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片翼のブランカ その2

<<ココの冒険、ぜひ応援してくださいね!>>


鳥になる子は、大人になるのが遅い。
お魚の子はもっとずっと早い。
二つ足の獣になる子、四足の子。
木や花になる子は、生まれて一年で大人になるって聞いた。
ココたちは、大人になる準備のために、お勉強している。
ココがクラスのみんなの顔を覚えたときには、もう今の二十六人だった。
でも、先生の話だと、同じ年に生まれたブランカは全部で三十八人いたのだって。
草とか花とかの子が、すぐに大人になっていなくなったので、三年目には今の二十六人だったんだって。

そう話しながら、ココとラクはそっと夜道を歩いてた。
ラクが翼をパタパタさせて、夜の冷たい空気を思い切り吸い込んだ。
「ココは変な子。クラスの子が何人でも関係ないのに。」
ラクは伸ばした手を名残惜しそうに戻しながら、笑った。翼を広げてぱたぱた、ぱたぱた。
その動作を楽しんでいる。

「ラクはね、大きな鳥になるの。足がふっくらしていて、大きな翼で。高い高いところを飛ぶの。先生がね、ラクが知りたいと思ったことを、全部教えてあげるわよって。ラクは鳥のことたくさん教えてもらうんだ。」
ココはちょっとうつむいて、足元の月明かりが作る真っ黒な影を見つめた。ちょっと口を尖らせる。
「ラクは、決まってるから、だから、鳥のお勉強してるんだ。ココはまだ、決まってないんだ。」
ラクはうつむくココに、両手を伸ばして、にっこり笑った。
「ココ、なんになるんだろ。ラクは他の子はどうでもいいけど、ココが何になるのかとっても気になるの。先生がココに何を教えてあげたらいいかわからないって言ってた。」
「ココは、何を覚えたらいいのか、先生に教えてほしい。ココは、みんなが何になるのかとっても気になる。どうして、何でそう決めたのか。とっても気になる。」

ラクの手をとりながら、ココの金色の瞳が月明かりにちらりと光る。
二人は、暗い森の中を、月明かりを頼りに進んでいた。
手をつないで、てくてく歩く。
「ココは金の目、ラクは黒の目え。」
ラクが変な歌を歌いだした。

「ココは小さく、ラクはおっきい。」
ココも返す。
つないだ手を、大きく振りながら、ココはどんどん嬉しくなっていく。
「ココは銀の、ラクも銀の、銀のたてがみぃー。」
声を合わせて、歩調も速くなって、いつの間にか二人で駆け足。おなかが痛いほど笑って。
「あ、しいっ!」
急にラクが止まって、ココは転びそうになる。
翼でばたばたバランスをとって、転ばずに座り込んだ。

目の前の、茂みの向こうに、ぼんやりと光る、大きな泉が見えた。
「ブランカの泉だ。」
そっと、ラクが言って、座ったままのココを振り返る。
おいでおいでと、手招きするので、ココも立ち上がって、ラクの横に立った。
まだ、泉までは遠くて、間にある草が、黒く立ちはだかって、あんまり見えない。

銀色の水面が、草の間からちらちら光る。
もうちょっと、前へ。もう一歩。
背伸びしながら、爪先立ちで。

ココは、どきどきしてきた。
後ちょっとで、泉が見える。
ブランカが生まれる泉。満月の夜に、そこからココもラクも生まれた。
先生に黙って、ラクと約束した。見たいねって。

どうしよう、どきどきする。
胸に手を当てて、ラクの手をつなごうと、横に手を伸ばす。

それは空を切って、あれ、と横を見たときには、ココは自分が変な風に転びかかっていることに気づいた。
長い爪の足元に、冷たい水。
地面はなくて、草の根元はもう、泉だったのだ。
足元はずぶずぶと沈み、慌てたココは目の前の草をつかもうとした。
それは頼りなく、くしゃと折れた。
ココは、泉に落ちた。

