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「想うものの欠片」第三話 ⑥



「シーガ様がお傍に居るとちゃんと人間に見えますの」
「え?」

恥ずかしそうに笑う少女。
ミルクティー色の髪が馬車の振動に合わせて、硝子に触れる。
タースはまた、柔らかな手を見た。

人間じゃない、のか?
先ほど飲み干した薬とやらが、胸の奥で凍りついたかのような気がした。

「シデイラなら見ただけで分かります。ミキーは兎の人形に宿らせたユルギアです。お前の言う、ルリアイ、あれを使うと物に宿って実体を持つことが出来ます。図書館でも見たでしょう?」
「ゆ!」
ユルギア?そんな、バカな!

タースはじっとミキーの顔を見つめた。可愛らしく見つめ返してくる。ミキーは首に下げた青い石のペンダントを見せた。
どきどきと確かに心臓が高鳴るのに、これは恋だと思っていたのに、相手がユルギアだなんて?

「ミキー、離れなさい。タース、それは人が好きです。だから、隙さえあれば触ろうとする。誰にでも尾を振る犬のようなもので、恋愛感情などありません。情けない顔ででれでれしているから面白かったのですが、あまりに無防備なので、倒れられても困りますから。ミキーが触れたものは皆熱を出します。それは、心の純粋な子供ほどひどくなる。まあ、お前のように鈍感なら、先日から熱があったことにも気付いていないでしょうが」
「……うそ」

シーガの言葉の後半はほとんど耳に入っていなかった。

ミキーが、ユルギア?
なんで?
どうして?

「タース、飲まないですの?」
また腕に触れるミキーの白い指。
爪がなくても、三本しかなくても。
ミキーが触れているというだけで、特別な気がするのに。
好きだったのに、いや、今でも好きなのに。

「……バカですね」
シーガが呆れてつぶやく。
青年をきっと睨んで、でもその表情は長くは続かず、少年はがっくりとうなだれた。
小窓に背を向けると、正面を向いた。こういうとき、隔たりがあるのはありがたい。


受け取った小瓶を、膝の上で揺らす。
小さな水面の丸が揺れてまた直ぐ、元に戻る。

言われて見れば、だるい気分だ。そんなゲンキンな自分が嫌になる。
熱があると聞かされると急に病気になった気分になる、あれだ。
さっきまで元気だった。
気持ちの問題なんだ。

ミキーだって、さっきまですごく好きで。
ユルギアだって聞かされて、僕は違う目で彼女を見ている。
それがひどく悲しい気分にさせた。

好きだって思っていたのは嘘だったのか。

でも、ユルギアを好きになってどうする…相手は歳もとらない、お人形。
だけど、じゃあ、どうしたらいいんだ。

自問自答を繰り返す少年の後姿に、シーガは首をかしげていた。
硝子の扉に近づいた。
「ほら、もういいから、その一つだけ飲みなさい。眠くなりますから、きちんと留め紐を腰につけておきなさい。落ちてリロイに迷惑をかけてはいけません」
「……シーガ、母さんみたい」
慰めてくれている気がした。
「!?」
タースの一言に青年は黙り込んだ。

白い頬を珍しく赤らめたシーガに、ミキーは嬉しそうにすりよった。顔を真似てみる。
今はそれを寂しそうに見つめ、タースは微笑んだ。


「僕、それでもミキーのこと好きだ。ありがとう、シーガ」
あきれるシーガの視線に、タースも何となく照れくさくなって再び背を向けた。

おかしいのは分かってるけれど。本気で好きなんだ。
嘘は付けない。


手に持った飲み物を一口含む。少し香る果物の香り。美味しく感じて、また、一気に残りを飲み干した。
馬車の揺れが、心地よい。
優しい気持ちになる。

ぽろりとこぼれた涙が、コツンと小瓶の硝子を鳴らし、ちょうど手のひらに乗った。

自分に呆れて、口元が緩んだ。
不思議だな、ルリアイ。
そっとそれをポケットにしまった。
大切な自分の気持ちのような気がした。


それでいいのか!?タース?(笑)次回に続く♪次へ
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復活です♪

