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「想うものの欠片」第二話 ⑨

らんららです!本日、職場の健康診断です!久しぶりに体重を量ってみて…去年と変わってなくてホッと一安心♪




午後の仕事がひと段落したところで、セルパは工場長と届出のためにお役所に出かけることになった。新しい油圧機械を導入するための、輸入に関する手続きらしい。
また、隣のティエンザ王国から買うのだ。
二人を見送ると、タースは慌てて仕事を片付けて、先輩に断って図書館に向かった。


あのユルギアの守衛、レンドルさんはいなかった。
タースは不思議に思いながら、いつもの扉を開いた。

「あら、めずらしいじゃない!こんな時間に。今日は来ないかと思ったわ」


ジャムさんが笑う。その背後の彼女の上司だろう、ちょび髭の男が咳払いした。
普段、昼には休憩しているのだろう、見かけない顔だ。
タースはぺこりとお辞儀をして、ジャムさんには小さく手を振って笑うと、三階に向かった。


耳を澄ました。
また、何か聞こえるのではないかと。
今日は静かだった。


返って不安になる。


あのトントの巣がある辺りに向かう。空気が重い。


「ミキー?」
狭い書架と書架の隙間に人影があった。
「!レンドルさん!?」


守衛のユルギアはそこにぼんやり立っていた。
「何してるんですか?」
「あ、ああ、立っているんだ」


がく、と力が抜ける。
「場所が違うと思うけど?」
少年が腕を引くと、守衛の足元に本が散らかっているのが見えた。
「!?あ、まさか!ミキーは?あの女の子は?」


レンドルを押しのけて、この間の本棚の隙間をのぞく。真っ黒い煙がたまっているかのようにどろどろしている。
「レンドルさん!」
「あ。ああ、あの可愛い子。いいねぇ、何処行っちゃったかな」
「もう、いいよ!そこにいて!」


タースは、床に膝をついて、本棚の黒い隙間を覗き込んだ。
そっと、黒い煙のようなものに手を差し出してみる。
生ぬるい温かさを感じて、顔をしかめる。
もっと、奥に手を入れてみる。
腕のほとんどを入れても、棚の背板には手が触れない。
「ミキー!」
声をかけても、反応がなかった。
「トント!おい、出てこい!」
やはり何も起こらない。


タースは、ごくりと唾を飲み込んで。
顔を暗がりに突っ込んでみた。
何となく息を止めて、目をつぶった。
とたんに、ぐん!と引っ張られる感覚。
「うわー!」
後ろで誰かが足を引っ張ってくれたけれど、それも無駄だった。


目を開けると目の前は真っ暗。
何処まで続くかわからない穴の中に落ちていった。



「やーだなー!こいつ、呼んでないのに」
とん、と何かが腕を叩いた。
目を開けると、目の前は金色だった。
「?」
手を伸ばしてそれに触る。


「うや!触んなバカ!」
それは柔らかいふさふさした毛皮だった。
むぎゅと掴むと、逃れようとして、ばたばたと暴れる。


「ああ、トント…お前も、実体があるんだ」
タースは体を起こすと、頭を振った。
「ああじゃないよ!お前、呼んでないのに来るな」
ネズミはタースに掴まれた腹を大切そうになでながらひげをぴんぴん動かした。


「あ、ミキーは?」
膝を地面らしきところについて、タースがトントに触れようと手を伸ばすと、トントはびっくりしたように飛び上がって、よけた。
「ね、ミキーを知らないか」
「お前は、遊ぶのか?」
「え?」
「遊ぶ?」
トントは二本の後ろ足で立ったまま、尻尾をぺしぺしと揺らしていた。
その耳は興味深そうにぴくぴく動いて。


「ああ、お前ユルギアだったね。遊びたいの?」
金色ネズミはものすごい勢いで頷いた。
目が廻るんじゃないかと思うくらい何度も頷くので、タースはその頭を
ちょんと片手で押さえて止めた。


「じゃ、かくれんぼ。僕が鬼だから、トント隠れて」
「うん、うん!ほら、目を閉じて!十数えるんだよ。おいら、かくれんぼは得意だぞ」
「ああ」
タースは真っ暗な中、その場で顔を両手で覆うと、大きな声で数を数え始めた。


「よおし!!まだだめだぞ!数え終わったら、ちゃんともういいかいって言うんだぞ」
必死な様子のトントに、思わず噴出しながら、タースは頷いた。
「ほら、じゃあ、一からだ」
「いーち」
既にトントの気配は消えた。
「にー」
「さん」を数えたとき、タースは顔を上げた。そっと見回す。


暗いけれど、よくよく見ると低い天井はぬくもりのある紙で出来ている。丸い巣穴。トントが去っただろう方角に穴が続いている。
タースは続けて数を読み上げながら、そっと膝をついて這って行った。
穴はすぐに二股に分かれている。
右を選んで、タースが進むと、ぼんやりと明るい、丸く広くなった場所に、何かがいた。
数はまだ六。
タースは手前で止まって七を数える。
目の前のそれは、もそもそと動いた。
「!?」


さほど広くない、大人の人間なら一人が精一杯の通路に、それがこちらに向かって動いてくる。
慌てて、這ったまま後ろに戻ろうとする。
「きゅう」


そいつはのそのそと近寄ってくるが、タースの存在には気付いていないようだ。一定の速度で、迫ってくる。
分岐のところまで戻って、丁度、十を数えた。


「捕まえた!」
「うん?」
それは、男の後姿。黒いズボンの尻、黒い靴。振り向いた。
「レンドルさん!いつの間に?」
「ああ?」
守衛のユルギアは照れたように笑い、手に持った帽子を振って見せた。それも、狭い通路の中、膝と手を地面についた格好のままだ。

