10
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
   

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

佐々くんのキモチ =前編=

<<お題小説「人の心」をテーマにしてみました!舞台は高校。さて、主人公佐々くんのキモチとは…>>

祐木紗枝(ゆうき さえ)は、いつも右側の髪がちょっとだけ跳ねている。
はねた髪を気にして、撫で付けるのが癖だ。
一学期は隣の席で、俺は丁度彼女の右隣だった。あの日、昼の後の英語で、俺は眠くなって、ボーっとしていた。
きっと教室中が、全部眠かったはずだ。期末テスト前だって言ったって、飯食った後で変に蒸し蒸し暑くてさ。きっと、みんな寝ぼけてた。俺だけじゃなかった。
誰かが指されて、しどろもどろに音読しだした。棒読みはお経と同じだ。
俺は左手で教科書持って団扇代わりに、扇いだ。
その風が当たったのか、祐木がこっちをチラッと見た。俺はにやっと笑った。
で、祐木は前を向いて、いつものはねた髪を直す。
そん時にさ、見えちゃったんだな、袖からブラが。
俺が扇いでいた教科書がすっ飛んで。
「佐々!お前、何遊んでる!」
怒鳴られた。
あの時からか。
俺は、なんとなく祐木が気になっていた。

祐木は、バスケ部で、いつも俺たちの横で練習している。
たまに、コート取り合ったりする。
うちのバスケ部、県で五本の指に入るとかで、部費も多いし、優遇されてんだ。弱小男子バレー部の俺たちとは、人数も予算も、ボール数もぜんぜん違う。たまに、日曜とか練習で顔合わせると、男だからって力仕事させられることもある。
そういうときの女子って、意味もなく可愛い声出すんだよな。ゲーム中の怒鳴り声とは別人。
でも祐木は、試合中でも可愛い声だ。
なんかで読んだけど、声の高さって、身長に比例するんだ。だから、小柄な祐木は可愛い声なんだ。ああ、俺も、バスケやってりゃよかった。
なんたって、バスケなら、肩とか腕とかさ、当たるじゃん。
たまに、胸とか。
俺たち男バレ一年の予想じゃ、女バス一年で二番目くらいに大きいはずだ。
いや、勝手な妄想だけどさ。でも、俺は見たんだ。たぶん、予想通りだ。

「佐々、何朝からボケはいってんだよ!」
後ろから両肩をぽんとやられて、俺は一瞬縮み上がった。
振り向く前に誰かは分かっていたけど、一応見てやった。
「まぁた、やらしいこと想像してただろ」
「うるさい、仲石」
こいつは同じバレー部。隣のクラスだ。
同じ中学からのくされ縁で、部活も同じだから、なんとなく、いつもそばにいる。
夏休み明けから、すっかり髪形変えて、クラスの女子が騒いでいた。もてるんだ。
親父さんが居なくて、きれいなお母さんと二人暮らしだ。マンションも、二つの部屋使っていて、三人兄弟の狭い環境に生活する俺とはちょっと違う。
なんていうか、目立つ奴で。なんで、こんな部活馬鹿の俺と仲いいのかよくわかんないけど。まあ、気楽な奴だ。気に入っている。
けど、その日の朝、あいつが言い出した一言は、気楽な奴っての、撤回させるつもりだと思えた。割と、誰にでも少し気を遣って話す頭のいい奴だけど、どうも、俺に対しては最近違うんだ。俺にだけ、遠慮がない。毒吐きまくられてる。
「お前、早く祐木に告っちまえよ。約束だぜ、先輩の命令だぜ」
「バカ言え、そんなのまともにやるわけないだろ!」

そう、あれは夏休みの合宿だった。夜、一年の部屋に乗り込んできた先輩たちの企みで、暴露大会になった。彼女のいない一年生の俺たちに先輩が命令したんだ。
秋の大会までに好きな子ものにして、応援に来させろ、ってさ。
そんなの、間に受けるかよ普通さ。

俺は、あんまり先輩に受けよくないけど、どうも先輩から絡まれる。からかうのが面白いらしい。その時だって、俺、絶対、言わないってがんばった。大体、言ったら最後、からかわれて遊ばれて邪魔されるのが落ちだ。それに、いつ祐木にメイワクかかっちまうか。
最後まで抵抗したけど、襲われそうになってさすがに観念した。
本気で先輩殴るわけにも行かないしな。
その時だって俺は、ちゃんと言ったぞ。「告るかどうかは自分で決めます」って。

なんで、競争みたいになっているのか、全然わからない。
いやに、仲石が乗り気なのも、なんとなく面白くない。こいつ、俺のことよく分かってるくせに、なんで、俺の嫌がることするんだよ。
ちょっと睨んだ。
「俺は、佐々の次ってことになってるからな。そう先輩に言ってある」
涼しい顔で、笑う。
「おい、ずるいだろ。何勝手に決めてんだよ!お前、やりたきゃ、先にすればいいだろ」
「やだね」
むしろ楽しそうにしている。俺が、そういうの、苦手なの知ってて、楽しんでるな、こいつ。