<松果さん>
<んふふ~、赤くなるシーガ様、可愛いぜー!
「それでもミキーが好き」というタース君、
真っ直ぐすぎて切なくなるなぁ。
初恋とはえてして切ないもの、なんだけど。
でもミキーちゃんになら誰でも惚れちゃいますよね。
この~、罪作りめ!>

てへへ♪せっかくいただいたコメントですから~♪復活しました!
温かいお言葉、ありがとうございます!
気をつけますから!(ほんと、反省です…><。)

どんまーい

あははー別にいいですよ。
遅コメントでよかったらなんぼでも書きますから~
タース君の率直さに惚れてますんで♪
またきまーす

松果さん~

うあぁ~∑( ̄口 ̄)
ごめんなさい!
怪しげなコメントについてたリンクがエロ画像で、ムキっ( ̄^ ̄)て思って慌てて消したら!ぎゃ~松果さんのまで消えちゃったY(>_<、)Yごめんなさい~
メールで受けたのが残っているんですが(ノ_・。)
復活できるかやってみます…

はい、タースくんは突っ走ります♪
シーガの仕打ちに耐えながら(^_^;)
応援してやってください♪コメントありがとうございます!

ぬこ&えふぃさん♪

ありがとうございます♪ちゃくちゃくと読み進めていただいて♪
嬉しいです!
そう、まさしく幽霊に恋してます♪
シーガは相変わらずですし、(ちょっと優しさもみせますが…)大好きなミキーちゃんは幽霊だし、前途多難なのです♪

幽霊に恋する少年…
悲しいくらい隔たりの壁がタースに立ちふさがって、シーガの意外な気遣いを知ったりと、この壁を越えられるのかな?タース君!

要さん♪

ありがとうございます!
お返事遅れてごめんなさい♪
はい、想像ついてました?ふふふ~それでもタース君は自分の気持ちに従うのです!暑苦しくない程度にがんばらせます♪夏ですし…

ミキーさんは、兎の人形に宿ったユルギアだったのですね。これまで彼女の正体がかいま見えて来たときの場面から、彼女の正体が人形ではないかと、何となく予想していました。
彼女の正体がわかっていても、ミキーさんへの想いをタースさんは諦めていないようですね。
彼の純粋な気持ちを感じる事ができました。
果たしてこの後、物語がどのように進んでいくのか
次回の展開に期待します

しろうそさん♪

コメントありがとう!!
スレイド…いずれ出てきますので、もうちょっと待ってね~♪
タース君の恋!はい!突っ走ります。つぎからもう、暴走の勢い(笑)障害や歳の差なんて関係ないですよ!タース君と突っ走りましょう!!
ミキーちゃん、ええ。すごもの。ステキ、その言葉♪

takagaさん!

ふははは!ばれました?
そうだ、よく考えればかなりやばい。タース君…魑魅魍魎の世界に…ふふふ~♪
ゴシックホラー…かっこいい、その響き…そうしようかな…。
ゴシックホラーファンタジー…、む、これじゃ長いか。

スレイド様…
ちょっと泣きそうなしろうそでしたv

タース君はがんばってほしいというか、思春期をもう素晴らしく突っ走っているというか、もう…青春ですね!!
それでも恋。
同じ難しい恋をするモノとしては頑張りましょうの同盟を組みたいものです!!
ミキーちゃんも只者ではなかったのですね…すごもの?
でもやっぱり、可愛ければおっけーなのですv
可愛い可愛いv



ではでは、可愛いとか恋とかスレイド様とかのコメでごめんなさい;

いやいや

タースに注目しちゃいそうではありますが、やっぱりミキーの存在が恐ろしいですね。
このお話、和風テイストにしたら怪談ですもん。冥府魔道ですよ。らんららさんに騙されちゃ駄目だ(笑)
ほんわかしておきながらタースの引き返せない呪いの開幕なんですよお。ティム・バートンなんですよお(?)

