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「宙の発明家」番外編 ①

らんららです!ブログを始めてやっと1年!!長いような…うん!正直長かった気がする!
たくさん小説、書いてきたなぁ…(遠い目)
これも、読んでくださる皆さんの温かいお言葉のお陰です♪ありがとうございます。作品投票で選んでいただいた「宙の発明家」クラフくん、セキアさんで感謝を込めて番外編書きました!短いお話ですが約一週間、お付き合いください!

では。
クラフくん、地上から宙へ、戻ってからのお話です…はじまり、はじまり~♪



『恋のある風景?』




「まずい」


一言言って、クラフはスプーンを投げ出した。
「美味しいですよ」
少し怒った口調で黒髪の男が言い返した。
二人の視線がにらみ合う。

「いらない」
「食べて下さい。それとも、向こうの世界のお料理が恋しいんですか?」
「セキアの特別に、まずい」
特別に、という部分にやけに力の入ったクラフの口調に、セキアはにらみつけた。
おかしい、いつもと同じくらいのはずなのに。青年は心の中で確認する。昨日までは、食べてくれた味だった。


「味が、薄いですか?」
視線を和らげる男に、クラフは容赦なく頷いた。
「これも、これも!」
鳥の足を焼いたものにトマトソースをかけた料理も、パンにチーズをかけて焼いたトーストにも、けちをつけた。育ち盛りとセキアが気を使って腕を振るったランチすべて、クラフは投げ出して、昨日リスガが焼いてくれたクッキーを頬張る。
「……おかしいですねぇ」
セキアは向かいに座るクラフの額に手を置いた。
「!?何だよ!」
「いえ、風邪でも引かれたのかと」
真剣に心配している様子のセキアに、クラフは顔を赤くした。
「ほら、顔が赤いです」
「そんなことない!」
キチンと熱を測ろうと、立ち上がりかけたセキアから逃れるように、クラフは席を離れて自分のベッドに向かう。クッキーをくわえたままだ。


「クラフさま?」
ぴぴぴ。
デンワが鳴った。
セキアのクビに下げた大豆の形をした手のひらサイズの銀色のそれが、ほんのりブルーに光るのを見て、クラフは毛布に顔をうずめた。
「あ、ちょっとすみません」
セキアはデンワを持つと、そそくさと部屋を出る。
クラフは、じっとしていたが、そのうち、我慢できなくなったようにむくりと起き上がり、セキアの後を追った。
部屋の扉を開けると、すぐ外側でセキアの嬉しそうな声がした。
「ええ、いいですよ。その日なら、非番ですから」
扉から出てきた少年に気付いて、セキアは慌ててデンワを手で塞ぐ。
「クラフさま!何処に行かれますか!」
「ばーか!」
大きな声で怒鳴って、つんと顔を背けると、クラフは地下へと続く階段に向かった。


クラフが自分の研究室に入ったと知り安心したのだろう、背後でまたセキアの楽しそうな声が響いた。

地下の研究室に入ると、クラフは自分の場所と決めたソファーに横になる。
天井の明かりをぼんやり見ながら、伸びた前髪をかき上げた。
じっと、その金色を見て。
「よし!」
何事かひらめいたようで、起き上がると机に向かう。上に載っている設計図や計算用紙を一まとめに抱えてどんと隣の作業台に移し変えると、隙間の出来た机で、なにやら計算を始めた。本を開き、成分を書き出して。
機嫌の悪いのは忘れてしまったのか、そのうち鼻歌らしきものすら聞こえてくる。


それから二時間。
「クラフ、いるのかい?」
顔をのぞかせたのはピーシだ。
学校の帰りなのだろう、制服のまま、手には紙袋を抱えていた。
「あれ?」
挨拶しようと、手に持った袋を掲げた時、目の前をクラフらしき人影が走り去る。
ドン、と扉を開くと、階段を駆け上がって言ったようだ。
「え?どうしたんだ?」
ピーシがクラフのいた場所を見ると、あちこちに紙が散らかって、その上床には様々な色の水溜りが出来ていた。少し鼻をつんとさせる匂いがして、少年は顔をしかめる。
「なんだろ。それにしても、昨日掃除したばかりなのに…」
つぶやきつつ、一階の部屋へと向かう。


部屋の前で、セキアがデンワしていた。
「こんにちは、セキア」
ピーシの挨拶にも男は手をあげるだけだ。
最近、そういう姿をよく見かけていた。
ピーシは首をかしげながら、部屋に入る。
「クラフー?」
部屋は誰もいないようだ。
「何処だい?せっかくスターフルーツ持ってきたのに。好きだろう?形が」
「うー」
どこかで声がする。
バスルームのようだ。
扉をノックしてみる。
「クラフ、僕だよ、ピーシだよ。どうしたんだ?」
「んー!」
「え?どうしたの」
ふいに、扉が開かれた。
前に突っ込みそうになって、目の前のクラフにぶつかった。
少年は上半身裸で、頭から大きなタオルをかけている。