次へ(7/7公開予定♪)
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要さん♪

ありがとうございます♪
いよいよ、おかしな世界に入ってしまいました(^^;)
上手く表現できるわからないけど…伝わると嬉しいです♪

午後に仕事場から図書館へと、タースさんはミキーさんを探しに向いましたね。この章では、ミキーさんを探すのに一生懸命なタースさんの様子が伺えて、彼の気持ちと場面が重なった、部分描写の丁寧なストーリーだと思いました。
果たしてタースさんは、ミキーさんに出遭えることが出来るのか
次回の展開に期待します

chachaさん♪

ありがとうございます!
うんうん、トント、そうなんです!ただ、その想いだけ…。純粋な子供のような。わがままで純粋。

可愛いでしょ?嬉しいです~(><)
レンドルさんは多少語ってくれるけれど、そういえばトントの語るシーンは作ってあげられなかったなぁ…語る前に…だから…。トントの過去物語…誰かかいてくれるかなぁ…。

んふふ~^^

トント、可愛いです☆
なんていうか、本当にユルギアって心そのもので生きてるって感じがして^^
これが悪いこと、あれはいいこと、という風に考えてない。
それが怖いことでもあり、幸せなことでもありますが・・・
トントは一体どういったユルギアなんだろう?と気になっております^^
レンドルさんも気になりますが・・・
なんで?なんで今日は出入り口で立ってなかったの?図書館の中になんでいるんだろう??
ミキーのこと可愛いって・・・ま、まさか・・・
惚れた??(笑)
タースはちゃんと、周りをよく観察して行動出来る子だから。きっといい方向にはいくでしょう^^
ミキーと出会えたらいいね♪

コメントありがとうございます!

かいりさん♪
ありがとうございます!
親方とタース君の関係。どんな家庭にも問題はあるわけで…(^^)
タース君がどうするのか…リックくんを登場させるのかどうするのか、微妙なところですね♪(笑)
レンドルさん!!はい、嬉しいです!かいりさん♪そうです!語るのは避けましたが足を引いたのはレンドルさん。一緒に落ちました。でも、彼はそう言うことを語らないし、タース君がそれどころじゃなくミキーに夢中なので、表現できなかった(笑)
この後、どうなるのか…楽しみにしてくださると嬉しいです♪


楓さん♪
へへへー!!レンドルさんです!はい。(説明しろよ!)って、彼、語らないし。ちょっと可愛いとらんららは思っています♪
立っているはずの彼、なぜに移動して(笑)こんなところにいるのか…。
気に入られたのはタースくん、なのかな?(おじさんに好かれるタイプだから…^^;)
ミキーかも?ふふふ。とりあえず、ミキーを探せ!!です!トントは何も教えてくれないから(笑)

花さん♪
はい、親方との関係は微妙になって行きます♪モテに気付かずにそんするタイプが、お好みですね?(ニヤリ)
ふふふ。レンドルさん、可愛いでしょ?
善悪はユルギアには通用しません。ないですから、そういうの。ある意味幸せものなんです。おお!そうそう!タース君は愛しのミキーちゃんを助けに来たんですよね(忘れていてどうする…だって、みんなレンドルさんが好きみたいだから^^;)
さて。どうなるのか。
楽しんでいただけるとうれしいなぁ~♪

ユミさん♪
そう、なぜかレンドルさん。トントが語れないユルギアなので、レンドルさんが必要なんですね~(^^)
異様な存在のトントやレンドルさん。ちょっと、その精神構造は理解しがたいと想うので(表現もへたくそなので…^^;)皆さんを混乱させちゃったカナ?
ま、そういうやつ、とか。ちょっと来ちゃってるやつらだと思ってやってください♪ああ、でもよかった!トント、やっとここで、可愛いといってもらえたね♪
ユミさんに感謝しなきゃだからね!
トント「…遊ぶ?」

トント、かわいいけど、なんかやっかいだ~。
タースくん動いちゃって、トントとぶつかった?
怒られるよ~。
それともミキーちゃんと会えた?
良かった~。
のどちらかと思ったら、レンドルさん(笑)
これから何らかの形で話にかかわってくるのでしょうか?
タースくんを助けてくれるのかな?
それともミキーちゃんのことが気になっているのかな?
楽しみです♪

うーん、親方、いい人だけど頑固親父で。ちょっと困ったさんだなぁ。
で、やっぱタース君モテるのに気付かず…ふふw目に浮かぶようですわw
で、レンドルさん?貴方は良い方、悪い方?いやいや、何事をも善悪で計る気はないですけど…うーむ。。
でもまぁ、気に入られてることは確かみたいですね♪
さぁタース君、思う存分主人公特権を使って、ミキーちゃんにギュッと急接近しちゃいましょw

なんでーーーー?!!笑

何でここにレンドルさんがいるの?!!
あ、そうか、足を引っ張ってくれたのはレンドルさんか。
でも、あれ?
経っていること以外にはとんと興味を示さないはずのユルギアなのに・・・もしや、タース気に入られたな?笑
まずはトントを探せ!!
したらきっとミキーの居場所にたどり着ける!!
・・・はず・・・ですよね?

こんにちは!

前回から一気に読ませていただきました^^
セルパさん、だんだんとタース君を出て行ってしまった長男くんに重ねちゃってますね。
タース君にとっても、それは重くなってしまうのではないかとヒヤヒヤします><;

そしてレンドルさん!やっぱいいい味出していますね!!(笑)
きっとここに吸い込まれる前タースを助けようとしてくれたのってレンドルさんですよね!
ミキーちゃん!やっぱりこの中にいるのでしょうか…。
無事でいてくれますように><;!!
続きも楽しみにしています♪
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