勝手に走る馬車に人間ではない少女と奇っ怪な青年です。これは陰陽師の出番に違いない。ゴシックホラーだ。

コメントありがとうございます!

kazuさん♪
おはようございます!
ふふ~ミキーちゃん、人好きなのです♪タース君、結局自分の気持ちを優先させることに…ここ、実はかなり悩んだんだけど、やっぱり彼の性格では、こうなるだろうと。
お陰でさらにこの後いろいろと…になるわけですが。
この無謀な恋、突っ走らせて見せます!(笑)


楓さん♪
うははは!!気持ち分かります!!
そう、真剣に悩むのを見ると同情しちゃうんだけど、おい、ちょっと待て、と思うと。
笑える。
いえいえ、楓さん。ミキーちゃんはある思念の塊から生まれたユルギアです。そこはまだ、ヒミツなのです♪その結果、人好きだし楽しいこと大好きだし、誰でも触る♪
タース君の性格はシーガをもちろん、変えます♪でも変わっても素直じゃないですから、彼は。ふふ。楽しみにしてくださいね~♪


かいりさん♪
にやにや…嬉しいです!
赤面シーガさま、ツボでした!?了解!ツボを心得て、楽しませます!かいりさんを!!
ハラハラ?ふふふ。
ふふふふふふ!!
ハラハラ、してほしいなぁ~(←何か企んでいる…)


ユミさん♪
おお!タース君、かっこいいって!!褒められたよ!(^^)v
純粋なんですよ~なんて言ったって15歳ですからねぇ、子供です♪
突っ走りますから、この恋に!!(たぶん初恋だろうし…笑)
ふふ、シーガ様、突っ走るタース君にどう対処するのか…ほんと、思春期の子を持つ母親気分かも…(爆)

かっこいい!

ユルギアと分かっても、結局は好き!!
関係ないよね、好きになるのに♪
ちょっぴりやっかいだけど^^;
タースくん、いまはこのままその純粋な気持ちを持ち続けて
いてね~~☆

で、で、シーガ様!!
お母さんみたい~(笑)なんて言われてる!!
初めて見たぞ、頬を赤く染めるなんて。
この旅いいな~。どんどんシーガ様が変わっていくといいのに。
それも楽しみの一つかな。

にやにや~

ごめんなさい。もうこのにやにやした顔をどうにかしてください!(ぇ
いえ、ミキーちゃんの正体にはとっても驚いて、タース君にもかなり同情しちゃったのです><;
が。シーガ様ファンの私には、顔を赤くした彼にもーメロメロですー*><*!!!
激しくツボです!!うはぁ~vV

なんだかこの3人の旅は思っていたほどハラハラしないでいけそうな感じです!
なんとなく、シーガ様とタース君、良い感じになりそう♪
続きも楽しみにしていますね^^

こ……

これは地獄だ!タース!!笑
いいのか?
それでいいのか?タース!!!!うははは(←!
いやいや面白い。
って面白がっていてはシーガと一緒か。
にしても衝撃的事実でしたね。
まさかミキーが単に人に触れる事が好きな実体を持ったユルギアだったとは思いもせず……触れられるたびに「あぅーんミキー♪」うひゃひゃひゃひゃ……おっと(汗
いやぁこの旅どうなるんでしょう?
興味は尽きません。
で、シーガ……
少しずつタース君の真っ直ぐさというか、馬鹿正直さに惑わされてますね。こういう人種もいるのかと、珍しい物を見るような感覚。そしてそれも悪くないと思い始める……のでしょうか?
うひょー楽しみ♪

おはようございます♪

とうとうばれちゃいましたね、ミキーちゃんの正体。
そうか~、想いに囚われているユルギア。
ミキーちゃんは、人が好きなんですね。
触ることが大好き。
うぁ・・・、タースくん悲しい・・・^^;
それでも。
それでも好き、と言い切るタース君が素敵☆
シーガ様、淡々とした言葉の中に優しさが出てますね。
確かに、お母さんみたい☆

続き楽しみにしてまする~
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