10
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
   

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「想うものの欠片」第四話⑰

17

―――

二十年前くらい、あの公園にはたくさんの遊具があって、いつも子供や大人の笑い声がしていましたの。
機械式の小さなメリーゴーランドもありましたの。
広場では子供も大人もボールを蹴って遊んだり、小さい子はブランコで遊んでいたり。毎週休日になると道化師やサーカス、人形劇のステージが開かれて。

その人形劇に出てくるミキーという少女は、とても人気で、みんなが大好きでした。

お人形がステージに出るたびに、たくさんの嬉しくて楽しい気持ちが拍手とともにお人形に集まる。みんなの愛情がミキーに集まるの。


― ある週末の夜ですの。
月が綺麗で、晴れた空にお星様がたくさんあって。
ミキーはそこから記憶があるですの。
誰かがミキーに言ったの。

「あ、お人形さん」って。

その声で、ミキーは目覚めましたの。
誰にも見えない「みんなの大好き」が集まった想いが、その子には見えていたですの。

体はなかったけれど、ミキーはその時ユルギアとして生まれました。
気がつくと、銀色に光る髪の小さな男の子がお母さんに手を引かれて、夜の真っ暗な公園を歩いていたですの。

月明かりに、二人はきらきらしていて。
その子はミキーのほうを振り向いて、嬉しそうに笑って手をふったですの。


タースはそこで、撫でていた手を止めた。
「……それ、その子供って」
「シーガ様ですの。ミキーは、シーガ様とお母様を見ているですの」
ミキーはタースの腕に頭を預け、少年を見つめている。
大きな瞳がまた、瞬く。


― あの日からミキーは毎日公園に集まる楽しいみんなの笑顔を見ていました。
みんな大好きです。
みんなもミキーのこと大好きです。
ミキーは姿はなかったけれど、お人形と一緒になって踊ったり、芸をする小猿と並んで逆立ちしたり。
楽しかったですの。
でも、夜になるとみんないなくなる。
口々に、もう帰るって。
帰る。
みんなミキーを置いて帰ってしまうですの。
寂しくて、つまらなくて。

― シーガ様に二回目に会ったときは、シーガ様は大人になっていて。ミキーはそれがあの時の子供だとは分かりませんでしたの。公園の改修工事が始まって、閉鎖されて。誰も来なくなった。
ミキーは寂しくて寂しくて。子供たちに戻って欲しくて、ブランコを揺らしたりお人形とダンスしたり、夜にはメリーゴーランドを動かして誰かが来てくれるのを待っていましたの。

あのときのような月の夜でしたの。
大人になったシーガ様が、来ましたの。
「いたずらをしているのはお前ですか」って。
初めてミキーに話しかけてくれましたの。

今思うと、シーガさまはミキーをユルギアだから、お仕事で依頼されて消すために来たですの。
でも、あのときのミキーには分かりませんでした。

今まで誰も、ミキーに声をかけてくれる人はいませんでした。だからミキーは嬉しくなって、シーガ様のおそばに行って。大好き、遊びましょう!って。
たくさんお話しましたの。

風船売りのおじさんのことや、メリーゴーランドでいつも蒼いお馬に乗る女の子のこと、それから、月の夜の男の子のこと。

シーガ様はそれが自分だと気付いて、ミキーにお母様のことを尋ねましたの。ミキーは、覚えていることをお話しました。
それを聞いて。

「寂しいのなら、一緒に来ますか?」
そういって、シーガ様はミキーを連れ帰ってくださいましたの。

ミキーは寂しかったので、シーガ様に体をもらいましたの。
シーガ様の兎のぬいぐるみにミキーを入れてもらいました。

兎のぬいぐるみにはあの青い石がペンダントのようについていて、ミキーがそこに吸い込まれると、ミキーは、今の。この姿になったですの。

嬉しくて!

今までミキーは誰にも触れられなかったです。誰にも、声をかけてもらえなかったし、ミキーの声を聞いてくれる人はいなかった。

この姿になってから、たくさんの人に触れられるし、お話も出来る。
シーガ様のおかげですの。

タースは嬉しそうに微笑むミキーの頬にそっと手を当てた。
白くするりとした絹。
触れればそれと分かるのに、見ただけでは普通の少女。

ルリアイにユルギアが宿って、それを持つ生き物や物に姿を与える。
キツネさんや、トントは生き物にユルギアが宿った。レンドルさんは警備員の服だった。服とルリアイでユルギアのレンドルさんは人間に似た姿をえた。
同じように、ミキーも、ルリアイとぬいぐるみで今の姿になっている。

でも、普通のユルギアよりずっと色々な思念を持っている。
そう、一見普通の少女に見えるくらいに。
それはシーガの力なんだろうか。
だとしたらミキーをつれてシーガのそばから離れたら。逃げ出したら。
どうなるんだろう。

元のぬいぐるみに戻ってしまうだろうか。


「ミキーは、シーガのそばにいたいんだよね」
「はい。タースも同じですの」
「……」
「タース?」

逃げ出すべきだと、そう思っていた。

シーガの性格を知るうちに、悪い奴ではないと分かってきた。けれど、決して僕のことを助けようとしてそばに居るわけじゃない。本来ならシモエ教区に送るべきだと、そう思っているはずだ。

