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「宙の発明家」第三章七.隠し事①

●隠し事1

基地に車が滑り込む頃には、クラフは寒気を訴えてぐったりしていた。雨に打たれて、風邪でも引いたのかもしれない。大切そうにデンワを握り締めている少年に、カーチスが声をかける。
「クライフ、ついたぞ」
「…」
だるいのだろう、返事はない。
何本目かのタバコをもみ消して、カーチスは研究所の正面に車を停める。




待機していたローザと白衣の研究者たち、警備員、そして黒服のシークレットサービスたちが駆け寄り、扉を開ける。車内に響く雨音がいっそう激しくなる。
カーチスが傘をさして、車を降りる頃には、クラフの姿は建物の中に消えていった。
ローザがいてくれる。
それほど、ひどいことにならないといいが。カーチスは短くした金髪をカリカリとかきむしった。
いっそ、どこかに連れ去れたなら。
自らのバカな考えにふと嘲りの笑みを浮かべて、青年は頭を振った。
軍属の青年に、出来ることではなかった。

オクトの姿を見つけて、カーチスは近寄っていった。
オクトは部屋に連れて行かれる少年を、睨みつけるようにして見送っていた。
声くらいはかけたのだろうか。
カーチスの前を塞ぐ丸い男がいた。警備員のビイだ。
カーチスは心配そうに立ち尽くしてクラフを見送るビイの肩をぽんと叩いた。
「ああ、カーチス、大丈夫なのかあの子」
「風邪だろ。…ま、それ以上に今は、つらいだろうが」
その声を耳にしたのか、オクトがこちらを睨んだ。
「博士、墓地で、保護しました」
カーチスがわざとゆっくり話す。
クラフは母親の死を知ってしまったのだと。そして、自分は捕獲したのではない、保護したのだと。青年の嫌味をロイズ博士が理解できるかは別として、カーチスはそのくらいしなくては気がすまなかった。そして、運転手ともう一人については、記憶の隅に追いやった。そう、名前すら知らないのだ、報告する必要もない。


黙って頷いた博士から離れて、カーチスはクラフの部屋に向かった。
入り口に立つ二人のシークレットサービスに敬礼して、入る。
クラフはベッドに横たわっていた。眠っている。
ローザが何か点滴のようなものの準備をしていた。
「ローザ」
女性は、背を向けたまま、言った。
「聞いたわ。熱にうなされながら、クラフが、…お母さん、って。どうして死んだのって」
語尾が震える。作業をてきぱきと進めながらも、ローザの肩は小さく震える。
「なぜ、…ねえ、どうして、そこまで犠牲にしなくちゃならないの?」
「…さあな」
カーチスがローザの肩をそっと抱いた。
一度、自分の子供と重ねた少年に、同情せずにはいられないのだ。ローザも、一人の母親なのだ。
「しばらく、面会謝絶にでもしようかしら…たとえ、父親でも、ね」
「無理すんなよ」
カーチスが優しく背をなでた。
彼女もまた、軍属だ。

二日後に起き上がれるようになったと聞いて、カーチスがたずねてきた。
本人は、青い顔をして、それでも美味しくないと文句を言いながら、スープをすすっていた。退屈なのだろう、ベッドの上には買って貰ったというノートパソコンが置かれ、室内に無造作に積まれていく本も増えていた。
「お前、これ全部読んだのか?嫌がらせに要求してるんじゃないか?」
カーチスがあきれる。
「違うよ、ちゃんと読んだ」
「嘘つくなよ、これなんか、辞典だぜ、なんだ?おい、こりゃ、教本じゃないか!へえ、懐かしいな!」
カーチスは空軍の士官学校で使っていた、航空力学の教本を見つけて、目を輝かせた。
「あ、そうか!カーチスも一応、空軍のパイロットだったな」
本当に今まで忘れていたかのような少年に、カーチスは苦笑いする。
「お前、わかってねえなぁ!もとサンダーバーズ※のメンバーなんだぜ。BSAまで飛べるの、俺くらいしかいないんだぜ?」
「バカっぽいのに」
「なんだ、お前、最近やけに口が悪くなってきたな?甘えてるんだろ?」
「何が!」
「お前、あのセキアってやつと話すとき、すげえわがままな口調だもんな。父親代わりだったんだろ?甘えてるの、見え見えだぜ」
真っ赤になるクラフに、カーチスは勝利の笑みを浮かべた。

