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「想うものの欠片」第三話 ⑨


ミキーを抱きしめたまま、後ろに下がろうとした。しかし、部屋は狭い。
直ぐにスーツケースに突き当たって、転ぶ。

「きゃ!」
「わ!」

後ろ向きに転んだタースは、ベッドとスーツケースの間に転がった。弾みで大きなスーツケースは向こうに倒れ、硬い音を立てた。肩を押さえて青年を見上げた。


シーガは寸前のところでミキーを抱え上げたらしい。ミキーは抱きかかえられるお人形よろしく大人しくされるままになっている。


中身が綿、大きさの割りに軽いので、シーガは片手で軽々抱えていた。


「やめました。お前は夕食抜きです。さ、ミキー行きましょう」
「待てよ!言いたいことがあるなら言えばいいだろ!」


去りかけたシーガがぴたりと止まった。
振り向く。
おろされたミキーは、そっと、シーガの背後に隠れるようにする。
喧嘩が苦手なのだろう。耳を塞ぐように両手で帽子を押さえつけている。


「シーガ、あんたもミキーのこと好きなんだろ?だから、そんなに怒るんだろ!」
「お前の人形ごっこに付き合いきれないだけです」
「うそだ、怒ってるだろ?」
「いいえ、呆れています」
「じゃ、夕食一緒でもいいだろ」
「……どういう、理屈ですか?」
「お腹、すいたから……」


半身を起こして、タースはため息をついた。


ミキーに触れられることが嫌ならそういえばいい、シーガが彼女のことを大切に思うならそれはそれでもいい。
シーガにもそういう感情があるって思える。
けれど、ただ、不機嫌になるだけではどうしようもない。
まるで拗ねている子供のようだ。


シーガはじっと少年を見つめていた。
「お前は、勘違いしていますよ」
ボソッと言った青年の言葉に、タースは勢いよく立ち上がった。
「何を?」
立ち上がるとちょうど、シーガの肩の高さがタースの目線。不意にシーガが伸ばした手はタースの額に当てられた。


「!…熱はないって!」
「私は、ユルギアに恋愛感情を抱くなど愚かなことはしませんし、お前のために何か行動するつもりもありません。お前のようにいちいち心を動かされていてはユルギアにいいように振り回されますしね、もともと、こういう性格です」
「冷血!」
「ほお」
シーガはむしろ嬉しそうに目を細める。


それを見てタースは言葉にしてみた。感じるままのことだ。


「あの、本当は違うんじゃないのか?究極の恥ずかしがり屋で、気持ちが反対の表情に出るとか」
「……」
シーガは黙り込んだ。


「だって、いちいちあんたの感情を想像しなきゃならなくて疲れるんだ!分けわかんなくて。気になるだろ!」
「お前、馬鹿ですか」
「もう、いい!行こう!夕食だ夕食!もう、腹が立って余計にお腹すいた!」


タースは翡翠色の視線から目をそらすと、脇をすり抜けて、部屋の外に出ようとした。
が、何かにひっかかって、見事に転んだ。
腕で顔を庇ったものの、したたか肘を打った。
ミキーの目の前で転んだのだ、恥ずかしさに頬が火照る。


「な、何だよ!」
自分の足元、シーガの靴を座り込んだまま蹴る。
シーガはさっとよけると、そのまま少年の腿を蹴った。
「痛いって!」
情け容赦ない。鈍い痛みに、タースは体を起こすと、手でさすった。


「お前は留守番です。ミキーに触れていたでしょう?外で倒れられては困ります。お前を運ぶほど私に力はありません」
「だから、熱はないって!」
「…あるから言っていますが」
シーガの表情は真面目になっている。半分、そう、呆れている。
「!?うそだ、僕は平気だぞ!」
本当に自覚はない。以前倒れたときのようなだるさもないし、火照ってもいない。寒気もしないし、ふらつきもない。


絶対にシーガの勘違いだ。


「は、本当に自覚がないのですね。いいでしょう、その代わり、倒れても捨てていきますから。死に物狂いで付いてくるんですね。ああ、そうですね。それも楽しそうです。僕はシデイラの混血ですって張り紙でも貼り付けてあげますよ」
「本当に趣味悪いな」
タースは起き上がって尻を軽くはたいた。
「あの、ミキーもご一緒していいですの?」
「当然だよ」
タースが笑う。


嬉しそうにミキーはタースの左手にしがみ付くように近づいて、腕に頭を摺り寄せた。
黙ってそれを眺めながら、シーガは乱れた髪をかき上げて歩き出す。



次へ(8/9公開予定♪)
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ぷふふ!N&Eさん♪

気付いたとしても…
タース:(さむすぎて)「寒気が…」

なりたたないコンビだわ…(笑)

シーガ:熱が出てるって、「お熱だってねー」

タースにシーガの駄洒落は通じなかった・・・

ミキーに触られて熱が出るってのはほんとだしね(笑)

要さん♪

ありがとうございます~♪
ふふ、タース君はまっすぐなので。
シーガ様、どうなんでしょうか?
ミキーちゃんに?どうだろう?(^^)
でも、シーガ様がそういうなら、タース君、放っておいて突っ走れるけれど…?ご期待ください~!

