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「宙の発明家」第三章六.HOME①

●HOME 1

会場の周辺はそれらしき正装の大人でいっぱいだった。その中を、ちょこまかと縫うように歩くクラフを、オクトは何度も見失いそうになる。
SSたちも、立食の会場で早足でクラフを追いながらウェイターとぶつかりかけたり、見失ったと思えば後ろからクラフにわっと驚かされて、隣に立つ人が持った皿の料理をこぼしかけたり。
平静を装いつつも、皆イライラしながら常にクラフに気を配る。




「また、どこに行ったんだ!あいつは!何で捕まえておかないんだ」
オクトは小声で部下に八つ当たりする。
「チキンが気に入ったようで、ほら、あのあたりに先ほどもいらっしゃいました」
SSは少々うんざりしていて、少年のいる辺りを指差す。そこではクラフが両手で持ったチキンをおいしそうにほお張っている。睨みつけているオクトに気付いたのだろう、にこにこしてチキンを持つ手を振った。
会場内は子供がほとんどいなかったので、クラフは目立った。
オクトの隣に立つ女性が、クラフに気付くと、くすくすと笑う。
「息子さんですか?可愛らしいですわね」
女性に視線を移しかけ、オクトは視界の隅で、クラフが振り回したチキンがぽろりと骨から外れて、隣に立つ男性のスーツを汚したのを確認した。
「あ!」
慌てるオクトに、隣の女性は首を傾げる。
「どうかなさいました?」
「私が行ってきます」
SSが一人、慌てるオクトをなだめて、クラフのいる方に向かった。
「大丈夫ですか?」
「あ、はい、悪戯ものでして」女性に愛想笑いを振りまく。

SSとクラフとの間には、料理の楕円のテーブルが二つほどある。
途中、シャンパンを運ぶウェイターをうまく避けると、男は少年の金髪を探した。
チキンの皿のあるテーブルには、先ほどの折れたチキンが転がっていた。
「君!あの子供は君の連れかね!この服をどうしてくれるんだね」
恰幅のいい東洋人が、男の腕をつかんで怒鳴った。
「子供はどこに?」
慌てて見回すが、やはりクラフの姿はない。
「知らんよ!この人ごみじゃ、あんな小さい子はどこに紛れてしまうか!まったく」
SSは厳しい顔になって、腕を引く男にかまわず、内ポケットから無線を取り出す。
その仕草に、東洋人の男は何を勘違いしたのか、悲鳴を上げた。
「銃だ!警備員はどこだ!」

騒ぎが静まった頃、クラフはすでにクロークで荷物を受け取っていた。
抱えてトイレに駆け込むと、中身を確認する。
箱の中には、パソコンと、それを入れるためのバッグ、デンワ、帽子、サングラスが入っている。ポケットには札を数枚忍ばせていた。先ほどのチップをくすねたのだ。箱はトイレに置いたまま、パソコンのケースを持って帽子をかぶり、クラフはそっと、非常口から抜け出した。
デンワは首に下げ、胸元できらりと揺れた。
非常口の外は裏通り。それでも、車通りが激しくて、思わずクラフは身を縮めた。既に夕暮れ、重い色の雲のせいでかなり薄暗い。冷たい風に何度も瞬きした。
「あれ?君」
スミスだった。
外で、タバコを吸っていたのだ。休憩中らしく、帽子を取って、プラチナブロンドが変なくせになって額に落ちて、若く見えた。クラフは青年を認めるとその手をとって、タクシー乗り場の場所を尋ねる。怪訝な顔をする青年に、少年は真剣に頼み込んだ。
「あ、あの!ボク、行きたいところがあるんだ、タクシーに乗りたい」
どうしても、英語は少し幼い口調になる。
「お父さんは、どうしたんだい?」
「いいんだ、ボクはお母さんに会いに行くんだ!お父さんは会わせてくれないから、だから」
スミスは慌てた様子の子供を、なだめようと肩に手を置いた。
「もう、暗いから危ないよ、一人ではだめだよ」
「あ!」
ちょうど、通りかかったタクシーをクラフが手をぶんぶん振って呼び止めた。
「え?だめだよ!こら!」
スミスは乗り込むクラフを止めようと、後に続いた。
「ちょっと、君、降りなさい!」
そう言うスミスの向こうに、SSの姿を見つけて、クラフはスミスの体を引っ張る。
ドアが閉まった。
「おい!?」
「セレブレーションコミュニティーに!大至急だよ!」
クラフがとりあえず手に取った札を渡し、運転手はさっと受け取ると車を出す。
「ちょっと、今の、百ドル札じゃなかったかい?ここからなら…」
「へい、セレブレーションコミュニティーですね、大急ぎで、っと」
運転手は聞こえないふりをする。
何か言おうとするスミスの膝の上に顔を伏せるように、クラフはしがみついた。
「え?」
「黒い服の男、ついてくる?なあ、見てよ、ほら、追いかけてくるかどうか!」
伏せたままクラフは青年の服を引っ張った。
車が動き出す。スミスは内心あせるが、すがりつく少年を引き離せない。
「君、いったい、なんなんだ?」
少年はのぞこうと少し顔を上げて、また、びくっと姿勢を低くする。
クラフはスミスにしがみついたまま、言った。
「ボク、クライフ・ロイズ。お父さんから逃げてるんだ。お母さんに会いに行く」
「なんだ、大変だな、離婚でもしたんだろ?多いよなぁ、なんてったって子供がかわいそうさね」
運転手がのんびりとした声を出す。
「もう大丈夫さ、ボウズ、後ろからついてくる車はないよ」
「ありがとう!」
「こりゃまた」
クラフが前に向き直って座ると、ルームミラーの向こうで、丸顔の運転手は少し驚いた顔をした。
「なに?」
クラフは、改めて車の中を嬉しそうに見まわす。
「いや、ボウズ、子役さんか何かかい?その格好といい、見てくれといい、さあ」
「子役?」
「ああ、そういえば、女優のリンダに似ていますね」
スミスがなるほどという顔をした。運転手も相槌を打つ。
「…どうでもいいけど、子役と女優関係ないぞ」
顔をしかめるクラフに運転手が豪快に笑った。
「そりゃそうだ」
「そうですね、確かに」
スミスは少し照れくさそうにしている。