「クラフ、びっくりするだろ。なに、髪でも洗ったのかい」
頭をタオルごと押さえて、ピーシはぐりぐりとなでた。
「な、ピーシ!見てみて!これ!」
クラフはピーシの手を取って、ソファーに座らせるとその前に立った。
「じゃーん!」
「……クラフ!?」
ピーシが目をまん丸にしているので、クラフは満足そうに笑った。
「へへ!俺、ちょっと、外に行って来る!」
クローゼットを開いて、服をいくつか引っ張り出すと、すばやく新しいシャツを着込む。
「クラフ、それ!どうしたんだよ!」
「へへ、これなら目立たないだろ!」
確かに、目立たないと言えばそうかもしれない。

クラフは黒い髪になっていた。


黒い髪に肌が余計に白く見えた。随分印象が違う。
見慣れないクラフの姿に、ピーシが呆然としていると、少年はさっさと荷物をバックに詰め込んでいる。ぺたっ葉ともえ玉を手に取るのを見て、ピーシはクラフを後ろから羽交い絞めにして引きとめた。
「待って、クラフ、それ、セキアの許可は」
「あいつはいいの!あいつは色ボケだからさ!」
「い、色ボケって」
確かに、そうなのだ。
最近のセキアは、新しい恋人に夢中だった。
ことあるごとにデンワをし、クラフをピーシに任せて出かけることもある。夜遅く戻ってきたかと思えば翌日はぼんやりしている。
「だいたい、俺様が帰ったときに既にいたんだ、俺様が一人で苦労してたのにさ、あいつ、女に夢中だったんだ!デンワまで作ってやったのに、あの有様だ!」
ピーシは苦笑した。
こちらに戻ったとき、クラフは以前の姿が想像できないくらい、しおらしかった。怪我をしていたせいもあったが、その理由は誰にも話そうとしなかった。
セキアの言うことも素直に聞いた。ちょうど、下の世界との連絡用に必要だったと言う理由もあったが、頼まれると疑いもせずに、まだ怪我が完治していないくせに一生懸命デンワを作ってくれた。
おかげで、セキアはここにいても彼女と話せた。
包帯が取れるころには、いつものクラフに戻っていた。その時にやっとクラフは気づいたのだ。セキアの頼んだデンワは付き合っている女性に渡されたのだと。すでに、セキアと女性との仲は大教皇さまにも公認らしく、クラフも拗ねた顔をしたものの反対するような状況ではなかった。
それが、余計に腹立たしいのだろう。
結局、かまってほしいのだ。
思い出して、ピーシはクスと笑った。


「分かるけどさ、外は危ないよ、一人じゃだめだろ」
「いいだろ!大丈夫!な、放せって」
「セキア!セキア!!」
強引に出かけようとするので、ピーシが部屋の外に居るはずのセキアを呼んだ。
「だめだよ!呼ぶなよ!」
「セキア、クラフを止め……」
口を手で塞がれて、ピーシはもごもごと言っていたけれど、そのうち黙った。
クラフが、ひどく真剣な顔をしていたから。
「ピーシ、俺、本当に外に出たい。セキアだけあんなふうに、外に出かけたり、外の人と話したりさ。俺、一人ぼっちだ」
クラフの大きな目が少し潤んでいるように見えた。
「……、わかった。じゃあ、僕と行こう。ただし、危ないことはしないって約束して」
「ああ!分かった。ピーシいい奴だ」


ピーシはどうも、クラフの涙目に弱い。何となく自覚はあるが、まあ、市場にでも連れて行って、珍しいものを見せれば満足するだろうと軽く考え、少年はクラフの上着を持って一緒に部屋を出た。
扉の外にいたセキアはちらりとピーシを見た。
その向こうに、クラフがいるのだが、黒髪だったせいか、肩にクラフの上着をかけたピーシの陰になっていたせいか、見逃した。
二人が迷路を抜けて、外の光を浴びる頃、中でセキアの叫ぶ声がした。
黒い眼鏡をかけて、クラフはピーシの手を引いて走り出す。


「うはは!すごい!苔が光ってる!!なに、あれ、ねえ、ピーシあの遠くに見えるとんがった屋根!」
歓声を上げながら前を行く少年に、ピーシは声が大きいよ、と注意しながらも、その嬉しそうな姿に目を細めた。
クラフは明るいうちに外に出たことはなかった。
どんな気分なのかと想像するだけで、ピーシは切なく感じた。


