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「宙の発明家」番外編 ②

らんららです♪自由!!を満喫するクラフくん…なにやら嫌な予感ですね…(^^)




クラフは飴売りのおじさんに、棒についたドロンとした水あめをもらって、なめていた。甘くて透明で、面白い。
歩きながら、なめながら。
市場に入ったようだ。
通りの両側が露天商のテントの屋根で埋め尽くされて、その下を大勢の人が行ったりきたりしていた。
呼び込みの声が騒がしい。
クラフはきょろきょろしながら、まず目に付いた果物売りのところへ。
「へい、いらっしゃい!」
ひげ面の男が、白い布の帽子の下の日に焼けた顔で笑った。白い歯と白い目が目立った。
「おじさん、それ、美味しい?」
クラフが覗き込む。
「……ぼうや、変わってるねぇ、遠い街から来たのかい?」
男はクラフの腕の白さに目を丸くした。宙の人々は皆、淡い褐色の肌をしている。白人のうえに、陽に当たらない生活をしているクラフは、彼らからすれば霜のように白い、ということになる。
「あ、そう。遠い北の街で、聖堂に閉じこもっていたんだ。お父さんが変な人で、外に出してくれなくて」
「へえ、そりゃ気の毒に」
「それでね、あんまり陽に当たらないもんだから、こんな風になっちゃって、バカなお父さんは病気だと思ったんだ。それで、この街につれてきたんだ」
お父さん、と言うたびに、クラフはセキアを想像する。
今頃慌てているだろうけど、どうでもいい。意地悪な気分にクラフは浸っていた。
「へえ、そうかい。で、どうだったんだ?」
「うん、それがさ、閉じこもり病だって言われて!だから、オレは晴れて自由なわけ!」
「そうかい!そりゃ、よかった!」
「うん、オレ、母さんを探すんだ」
「お母ちゃんはどうしたんだ」
「お父さんが変な奴だったから、オレを置いて逃げちゃったんだ!」
「そうかそうか。かわいそうにな、ぼうや、これ、持っていきな。どうせこいつは、今日までだ。明日には売れねえ」
おじさんは同情して、拳くらいの丸い赤い果物を、さくっと包丁で切ってくれた。それを白い身だけ綺麗に取り出して、一口大にすばやく切る。見事な包丁さばき。
「すごい!カッコイイ!」
「そうだろ?オレはこの道二十年だ!俺に切れない果物はないんだぜ。ほれ、持って行け」
「うん、ありがとう!」
にっこり笑う少年に、男は優しく手を振った。


クラフが市場の真ん中、通りが十字に交わる中心の丸い噴水のところにたどりついた頃には持ちきれないくらいの食べ物を抱えていた。
「皆、いい人たちだなぁ」
おいしそうに果物をほお張る。
中にセキアの好物を見つけると、それは食べずにバッグにしまった。


何も考えずに噴水の水をちょっと飲んで。
「ぷは」
と満足げに息をつくと、今度は違う方向へと歩き出す。
市場はもう見た。次は街の大通りだ。
市場の周りの二階建てくらいの建物とは違って、クラフの目指す方向には三階建てやもっと大きな建物が見えた。いずれも、ゴシック様式に似た集合住宅で、落ち着いた石の色が町全体を統一感を持たせて見せる。確か、太陽電池を取り付けに行ったとき、街を統括するお役所や騎士団のつめ所とか、そう言うのがあると聞いた。
この世界の、真ん中に位置する那迦(なか)の街、そのさらに中心部なのだ。


丁度、向かっている先を横切る通りに、たくさんの馬車や馬が走り抜けるのを見つけて、クラフは足を速めた。
と、その時、脇の細い路地から、誰かが飛び出してきた。
「わ!」
「きゃ」
突き当たって。
クラフは座り込んだまま、見上げた。
「痛いわね!もう、ちゃんと前見てよね」
「……」
女の子だ。多分、クラフと同じくらいの歳。少しつんと尖らせた口に、腰に手を当てる仕草。ふわりとしたワンピースがよく似合っている。
「クラフ!」
背後からの声にもクラフは気付かない。


「なあに、気味悪い!」
女の子はクラフの脇をすり抜けて市場のほうに歩き出した。
「あ!」
クラフは慌てて起き上がって、後を追おうとして。
「クラフ!捕まえた」
正面から来たピーシに阻まれた。
ピーシはクラフの肩に両手をおいて、睨んだ。走り回ったのだろう、息を切らせている。