HOME②へ続く♪
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楓さん♪

いらっさいまし!
朝から微妙なテンションのらんららです。
チキン、好きですね、くーちゃんは。ディズニーでもそればかり食べていました(^^)
彼は三食でもオーケーですよ♪何せ男所帯に長いですから(笑)チキンなんて滅多に食べられなかった!
セキア:「…チキン?私は嫌いです!なにせ、あの羽をむしるところが面倒くさいのと皮のぶつぶつですね!あれは食べ物じゃないんですから。ダメですよ、クラフさまにそんなもの食べさせちゃ!!v-374

脱出!!

このどさくさを演出したのもクラフ君ですね。
やるな。さすがっ!!!
チキン・・・好きですね。僕も。
三食チキンでも・・・いやそれは無理か。笑
さてさて、このまま捕まることなく無事お母さんの元へたどり着けるのか・・・どきどきですね!!
僕の方は一段落しそうな感じですが、今度はこっちがいよいよ盛り上がってきたぞ!!!
てなことで、続き続き~♪

コメントありがとうです!!

コメがえし遅れてゴメンナサイ!!

kazuさんv-345
やっと、クラフくん動き出しました!
どうなるんでしょ…お母さんに会えるのか。むむー。
ずっと、会いたかったお母さん。クラフくんの切なさはもう、目いっぱいですねきっと!がんばれるのかな、一人きりで…。
応援してあげてください!!

花さんv-345
ありがとう!!
そうなんです、オクト。全快殴られて痛い思いしたけど、決心が付いてよかったですよ!あ、よかった、多分?
おっと。
あんまりいえませんね。
では、続きをどうぞ!!

ユミさんv-345
一個一個にコメ、本当に嬉しい♪ありがとう!!
みんなの期待を背負ったスミスさん。あんまり、こういうキャラは書かないんだけど…役に立つかな…?
うむー。
あんまり期待されているから何かさせないと、かな?どうかなぁ?
ふふ。
オ、次にも、コメ下さって♪
ありがとうございます!!

やった!!

クラフくん、脱出成功!!
オクトたちがあたふたしてるの想像すると嬉しくなっちゃう♪
きっといろんな手段を使って、追いかけてくるんだろうケド…。

スミスさん、ちょっと可愛い♪
無事クラフくんをお母さんのもとへ連れて行ってあげてください。
お母さん、クラフくんの味方してくれるといいな~~。
無事に会えます様に!!

オクトの厳しい態度に納得…だから余計許せない!自分の勝手にクーちゃんを巻き込むな!
そしてクーちゃん、脱出成功!?スミスさん、後は宜しく頼みます。皆の希望の星ですから、彼w
それからお母さん…もしかして、有名な女優さん??その面影がクーちゃんに?
早く会えるといいなぁ♪
では、続き楽しみにしています!

クラフくん!!

クラフ君やった!!
脱出成功!
100ドルを運転手に・・・、ある意味協力してくれそうで、いいチップだったかもですね。
外の人は、クラフ君のこと知らない。
ただの両親のいざこざに翻弄されている、子供にしか見えない。
いい感じにスミスさん、いてくれましたね!
とても人のよさそうな、スミスさん♪
かれはいい人!←断定
いい人と、おいらは思います!
そしてお母さん!
クラフ君の才能を含めて、クラフ君を愛していたお母さん!
再び!優しくして上げてください~
クラフ君を優しく受け止めてくれるはずの、唯一の肉親。
親子の情をクラフ君に感じてもらいたいです。。。
続き、楽しみに待ってます。

おぉっと!!?

つ、ついにクラフ逃亡成功!?
やった!やったぞ!!そのまま逃げ切ってお母さんのもとへ行っちゃって!><
これからのお話、「HOME」となってますので・・・
やっぱり自分の生まれ育った家に帰るってことですよね??^^
お母さんに無事会えるのかな!?
ずっと出てきてなかったから、どんな人なのかドキドキします!
う~ん、オクトが言ってたように、今でもどうかクラフの味方でありますように!><
あ、でも死んだことになっているんでしたっけ?@@;
あぁぁぁ、再会はどうなるんだろう??><

そして、スミス!強引に引っ張られちゃいましたね(笑)
いやいや、スミスにとってもこれは何かいいチャンスかもしれないよ!^^
クラフに気にいられて、「おまえも宙へ行こう!」なんて言われるかもよ!(笑)
そうなったら・・・セキアがまた怒るかな@@;アセアセ笑
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