08
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
   

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「宙の発明家」番外編 ④

今日は、カカナくんと二人でお出かけ♪でも彼はピーシ君とはちょっと違います…



休日の市場は、昨日よりずっと人出があって、クラフは上機嫌だ。
少しうす曇の天気はクラフにとって、嬉しいことだった。昨日のような日差しでは眼鏡越しでも、眩しい。今日は大きな目をはっきりと開いて、市場の屋根の下、手で影を作れば眼鏡無しでも何とかなりそうだった。
そしてなにより、今日は昨日よりさらに優遇されていた。
「よお、白いぼうや、これ持ってきな」
昨日の果物売りのおじさんは昨日よりもっと大きな果物を丸ごとくれた。
「あの、申し訳ないですから」カカナが断ろうとするのを、クラフは遠慮なく手を出す。
「クラフ、だめだよ」
「なんで?くれるんだからもらう」
「だから、だめだって」
「どうして!?」
「まあまあ、カカナ様、これはわしらからの気持ちですから」
にこにこと笑う男に、カカナは厳しい視線を返した。
「対価のない物ほど危険なものはない。申し訳ないが、受け取れません」
「は、はぁ」
クラフは強引に果物を取り上げられて、頬を膨らめた。
「なんだよ、みんなの親切なのにさ」
「お前は分かってない」
カカナに引かれて、クラフは名残惜しそうにおじさんに手を振った。
「いいかい、クラフ。ここにいるのは皆、商人だ。もしここで、僕が何か受け取ったとするだろう?」
「カカナうるさい、ピーシがよかった」
「話を聞けって!」
「おなかすいたー」


クラフが噴水の広場を囲うように並ぶ食べ物の屋台を指差すので、カカナは仕方なくその一つに入った。広場の石畳に直に並べられた椅子とテーブル。座ると安定が悪く、少しがたがたする。カカナにとって慣れない環境だ。クラフはそんなことより周りがとにかく気になるようだ。落ち着かずにきょろきょろしている。完全に、挙動不審なヤツになっている。すぐに可愛らしいエプロンをつけた少女が駆けつけた。
「い、いらっしゃいませ!カカナ様。お会いできて光栄です!」
そこそこ可愛い、とクラフが思っていたその少女は、カカナに頬を染めて、まるで昔から大ファンだったと言わんばかりの様子だ。カカナはにっこりと笑って少女の差し出した手を取って握手した。
少女は舞い上がった様子で、カカナのフィッシュアンドチップスと、ソーセージの注文を上の空で聞いている。
「後、アイスクリーム!チョコの入ったの」
「え?」


今初めてクラフの存在に気付いたかのように、少女が目を丸くしたので、クラフは益々不機嫌だ。
「それから、クリームソーダと、コカコーラ、カフェラテ!」
「え?え?」
「クラフ!」
カカナにたしなめられて、クラフは口を尖らせる。
「すまないね、彼のことは気にしなくていいから」
自分の前に押さえるように差し出されたカカナの腕をがぶりと噛み付く。
「いて!」
カカナが思わず腕を振り払うと、弾みでクラフの眼鏡が飛んだ。
「うわ!」
「クラフ!」
二人はものすごく目立っていることに気付いていない。
いや、カカナはそれが当然のことなので気にもしない。クラフは目の前のことで目いっぱいだ。もともと、黒い眼鏡からでは、遠巻きに眺める人々の視線までは感じられない。


