10
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
   

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「宙の発明家」第三章五.取引⑤

らんららです。
年度末です。忙しくなってまいりました。コメ返しとか遅くなるかもです…ゴメンナサイ(><)
更新だけは自動で、がんばります!!
ちょっと前から描いていたクラフくん。このシーンですね。


20070329074603.png



●取引5

ヴェデリット大佐が帰ると、クラフは広いリビングの大きなソファーにゴロンと横になって伸びをした。
遮光カーテンがされているので、薄暗い。シャンデリアのきらめきに、まぶしそうに目を瞬いて、少年は堅苦しいシャツの襟のボタンを二つほど外す。



「クライフ、二度とあんな真似するんじゃない。初対面の目上の人に、あの態度はなんだ?プレゼントを要求するなんて、私の立場をどう考えてる」
オクトは立ったまま腕を組んで、落ち着かない様子で室内を歩き回っていた。
「でも、一応、合格なんだろ?」
「何の話だ」
「本当はBSAの政治家の話とか、広さとかそんなのどうでもよかったんだ。だってあの人最初に言ったじゃないか、検証できない事だって。そんなの、聞いたって意味はないよ。ただオレを元大統領に会わせられるかどうか、確認しに来たんだろ?ってことは、一応、合格。そのご褒美がコンピューターってことだよ。大佐は途中から、逆にオレが試そうとしているって気付いていたし。父さん、鈍いよ」
「お前、ふざけるな!」
「オレは適任かもね。だってさ、デビット・ニービアさんに、会ったことあるんだ。覚えてる?父さん」

オクトは顔をしかめた。
「…いや」
「ふうん。かなり、大きく報道されたはずなんだけど。オレが三歳の時、母さんが受けさせたなんかのテストで、すごくいい点数だったとか言ってさ、ほら、話題になっただろ?その時に、当時の大統領だったニービアさんが、家に来たんだ。
握手してもらってさ、少しお話したよ。テレビにも出たんだ。本当に、覚えてないの?」
「ああ、それに、向こうだって覚えてないさ」

「ふうん。そうか、そういうものかもね。でも、オレ、大佐にちゃんと話しただろ?向こうの政権のこと。だから、父さん約束果たしてくれなきゃ。家に帰る。母さんに会う。オレ、無茶なこと言ってないと思う」

伸びをした手をそのまま天井にむけて、指の間から見えるシャンデリアを、ちらちらさせてみる。目の訓練になるのだ。
「だめだ」
「帰る」
「自由にはなれないんだよ、お前は」

高圧的なオクトの態度に、クラフは顔をしかめる。言うべきじゃないかもしれない、でも、我慢できない。
「じゃあ、協力しない。オレ、分かってるんだ。現役大統領の父親に媚を売るのは、今の父さんの研究やこのプロジェクトがまだ、認められていないってことなんだ!」
大佐の申し出と父親の様子、現在の飛行技術。総合して、判断した。
当たっているはずだ。
オクトは苦い顔をした。やはり当たっている。クラフは確信した。
極秘プロジェクトだとしても、空軍内での重要度は低いのだろう。だからクラフはあんな小さな研究所に押し込められている。本来ならもっと警備の厳しい基地内に移送されてもおかしくなかった。

「大佐はああ言っていたけど、現実にBSAに軍隊を送り込むことなんか出来ないんだ。許可されないし、不可能だ。通常の方法でアピールしても、大統領はうんと言わないんだ、だから、こんな回りくどいこと」

頬を殴られた。
「黙れ!」
オクトは寝転んでいるクラフにのしかかって、数発殴った。
クラフはともすれば十二、三歳に見える。二人の古英語の会話は分からないものの、一方的な喧嘩を見かねてSSの一人が、止めに入った。
興奮してオクトは英語で怒鳴り散らす。

「生意気な!お前は昔から、本当に生意気だった!覚えてない?覚えているさ!
たかが知力検査で最高指数だったからってなんだって言う!天才だの神童だのもてはやされて、お前は憎らしい子供だった!クレアは、母親はお前に何でもかんでも教え込もうとし、いつもお前に夢中だった!私が研究で苦しんでいる時も、彼女はお前のために奔走していた!挙句の果てに、私より才能があるなどと言い出しおって!
お前に自由など与えない!分かったな!」

息を切らせて、オクトは部屋を出て行った。

クラフは、納得した。
どうして、自分が実験に使われたのか。
どうして、母親に会わせてくれないのか。
きっと、死んだことにでもされているのだ。

切れた唇をティッシュで拭いてくれるSSの手を振り切って、洗面所に向かった。口をゆすぐと赤い液が流れる。鏡の中の自分を見た。
そして。
逃げ出すことを決めた。実行するなら、パーティーとやらの最中だ。


会場は、同じホテルの別棟のレセプションルームだった。
部屋を出たときには、クラフはもらったばかりのパソコンの大きな箱を抱えていた。
「置いてきなさい!」
「いやだ!」
喧嘩しながらエレベーターの前に立つ父子を見かねて、あの気の優しい客室係が提案した。
「どうぞ、クロークでお預かりしますよ。レセプションルームの右側にもうけてありますので、お帰りのさいにお立ち寄りください」
「!ありがと!お兄さん、なんて名前?」
「スミスです」
「分かった!ヨロシクね!」
少年は、昨日までショーウィンドウに並んでいた高級ブランドのスーツに身を包んで、にっこりと笑った。ネクタイが年齢に似合わず背伸びしているようで、余計にかわいらしく見せる。
隣に立つ父親に手を差し出した。
「なんだ」
不機嫌に睨むオクトにクラフは口を尖らせた。
「チップ」
ふん、と鼻息も荒くオクトは財布を取り出す。
「たくさんだよ、さっき部屋にも置いてこなかったじゃないか!」
そういうと、クラフはオクトが取り出そうとした札をまとめて掴み取った。
「この!」
殴られそうになって、大人しく返した。
不可思議な親子に、青年は心配になった。職業柄いろいろな人間を見るが、どうも、普通の親子ではなさそうだ。ただ、喧嘩している、仲が悪い、それ以上の確執を感じ取った。
金持ちだからって幸せじゃないんだな、そんな思いがため息になりかかるのをかみ殺して、スミスは重い箱を持ったまま、二人を会場に案内した。少年はきょろきょろと珍しそうに周りを見まわす。年齢の割りにあどけない、物慣れない仕草なのは、やはり金持ちのお坊ちゃまというところか。