肘で小突く俺をさらっとかわして、仲石は走り出す。
「お先!」
「なか…」
見ると、校門に部活の先輩が入っていく。
やば、朝練先輩より遅いと腕立て50回だ。

俺も慌てて走り出した。
そういう決まりもうざいって、思うけど、まあ、バレーボールは好きだ。それが、ルールなら仕方ないよな。それにしても、暑い。もう9月も半分過ぎたのに、暑すぎる。

「おはようございます!」何とか先輩に追いついて、簡単に挨拶。
「おう、待てよ佐々、お前約束忘れんなよ!」
うへ、先輩、覚えてるよ。しつこいな。
一個上の先輩が、日に焼けた顔を満面笑みにして、俺に組み付く。暑苦しいぞ!
朝っぱらから、でかい男二人がくっついてたら、周りにもメイワク!
「上手く行ったら俺たちのおかげだからな、なんかおごれよ!」
ふざけるなっつうの。睨みつける俺に、先輩はますます面白そうに笑った。

「どうせだめっすよ。」
「すねるなよ、佐々。お前そんなだからレギュラー仲石に先こされるんだろうが。」
関係ないね。確かに俺まだ、違うけどさ。別に、レギュラーになりたくてバレーボールやってるわけじゃない。俺は平和主義(?)なんだ。先輩だって蹴落とされたらいやだろう。
「…」
黙ってる俺の頭を軽く殴る。
「いてっ」
「お前、見所あるんだからちゃんとやれよ、女も、部活もな!」
「はあ」
バレーボールは好きだ。けど、仲間けり落としてまでなんて、考えないだけだ。
祐木のことだって、俺が決めることだ。誰かに指図されることじゃない。それに、祐木とは、よくしゃべるけどさ。今ひとつ、こう、気持ちがわからない。なんか、もっとさ、ピピッと通じ合うもんが、欲しいよな。それ、感じられたら俺だって、自信もって何でもやるさ。
また、少し祐木のブラがちらついた。

「佐々ぁ!お前、腕立てな」
もうすっかり準備して、体育館のとびらを開けた仲石が、大声で怒鳴った。
「うへ、まじかよ!」
走り出す俺を、先輩は笑ってみている。


放課後。
いつものように、教科書しまって、祐木は部活へ向かうはずだ。
朝のこともあって、俺はなんとなく、祐木と話せなかった。つまらない一日だった。
部活もなんか、行きたくねえ。また、からかわれる。
だいたい、体育館の隣に祐木がいるんだ。
この間だって、俺、全然離れたとこにいたのに、女子バスのほうに転がったボール、取りに行かされたんだ。
そのうち、ばれるんじゃないかと、俺は気が気じゃない。
誰かの口から、祐木に伝わるなんて、最悪だ。
「早く告っちまえよ」そういった、仲石の言葉を思い出す。

「さえ、ファイトね!」
祐木と同じバスケ部の女子が、小さいガッツポーズを胸のとこで作って、笑って出て行く。いつも祐木と一緒にいる子だ。
「ごめんねー。」
祐木も同じく返して笑う。
「あれ、お前今日、部活行かねえの?」
「歯医者。」
俺に、にこっと笑って、返事を返した。
やっぱ、可愛い。

珍しいよな、祐木が部活休むなんて。祐木はいつも言ってるんだ。私は小さいから、がんばらないと試合に出してもらえないのって。俺は、祐木のすばしこいドリブルとか好きだな。
俺は気付いた。
今、俺と祐木、二人だけだ。
こんなチャンス、めったにない。
いつも部活の子と一緒だもんな。
いや、チャンスって、俺何考えてんだ。
いや。でも。
緊張してきた。けど、まだ、ピピッと通じ合ってない気もする。でもな。ばれるより先に、告るのも手だ。どうする。
迷ったまま、俺は立ち上がった。

「あ、あのさ」
「何?」
祐木はかばん持って、一旦立ち上がって、机の中のなんかを出そうとして身をかがめた。そのまま、俺を見ている。
「どしたの、佐々?」
ちょっと、胸元に目が行く。
急に心臓バクバクしやがる。
落ち着け、俺。
変にうすら笑うのもおかしいぞ、ちゃんとしろ。
かえって、むっとした顔になってた。たぶん。もう、よくわからない。
ええい、言っちまえ!
「話しあんだけど」
「ごめん、今急ぎだよー」
大きな目でにっこり笑って、祐木は背を向ける。
「またね」
「お、おう」