シーガさんに追い詰められるタースさんは、彼も自分と同じようにミキーさんが好きなのではないかと思い問い詰めましたが、ユルギアに恋心を抱くわけが無いとすぐに否定されてしまいましたね。彼の言葉には、相変わらずタースさんに対する厳しさが込められていると思いました。
果たしてこの後、タースさんがどのような行動を取るのか
次回の展開に期待します

chachaさん♪

コメ返し遅くなっちゃった!!(過去記事の表示数増やしました…)確かすごい嬉しいコメントもらったぞ、と思っていたのだけど過去記事表示がすぐ消えちゃったので…

いいえいいえ、らんららも、なかなか平日にブログに遊びにいけなくて…(><)皆さん夏休みを控えてお仕事詰め込み状態ですよね!
おお、タース君が、抜きました?テッタも?おお、タース君一番素直で優しさ前面に出てますし…一番女好き…(←?)いえいえ、恋心しっかり表に出してますから♪
この逆境の恋、がんばれるのかなぁ~♪
ふふふ。
続きを楽しみにしてくださいね♪

むきゃーーー><

かなりのご無沙汰です><ごめんなさいです!!

いやぁ~それでも毎日毎日らんららさんの小説だけは!だけは!と思いながら、会社のPCから、携帯から覗いておりました^^いやぁ、やっぱりらんららさんの小説、好きなんですよ、本当に(笑)

ででで!!
タース!タースってば!君はなんて可愛いんだ!!!><
い、いかん。テッタの上いきそうだ。可愛さが(笑)
いやいやクラフも良かったけど・・・総合すると、今のとこタースがトップです(笑)
ミキーが大好きなのね??うんうん!可愛いぞぉ!コノヤロー!!><

シーガくん、もっと素直にタースの相手してあげてよぅ。
確かにシーガくんの考えてることとか分かりづらくて・・・読み取りにくいし@@;そりゃタースも大変だってもんです。むぅ。
変わっていったらいいな、シーガくん。
でも、このままじゃなきゃシーガくんっぽくなくなっちゃいますね~ふふ^^
三人で仲良く、ご飯を食べてね♪
明日更新ですよね??^^楽しみです!

こめんとアリガトウです!

楓さん♪
おお?今頃気付きました(笑)ほら、クラフくんだってかなり苛められていたでしょ?
一説ではどMという噂もあるけど、イニシャルはMMですし(←?)
オトナですから♪そこはほら、いろいろと。ね、楓さん♪
二人の関係…タース君目線だし彼のほうが一生懸命ですが…だんだんと、ね。ほら、お話が動き出すのはまだまだ、これからですから~♪
おお、「片翼のブランカ」…うむ、あれ、つまんないかなぁ?と。ほとんど推敲らしいものしてないし、二作目。でも、chachaさんが一番お気に入りといってくださっているんです♪読んでくださるの、待ってます~♪


ユミさん♪
うふふ!!基本、彼はどSです!!
最近気付きましたが。Sキャラって、書いていて楽しい…♪
嫌われない程度に暴れてもらいます(笑)
タースくんには純愛青春路線でがんばってもらいます!
熱があるかどうか。
タースくん的にはないですが…。病は気から。そのうちぶっ倒れるかも?(笑)


かいりさん♪
そうそう、彼の性格なら言えちゃいます!
うふふ。かいりさん、やはりシーガ様、ツボですね?
ラグ君なら動揺して顔真っ赤、でしょうねぇ♪それはそれで可愛いんだけど♪
シーガ様は、…う~ん、今、いつか声を出して笑わせようかと思ったけど想像できなかった(@@;)

くすくす~

ちょっとタース君!よく言った!!!
「究極の恥ずかしがり屋で…」
私も同意見でーーーっす!!!(笑)
うーん。でもそこで動揺しないところがやっぱりシーガ様ですね~、ちぇっ(←こら
タース君めげませんね!ミキーちゃんはかわいいし♪
夕飯、ちゃんと皆で仲良く(笑)食べられますように!!
続き楽しみにしていますね^^

ホッ

シーガー!ホント、感情が読めない奴~!
優しくなったのかと思いきや、やっぱり冷たい?!
ふぅ・・・タースくんのほうが大人だぞ~~。
で、タースくん、死に物狂いで、なんとしても付いて行ってね♪

ミキーちゃんに触れても熱でなくなったのかな??
本当に愛情があるからかなぁ?
なんだか不思議なことだらけ^^
もっといろんなことを知りたくなりました~~。
次回も楽しみです♪

Sだな……

らんららさん、
あなた、Sですね。しかもドS。
ちょいエロ姉ちゃんだとは分かっていましたが、まさかドSとは……笑
ふふw
僕と同じ匂いを嗅ぎました。
足引っかけて相手倒しておいて、相手が怒りにまかせてけり出してきた足を避けて更に蹴りを入れる……
じ、女王様とお呼びっ!!!!!うひー><
ドラえもんにお願いして翻訳こんにゃくをタース君に食べさせてあげたい今日この頃(笑
あ。
遅くなりました。
相変わらず土日休業のため、3話まとめ読みしました。
ますます泥沼化する二人の関係に興味津々です♪
ぴーえす
片翼のブランカへの辛口感想、
ナカナカ書けなくてごめんなさいぃぃぃぃ!!!
きっと書くから♪

史間さん♪

うお~タース君!!色っぽいって!!すげー!!嬉しいっ♪どきどきですのっ?可愛い♪史間さんにらんららがドキドキしちゃいます♪(←?)
シーガ様…はい。相変わらずです(^^;)
思い切って正攻法でいったタース君、すかっとかわされて…。この二人、仲良しになることは、…まだまだ、先かなぁ?

ミキーに触れると?

熱が出るのですか??(自覚ない2号さん)

シーガ様へのタースくんの素直すぎる突っ込みに、ちょっといい返事を期待しつつ、どきどき読み進めましたが、
相変わらずなシーガ様でした(汗)

気持ちまっすぐなタースくんのほうが、今の時点では、
シーガ様より色っぽく見えてしまいます♪
どきどきですのー♪(←ぉぃ
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