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「想うものの欠片」第五話⑩

らんららです~ごめんなさい(><)2007/11/15/08:00に修正しました!
タイマーストップしておくの忘れちゃった(TT)



10

二人に挟まれるようにして馬車に詰め込まれ、ダルクは新聞社の位置を知らせた。
観念したというより、見届けたい。興味のほうが勝っている。

動き出した馬車から、うっすら残る霧を眺める。
ダルクは頭の中を整理していた。
混血の存在を隠そうとする公国。公国側が、銀聖たちだろう。逆に密かに賞金をかけて捕らえようとするティエンザの大司教。双方ともタースを政治的に利用しようとしているのだろう。
生まれはともかく。
理不尽なこと極まりない。

タースはどこまで分かっているのか。自分の出生は分かるだろうが、賞金の理由までは知らないだろう。賞金を聞いて驚いていた。
二つの国の動向のために、少年が犠牲になろうとしている。


「しかし、男三人でこの狭い馬車ってのもなんですねぇ」
ただ車軸のきしむ音と馬の蹄だけが鳴る車内で、沈黙に耐えられなくなったかのようにスレイドが口を開いた。

「なんなら、お前は徒歩でもいいのですよ?」
「おや、ここでそういう連れないことを?」

「どこでも同じです。ユルギア嫌いのお前がよくこの馬車に乗ったと感心していますよ」
「…いるんですか」
ダルクは二人を交互に見て、首が疲れてきたところだった。

シーガの視線の先、馬車の前方。御者台は無人。それなのに馬は今丁度、通りを綺麗に曲がった。
「!?」
スレイドが懐に手を入れて何かぶつぶつと祈りらしきものを唱え始める。

「ですから、宿に残るように言ったのに」
「ああ、やだやだ、昔から意地悪で」

「なあ、あんたたち、どういう関係なんだ?」
二人のやり取りを聞きながらダルクは眉をしかめた。

「幼馴染さ」
「無関係です」

二人同時の言葉は重なってどっちがどっちか分からず、ダルクはまた首をかしげる。

「つれないですねぇ、シーガさま。同じ聖堂に育った孤児同士じゃないですか」
「…私に近寄りもしなかったくせに」
「そりゃそうですよ、あなたは特別でしたしねぇ。おい、知ってるかい。記者さんよ、この人のせいで俺はユルギア嫌いになったんだぜ」

「…」
「ほら、この人の手」

スレイドにされるまま、ダルクはシーガの手に手を重ねる。
不機嫌にシーガが睨みつけるのもお構いなしで押さえつけるとスレイドはダルクの肩を叩く。

「ほら、見えるだろ?そこ、何がいるんだ?」
ダルクはスレイドの差す方向。前方の小さな四角い窓から見える何かに気付く。
「…!?帽子を被った、爺さんが座ってる、が?」

「あー!!」

奇声を発してスレイドは座席の隅に縮こまる。
「なんだ、これ、…放すと見えない」

不思議がって手を重ね、また離す。三回目にはシーガが手を避けたのでダルクはシーガの膝に手をのせる。
「ああ?悪い…って、足でも見えるんだな」

スレイドは平然としているダルクに憮然として訴えた。

「いたいけな十五歳の私に、わざと恐ろしいユルギアを見せたんですよ!そのユルギアは私の部屋に住み着いていたんです!退治しようともせずに、怖がる私を見て笑っていたんですからね!聖女ファドナに泣きついて、部屋を変えてもらうまで二週間、一睡も出来ませんでしたよ」

シーガは面白くもなさそうに淡々と応える。
「いたいけな?十五歳なら今のタースと同じですよ?八つ年下の私を苛めていたでしょう?聖女のいないところではシディと呼んでは気味悪がってからかった。幼馴染が聞いて呆れます」

「どっちもどっちだよなぁ」
ダルクは、ポツリと言った。

懐から厚い手帳を取り出した。親友の日記を破った一枚を取り出した。
開いたそれにシーガはちらりと視線を送る。
ダルクはしばらく紙切れを眺めた末、ふと息を吐いた。

手配書だけをシーガの前に差し出した。
「これは?」
シーガは手を出しもせず、それをちらりと見つめた。

依頼主の署名にはティエンザ王国のロロテス派の紋章が打たれている。大司祭ガネルのサインだ。
「これは、すべての新聞記者に渡されたのですか?」
シーガの問いにダルクは首をかしげた。
「そりゃ、分からない。数日前、密かに机の上に他の書類に紛れるようにして入っていたんだ。金額が金額だ、皆黙り込んでこの話題を口にする奴はいない。信じる記者は半数だと思うが」