「ココ!」
草に絡まって、ばたばたしているココを助けようと、ラクが精一杯翼をはためかせ体を支えながら、ココのほうに手を伸ばす。
まだ小さな翼は、二人の体を支えられない。

「きゃあ!」
「助けて!」
水を飲んで、けふけふとむせながら、ココは視界の隅に月がギラリとするのを見た。

真っ暗な、水。絡む草。
動けなくなって、息もできなくて、ココはぎゅっと目を閉じた。
閉じたままのまぶたを、ちかちかとつつくように、明るい光が見えた。
ココは目を開いた。

泉の水はとても澄んでいて、底から湧き出る水がもこもこと黒い砂を盛り上げている。
そこから、銀の小さなあぶくがフワフワと出てくる。それは水面に向かってどんどん大きくなっていく。銀色の大きな風船みたいになったそれに、小さな白いものが入っている。
それはちょっぴりもごもごと動く。
満月の金色の光が揺れる水面まで上っていって、ふわんとあぶくははじける。
「ん、なぁ!」
変な、か弱い声が響く。

それはぶくぶくという音にまぎれて、消えていく。
ぶくぶくは、ココの吐く、あぶくの音だった。

「あら、まあ。今年は変な子が生まれたわね。」
ネムネ先生の声がした。
「ココ。」
ラクの声がした。

ココは、小さく目を開けた。
ぬれた鬣が、頬に張り付いて、気持ち悪い。
「だめでしょ。ココ、ラク。」

ネムネ先生は、ココの額を優しくなでて笑っていた。
「おぼれるなんて、本当にブランカなの?」
ネムネ先生の後ろに立っていた、一個年下の子達のクラスを教えているモンノ先生が笑った。
「あら、ココはいい子なのよ。ちょっと臆病だけど、他のどのブランカより、お友達のことをよく知っているのよ。」
ネムネ先生は、茶色の髪をいつもどおりきっちり結って、黒いふちのめがねの奥で、小さな瞳で微笑んだ。ネムネ先生は、とても、優しい。

「でも、片翼じゃね。」
そう言ったモンノ先生に、ネムネ先生は穏やかに言った。
「この子はきっと、特別な大人になるわ。私たち守人が想像もつかないような、ね。」

起き上がって、地面に座り込んでいるココのぬれて重くなった翼を、そっと拭いてくれた。
嬉しかった。ココはオトモダチのことをよく知ってる。ほめられているんだ。

「あ、ラク、見た?」
ココはラクを見上げる。
「うん。きれいだった!」
にっこり笑ってラクもしゃがむ。
二人は両手で握手して、笑い出した。
「ふふ。面白かったね。」
「うん。あぶくがフワンって!」
「そう、フワンって。」
「ラクはオトモダチ。」
「オトモダチ?」
ココはうなずいた。
「だって、先生が言ってたよ。オトモダチって、そういうことだね。ココ、みんなのこといっぱい知ってるもの。」
嬉しそうに、誇らしげに先生を見上げて確認する。
ネムネ先生が眉をひそめた。
「あら、まずいことを。」
モンノ先生がポツリと言った。

「なあに?オトモダチ?」
ラクはよく分からないみたいだ。
ラクが分からなくて、ココがわかる。嬉しい。
「ココと、ラクがオトモダチ。」
ココはゆっくりラクに話す。
「ラクとココも、オトモダチぃ!」
ラクが節をつける。
「オトモダチ、ったらオトモダチー。」
ココも歌う。
「さあさ、二人とも、お部屋に戻るのよ。」
ネムネ先生が後ろから二人の肩を叩く。
「はあい!」
ラクがお行儀のいい返事をした。
「お部屋、お部屋。」
ココの言葉に、ラクも答える。
「お布団、お布団!」
「フワフワ、フワフワ!」
「ココ、お布団はフカフカだよ。」
「えー、フワフワだよ。」
そんな二人を見つめながら、ネムネ先生はゆっくりと後ろからついて歩く。
満月の光に、二人のブランカの三つの翼がきらきらと煌く。

