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「想うものの欠片」第二話 ⑪

らんららです♪前話、拍手いただき、ありがとうございます♪(どうやって感謝を表現しようかと想ったのですが、こうしてみました^^)嬉しいです~(><)喜んでくださる方がいるんだなって、勇気がわきます!がんばります!

11


「あのね、これ、宝の地図」
「!?これ?」
タースがミキーの手にあった紙切れをトントに見せた。


「ほら、ここから下にね、青いきれいな石のことが書いてあるんだ。それはとっても大切な石なんだよ。宝物だ」
トントは首をかしげた。
「分かる!おいらそれ、大切にしてる」
「え?」
「ほらほら!」
腹の辺りの毛皮を、自分で探ると、中に隠れていた首飾りを取り出した。
青い石のついた、首飾り。
それは、よく聞く宝石とは色が違った。透き通っていて、まるで海を閉じ込めたような、穏やかな青だ。
「なんで、それ、持ってるんだ?」
「へへ、おいら、図書館の隅で拾った」
「それなら、わしも」
「え?」
振り向くと、レンドルさんも守衛の制服の襟についた青い石をちらりと見せた。
「よし!宝探し!一番に見つけた奴が勝ちだ!」
言うなりトントは、鼻をひくひくさせながら、まるっきりネズミのように床を這い出した。
「ようし、ミキーもですの!」
少女も壁のあたりを丹念に調べ始めた。


レンドルはじっと、自分の石を見ていた。
ここに二人も石を持っている人がいる。珍しいものじゃないのか。
タースはレンドルの石を見つめた。
「レンドルさんは、どうしたの、それ」
タースの問いに、守衛のユルギアは照れたように笑った。


「あの娘にもらったんじゃ。出征の前じゃ。懐かしいのう、貴重な石を」
「それ、何なんですか?」
「知らんのか。これはシデイラが作る石じゃ。めったに出回らん。有名じゃろう?神の涙とも言われる、涙愛とかいての、ルリアイという」
聞いたことはない。見たこともない。
有名なはずはない。
知っていればシーガが探す必要はないのだ。
まだ聞きたそうな少年にレンドルは話し始めた。
「優しい娘でな」
「ええと、石のこと聞きたいんだけど」


「わしがまだ二十二のころじゃ。出征前にわしはあの娘に指輪を渡したのじゃ、メノウの指輪を。その店に行くと必ず奥の棚に飾ってあったルリアイを、店番に慈愛のルリアイと聞いてわしに贈ってくれた」
「慈愛のルリアイ?」
「ルリアイはシデイラの純粋な心が作り出す涙。奇跡の涙じゃ。一番多いのは母親が子供を産み落としたときに流す涙。我が子を思う母親の愛情の塊のようなものじゃ。それが慈愛のルリアイ。わしら人間にはよく分からんが、シデイラの作るルリアイには力があるという。だから、お守りとして好まれた」


「……レンドルさん、生まれたのいつ?」
「うーん。帝国が、誕生した年だったかの」
「!?レスカリア帝国!?それって、五百年前……」
言いかけてタースは口をふさいだ。


レスカリア帝国はこの大陸から船で一週間旅した先にある。大きな島国だ。神の使徒であるといわれる神王が皇帝だ。
この世界の宗教を統一した国。


宗教の頂点に神王がいるとされる。国自体が聖地のようなもので、これまで聖職者のみが渡ることを許されていた。謎に包まれた国だったが、最近、蒸気船と飛行船の航路が出来てから、だんだんとその様子が報道されるようになってきていた。
確か、レスカリア帝国は五百年くらい続いていると聞く。


レンドルがじろりと少年を睨んだ。
「なにを、言っとる。そんなはずはないぞ」


やっぱり、彼の探し人はきっと亡くなっている。そう、はるか昔に。
ひげをなでながらしげしげと少年を見ている老人に、タースは同情せずにはいられなかった。そんなに長い間、一人っきりで、ただ、立っていたのか。


「なんじゃ、その目は」
「いいえ、なんでもないです。レンドルさん、淋しくなかったですか」
「なにがじゃ?」
タースは老人の肩を優しく叩いた。怪訝な表情をしているレンドルさんに、タースは寂しさを感じる。
大切なものを失った悲しさも、一人で待つ淋しさもなくなっている。
ただ待っているだけで幸せだ何て、考えた自分がひどく情けなかった。