俺は、座り込んだ。
・・・俺、顔、真っ赤なんじゃないだろうか。
ため息。疲れた。だめだ、まだ、自信がないぞ。
「情けないねえ」
ぎょ。
仲石だった。すっかり、俺の前の席にもたれかかって、足組んで机に座ってる。いつの間にいたんだ、こいつ。ニヤニヤ笑ってた。
「仲石!お前、見てたのかよ!」
「お前、俺の見てる前でって約束だろ、抜け駆けすんな」
そんな約束知らない。俺は、部活のゲームで告ったわけじゃないぞ。
「関係ないだろ!面白がってさ」
立ち上がる俺に、軽く膝蹴りしてきやがる。
ああ、こいつ、全然俺の気持ちわかってねえな!
「いてーな」にらみつけた。本気で、だ。

「おう、今度いつ言うんだよ。早く決めろよ」
「うるさいって!もういいよ、俺、やめるよ。どうせ、駄目なんだ」
大体、ゲーム感覚で告る方がどうかしてる。
「ふーん。なんで?あいつの気持ち、今ので分かったのか?」
「ふつー気付くだろ!俺、顔に出るし。駄目なんだよ」
ちくしょー。お前みたいに、もてる奴にはわかんないんだ!俺の気持ちなんて!
「決め付けるねぇ。もったいないね」
揶揄するように笑う仲石。
俺は緊張が解けたことと、がっかりした気持ちと、苛立ちが集まって、怒鳴った。
「お前、うざいんだよ!ほっとけよ!」

一瞬、間があった。俺、平和主義だったけど、怒鳴る時だってあるんだ。分かったか!
それでも仲石は、にやっと笑って、言った。
「じゃ、次俺の番ね。俺、今から行ってくる。祐木が部活休むなんて滅多にないからな」
「え?」ちょっと待て。なんだ、それ。
「なんだよ、お前、今更待ったは無しだぜ」
「え?」
「お前、合宿の時言われなかったか?俺も、祐木好きなんだ」
「し、知らねえよ、そんなの!」
俺はグーにした両手で、頭を抱えていた。
「ま、お前先輩にくすぐられて服脱がされるまで、吐かなかったからな。その間に俺は素直に話してたってわけ。バカだな。要領悪いって言うか。とろいって言うか」
「…」
「ま、お前に先譲ったのに、もういいんだろ。俺、今から行ってくる。お前、先輩に休むって言っといてくれよ。じゃあな」
俺は、呆然と、仲石を見送った。

その日の練習は、ぜんぜん集中できなかった。
先輩に何回かバカ呼ばわりされた。

<<後編は明日、公開します!(^^)/いかがでした?
コメントなど、いただけると嬉しいデス!>>
関連記事
スポンサーサイト

theme : 自作小説
genre : 小説・文学

戻りたい…。

なんちゅうコメントタイトルだ…。(私の事です)
まぁ、それはともかく
始めて読んで、続きが気になりました!!(ガンバレ佐々!!)
当時の自分を思い出してちょっぴり恥ずかしいような、ちょっと悲しいです。
まぁ、私の場合はモテナイ仲石くんって感じでしょうか?相手に譲って、泣いて終わるそんな感じですね…。
告白しようと思っても出来ないで…あの子から告白してこないかなぁって思って終わったそんな高校生活だった。(それでも一応いた事はあるんだよ!!)

今も一人身だけど…もう一度青春したいよ~(>_<)
それでは、また来ます♪

どうもです

少しばかしぼーっとした頭で読んだのでいたらないと思いますが感想など。
いいですね、こういう青春を描いたお話は大好きです。
特に仲石くんのポジションがばっちりで、気に入りました。
こういうキャラには考えさせられます。
彼女を落とす自信があったから佐々に先を譲ったのか。
友達だからこそ佐々に先を譲り、彼らが付き合い始めたら祝福する気だったのか。
それとも最後の台詞は煮え切らない佐々を煽るための嘘なのか……
色々と考えさせられますね。
いやぁ、面白い。
ただひとつ気になったのは、コート取り合ったりするって部分。
これ、をが抜けてるんじゃないですか?
若者言葉でも、この場合は「を」を抜くことはないかと思います。
それ以外にはさして問題はないかと。
ここからどう持っていくかで作品の完成度が大きく変わります。
頑張ってください、後編に期待してます。
では。

こんばんわ!!
佐々と仲石はこのまま三角関係に突入なんでしょうか?それとも?
うーむ。
続きが気になります!!
どういう結末になるんでしょう?
気になりますねえ。後編を楽しみにしながら、では、ぽちっと!

なんか今までと全然違った感じでいいです~☆
なんか青春ですね♪
私もこんな高校生活したかった!!
仲石の告白うまくいくんでしょうか?
いったらいったで嫌ですし…
失敗してもどうなんだろう?う~ん
考えちゃいますね~!!
Secret

プロフィール

らんらら

Author:らんらら
のんびり小説を書いています
日記ブログはこちら♪

ランキング参加中です♪

クリック よろしく~♪

FC2Blog Ranking

最近の記事+コメント

FC2カウンター

リンク♪

小説ブログの皆様

カテゴリー

ブログ内検索

RSSフィード

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。