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「想うものの欠片」第二話 ⑦

こんにちは~らんららです♪
実は今日より、平日夜間、PC禁止令が同居人より発令されました(><)なので、小説の更新はタイマー頼み。早朝と週末にのみ、皆さんのところに遊びにいけます…シクシク。なので、コメ返しとか、遅れ気味かもです…許してください!それでも、皆さんのお言葉に励まされて書き続けているのです…コメント嬉しいです、待ってます~♪





「シーガさまは、図書館が苦手ですの。他にも、人の思念がたくさん集まる場所が嫌なんですの。気分が悪くなるですの。だから、代わりにミキーが」
「おかしいよ、そんなの!いいよ、僕が話すよ!さっきだって危うく向こうに引っ張られて連れて行かれるところだったんだ!危険なことさせて!」
「…怒らないでください」
「怒ってるよ。ミキー、そいつに会わせてくれよ。僕は許せない」
少し、けだるかった思考が興奮のためか冴えている。
タースは立ち上がると、ミキーの手を引いて歩き出した。
少女はチョコチョコとついてくる。


「ミキー、ちょっと、待っていて」
タースはミキーの肩に手を置いて、言い聞かせるように言うと、受付のほうにかけていった。その姿をミキーは首をかしげながら見ていた。


シデイラの人は他の人と違う。ミキーはまた、手を握ったり開いたりして感触を確かめた。少年の手に感じるものは間違いなくシーガと同じ感じ。それは、ミキーを嬉しくさせた。


「あらぁ、タースくん、なあに?一緒に帰るの?」
ニコニコして笑うジャムに、タースは怒ったままの表情で言った。
「あのさ、三階に変な奴が出たんだ、捕まえようとしたけど逃げられちゃって。警備の人呼んでほしいんだ。僕、あの子を送っていくから」
「まあ、なあに、そんなことがあったの?警備の人は夜しか来ないから、そうね、誰か男の人に様子を見てきてもらうわ」
「え?ほら、入り口に一人守衛さんが立ってるじゃない」
タースが言うと、ジャムは目を丸くして。声を小さくして耳元で話す。
少し、香水の香りがした。
「タースくんも見えるのね?あれ、ユルギアらしいの。見える人と見えない人がいて、害は無いから放っておくしかないんだけどね」
「ユルギア!?」
「し、大きな声出さないでよ。びっくりでしょ?私は見えないんだけど。お客さんで何人か見える人がいてね。あら、怖くなっちゃった?」
「あ、へ、平気だよ」
「うふふ、彼女の前じゃ、怖がってなんかいられないわね、がんばってね」
真っ赤になったタースを見て、ほら、早く行ってあげて、と手を振った。


「ごめん、待たせた。行こう」
タースは笑顔でジャムに手を振って、それからミキーの背に手を回して玄関を出ようとする。
「あの、どうしたですの?」
「ん、怪しい奴がいてミキーが危ない目にあったって、伝えておいた。崩れた本も直してもらわなきゃいけないしね」
小さくウインクする少年に、ミキーは何だか面白みを感じて、にっこり笑った。


大きな硝子の扉をぎっと鳴らしながら開いて、タースとミキーが外に出ると、ちょうどふわりと風が吹いた。
「君、送っていこうか」


守衛のユルギアだった。
二人を見下ろしている。背の高いがっしりしたおじいさんだ。毎日ここに立っているのを、タースは見ていた。
「あ、大丈夫です、僕が送っていきます」
タースはミキーを背後に隠すようにして、守衛さんから遠ざけようとした。
「まあ、そう言わずに」
おじいさんは帽子を取った。
ぞわりと、タースの背筋に何か走った。


おじいさんは穏やかな顔で少年を見ていた。そして、背後のミキーをじっと見つめた。
「可愛い子だねぇ」
にこにこしながら、強引にタースを押しのけようとする。
「え?」
触れられるんだ!
ユルギアなのに?
考えて一瞬遅れた。
そいつはタースの脇を抜けてミキーのほうに向かう。
慌てて、腕をつかんで引き止めた。


「あ、シーガ様!」
少女の声に、タースが振り向く。隙を突いて守衛がタースの肩をドンと押した。
「待てよ!」
慌てて、タースは守衛を横から引っ張ると、ミキーのほうに向かうそいつに寄りかかるようにしてタックルした。
もつれて二人は玄関の石の柱に背中をぶつける。
「いて、何だよ!あんた」
目の前の守衛を押さえつけて、タースが睨んだ。
「タース!また明日ですの!」
ミキーのあどけなく嬉しそうな声がした。
あれ?


