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「想うものの欠片」第四話 23

23

公園の門が見える辺りまで来ると、タースは走るのを止めた。

改めて空になったバッグを手で押さえる。

黒い帆布の肩掛けのバッグには、駅で買った新聞と切符。それから自分が落としたルリアイが一粒。

銀貨が数枚。
なめし皮の巾着の中でちりり、と音を立てた。


鉄道の汽笛が公園の木々を揺らすように鳴り響いた。

その姿、車輪の音。見えなくても、聞こえなくても、かつて整備士をしていた頃の記憶が想像させた。最初に乗るつもりだった列車は出てしまったようだ。

急げば西に向かうものは間に合うかもしれない。急ぐ旅でもないが、一時間に一本のトラム・ミスを逃せば、目指す国境の町に付く頃に日が暮れてしまう。

公園の門で先ほどの軍兵に手を上げて挨拶する。
気のよさそうなまだ若い兵が敬礼を返してくれた。

「帰りは一人かい?」
「あ、はい」

帽子をかぶりなおして笑うタースが次に軍兵を見たときには、彼は何か小さな紙を手に持っていた。
「君、名は?」

穏やかな表情の下の鋭い視線に危険なにおいを感じる。
その手に持った紙。それとタースを見比べている。

軍兵はタースの腕を取ろうとする。

タースは、すっと後ろに下がる。


厚い綿の濃紺の服に茶色のなめした皮をつなげたベスト。襟の立った形状から防護用の服だと分かる。手甲も同じ材質で、こちらには鈍く光る鉄鋲が並んでいる。
ライトール公国軍のごく一般的な軽装備だ。
背には銃剣。

「少々、聞きたいことがある」
男が一歩前に出ると、かちゃかちゃと銃剣が音を立てる。タースは一歩下がった。

「あの、僕、急ぐんです」
男の目をまっすぐ見つめ、距離を保ったまま二、三歩下がると、タースはきびすを返した。
「君!」

「タース!」
公園の前に黒い小さな馬車が停まっていた。見覚えのある白馬が鼻を鳴らす。
駆け下りてきた少女は、淡いピンクのワンピースを揺らしながら白い手を伸ばして抱きついてきた。

「!?」
抱きついた少女を困ったように見つめる。
「ミキー、どうして、ここが?」
「タース?お前はタースというのか!?」
軍兵の声が大きくなる。

「ミキー、ごめん」

振り返らずにタースはミキーを引き剥がすと軍兵の方へと押しやった。
そのまま、走り出す。

丁度、馬車から降りたシーガとすれ違う。視線すら合わせない。


シーガが見送っていることは感じていた。

ミキーが、名を呼ぶのも。

それでも、あの場で捕まるわけにはいかない。
バッグの中でかすかに銀貨がこすれる音がした。



街は夏の日差しの中うだる様に陽炎を揺らす。

商人がまく水が、しゅんと蒸発して土と水の匂いを漂わせ。
そこを自動車や馬車が走り抜ける。

無理やりその流れを突っ切って、黒髪の少年が一人駆け抜けていく。

遠く、機関車の汽笛が響いた。


第四話 了

次へ(10/27公開予定♪)
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続きから第四話、あとがき的なもの~



ここまで読んでくださってありがとうございます!

のんびりした休日の午後のように進んでいます…。

混血であることで二つの国の政府から追われるタース君。ついにシーガ様とミキーちゃんから離れてしまいます。

ダルクさんも再登場し、タース君はティエンザに渡ろうと国境へと向います。
国境の町カヌイエ。覚えていますでしょうか?
その街の領主はムハジク候。
あの会議でミーア派の更迭を迫った人物で、ロロテス派の信者でもある。

さて。

どうなっていくのか…

第五話ではシーガ様の過去が少しだけ明かされます♪
そして、旅の目的も。先の長い物語ですが♪どうぞお付き合いください~

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たかがっち♪

20本!?すごい、一気に~?

軍兵とのやり取り…そかな?上手い?
本当に?(←素直じゃない奴…^^)
自分ではもたっとしている、と思いながら、でも多分リアルならこんな感じと。
こうなりました。

影響なんて、…受けようがないです~!!
そうそう、最近、こういう文章がすきなんだと気付いたのですが!!

憧れるだけで、真似できない(笑)
「野いちご」のね、スギユツキさんという方の文章♪
最近いっていない、Mixiのマイミク、水浅葱さんとか。
なんていうか…頭の回転の速さが伺える文章…。
描写で憧れるのが、「永¥に少年」の直治さん♪
文章の展開は花さん。


ああ~。
いいなぁ!才能ある人!!