皇宮の門をくぐると、衛兵はピーシたちに敬礼し、クラフは面白そうに敬礼を返した。
「クラフ、そんなことしなくていいんだ、彼らは目下なんだ」
「召した?」
「僕のほうが身分が高い」
ピーシの言葉にクラフはふーん、と首を傾げる。
眼鏡越しの聖堂の庭はそれでも木々が茂って、日の光が注いでいるのが分かる。
クラフは自分の手のひらを見る。
ちりちりと、陽に当たって。痛いような感覚。不思議だった。


風が吹けば匂いをかぎ、生垣の脇を過ぎれば葉に手を触れる。
ピーシが一つ一つ、聖堂の敷地内にある建物を説明しすると、クラフはふんふんと楽しそうに聞き入っていた。
二人は聖堂の大きな敷地を過ぎると、大通りへと進んだ。
南に向かって傾斜する街並みは、聖堂の大きな正門から一望できる。昼下がりの眩しい日差しにピーシが目を細めた時だ。
ぴぴぴぴ!
ピーシのデンワが鳴った。
「!」
隣でクラフがじっと見ている。
「もしもし」
『ピーシ様!!クラフさまはどちらですか!?』
隣のクラフにまで聞こえる大声だ。
「やあ、セキア」
ピーシはデンワの向こうのセキアを想像して笑う。
「一緒だよ。心配しなくていいよ」
また何か怒鳴っているセキアに、クラフはつんと顔を背けて、どこに行こうか街を眺める。ちょうど、からんからんと鐘を鳴らして、小さなワゴンを引いた行商らしき姿を目に留めた。ピーシが隣で大きな声を出した。
「セキア、だからさ。そんなに怒鳴らないでくれるかな!耳がおかしくなりそうだよ」
セキアはまだ何か怒鳴っている。
「いいかい、セキア。目を離したのはお前だ。僕はクラフに責任は負わないから。お前の仕事だろ。なんて言い訳するんだ?クラフのこと放っておいたじゃないか。僕はクラフがかわいそうだったから連れ出したんだ。クラフが髪の色変えたのも、それを作っていたのも気付かなかったんだろ?」
電話の向こうのセキアが黙った。
「夕方には帰るから。帰っても、クラフに怒鳴ったりしたらだめだからね」
黙ったままなので、ピーシはデンワを切った。


「まったく。クラフ、お前デンワ持ってこなかったの……?」
振り返って、クラフの姿がないことに気付く。
ピーシは今まさにセキアと同じ気分を味わうことになった。


⇒続きは6/14更新、こちらから♪

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花さん♪

ありがとー♪
やっぱり、彼らは書いていて楽しいです!何しろ、クーちゃんは自由奔放ですから!ストレートな行動しますからね♪
ええ、ええ。初めてのお出かけなんです!改めて、そういえばこの世界の町並みの描写、ほとんどしたことないって(笑)らんららも気付きましたよ(^^;)今更、短編のために設定考えるのもつらかったり…おい^^;
とにかく、楽しく行きます!
続き楽しみにしてくださいね!

クーちゃぁあん!!

宙の発明家、番外編で復活!ですね!
もう凄い楽しいですよ!またクーちゃんとセキアさんが見られるなんて…あぁ、夢のようだわ(*^^*)
なんて思っていたら、セキアさんは職業放棄気味。で、クーちゃんスネてグレちゃった!?
そっか、偉大な天才でも、宙の世界じゃまだ外出たことなかったんだよね。そう思うと可哀想…。
すっかりクーちゃんの保護者っぷりが板についてきたピーシ君に頬を緩ませつつ(笑、続き、楽しみにしてます!!

kazuさん♪

ええ、セキアにもやっと、やっと春がv-408
拗ねちゃいます?気持ち分かりますよ~♪
ふふ。クラフくんはやっぱり、今までどおり、甘えん坊です♪さて、クラフくんにも、楽しい春が来るといいなぁ~♪
おっと…v-400

祝 1周年記念!!

1周年!!おめでとうございます!!
らんららさんの素敵な小説を読ませていただけて、幸せ!!
これからも、がんばってください♪

久しぶりのクラフ君とセキア様、そしてピーシくん!!
・・・・・

ゼギアざまぁぁぁ
・・・・に・・、恋人・・・・恋人・・・・
へへ・・・うへへ
・・・・←心の整理

セキア様に恋人!セキア様に、春が♪
・・・が。
クラフ君にとっては、寂しいですね、確かに。
懸命に頑張って宙に帰ってきたのに。
セキア様に、恋人が!!
すねちゃう気も、分かります(笑
いえ、わたしも一緒に。。。(笑

ピーシ君、クラフ君を連れ出して・・・・
いなくなっちゃった・・・^^;
クラフ君~、お願い、ピーシ君を困らせないで~~~;;
早く見つかることを願うよ!ピーシ君!!がんばって!

うふふ、続きを楽しみにしています☆
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