「あった!」
陽気なトントの声に二人は振り向いた。
「見てみて、見て!!これだよ、これ!おいらが一番だ!ほら、ほらぁ」
ネズミは壁の上の方に張り付いた紙を、背伸びしてそっと、はがそうとする。
「トント、僕が取るよ」
「やだやだ!おいらが見つけたんだ!おいらが取る」
そっと、そうっと、はがそうと、金色ネズミは小さな手をせいいっぱい伸ばす。


「あ!」
ミキーが驚いたように立ち上がった。
「うわ!びっくりした!びっくりして、破っちゃったじゃないか!!」
トントが手にした紙を振り回して怒った。


ミキーは何か他の事に神経を集中している。
「シーガさまですの!」
「え?シーガ?」
「ぎゃー!しまった!おいら、おいらってば、穴開けちゃった!」


トントの剥がした所から、中の空気が吸い込まれていく。
トントは慌てて塞ごうとその紙を元のところに戻そうとした。それは一旦張り付いたものの、くしゃっと丸まって巣穴の外に吸い出されてしまった。
「ああ!お手紙が!」
ミキーが慌ててそこに駆け寄る。
「うわ、へこんできた!ミキー危ないよ!」
ぎしりと、通路が傾いて、天井がぺこんと凹んだ。
「トント、直せないですの?お手紙はどこに行ったですの?」
「おいらの基地なのに!やだやだやだ!!」
気圧が下がったかのように、紙で出来た巣穴はさらに押しつぶされるようにべこりと天井を下げた。トントは凹んだ天井を押し上げようと手で支えようとした。
しかし、すぐに別のところがぺこんと凹む。
「やだやだ!おいらの基地が!」
混乱したのかトントはあちこち押し返そうと走り回る。けれど、トントが離れればそこはまた凹んでいく。
壁も狭まった。タースの足元の床も盛り上がる。
「危ない!出るんだ!」


タースはミキーの手を引いた。
「トント、お前も!」
後ろを這って進もうとするレンドル。トントはまだ、混乱して走り回っていた。
「トント!」
タースの声に、レンドルが振り向いて、トントをぎゅっと捕まえた。
「やだやだやだ!おいらの基地なんだ、おいらの大切な!」
「トント、基地がなくても遊べるよ!ほら、外でも鬼ごっこできるんだ、さ、早く!」
レンドルの手を引き剥がそうとして暴れていた金色ネズミは、そこでぱたっと動きを止めた。
「お前、外でも遊んでくれるのか?」
今度はレンドルを押しのけて前に出るとタースの背中に張り付いた。
「ああ、分かったよ、な、だから外に出よう!どっちが早く出られるか競争だよ」
「競争!!分かった!おいら早いんだ!行くぞ」
そう叫ぶなり、トントは通路を走り出す。さすがにネズミ、四足なら素早い。
タースはミキーを庇いながら、頭を押さえつける天井を押し上げて進む。柔らかいくせに押し戻してもまた直ぐ凹むそれのせいで、なかなか進めない。
「気をつけて、ミキー!」
「怖いですの」


巣全体が軋む。ぐらりと揺れたようだ。
「うわ!」
トントの声。
正面で、凹んだ壁と壁の間に、トントが挟まっていた。
「トント!」


助けようと手を伸ばそうとするが、ミキーをかばうので精一杯だ。
レンドルが背後からタースの脇の壁を押し広げてくれた。
柔らかくなった床に足を取られながら、タースはミキーを抱きかかえるようにしたまま、二歩。
手を伸ばそうとする。
「助けて!」
「もうちょっと」
後ろでレンドルがすぐに戻ってくる壁に業を煮やした。
「うおー!!」と怒鳴ると、締め付ける壁の一部を掴む。
「レンドルさん!?」
ビリ!
壁が、引き裂かれた。


「うわ!だめだよ!ばか!」
タースの声は遅かった。
レンドルの裂いた場所から一気に通路が萎んで行く。
タースはミキーを守ろうと、少女を抱きしめた。
周りの紙が迫ってくる。圧迫されて、苦しい。


「ミキー……大丈夫だから」
「タース」
腕の中で、少女が震えた。軽くて柔らかい体を守ろうと、タースはぐっと背中に力を入れる。息が苦しい。
「タース、タース、大丈夫ですの?」
「ん、大丈夫……」