「ねえ、ネムネ。お友達は、まずかったんじゃない?」
モンノ先生がそっと言った。
「私たちは、ブランカがたずねることだけ答えればいいのよ。知りたいことだけを教えるように。そういう契約じゃない。」
「モンノ、私、ココが何を知りたいのか、分かった気がするわ。」
ネムネ先生は、短めの腕を組んだ。その小さな青い瞳は、前を歩く二人を見ている。

「ココは、何になりたいのか分からない子だから、あの子自身も何を教えてもらえばいいのかが分からないのよ。
でも、今のでなんとなく、分かったの。
ココは、ブランカには珍しく、周りのブランカのこととか、私たち守人のこととか。いろいろ、知りたいのよ。
お友達って言う言葉を、すぐに理解したわ。
あの子はそういう素質なのよ。
あの子が、知りたいと思うことを、教えてあげなきゃいけないと思うの。」
「大丈夫なの?ブランカは無垢でなきゃいけないのよ?人間のようなことを教えてしまったら、どうなるのかしら。」
「教えても、あの子はきっと、無垢なままでいると思うわ。」
まだ、不満そうに立ち止まったモンノ先生をおいて、ネムネ先生は大きなお尻を揺らしながら、どんどん歩いていった。


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 「片翼のブランカ」続きはこちら
http://ranrara.blog70.fc2.com/blog-entry-55.html




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浜月まおさん

コメントありがとー!!

ココちゃん、らんららのキャラの中で可愛さとび抜けているので!楽しんでやってください!
このお話の頃は、描写を意識して加えるってこと、していなかったです。描写不足と指摘されたこともあるのですが、代わりにすごく「らしさ」が出ている気がします。
楽しんで書けました。

描写の量とか、説明の入れ方とか、その辺は読む人それぞれの好みですよね。らんららも、長い説明文とかは目が逃げてしまいます(^^;)

読者がそこで、何を知りたいか、をうまく汲み取って表現できたらいいですよね!
お互いがんばりましょう!

わぁぁ…vv

大人になる早さとか、泉から生まれるとか、ブランカの知りたがることを教える守人、とか。
色々情報が出てきて、ココちゃんたちの世界のことがますます知りたくなってきちゃいます!
こういう情報を織り込むときって、一度にたくさん出しちゃうと読者さんが混乱しちゃうから、調節が難しいですよね。
でもらんららさんはそれがとっても上手。しかも自然。
私はどっちかっていうと容量が小さくてすぐにパンクしちゃう方だけど、すんなり飲み込むことができましたよ♪
場面場面を丁寧に書いてあって、らんららさんの思い入れが伝わってくるかのようです。
ココちゃんとラクちゃんが手を繋いで歩いている姿や、月明かりに映える泉の水面、先生たちの思案げな顔が目に浮かぶようでした☆

アポロさんへ。

日記にもコメ、ありがとうございます!

ココちゃん、だんだん汚していきます(?)
って言うか、成長しますので。
悪いようにはしませんので、心配しないでね(どういう意味だろ。)

だんだん、物語の世界明かしていきます。
可愛がってやってください(^^)/

eigoさん。

ありがとうございます。

書いててとても楽しい子達です。
きっと勘の言い方なら、もう少し進めばわかっちゃうかな?
あまり複雑なお話しかけないので。
また、読んでください。
待ってます!

無垢

なるほどなるほど。そういうことか!
これから変化していくのね・・・。
ん~不思議。謎がいっぱい>ω<
無垢なんて・・・人間で言うと赤ちゃんくらいだもんね~。
くすんでしまっている自分に反省。

ネムネ先生の大きなお尻を想像してしまったアポロでしたw

続きがんばってくださいね♪

うーむ、ブランカとは何なのか?守人とは何なのか?何故ブランカは将来色々な大人になるのか?謎一杯の小説ですねえ。
とにかく次回が気になります!!
では、今日もぽちっと。
又続き読みに来ます!!
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らんらら

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