10
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
   

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「宙の発明家」第三章六.HOME②

●HOME2

レセプションルームのパーティーは、東洋人が銃を誤認して騒いだことをのぞいては、これといって問題もなく、順調だった。
「やれやれ、東洋人は相手がSSかどうかも分からんのかね」
白髪の背の高いがっしりした体躯の老人が、小さな丸い眼鏡の下の目を瞬いた。




傍らに立つ男性が、こちらもがっしりした、どちらかというと何かで鍛えた不自然に盛り上がった肩を揺らして穏やかに笑って答えた。
「そうですね、ニービアさん。東洋人は我らの顔を区別できないと聞きますよ」
ヴェデリット大佐だ。
今は空軍の正装で、胸には鷹のマークをあしらった徽章が光る。
「そういえば、君はまだ、あれにこだわっておるとか」
「はい。先ほど、十年滞在させた子供を連れ帰りましてね」
「ほう!」
興味深そうに見つめる元大統領に大佐は満足げだ。
「多少、体の成長には遅れが見られますが、おおむね、問題なしの結果が出ましてね。言葉も、十年前に録音したものを分析したのですが、十分通用したとのことです」
「それは、このくらいの身長の、金髪の男の子かな?」
「!?ええ、ご存知ですか?」
「ああ、声をかけてきたのだ。クライフ・ロイズくんというのだろう」
「ええ…」
大佐は、首をかしげる。パソコンをもらって積極的になったのだろうか。
ニービア氏は短いひげの残るあごをなでた。
「美味しそうにチキンをかじりながらね、私に言ったのだよ。『BSAを放っておいて欲しい。三人乗りのボートに、四人乗ったら沈むんだ』と」
「!」
「わしが、何のことかと尋ねたら、今に分かると笑って、走っていってしまった。君の、提案のことなんだろうね」
ヴェデリット大佐は、眉をしかめ、怒りに顔を赤くした。
その様子を、ニービア氏はじっと見詰めていた。
「まあ、いずれ、息子に伝えておこう。判断は、あれがするのだ」


ホテルの一階。ロビーの周辺はレストランに来る客で混雑していた。
黒いスーツ姿の半分白髪の混じった男が、イライラとラウンジの入り口付近で行ったり来たりしていた。そこに、空軍の礼装で大佐が近づいた。
「まだ、見つからんのか」
あごに手を当てて眉間にしわを寄せていたオクトは、ヴェデリット大佐の姿を認めると、ため息を一つついてそれに答えた。
「申し訳ありません、私の落ち度です。あのバカが、まさか直前で抜け出すとは。捜索の手配は終わりました、数時間のうちには捕獲できるでしょう」
大佐に促されて、オクトもラウンジの一角、黒い丸テーブルを囲むソファーに腰をかけた。
「私に、なぜ言わなかった」
「は?」
オクトは大佐の表情が厳しいことに気づく。
「クライフは、ニービア氏と面識があったそうじゃないか」
「あ、いえ、子供の頃のことで…まさか、ニービア氏が覚えているとは思えませんでした。…まさか」
大佐は、腕を組んで、寄ってきたボーイにコーヒーを二つ頼むとオクトをにらみつけた。
「クライフが、ニービア氏に言ったんだそうだ。あの世界を放っておいて欲しいと、『三人乗りのボートに四人乗ったら沈む』とね。意味がわかるか?君は」

オクトが眉を寄せた。
「やはり、わからんか。あの子供は何を知っているんだ、君はあの子から何も情報を引き出していないのか?親子だろう?」
呆れたような大佐の視線に、オクトは顔をしかめた。
「は。申し訳ありません。しかし、あんな、子供の言う事、お気になさるほどのものではありませんよ。どうせ、はったりでしょう」
「はったりでもな、大統領がそれを真に受けたらどうする」

オクトは黙った。
「ニービア氏は、クライフに興味を示している。いずれ、大統領にその話は伝わる。私はペンタゴンに戻る。お前の研究を支持してきた私の立場も考えてもらわねばならんな。お前は、クライフのなぞなぞを解け。それが出来なければ、君の研究は終わりだ」
「しかし!」
「君に選択権はない。君の代わりになる科学者などいくらでもいる。だが、BSAを体験したのはあの子一人きりだ。いいな、急ぐんだ。何をしてもかまわん。いいかロイズ博士、理由はどうであれ大統領が興味を示せばこれはチャンスだ。逃す法はない。そうだろう?」
オクトはテーブルに置かれたコーヒーに視線を落とした。
「はい」



冷たい雨が降り出していた。
二人はタクシーを降りたが、スミスをふたたびホテルに送り返すために、運転手はしばらく待っていてやると言って、車を路肩に停めると自分も降りてきた。
帽子をかぶり、寒そうに上着の襟を引き寄せる。
「あの、ありがとう」
金髪に水滴を光らせながらクラフが笑った。
嬉しいのだろう、タクシーの中でも始終笑顔だった。
「ここかい?」
三人は、セレブレーションコミュニティーという住宅街の一角にある、さほど大きくない家の前に立っていた。



HOME③へ続く♪
関連記事
スポンサーサイト

いらっさいまし!!