紙の匂い、トントが何か叫んだ。
実体のないユルギアなら問題はないのかもしれなかった。
しかし、彼らには実体がある。
物理的に壊されてしまうことがあるのだろうか。
それは、僕らも……。
タースは目を閉じた。


耳に、何か響いた。
靴の音?
少年はうっすらと目を開けた。
目の前に、小さなネズミが首をかしげて立っていた。
白い、普通のネズミに見えた。
「?トント?」
手を伸ばすと、そいつはキーと鳴いて、走り去った。


「バカですね…」
聞き覚えのない声を聞いて、タースは飛び起きた。

次へ(7/11公開予定♪)
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要さん♪

本当に毎日ありがとうございます♪
コメ返し遅くなってごめんなさい!そうなんです!レスカリア帝国…いずれ重要になる国です。
まだまだ、これからですが♪
お楽しみに~♪

守衛のレンドルさんとネズミのユルギアトントさんが持っていた青い宝石ルリアイは、シディラの涙で出来た石だったのですね。この章で、シディラの一族とユルギアの関係が少し見えてきたような気がしました。
この章でもまた、レンドルさんの恋人にまつわる過去が話されていますね。この世界の宗教を統一したレスカリア帝国とは如何なる国なのかが、気になる所です。
そして、タースさんの耳に響いた声の主とは一体誰なのか
次回の展開に期待します

楓さん♪

キター(・∀・)♪いただいちゃった!!
シーガ様、やっとですねぇ。
美味しいところで、はい。彼はそう言うヤツです。
でもあんまりいい思いはさせません。
この第二話では、脇役宣言していますから!
はい。
忠実に、脇役に徹するはず!!(笑)
レンドルさんの過去…微妙なとこですねぇふふふ。
過去。
うむ。
どうしようかなぁ…(←今考えるなって^^;)

キタ━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!

シーガ君!!
君ってやつは・・・
クールな毒舌家のくせに、一番美味しいところで登場するとは!!ぐはぁ
海を閉じ込めたような、穏やかな青・・・か。
僕にもそう言う表現ができたらなぁと、本編とは少し違うところでまず感心してしまいましたですよ。
レンドルさんの過去。
切ないですね。
でも、彼のこのエピソードが今後の伏線になっていそうな予感がしたのは僕だけでしょうか?
行ってみたいぞレスカリア帝国!!!

コメントアリガトウございます!!

ユミさん♪
そう、シーガ様です!
やっと…。
タース君に出会ってココロ休まる…そう感じてくださって本当に嬉しいです♪ここは微妙に気付いていただけたら嬉しいなぁくらいの隠し加減でした♪
トント…はい。お察しの通り…。シーガ様の登場で、物語はちょっと動き出します、か?(←なぜに疑問形^^;)

kazuさん♪
お久しぶりです!ありがとうございます!
親方さん、彼の存在はタース君にとって必要です。人が人に与える想いが何にどう影響していくのかを、描いてみたい、これが今回のコンセプトですので(無謀…笑)
レンドルさん、いいでしょ?今はこんなんだけど、昔はきっと好青年で、いろいろな経験していて。いえね、先日父親の青年時代の写真を見て(実父と同居人のお父さんも一緒に写っていて…)なんだ、この好青年ぶりはと驚きました(笑)
さて、シーガ様。
タース君と対決…。
楽しんでもらえるといいなぁ~(…遠い目?←自信なし)


かいりさん♪
毒舌、早速です!
ええ、シーガ様がどんな心構えでタース君の前に立っているのか、よーく分かりますよね。この一言(笑)はい、助けておきながら毒舌です。ひねくれものです(笑)
ルリアイ、是非ぜひ、たくさん産んで、たくさんルリアイ作ってください♪(笑)でも、本当にあったら、絶対にキレイですよね♪純粋な愛情ですよ、きっとどんな母親でも♪
生まれてくれてアリガトウの気持ちですから♪
ふふふ。
次回…楽しみにしていてください!

chachaさん♪
きましたよーシーガ様♪
喧嘩?どうでしょう(笑)
あの性格では初対面で仲良しにはなれないでしょうね(ぷぷぷ…^^)
うははは!chachaさんの言うとおり!そう、トント、自分が悪いんだよぉ~♪
その通り!トントしか直せないしね!
石…じわじわ来ますよ!石は(笑)
楽しみにしてくれて、本当嬉しいです!!ようし!!がんばるぞ!!