※サンダーバーズ:アメリカ空軍の誇るアクロバット飛行隊の愛称。パイロットの精鋭を集めたエリート集団。

「なんだよ!あんたがローザに甘えるのよりましだろ!」
「静かにしなさい!」
突然の厳しい声に、クラフはびくっとして、その方向を見つめた。
ローザが、厳しい表情で立っていた。
「あ、どうした?ローザ?別に君の悪口言っていたわけじゃないぜ?」
変に慌てるカーチスにも、ローザは表情を緩めるわけでもなく、クラフのそばまで歩いてきた。
薬をサイドテーブルに置く。
椅子に座って、驚いた顔のままの少年をじっと見た。
「あなた、何かしたんでしょ?大佐が、来てるわ」
クラフの表情が変わった。
「何かを、あなたにしゃべらせるとか言っていて。あの勢いだと、ちょっと、まずいわよ。何か隠しているなら、話したほうがいいわ」
クラフは眉をしかめる。
「まずいって……?」
「おい、まさか」
カーチスがいつの間にかローザの隣に立つ。
「大統領に何か、おかしな情報を与えた、そう言っていたわ。クライフくん、それについて聞きたいそうよ」
「…おい、クライフ、お前何を隠しているんだよ?言っちまったほうがいいぞ!」
少年は、真顔になって、座ったまま自分の手を見つめていた。
「ね、なにをしたの?あの大佐が感情的になるなんて、滅多にないわよ?怒らせたんでしょ?」
「…ボク、BSAを、宙を守るんだ」
「守る?」
カーチスが眉をしかめた。
「大統領になら、話す。そうでなきゃ、誰にも話さない」
「生意気なことを言うな!」
三人は、戸口を見つめた。
オクトと、ヴェデリット大佐が立っていた。


隠し事②へ続く♪
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楓さん♪

らんららは、善人ですよ!多分、オクトさんも自分のこと悪人とは思ってないです。って、そういう基準か!?
って、そうです。
ええ、悪いことしますよ。悪役だもん。
でも楓さんとこのメラメラほどじゃないですよ~(^^)一応ノーマルですしぃ、憑依とか出来ないしぃ♪
変わりに文明の利器…おっと、おっとぉぉぉ!!
大丈夫、そんなひどくないよ、ほら。v-377
ね?v-367怖くないでしょ?
よしよし…って?なに、らんららが怖いって!?…

ばれてましたか(笑

クラフ君のセキアさんに対する物言い、そしてそこに隠された気持ち・・・全部かーちすにばれてましたか。
クラフ君赤くなって可愛いですね♪
ローザさん・・・
父親も面会謝絶!!
いいですね、それ。出来ないのは承知で、それでも実現させて欲しいです。そう、今!!まさに今それを実現させて・・・うあぁああ来たぁ!
でたおくと。
きたおくと。
まじおくと。
らんららさん、怒らないでねって・・・
何を・・・何をするおつもりですかっ?!!
基本善人なんですよね?
神様らんらら様なんですよね??
これ以上のショックは少年の心臓に良くないですよっ!!
だめおくとっ!!!

kazuさん

ありがとうございます!!
軍属の二人の苦しいところ。
クラフくんはきっと、そのあたりも気遣っていて。
さ、どうするんでしょう…。
お、怒らないでね…。

仕事、来週こそは残業を減らしたい!!っと…自分にかかっているんですけど(><)とにかく♪今日はこれから皆さんのところに遊びにいける!!
嬉しいですよぅ~♪

クラフ君・・・;;

立ち直れていない、はず。
だけど。
クラフ君は宙に帰りたい。
いろんなことがあったけど、自分に優しかった宙を守りたい。
そのために、大統領に告げた言葉。
「三人乗りのボートに、四人乗ったら沈むんだ」
謎かけのようなこの言葉。はっきり言うよりも、大佐にとっては頭にきてしまうかもしれないですね。
大統領にしか話さない。この大佐とオクトに通じるかどうか。
カーチスさんもローザさんもいるけれど。
もし大佐とオクトがクラフ君に無理強いをしようとしたときに止めようとすれば、累が及ぶかもしれなくて。
クラフ君とのかかわりさえも断ち切られてしまうかもしれない。
それでも・・・、守って欲しいと願ってしまいます。

お仕事、一週間お疲れ様でした♪
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