顔を手で覆ってじっとしている少年に、カカナは眼鏡を拾うと、渡さずにふんと笑って座りなおした。
「カカナぁ。眼鏡は?」
眩しいためか大人しい。
「いいかい、クラフ。よく聞くんだよ。ここで、ただで物をもらうのは、よくないんだ」
「眩しい~」
「ちゃんと聞いたら眼鏡返してあげるから」
「……」
「中には親切な人もいる。でもね、親切な振りして後で高額な代金を要求する商人だっている。昨日のハムなんか危ないんだ。代金が払えなければ、売り飛ばされることだってある」
「なにを?」
「お前自身。奴隷制度は廃止されているけど、代金の変わりに雇われたことになって、遠い街へ連れて行かれることだってある。自分で気をつけなきゃ。それに、僕らのような貴族は、親の名が知られているだろ。だから、僕らの場合は、代金を親に請求される。それは商人にとってすごく得なことだ。貴族に気に入られることで出入り商の資格を得れば安泰だからね。だから、親に迷惑をかけないためにも、僕ら貴族の子弟はこういうところでは買い物をしないんだ」
「ふーん」
カカナが話しながら、拾った眼鏡をクラフの手に持たせた。
そこに、今度は違う少女が料理を運んできた。
「あの、はじめまして、カカナ様。お会いできて光栄です」
「ああ、ありがとう」
カカナがまた、少女に握手するのを睨みながら、クラフは熱々の魚のから揚げに噛み付いた。
「うま!」
「え?」
「美味しいこれ!」
クラフが笑ったので、少女はにっこりと笑いかえした。


「ありがとう、これを。少ないけど、さっきの子にもね」
カカナが少女にいくらかの硬貨を握らせた。
「い、いえ、そんな!いただけませんわ、私、カカナ様とお話できただけで本当に嬉しくて」
クラフはまた、じろじろとやり取りを見ている。
「いいんだよ、少しだから。僕と出会った記念に、とっておいて」
でた、気障やろう!!と、クラフが顔をしかめた。
「リスガに言っちゃおうかなぁ」
既に、カカナの分の魚にまで手を伸ばしているクラフは、そうつぶやいてみせる。
「このくらいで、怒るリスガじゃないよ」
余裕で笑うので、クラフはさらに悔しい。
「そういえば、クラフ、お前が昨日あった子って?」
その一言で、クラフの頬が赤くなる。
「うわ、お前、本気?」
クラフは赤くなったまま、黙り込んだ。
「そんなに、可愛い子?」
「とびきり」
そう言って頷く。


ふと、カカナが笑った。
「じゃ、僕にも会わせてほしいな。お前はいつも、先走りすぎなんだから。もっと、女の子の扱い、学ばなきゃ」
「誰に?」
「……ん、まあ、セキアじゃ無理か」
「だろ?」
「食べたら、探そうか」
カカナの申し出にクラフはすっかり機嫌を直した。


⇒続きは6/17更新、こちらから♪
関連記事
スポンサーサイト

風花さん

ふふ~あのメンバーならカカナくんが一番経験有り?
少なくともカカナくんはそう思ってます。セキアさんとそういう話題で話したりするのかなぁなんて、思わず妄想(^^;)
さて、くーちゃんの恋…カカナくんだからこそ一緒に行ってもらえるんだけど…吉とでるか…

ChaChaさん

ふふ~お帰りなさい♪小説の更新があったかな?明日、テムくんに会いに行くの楽しみですよ~(^O^)
カカナくんとピーシくんかなり違います。クラフくんはピーシくんの方が気楽みたいだけど!
さて、くーちゃんの恋…どうなるのか♪お楽しみに♪

カカナ君、オトナ!そりゃあモテる訳だ♪
>「……ん、まあ、セキアじゃ無理か」
かなり笑いましたですwなんかもう、セキアさんの女性に対する態度が目に浮かぶようでww
さてさて、クーちゃんお気にの女の子とは、カカナ君の力で親しくなれるのかな?
寧ろカカナ君ばっかり注目されそうだけど…ふふ、クーちゃんもオトナにならなきゃね!

こちらも!

楽しく読ませていただいてます☆
クラフ、おぉ!黒髪になったの!?これはまた、萌え度がアップですね~(笑)
セキアさんも…全くもって恋人といちゃいちゃしやがって…
クラフが可哀想だ!(>_<)
もう少しかまってあげてね、セキアさん。

本当に、ピーシとカカナじゃだいぶ違うなぁと(^.^)ふふ☆
カカナと一緒だとクラフは相手されそうにないけど…大丈夫かな~^^;
Secret

プロフィール

らんらら

Author:らんらら
のんびり小説を書いています
日記ブログはこちら♪

ランキング参加中です♪

クリック よろしく~♪

FC2Blog Ranking

最近の記事+コメント

FC2カウンター

リンク♪

小説ブログの皆様

カテゴリー

ブログ内検索

RSSフィード

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。