シーガは一瞬眉をしかめると腕を組んで目を閉じてしまった。

「俺はそいつはいらねえ。あの子を売るつもりはない。何なら、このまま助手として世話してやってもいい」
ダルクが狭い車内で身をよじるように座りなおしながら言った。
シーガは黙っている。

「これは私がいただいておきますよ」
スレイドは返事をしないシーガに、肯定と受け取ったのか手配書を小さく丸めだした。

「聞いてるかい。オレは一介の市民だぜ。あんた達とは違う。ボウヤをただの子供として面倒見るって言ってるんだ」
ダルクはいつの間にか親友の日記を握り締めていた。
「同情ですか……」
シーガは静かにつぶやく。その口調は淡々とし感情を汲み取るのは難しい。ダルクは顔をしかめる。

「ああ、そうさ。オレはあんたたちみたいな権力者が嫌いでね、そのために記者になったんだぜ。あの子が混血だってのは分かった。きっと苦労してきたんだろ。けど、あんたたちよりずっと、信頼できる。ああ、そうするぜ、オレは政府からも教会からも守ってみせるさ」


「くく」
笑ったのはスレイドだった。
「なんていうか、ボウヤはお人よしを引き付けるんでしょうねぇ」
「うるせえ!俺が引き取る、分かったな!」
シーガは黙ったままだ。
それが伝わったかのように、車内は静まり返った。
ただ、馬の蹄の音がカツカツと石畳をうがつ。

「…んだよ」
呻くように口を開いたのはダルクだった。

その喉もとにはナイフが突きつけられていた。
ナイフの主、スレイドはにっこりと無言で笑うと、すと得物をしまった。

ダルクは表情は平然としていたが、へばりつくようにしている背に汗を感じて黙りこんでいた。
先ほどまで怖がっていた男とは思えない。

「その程度で、守れるとは思えませんがね」
スレイドの言葉だけが、響いた。

シーガは何事もないかのようにただ、まっすぐ前を見ていた。


次へ(11/17公開予定♪)
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史間さん♪

おお、こちらにもコメントが!!
うふふ~タース姫、性格だけは誇れます♪
他がちょっとクセありなので。一人くらいは素直でないとネ♪

幼馴染♪片思いですが(笑)
この二人もまた、微妙な関係ですよ…いずれ。はい。
それぞれにがんばるわけで♪

タースの姫度合いが

上昇の一途を辿っております(笑)
守られてますねぇ。
でも確かに、ダルクさんじゃぁ国家を相手には戦えないんだな。
今更ながら、タースってばよくこんな生い立ちでグレなかったな、と。
性格歪みそうなんですけど。普通なら。
いい子だなぁ(しみじみ)

シーガ様とスレイドが幼馴染!お、幼馴染!?
……それはそれは。

chachaさん

うわ~ぃ♪
お元気そうで、らんららも嬉しいです!
うふふ、色々と忙しいんだろうなぁ~♪
ダルクさん、いい人でしたね♪
ダルク「…そうさ、なんだよ疑ってたのか(`ε´)」
タース「ごめんなさい」
スレイド「素直だなぁ少年。お前さんが本当に殺人犯だったら突き出されてたぜ~」
ダルク「!それは」
タース「…」
ダルク「一万だぜ~仕方ないだろ」
タース「φ(.. ) 」
ダルク「ま、小さいことは気にするな~。俺はいい人だぜ」
タース「…」
スレイド「嘘くさいな~」
なんて(笑)

お久しぶりです~~^^

あぁもぉ!やっぱりらんららさんの物語って好きだぁーー><(笑)
と、一気読みしながら思ったわけですが^^

描写が、本当に素敵です♪私の大好きな描き方!その比喩の仕方から言い回しから・・・何をとっても尊敬です☆はぁ~見習いたいです><

タース、えらいことになってますな(笑)
ダルクさん、最初の印象が強かったからか、何か裏があるんじゃないかってずーっとやきもきしてましたが^^;
ここでしっかりと「いい人」であることが確定されました!(笑)
本当、タースの周りは悪い人いないなぁ~^^ふふ♪

でも、ちょっとだけスレイドさんが怪しいけど・・・?