振り返ると、階段の下、黒い小さな馬車から、少女が手を振っていた。
一瞬、その向こうに男の影。シーガ様ってのだ。
馬車は白い馬が一頭。黒い服の小柄な御者が鞭を鳴らし、走り出した。
呆然と、馬車を見送っていた少年に、守衛が言った。
「放してくれんか」
「!あんた、なにするんだよ!それに、そんな格好のユルギア、見たことないぞ」
「何のことじゃ」
老人の守衛はぼさぼさした白い眉毛の下の碧の目をぎらりとさせた。
一瞬、タースはぞくりとする。
ユルギアだよな。タースはもう一度、老人の腕を触る。
「何じゃ、お前。どうしてわしが見える。わしはここにもうかれこれ…」
顔をしかめて放し始めた守衛は、言葉を止めた。
ユルギアに違いない。タースは不思議な感覚にぞくぞくしていた。
過去ユルギアに、触れたのはたった一回。
とても恐ろしいユルギアだった。
後にも先にも、実体を持つユルギアはそれだけで、たいてい、姿があっても実体はなかった。触ろうとしても触れないはずだった。


「かれこれ…」
老人は繰り返していた。
「なんだよ」
「思いだせん」
タースの力が抜ける。
「あの、おじさんはユルギアでしょ?」
「ユルギア?なにをいっている」
「あ、そうか。ええと、どうしてここにいるんだ?」
ユルギアにはこういう聞き方が一番手っ取り早い。自分がユルギアであるという自覚はないうえに、自分のこうしたいという思念だけだから、それ以外のことには理解がない。
守衛のユルギアは首をかしげて、髭の口元を手で覆って考え込んだ。
「どうして…だろうな」
「あの、何かしたいんだよね?目的があるんだろ?」
「ああ、そうじゃな。わしは立っているよ、ここに」
意味が分からなくて、タースはため息をついた。
話す必要もないかもしれない。ただ、そこにいたいだけなら、何の害もない。


「そういえば、どうしてミキーに近づこうとするんだ?」
立っていれば満足なはずなのに、どうしてミキーを追いかけようとしたんだろう。
おじさんは髭をピクリと動かした。
「あ、まあ、ここじゃなんだから、公園に行く?」
見えない人からしたら、タースはおかしい奴だ。それじゃ、まずい。
少年の申し出に、老人のユルギアは胸を張った。
「何じゃ、わしはここにいる」
話が通じない。
「あ、そう。僕はタース。あなたは?」
「わしはここだ」
「ここ?ええと」
少年は守衛の制服の名札を見た。
「レンドル、さん」
「んー!それ、だったか」
もうすっかり、忘れているのだろう。
ただ、ここに立っていたいだけで、目的も理由も。長い年月の間に薄れて、きっと、ただ立っていられれば幸せなのだ。
タースは、目を細めた。
少し、うらやましい気分になる。


「ああ、シーガに会い損ねた。また、明日来るよ」
レンドルはもう、仕事に集中していた。帽子をきちんと直すと正面を向いている。
聞こえないようだ。
タースはあきらめて、自分の本来の用事を思い出した。


アパルトメントから、荷物を取ってこなければいけない。
遅くなると奥さんに心配をかける。
三時のお茶に、ケーキを焼くからと嬉しそうだった。


いつもの公園のジャスミンの香りが鼻について、タースは何となく見渡した。灰色の石を敷き詰めた歩道が園内をS字を描くように続く。それに沿って植えられているマメツゲが丸く刈られた姿を日差しに晒していた。いつもタースが寝転がる木陰がここからだとよく見えた。
いつもの鳩が、その場所を歩いているのも見えた。


ああ、昼休みに見ていた守衛さんは、レンドルさんだったんだな、そんな考えが頭に浮かぶ。ぜんぜん、ユルギアだなんて気付かなかった。


ユルギアは怖いとは思わなかった。それは小さい頃からだ。母親がシデイラだったからかもしれない。それでも、ユルギアが見えることは、そのままタースの混血を表してしまうから、なるべく気をつけていた。間違ってユルギアに声をかけたりしたら、周りの人間に知られてしまうからだ。