HOME①へ続く♪
関連記事
スポンサーサイト

chachaさん

コメ返し遅くなってゴメンナサイ!!
ふふ!オクトはそんな奴です!小さい小さい(笑)殴ってやってください!!
いえいえ、chachaさんが殴る価値もないほどの小さい奴です!!

カーチスさん、期待に添えるといいなぁ…でもかなり現実主義だからなぁ…v-404
スミスさん。何て平凡な名前なのに、期待されているんだろう(笑)たまには、こういう大人しい人も必要かと…(ぜんぜん、役に立たない感じでしょ?どうしようこの人…ドキドキ…)

う~ん!

オクトはクラフくんに嫉妬してるっぽいですねー。
クラフくんの才能に…。
お母さんが、クラフくんに愛情を注いでいて、自分に目が注がれ
なかったから??

オクト子供…。
クラフくん、冷静に今のペースで、やっていこう^^
クラフくんのほうがうわてだよ♪

私も^^

や~いや~い!オクトめザマーミロ!><
クラフには勝てないぞ、おまえなんか!ふん!(笑)

そうか、オクトは小さなクラフに嫉妬してたんですね。
実験台にしたのも、そんな嫉妬心から・・・
ムカー!!!><
本当、最低ですな!(怒)
イラストのクラフ、うぅ~><可哀相だよ~!!
殴られた後のクラフですよね?
ごめんなさい、涙目のクラフのイラスト、あまりにも素敵すぎでちょっとキュンとしました(笑)
いやいやいや、それはおいといて・・・
このぉ!オクトめ!私が出ていって殴り返してやるわ!おぉ!(笑)

スミスさん、いい人ですよね^^
楓さん、kazuさんが言うように、名脇役なるか!?
ドキドキです><
どうかクラフを助けてあげて~!カーチスさん!!
あ、まだ出てきてなかったか(笑)

kazuさん

ええ、オクト、バカっぷりをさらけ出しましたよ!クラフくん、ついに決心しました。こんな奴らに付き合ってられない!
さて、クラフくん、逃げ出せるのか!どこへ逃げるのか!カーチス、スミス。彼らは使えるのか?楓さんが満足する、名脇役になれるのか!!
むふーーーv-391
ご期待ください!

楓さん

わははは!
嬉しそう!!楓さん、クラフくんがんばりますよ!喜んでいただいて嬉しい♪
息子に嫉妬する父親!って、あると思うんです!きっと!特にこういう自分を「天才」といって自慢するタイプは!頭はよくても感情に翻弄されて「賢く」はない。精神年齢は子供並。その分、大佐は賢いけれど天才でもない。
クラフくん、二人の上をいけるのか?
うーん!どうだろう!
スミスさん。名脇役!どうだろう?むむ?使えるのか、この人?

ぶふっ(笑

楓さん、面白すぎ・・・・(笑
バーカバーカッて・・・
でも。
ざまーみろ、オクトーーーv-8
やっぱりさらけ出した!
自分より上を行くクラフくんを嫉妬して、その上でおいていったんだ!
宙に。
クラフ君、ほんと天才だなぁ。
凄いです。
PCをもっていくとだだをこねた、クラフ君。
スミスさんの名前をちゃんと聞いて覚えた。
逃げ切れるか!!
そして、どこに逃げるのか!!!
カーチスさーん、助けてあげて~

イラスト、みてたらなんだかクラフ君をぎゅっとしたくなりました。
殴るなんて!やっぱり殴った!
オクトのおばかーっっ!!
頑張ってるクラフ君。
幸せになってほしい!!

逃げろ!メロス!!←ん?

おっしゃあぁぁぁああっ!!
やったらんかいっ!
いわしたらんかいっ!
バーカ!
バーカッ!!
オクトのブァアアーーーーカっ!!
・・・
取り乱しました。汗
嫉妬
これなんですね。きっと。
天間博士は、あろうことかたった5歳の息子に嫉妬していた。だから、全てを取り上げ、死んだことにまでして、実験台としてBSAに放り込んだ。
鬼畜ですね、鬼畜。
もはや人の皮をかぶった鬼悪魔←そこまで言うか・・・
鬼?
悪魔?
いえいえ、鬼悪魔(オニアクマ)です。←何この解説?笑
スミスっ!!!!!
あにゃたが後世語り継がれる名脇役キャラになれるかどうかは、この一件にかかっているんですよ!!何としても・・・何としてもクラフを逃がし、たーたんの元へぇぇぇぇええええええ!!!!!
Secret

プロフィール

らんらら

Author:らんらら
のんびり小説を書いています
日記ブログはこちら♪

ランキング参加中です♪

クリック よろしく~♪

FC2Blog Ranking

最近の記事+コメント

FC2カウンター

リンク♪

小説ブログの皆様

カテゴリー

ブログ内検索

RSSフィード

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。