「ピーシ、ごめん、ちょっとどいて」
「!なんだよ!」
押しのけようとして、逆にピーシが首に腕を回して引き止めるので、クラフはピーシの腕をぺしぺし叩く。
「痛いな、だめだよ!」
「だって、さ。ほら、すげー可愛い子!」
「く、クラフ?」
ピーシが少年を覗き込むと、クラフは頬を赤くして、真剣に少女の後姿に見入っている。
「お前、……」


ピーシは皆でランドエンドに向かった旅を思い出した。
あのときのクラフは、リスガの隣に座りたがった。あきれるくらい、あからさまな態度に出る。
「ちょっと待て、冗談じゃないよ、クラフ。お前、あの子に一目ぼれしたからって、追いかけてどうするんだよ、止めておこうよ」
嫌な予感がする。
こういう時のクラフは盲目。夢中になれば、どんなことでもする。
それにつき合わされるのはゴメンだ。
平気で目の前で告白しそうな勢いだ。


「じゃ、いいよ、オレ一人で行く!」
ぎゅっと足を踏まれて、思わずピーシは腕を放した。
「いて!お前……」
気付けばクラフは既に噴水の前で少女を捕まえていた。
「あの馬鹿!!」

⇒続きは6/15更新、こちらから♪
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Takagaさん♪

ありがとうございます~♪
果物屋さん、カーさんという名前がついています(^O^)
かなり、遊んでいる番外編でお恥ずかしいです(^O^)本編はもう少し、真面目ですの~(^^;)

風花さん♪

らんららも携帯から…
クラフくん、案外…世渡り上手…に思うでしょ?でも、これには理由が…
後ほど分かりますよ~(^O^)
ピーシくんに愛…本当に、彼はいち押しなのに…なぜにモテないのか…

楓さん♪

クラフくんのこういう所、書きやすいんですよ~(^O^)本能で行動してます(^^;)ツンデレな彼女…楓さんの期待を裏切るか、応えられるか。すでに全話タイマーなので、今さら変更の利かないらんらら、ドキドキしてますよ~(>_<)

Kazuさん

クラフくん、こういう時はとってもバカです!(^^;)紙一重、って感じ…夢中になりやすい。
そのくせ、セキアさんにお土産をと思うあたり憎めない!わがまま言うくせに優しい所を見せる母親泣かせの小さい子供みたいな…
クラフ:…違うよ~計算に決まってるだろ!セキア、バカだからちょっと優しくするとホロッとくる!
セキア:…聞こえていますよ(*´Д`)=з
クラフ:セキア大好き♪
セキア:……。当然です!
あ、Kazuさんが呆れちゃったhttp://blog70.fc2.com/image/icon/e/330.gif" alt="" width="14" height="15">

「俺に切れない果物はないんだぜ!世に蔓延る悪の華だって斬って棄ててやるさ!!」

いやあ、なかなか小粋なオジサンですよね(そんな台詞だったか?)
このオジサンで短編が書けそうですね。テーマは「勇気ある休日」(誰が書くんだ?)

冒頭の「歩きながら、なめながら」とかの言い回しが好きなんですね、僕は。

そんなことを言いながら、書きながら、お邪魔しましたの。

ケータイからこんにちは!

クーちゃん、案外世渡り上手…と思いきや、今度は一目惚れ!?
そっか~、リスガちゃんはカカナ君に夢中だもんね。でも、何となくタイプが似てるような…( ̄∀ ̄)
セキアさんといい、今度の宙は恋の嵐かしら?願わくば、ピーシ君にもおこぼれを…w
続きが楽しみ♪

おいおい(汗

なんて積極的な・・・
てか、リスがちゃんはもういいの?
あ、そうか。
カカナ・・・
そういや出てこないけど、リスがちゃんと一緒にいたりして。
いやいや、それより今はクラフ君だっ!!
相変わらず猪突猛進。笑
なにやらリスがちゃん以上にツンデレな雰囲気を醸し出してくれそうなこの子にちょっと興味ありな楓です。意外にもセキアさんの彼女と何か関係があったりしそうな予感を勝手に抱きつつ、続きをまつです♪

クラフくんだ~(笑

夢中になれば、どんなことでもする。
・・・クラフくんだなぁ(笑
無邪気で、他の人とちょっと違うクラフ君に市場の人たちはみんな優しくて。
いっぱいもらった食べ物の中で、セキア様の好きな食べ物は食べずに鞄にしまった。
こんなところも、クラフくんだ~☆
うふふ~

ピーシ君が、クラフ君に追いついてよかった^^
でも・・・クラフくんは・・・女の子に・・・夢中・・?(笑
うふふ、続き楽しみにしています~
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