ユルギアより、タースをシデイラの混血だと知った人間の方が怖かった。敏感になって、どんな些細なユルギアも見逃さないように、いつも神経を尖らせていた。
なのに、目の前にいるレンドルさんに気付かずに毎日そばを通っていた。


くす、と笑みがこぼれた。
それだけ、僕は幸せだったんだ。この街で、親方の下で働いて。そして、もう隠さなくていい。その上、これからもこうしていけるのだと思うと、寒い日に温かい甘い飲み物を抱え込んで飲むような気分になった。
飲み干さないように、温かさをずっと感じていたくて、抱え込む。
手のひらが温かくなった。

遠く、機関車の汽笛が響いていた。

次へ(7/3公開予定♪)
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要さん♪

ありがとうございます♪
シーガさま、はい。いずれ。再会を果たします!
タース君のシーガへの印象、今のところ最悪ですからね…
その時どうなるのか。お楽しみに♪

一瞬だけ毛嫌いするシーガさんの姿を目にしたタースさん。彼はシーガさんに突っかかろうとしましたが、直ぐにシーガさんは姿を消してしまいましたね。果たして、タースさんが再びシーガさんと出遭う日が来るのでしょうか?
次回の展開に期待します

コメ返し遅くてごめんなさい~(><)

chachaさん
うはは、そうです、ミキーちゃん、多分何も考えてない(笑)彼女にとってシーガ様はやっぱり特別ですし!!
タース…がんばれ~と応援してあげてください(><)
シーガさま、まだまだ、脇役からは逃れられそうもないです!
タース君の幸せな日々…いつまで…v-391

史間さん♪
ありがとー!
ミキーちゃん、気ままで楽しくが彼女のモットー!ていうか何も考えてないです(笑)ユルギアですし。タース君も大変な子にほれ込んだものです(他人事?^^)シーガさまとの対決…さて、だんだんと、だんだんと近づいていますが…
お仕事、落ち着きそうですか?嬉しいです♪クラフ君、オススメです♪
楽しいです、彼は。(わがままですから)でもでも、お体大事にしてくださいね!
過労…なんていうか、こう、ちょっとドラマチックで(らんららは健康体そのものなので…)憧れる部分もあったりしますが!だめですよ、無理しないでくださいね♪
PC制限は…つらいです…。これで、職場のPCがブログ見られるのなら(今はセキュリティーでダメなんです)帰りたくなくなりますね。架空の残業しちゃいますよ、きっと(笑)


ユミさん♪
はい、ミキーちゃんはユルギアさんですから、義理立てなどしません(笑)
タース君の幸せな日々…ああ、なんだか、らんらら、悪者になりそうな予感…。
ユルギアはこの後もいろいろと出てきます。トントもまた、出てもらわないと。続き、がんばります~!


楓さん♪
わははは!!ええ、そうそう、そういう星の下に生まれています!これから、ミキーちゃんに関してはまさにそういう状態ですよ(^^)
なのに、自分で気付かないし、健気な奴です!
ミキーちゃん、小悪魔です♪
ええ、誘惑しまくり!
そんな子に育ちました!
禁断症状…そろそろ、かな?手が勝手にキーボードを打つようにカタカタと(笑)

kazuさん♪
おお、kazuさんのとこもそうですか!
やはり、理解されにくいですね~
kazuさんのとこは、きっとkazuさんの体調を心配されているんですね!この間、たいへんでしたもんね!らんららは…?なんだろ?心配されていることは何もなくて…うむ。男性の心理はよく分からないですね!
お互い、気長に、がんばりましょ!
うちの同居人もタース君みたいだったらラクなのに。怒らないですよ彼は!!


かいりさん♪
お、レンドルさんの魅力、分かってくれました?なかなか、素敵な趣味ですね!!
タース君が羨ましいと思うのも、分かってくれます?うん、唯一つだけで幸せって思えるのは羨ましいですね~らんららは煩悩ばかりで、欲張りだから(笑)
そうそう、シーガさまとのご対面は、もうちょっと先♪
ふふふ~
かいりさんのところも、ですか?そうですよね、気にしながらもついつい、やっちゃって…で、ある日、ドカンと。爆発するわけです。地雷が。
負けませんよ!今も職場PCでこれ書いてます!(コピペ用に^^;)


takagaさん!!
おお!イラストありがとうございます!
嬉しいです~♪先にそちらにのぞきに行っちゃいました!
テーマ小説も楽しくて、嬉しいですね!
ぷふふ、レンドルさんと缶コーヒー!!似合う!!
タース君もなんだか公園で缶コーヒーが似合ってしまう少年です♪