史間さん♪
はい。もう、皆さんシーガ様を待っていてくださって…(感涙)
嬉しいですよ~♪
レンドルさん、そう。五百年たってます。それでも人は今と同じように恋人に宝石を贈っていたんだろうなぁなんて想いまして(笑)
そう、トントはただの白いネズミに!!!はい。ということは?
レンドルさんは?乞うご期待♪(←懐かしい言い回しだわ…^^;)

おお!シーガ様のご登場ですね♪
うあーい(アホ)

シデイラの涙かぁ、神秘的ですね。
それをトントもレンドルさんも持っていた、と。
何か秘められたものがありそうで、わくわくです!
てか、レンドルさん、五百年前の人だったのかー(爆)
そんなに立ってたら、足が棒どころか、石になっちゃうよ(ぇ
恋人、見つかるかな(不安)

というか、トントは白いただのネズミに????
うそ~!?(←バカ2号)

うっはぁ☆

きたきたきた~~~><
シーガくん、ついに脇役から這い出てきましたね~♪(笑)
次回、ついにタースとシーガくん初対面だぁ!
うわわわ><
喧嘩とかしないかドキドキですよ~(笑)

あぁ、それにしても;;
せっかくの、トントの大事な基地が・・・いや、ごめんね。誰が悪いかと言われたら・・・破いちゃったトントが悪いのよ?(笑)
でも・・・辛い気持ちはわかるからなぁ><
だから、タースのような優しい言葉かけはとっても大事☆
本当、いい子だなぁタース♪

青い石の背景も除除に見えてきましたね・・・^^ふふ☆
続きが楽しみです!

ひやひや~><;

うひぃ!ヒヤヒヤしましたー!!紙の天井につぶされるー!!と思って…。
そしてそして、ついに登場シーガ様!!
早速の毒舌ありがとうございまーーーす!!(ぇ
ひょっとしてシーガ様が助けてくれたのかな…?

レンドルさんの想い人はやはり…しかも500年前に!!?
うわーん!レンドルさーん!!寂しすぎるよぉぉ~(ノД`)・゜・。
そして「ルリアイ」すっごいキレイなんでしょうね…母親が子供を生むときに流す涙…ふわぁ~素敵!!
私も是非欲しいです!!!(←
さーて!ついに次回シーガ様とタース君の対決が見られそうですね!
楽しみにしております^^

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おはようございます

ご無沙汰してしまいました、らんららさん。
一気読みのコメントでごめんなさいです。
まずまず 親方。
う~ん、頭ごなしのその気性は職人だからといわれれば確かに職人気質。
でも、お兄ちゃんがでて行っちゃった気持ちのほうが分かる気がしますね。
タースくんがライラさんを可愛いといったその言葉で、絶対おれの跡継ぎにするんだ!と決めてしまったような・・(笑
親方、押さえつけるだけじゃだめだよ~とハラハラしちゃいました。

そしてミキーちゃんが探していたものは、シーガ様の記録だったんですね。
見つけたのはいいけれど、えらい大変なことに・・^^;
レンドルさんの切ない過去にジーンと来ちゃいました。
戦争ものの小説を読むのが好きなので、シーンが想像できて、いままでのレンドルさんとイメージが変わりました。

最後にシーガ様が出てきましたね♪
どきどきです~
続き楽しみにしていますっ♪

シーガ様だ^^

シデイラが作る青い石、ルリアイ。
神秘的ですね!!トントもレンドルさんも持っているとは
おどろきでしたが。
そして、そして、もっと驚きなのが、レンドルさんは500年も
前からずーっとずーっと思念を抱いて、この場所にいたこと。
あぁ、その間にも、タースのような人と出会っていて、少しでも
心が休まることがあったと思いたいです。

タースくんとミキーちゃんは何とか無事なようですが、トント
とレンドルさんは??
ユルギアって、大丈夫なのかなぁ…?
タースが見た白いねずみは、トンとの思念が離れてしまって
実体だけになったねずみなのかな?

シーガ様登場で、また空気がシャキーンとしそうですね。
次回も楽しみにしています。
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らんらら

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