくれました?
なんていうか、頼りたくないし心配させたくないって言うか、男のプライドって言うか?
って、なんでらんららが分かるのか?
いやそこは、スルーして。
何しろ十五歳。
オトコとしてがんばりたいわけです!
意地でも、頑として、美味しいケーキも食べないわけです!
パパには甘えられません!そう、帰るって決めたの自分だからね。
セキアの愛、むき出しです!心配してます!そう、言葉にしてしまう奴です!
(心配してますって言われたら、余計に心配かけにくくなるのにね…その辺はほら、リアルパパの楓さんは読んでる…さすが)
ここにきて、ポイント高いカーチスさん、次回からもっともっと、いいとこ見せちゃいますよ!
惚れても責任取りません!

あうあああ。

かーちす、好き。←え。汗
好き好きふぉーりんらぶ♡←(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
電話を手に部屋を出ようとしたときには、貴様ゴルァぶっ殺すぞぉ!!と思いましたが・・・かーちす好き♡←・・・
ところで、クラフ君、相変わらずひねくれたらガンとして食事拒否ですね。なんかセキアさんとのことを思い起こしましたよ。って、あ、クラフ君も思い起こしてる♪ですよね~。でも、今回はあの時とは根本的に異なる理由で絶食して居るんですね。それが分かるだけに、ローザさんも辛いんでしょうね。だから、仕事だと割り切れない。柄になく声を荒げてしまう。。。
それはそうと、
クラフ君がセキアさんと話したがらない気持ち、ちょっと分かるような気がします。クラフ君にとって、セキアさんって本当にお父さんのような存在なんでしょうね。何かね、あの年になると、妙に話せないって言うか・・・ね。
で、セキアさんはそれが悔しい!笑 そうそう、そこでセキアさんまで意地張っちゃって話さないで居たら、本当にこじれちゃうから、そうやって愛情むき出しにしてあげて下さい!!って、ああ、その電話、クラフ君じゃなくてかーちすが取ってるんですがぁぁぁぁ・・・かーちす・・・好き。←死ね。怒

セキアさんの露出が少なくなって、最近は専ら、カーチスさんにキュンキュンですw
こういう優しさ、好きだなぁ…。ホント、セキアさんそっくりっていうか、仕事は仕事でキチンとこなせて大人の分別もあるけど、クーちゃんの気持ちも理解してくれる人。カーチスさんが、こっちの世界でのクーちゃんのセキアさんになってくれることは、ほぼ確定ですねっ。
にしても、セキアさんを避けるクーちゃん…寂しくなっちゃうから?でも、セキアさんはあれで子供っぽいから、またすぐに勘違いして落ち込んじゃうよっ。
帰る場所。大切な人のいる場所。
クーちゃんの幸せな未来へ向けて、頑張れっ。

カーチスさん☆

いい人だ!^^
今、クラフにとって一番頼れる人物でしょうね☆
私もドキドキしちゃいました。
デンワを持って行っちゃうの・・・?><って。
でも、クラフのことを想って、置いていってくれた。
最高に大好きですね(笑)
「宙」でいうところの、セキアさん並に好きです^^ふふ。

ローザさんもクラフのことを真剣に考えているからこそ、の行動で。
冷たい、なんて言っちゃって悪かったなぁと反省してます@@;

カーチスとローザさんがクラフの要になりそうな予感!!^^
セキアのデンワ、切なくなって胸に風が通ったみたいにスースーしちゃいました。
大切な人達、クラフの帰る場所。
今後の展開もドキドキしながら見守りますね!^^

やっぱり・・・

ローザさんも、クラフ君に対して真剣なんだなって思いました。
お互いに騙しあって、うまく付き合っていければいい。
でも、そうできないローザさんの心を、感じました。
クラフ君、どんな状況下にしろローザさんとカーチスさんに守られてるんじゃないかなって。

セキア様。。。
クラフ君、そういえば前の電話でもセキア様と替わらなかったですよね。
もしかして・・、声を聞くと寂しいから・・・???
セキア様の嘆きが、とてもせつないっす・・・・。
そして、電話!!
よかったカーチスさんが、クラフ君を気に入ってくれていて!!
これをもっていかれたら、もう、クラフ君の支えがなくなっちゃう!!

良かった…

「中尉のそれは、演技?」とローザが聞いたときの中尉の反応。
一瞬、すべて演技だったのかと思い、愕然としましたが、そうじゃ
ないんですよね?!
「こいつを気に入っている」っていうのは、本心ですよね~?
そうじゃなかったら、あまりにも悲しい(>_<)

デンワを残していってくれたとこ…優しいです。
そう、クラフくんからたくさんのものを奪ったんだから、
最後の砦である笑顔は奪わないでほしいです!!

カーチスさん、クラフくんを守って☆
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