ユルギアのじい様も、

「あ、じゃあ公園で話すとするかの。缶コーヒーでも奢ってくれ」

「無糖で良い?」

「うむ、そうじゃな」

とか、そういうコミュニケーションテクニックを……。

さて、らんららさん。
僕の「勝手にお絵描き病」が発病しまして、シーガとミキーを描いてしまいました(描いてしまったんですよ……仕方がなかったんです)

宜しければ、早朝にでも!(笑)

可愛い♪

レンドルさんが好きです!
こんなことを言うのもおかしいかもしれませんが…すっごく可愛い^^♪
ユルギアは本当に想いに一途なんですね。
タース君が羨ましいと言った気持ちがわかります。

そしていよいよシーガ様と対決!?
と思ったらあらら…行ってしまいましたシーガ様><;
楽しみはもう少し先なのですね♪

PC禁止令…私も人事じゃないかもしれませんーー;
らんららさん!負けないで(?)頑張って下さいー!!!

ミキーちゃん・・・(笑

ミキーちゃんの為に頑張ったタース君を置いて、シーガ様の待つ馬車に、早々に乗り込んで・・・(笑
ショック・・・タースくん、ショックですね^^;
ミキーちゃんに向うレンドルさんを止めてる隙に、ミキーちゃんはシーガ様のもと・・・。
うーん、悪気がないだけ、なんともかんとも・・・。
タースくん、ミキーちゃんはシーガ様一筋だから(笑
でも、怒らないタース君がかわいいです。

PC平日夜間禁止令、でてしまいましたか!
う~ん、うちも今おんなじ感じなので、共感っす。
私こそなかなかコメできませんが、よろしくなのです~!
がんばってくださいね♪

そりゃないぜセニョール

ミキー・・・
お前って子は、本当に、何というか・・・
もう少し男の子の気持ちの分かる子に・・・・
・・・くぅぅっ!!!!
お父さんは悲しい!!←誰?お前
タース・・・
君は、どうやら不運とか、タイミング悪いとか、なんかそういう星の元に産まれた青年なのね←勝手に決めつけ。
親方も奥さんも優しいし、
ライラちゃんもツンデレながら理解してくれそうだし・・・
でも、君はきっとそりゃないぜセニョールとセニョリータの元に走って行くのですね・・・たぶん・・・きっと(笑
平日夜のPC禁止・・・
禁断症状が出そうですね(汗

暖かい

ミキーはシーガ様を見つけて楽しそうに行ってしまったけれど、
タースくんの心が暖かくてよかったです♪
親方との出会い、そして親方の家族も暖かいし!!
隠し事があると、辛いけれど、それを隠さなくていいと思うと、
心も晴れますよね☆

守衛のユルギアさん、悪い人じゃなさそうだけど、ミキーちゃんに
接近したときは、なんか怖かったです。
タースくんもそれを感じたから、タックル??
続き楽しみにしてますね~。
携帯からだとなかなか大変でしょうが…。
早くPC禁止令がとかれますように!!

あう、やっぱりミキーちゃん

かわいいなぁ。
ユルギアじゃなくても、引き込みたく…(←殴蹴
い、いやいや!
シーガ様~ええ~一瞬!?
タース君との対決は先延ばし(笑)

守衛のじいさまも、いい味だしていますね!
立ち続けている理由…こちらも気になるところ。

さて、仕事が落ち着きそうな今月後半には、
他の呼んでいないお話にもお邪魔させていただきます♪
楽しみだぁ(わくわく)

追伸:
PC制限されている中、拙宅へのコメント、有難うございます!感動です~(泣)もう、ほんとうに、拙宅なんて、後回しでいいですから!ほんとうに!

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うは☆

一瞬だけ登場!シーガくん!(笑)
さっそうと馬車で立ち去ったミキー達を、タース、あ然と見送る(笑)
いやいや、実際そうなりますって。
え?えぇぇ!?みたいな(笑)
守衛さんに掴みかかったのはミキーの為だったのに~!ミキー、なんて素敵な笑顔で去っていくんだろうか!(笑)

それにしても守衛さん、なんでミキーを??
トントもミキーに懐いて(?)ましたから・・・ユルギア同士、何らか思うことがあるんでしょうか?

タースくんの幸せな日常。
本当、このまま壊れないで欲しいものです><
そしてミキー、罪作りな奴め!(笑)
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