まだまだ、精進あるのみ!ですね~♪



とぼやいてみたり…。

走った

最近コメント残せておりませんでした。
20本程、走りましたら、そんなに遅れをとっていたのかと。

タースと軍兵とのやり取りとか、素直に上手だなあ、と。
影響を受けた作家って誰ですか?(←意地悪な質問(←黒笑

そうですねえ、うちは毎回短編みたいになってますからね。まあ、短編の連続が長編なのは間違いないですよ。ただ、その短編の分量が人それぞれで違うんですね。
ブログの1ページ分で終わる長さというと、実は紙媒体では微妙な長さになりますからね。あれを短編とは呼ばないんですよね、本当は。ショートショートよりは長いんでしょうけど。

新聞連載も、予め書いた物を小出しにしている作家と、リアルタイムで書いてる作家といますから、見極めは難しいです。
これはブログも同じ。既に書いた物を分割して公開する人と、そうではない人がいますから。
僕は、昔は前者。いまは携帯執筆なんで後者です。故に単体では最後にオチが付きますけど、一気読みだとテンションの上げ下げが起こるので、一気読みは危険ですよ。先生方(笑)

楓さん♪

ありがとうです!!
そうですね~。ブログでもブログ専用に意識している作家さんは、一回の掲載分でしっかり起承転結つけていたりしますよね~。そういうの、尊敬だけど、最終的に一気に読む小説にしたいと思うので、なかなか掲載分量を意識しながらは難しいです。
新聞で人気の連載小説を参考にするといいって聞いたけれど…。
ま、マイペースでじっくりと、行きます♪
楓さんのカシオペアも、緻密な描写が多いし、ブログでの長文ありで読んでみたいですね♪

ちわー

ここで先生はやめてー!
てかあっちでもやめてーって言ってるけど(笑
国を巻き込む社会情勢が絡んでくると、どうしても文章量増えますよね。
しかもシデイラとかオリジナルの設定と、
対立する二つの宗教……
うう。
そりゃきっちり書いていくしかないですよ。
てか、これだけスケールの大きい世界観をよくぞここまでスラリと書けるなと、
そっちの方が関心です。
こういう小説ってブログならではだなぁとしみじみ思います。
ブログ小説にはブログ小説の良さがある。
どんどん我が道を貫いていいんじゃないでしょうか?

コメントありがとうございます!

かいりさん♪
そうなんです…タース君、一人旅です!
大丈夫ですよ、かいりさん♪彼はいい子ですから♪いろいろと新しい出会いもしますし。
いずれ、シーガ様も追いつくでしょう♪
はい、第五話でシーガ様は自分の思いを語ります!!
ああ、やっと、素直になってくれるかな~と思うとらんららも描きやすくて♪
ぜひぜひ、読みにきてくださいね♪


史間さん♪
一気読みでいいんです♪はい。
お忙しいですしね!働きマンは今日も変身!?(笑)
そう、逃避行ですの(笑)
王子静観。うん。その思いは五話で明らかに♪
姫は一人逞しく(?)旅立つのです~♪


楓さん♪
まとめて読むの大変だったと思うけど♪でもそのほうが面白いような気も…(笑)
書くほうもまとめ書きですから♪
タース君はさすらいます♪
彼にまとわりついてくるロロテス派…うんうん。そうして、いろいろと動き出すわけです…。展開を急ぎたいのだけれど、大きなもの(国とかもろもろ)を動かす予定なので、きっちり表現するために文章量ばかり増えていくんですよね…。楓先生、どう思います?(←って相談か!?)

さすらいの旅へ…

今晩は。
まぁお久しぶり♪なんて無粋な挨拶は抜きにして、
ここまで一気に8話くらい読んだでしょうか。
いやぁ、まじで一気読みも悪くないな、などと自分のことを棚に上げてみたり。笑

知らないことは知りたいと思う。
人の比護は受けたくない。
ましてイマイチ好きになれないヤツから受けるなんてまっぴらだ。

危険極まりない場所へ自ら飛び込もうとしているタースの今後が気になります。
いつの間にか掛けられた賞金、暗躍する(今後しそうな)ロロテス派。
こいつら、絶対なんかやらかす。
のっけから不安んな一人またたび・さすいらい旅ですが、
大丈夫???

とまぁ、てなことで、たまにブログ徘徊してます。
で、予告通り、しわしわとブログ再開をたくらんでいます。
今のいちごで執筆中のカシオペヤが完結する11月中ごろには正式に再始動できればなと思うんですが、さて何を引っさげてリスタートさせるかが悩みどころで……

タイトル未定、
ジャンル未定、
時代設定未定、
舞台未定、
登場人物未定と未定のオンパレード。笑

まぁ、のんびりやりますので、あまり期待せずに傍観しておいてくださいませ♪

タース一人旅

またまた一気読み…(以下略)
ニーと新しいキメラがサーカスに戻れてよかったです!
愛らしい泣き声で、人気者間違いなしですね!
本当はそんな使い方、正しくはないんでしょうけど…まあ、ニーは全部知ってても優しくしてくれるよ!
黒ネコさん、よかったね~♪

で、いきなり逃避行ですの!(←
ミキーをおいていかなければならないタースの辛さ、大好きなタースにおいていかれたミキーの辛さが(涙)
王子は静観ですか(かっこいいなぁ。何か考えがあるんだなぁ)
4話終了、おめでとうございます♪
5話も楽しみにしていますね~!

うわーん!!

折角シーガ様とミキーちゃんに再会できたと思ったのにー!!
これでもう完璧離れ離れなんですね…しくしく。
でも近いうちに絶対また会えると信じています!
というかもうタース君に安心して暮らせる地はないの…??

第五話も頑張ってください!!
なんとシーガ様の過去が明らかになると…!?
うわーーー*><* 超楽しみにしています!!
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