指名手配されているという。
新聞記者のダルクはそのことを知っていた。

このまま、そばに居れば、いつか。
胸に熱いものがたまる。

見つめるミキーの顔を見て。胸につかえた塊をふと吐き出す。
少し、視界がにじんだ。

ミキーを連れて行くわけには、いかない。
ミキーはシーガのそばにいればこの姿のまま幸せでいられる。

「タースが悲しいとミキーも悲しいですの」

抱きしめそうになって止まると、タースはそっと手を離した。
横になったミキーを残したまま起き上がった。

「タース!」
ミキーが追いすがるようにタースの胸にタックル。

「わ?」


次へ(10/15公開予定♪)
ファンタジー小説ブログランキング
関連記事
スポンサーサイト

松果さん♪

はい、二つ目の過去話でした♪
実は、らんららは回想シーンとか苦手なんです。
上手くかけなくて、分かりにくくなるばかりで。
なので、いつこのエピソードを持ってこようかと想っていたんですが。ここで書いておかないと次からは物語が動き出してしまう~(笑)
ってことで。こうしてみました。
正体がわかったところでタース君は、どうする!?

見守ってやってください~

ぬこさん♪

そうです!鋭い♪シーガも救われてます(笑)
なんだかんだいって、お母さんの記憶をそばに置いておきたい、という。
ダークサイド…いったらかなり怖い奴になっていそうです~(^^)
コメントありがとう~♪

おおお~

涙、涙のエピソードを過ぎて、一気にここまで来ちゃいました。

ミキーの正体、やはりお人形でしたか。
それにしても、シーガさんとそんな古いお知り合いだったとは……
シーガが存在を認めたから、ユルギアのミキーが生まれた?
シーガの傍にいれば、ミキーは人間の姿に見える?
ん?
もしもしシーガさん、ふわふわミキーを必要としてるのはシーガさんのほうでは?

ああ、それにしてもミキーの罪作りなこと。
タース君の想いがせつない(泣)

 人形秘話確かにゲットしました!

 ミキーとシーガはずっと昔からの縁があったんですね。
 シーガがダークサイドに行かなかったのはミキーのおかげ!
 タースも救われてる口ですかね。

コメントありがとうございます♪

ユミさん♪
そうなんです~。シーガさま。ちょっと性格は歪んでますが。根はいい奴。
態度が悪いし、語らないから…いずれシーガさまの過去もちらちらと書いていきますので♪(第五話くらいかな~)ミキーちゃんに対してどう考えているのか。
うん、まさに最初は利用したかったのだと。今も、便利に使っているし。
あまり語らないのでらんららもシーガさまのこと詳しく分からないんだけど(?)
人と人が出会うことで、何か変わっていけるなら。
シーガさまが一番変われるのかもしれないなぁ~。
樹里ちゃんみたいにね♪

史間さん♪
いいんですよ~らんららもなかなか読めなくて(^^;)二話読みしちゃうもの♪
そうです!もともとのミキーという名は人形劇の人形ですね♪
実は…発想の元が○ィズニーランドの某有名キャラ(笑)あんなふうにみんなに愛されて、みんなの笑顔に囲まれている彼はきっとものすごいプラスのエネルギーを受けているに違いない、なんて思ったわけです♪あの着ぐるみにはたくさんの人の想いが詰まっている!
そこから生まれたのです~♪
タース君、いい子だからね~♪きっと現代物だと、好きな子の想い人が自分の親友とかだったりして、つい、応援しちゃったりするお人よしですよ。損なキャラです(笑)
タックルミキー♪恋の行方…うふふ(ブラックらんららですし♪)

二話読み、すみません!

なー!ミキーの誕生秘話!
そうだったのか…ぬいぐるみって知った時、シーガ様のもんだったんかな~とちらっと思ったりしたんですが。
元は遊園地の。
素敵ですが、切ないです><
それを知ってしまったタース。
自分は指名手配されてるし…ああ、そんな消極的ではいけません!
恋は積極的でないと!(何
そんなタースにタックルミキー。
彼女がタースを特別視できる日が、来るのでしょうか???
気になります!

そっかぁ

シーガ様、最初は冷たくて嫌なやつで、コノヤロ~って思っていたけど、
最近はやさしさも感じられるし、むかしもきっとそんなに嫌なやつじゃなかった
んだ?!でもそれは、お母さんのことを知るためでもあるのかなぁ。
ま、人間誰しも自分がかわいいですから…。こんな言い方冷たいけれど…。
最初は、利用するという感じだったのでしょうか?
いまはそれだけではないと思いたいですけど^^
ミキーちゃんは、こうして読んでいるだけでも、他のユルギアさんたちとは
だいぶ違うこと、よくわかりました。
そして、それがシーガ様のおかげだとしたら、タースくん、辛い決断ですね。
でも~~、ミキーちゃん、せっかくの決断をゆるがすタックル~~?!
次回どうなるんでしょ^^とっても気になる~!!
Secret

プロフィール

らんらら

Author:らんらら
のんびり小説を書いています
日記ブログはこちら♪

ランキング参加中です♪

クリック よろしく~♪

FC2Blog Ranking

最近の記事+コメント

FC2カウンター

リンク♪

小説ブログの皆様

カテゴリー

ブログ内検索

RSSフィード

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。