シーガくんの胸の内、ちょっとだけ垣間見れた気がします^^
タースによって変わったのかな?それとも、もともとはこういった性格だったのかもしれないな、なんて。
表面上は全くのイジワルっぷり満載だけれど(笑)

話が進むにつれて、続きが気になって気になって止まりませんでした@@;
お昼休み、らんららさんの所でおしまいです(笑)
でもたっぷり堪能できて幸せ~^^ふふ♪続きも楽しみにしていますね☆

楓さん~

本当にすみません~(><;)
週末の「ブログ浸りきり幸せプラン」が狂ってからなんだか色々抜け落ちてますm(_ _)m
スレイドさんと幼なじみ♪はい、ここで初めて公開です。何故なら、…シーガさま無口だから。
仲良しだったかは…ご想像にお任せ…(b^-゜)いえ、いずれ書きますが♪その時のためにちらつかせてみました!

Kazuさん♪

むきゅ~(≧▽≦)嬉しいコメントにらんらら落ちました!
好きにして~♪(バカ)
はい、スレイドさんとシーガさまの今後の行動を語るには、二人の関係も必要になっていますので、ちょこっと書いてみました♪

えらい……

えらい前半が変わりましたね。笑
いやね、
確かにあれ?全快の記事とかぶってるな……
と思いながら読んだんですよ。
で、

え?
工エェ(゚Д゚; )ェエ工

シーガとスレイドって幼馴染みだったの?!!!

って、どっかで出てきてましたっけ(汗
いやぁ驚いた。

かっこいい・・・

3人が3人とも、かっこいいですね。
多くを語らずに、タース君を護ろうとするシーガ様。
一般人の視線で、タース君を護ろうとするダルクさん。
飄々と現状を見つめるスレイドさん。

かっこいい・・・

シーガ様とスレイドさんの幼い頃の関係が、なるほど~と♪
スレイドさんのユルギア嫌いは、そこから来てたんですね。

ユミさん♪

コメントありがとうございます!!
と、まずはゴメンナサイ!!

少し記事、変更しました(><)直したつもりが以前のもののままで…。
より、スレイドさんとシーガ様の関係を分かりやすくしてみました♪
ダルクさんはこれからタース君を救ってくれると思います~♪うふふ。タース君、おばさんやおじさんに人気です♪可愛がられるタイプなんですよね~。

ミキーちゃん、今は大人しく一人で宿です。
そろそろ、寝たかも?枕抱っこして?いえいえ、翌日の衣装を検討中かもです♪

楓さん♪

おはようございます!!
と、まずはゴメンナサイ!!
推敲してあったのに記事を変更し損ねていました~(><)
内容がちょこっとだけ、変わりました。
仕方ない読んでやるか、と思っていただけたらちらっと見てくださるとうれしいです♪(スレイドさんを怖くしすぎたので少し緩和…おい^^;)

こめんとありがとうございます!
ダルクさん。はい。いい人ですよ~。
一万枚は惜しいけど、ま、世の中金じゃないというタイプのお方なので♪
シーガ様、言葉少ないですよ♪でも、この辺りで少し思うところがあるのですね~うっふふ。
だんだんと。はい。シーガ様の中身が分かってくると思いますので♪

良かったよ

ダルクさんがヘンなこと考えていなくて…!結局タースくんのこと
好きなんだから~、もぅ^^
お人よしをひきつけるのは、タースくんが一生懸命に前向きに、
そして正直に生きているからですよね♪
役得です☆

ありゃ、ミキーちゃんは置いていかれちゃったんでしょうか…?

ううーん

どんどんダルクの株が上がっていく。笑
そして、
やはりスレイドは曲者ですね。
ただ、まだよくしゃべるだけに思っていることも少しは見える。
……それがどこまで本心かは別として、ですが。

かたや銀聖……
あんた本当にしゃべらないのね~
主人公なんですけどね~(笑

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