楓さん♪
3,4?はて、なんのことやら…v-413
神様…いえいえそんなぁ…きっと後日その言葉、撤回したくなる…かも?
おっと。まー様ショックほどではないはず!ええ、らんらら、基本善人です♪

kazuさん
嫌われていますね、オクトさん!
ええ、らんららも大嫌い。
でもくーちゃんにとっては、やっぱりお父さんなんですよね…
さて、どうなるでしょ?
ふふ。
っと、怒られないうちに、コメ返しをしておこうという魂胆です!!

むむん・・・

オクト、ざまーみろーv-8
・・・つくづく、オクトさんに恥をかかせたいkazuです。
あぁ、大佐もやっぱりオクトさん側の方でしたか;;
立場。
オトナはいろんな立場がありますよね。
大佐は・・・オクトさんは、その立場にい続けるために、・・・・・クラフ君を懸命に探すでしょうね。
そして、自分達の目的の為に・・・・。
クラフ君、お母さんがクラフ君の味方になってくれて、そして、はやくクラフ君が宙に戻ることを願います!!!

うんうん気になるです。

あの謎かけは気になりますよね。
単に身の丈にあった事をしないと痛い目を見るというだけではなさそう。もちろんBSA侵攻と関係あるのでしょうが、3、4と言う数字にどういう意味があるのか・・・それとも、無いのか・・・
うーん。
僕は謎解きが大の苦手なので、ここは黙って更新を待つしかないか・・・汗
ニービア氏・・・
そうですね。僕も彼がクラフ君にとって最大の味方になってくれることを切に願っています!!ね、ねっ神様仏様らんらら様!!←パクリ(笑

コメントありがとです♪

chachaさん
ええ、ええ!さすが!!いい読みです(^^)
ニービア氏、重要ですね!
大教皇様…懐かしい…きっと祈ってますよ彼も!クラフくんが無事にお母さんに会えることを!!
ボートの問いかけ…気になってもらって嬉しい…もうちょっとひねりたかったのだけど、分かりにくくてもいけないですからね。
これは、この後の鍵ですから!重要なアイテムにしまっておいてくださいネ♪

ユミさん
こちらにも!コメントありがとうございます!
ふふ、「東洋人」に対する偏見って、やっぱりあると思うんですよね。今回はまさにクラフくんにとって便利な人だったわけだけど(^^)
ボートの謎…重要アイテムです!クラフくんがここで彼にそれを言う理由。
いずれ、明らかになりますので!
更新だけはなんとかしますので!待っててねー(><)

大佐の、「何をしてもかまわん」って言葉…なんかイヤ~な感じ。
クラフくん、連れ戻される前にお母さんに会えたらいいね♪
お母さん、どうかクラフくんを分かってあげて欲しいな~~。

東洋人が、金髪の方たちを見分けられないのって、頷けます^^;
欧米の映画観てると、日本人役って中国人が多いですよね。
逆もたくさんあることを思い出して、ちょっと笑ってしまいました♪

さてさて、クラフくんの台詞。わたしも気になります。
どういうことなんだろう。
「三人乗りのボートに、四人乗ったら沈むんだ」

続き楽しみにしています♪

ニービアさんは

宙でいうところの、大教皇さま、かなぁと^^
うんうん、この人はきっとクラフの味方になってくれそう!直感ですが(笑)

そして、まんまとクラフに逃げられたオクト。
大佐からのお怒りの言葉。
こんなこというとアレですが、何て気持ちがいいんでしょうね~(←いぢわる?笑)
さすがにオクトもおろおろしてますが(笑)^^

クラフの言った「三人乗りのボートに四人乗ったら沈む」という謎かけ。
これは一体どういうことなんでしょう??
私も一緒に眉をひそめましたが(笑)むむむ??
でも、何か大切なことを伝えようとしてる感じがしますが・・・

クラフはとうとう、我が家に戻ってきましたね!^^
お母さん、いるのかな?
クラフをどう迎え入れてくれるのか、ドキドキしながら続き、楽しみにしています~☆
Secret

プロフィール

らんらら

Author:らんらら
のんびり小説を書いています
日記ブログはこちら♪

ランキング参加中です♪

クリック よろしく~♪

FC2Blog Ranking

最近の記事+コメント

FC2カウンター

リンク♪

小説ブログの皆様

カテゴリー

ブログ内検索

RSSフィード

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。