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「想うものの欠片」第五話⑬

13

「何かダルクさんを怒らせるようなことをしたのかい?どうして縛られていたんだい?」

なんと説明したらいいだろう。
タースは迷っていた。真実は話せない。

不意にトモキがタースの首に腕を回した。

「言えないことなのかな?正直に言ってみろよ、趣味だったのか?」

「趣味!?って何言ってるんだよ!!」

タースが口を尖らせるのでトモキは面白がってその髪をぐしゃぐしゃとかき混ぜた。

「だってさぁ、なんで君はダルクさんと一緒にいるんだい?世話してもらってるんだろ?そりゃ、面倒見のいい人だけどさ、理由もなく仕事を世話したりしないだろ。…もしかして、ダルクさんの趣味か!あの人なかなか結婚しないし、変な趣味なんじゃないかって社内で噂になったこともあるんだ。だから言えないんだろ!」

トモキはからかうつもりだ。笑いながらタースの髪をいじる。
思わず違うって、と笑い出しそうになるのを我慢してタースは変な顔になった。

「恋人はいるって言いふらしてるけど、僕も紹介してもらったことないしね。コナツ、可愛い顔しているしさ」

そういえばダルクはトラムの中でも恋人はいるんだ、とか言っていた。
この際、コレを利用させてもらうことにした。

「その恋人、……それ、僕のことで」
トモキが顔をあげてタースを見つめた。思わず少年は視線をそらす。

「ええと、その、僕、本当は新聞記者にしてやるからって言われて、数年前にティエンザからこっちに連れてこられて。逃げ出そうとしたら縛られたんだ」

ごめん、ダルクさん。
内心、謝りつつタースは何とか話を纏め上げる。

「あの、ティエンザに両親がいるから、だから帰りたくて」

目を見開いてトモキは黙っていた。
やっぱり、無理があったかな。

タースが何度も瞬きしてうつむくと、トモキは何を思ったのかそっと抱きしめた。
「そうか、そうだったんだ。許せないな!お前まだ十四、五だろ?まったく、あの人何考えてるんだか!立派に犯罪じゃないか!」
「あ、…うん」
「ご両親は健在なのかい?」
「分からない」


「そうか、分かった。絶対に国境を越えさせてやるよ。身分証はダルクさんに取り上げられたんだろ?それがないとどこにも行けないからな。ひどいな!」
本当に腹を立てたようで、手にした木の枝で何度も燃えている薪をとんとんと叩いた。
その炎に照らされる瞳が真剣だ。

優しい人だ。
タースは炎の温かさと、背に添えられるトモキの腕に安心して、うとうととしだした。

ミルクに入ったブランデーが効いてきたのかも知れない。


「眠くなったなら、寝ろよ。ほら、…タース」
「…うん、ありがと」

横たわると、もう、閉じた瞳を開けることが出来ない。

心地よい眠り、これほど深く眠るのはいつ以来だろう。
ああ、そういえば、セルパ親方の家でも、酔って寝ちゃったな……。


冷えかけたミルクを再び口に運んで、トモキは咳き込む。

一通り苦しんでため息とともに缶を地面に置くと、青年は自分の荷物から一枚の小さな紙を取り出した。炎に一万の数字が透けて見える。

それと、横たわるタースとを見比べた。

「…タース、ね。くくく、ダルクさんをヘンタイ扱いか。さすが、ダルクさん。鼻が利くんだな…ぷぷ、ヘンタイだけど」

我慢できずに青年は笑い出した。そのまま咳き込む。

それはぐっすり眠り込んだ少年には聞こえるはずもなかった。




その夜、再び小さな地震が起こった。
震源地に近い街や村では、眠れない夜を過ごしていた人々はびくりと仮の寝床から身を起こした。

季節外れの冷たい風に、家を失い野宿する人々は震えていた。


夜明けが近い。

「今、揺れましたね」
目の前で、ランプの揺れる明かりの中美しい青年は目を細めた。
「ああ、そう、大きくもなさそうだが」
そう応えたダルクは、数杯目の酒のグラスをあおった。

空になったそれは、テーブルに置くと乾いた音を立てた。
ちょうど、ダルクが機関車の脱線事故のくだりを話し終えたところだった。

宿の部屋だ。
二間続きの部屋で、隣の部屋ではお人形のように可愛らしい少女が枕を抱きかかえて寝息を立てていた。

ベッドはないがソファーくらいは提供できるといわれ、部屋に入り少女の存在を知ったときにはどんな趣味かと銀聖を疑ったダルクだったが、シーガと話していると少女の存在も通常かんぐられるような関係でないことが分かってきた。

二人はもう二時間ほど、ここで盛り上がりもしない会話を続けていた。
記者として経験豊富で話し好きなダルクだからこそ続く会話である。

スレイドはどうやらシーガのそばにいるとユルギアが寄って来るのだと信じているようで、決して同じ宿には泊まらないと言う。その結果、ここで二人で夜を明かしている。

これが女ならよかったのにな、と、ランプの明かりに照らされるシーガの顔を見つめながらダルクが妄想する。

言葉少なく、語ろうとはしないシーガの相手はさすがに疲れてきていた。眠気もあったため余震にもどこか危機感のない反応を示したのだ。
まだ地震での揺れを残し、酒はビンの中で音もなく上下する。それを打ち消すように片手で取り上げるとグラスに注いだ。

「あんた、強いな」
ダルクが言った。
目の前に継ぎ足される酒を見つめながら、シーガはそ知らぬ顔でつまみにしていたチーズを口に運んだ。
セミハードのそれは、かじりつくとほろりと崩れ濃い香りと塩分、山羊の乳の獣臭いコクが舌を刺激した。

「タースともこうやって飲むのか?」
タースの話題になるとシーガは目を細める。
それは二回目にダルクが気付いたことだ。

「さあ。タースはワインすら飲めないようでしたよ。直ぐに赤くなって、眠くなるようです」
「ふん。まだ、子供だな」
「ええ」

「…あんた、本当は助けたいんじゃないのか?」


次へ(11/23公開予定♪)
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史間さん♪

ですの~!!
病気はいろいろとからんでます♪うふん♪
続きをどうぞ!!

見ろ!

見ろ、ほれ、見ろ!(何
トモキは何かひとくせある気がぷんぷんしておったんじゃ!!(だから誰!

むー。
それは病気が原因なのかな?
気になります。気になるなら続きを!!

かいりさん♪

そうですね~。みんな素直じゃなくて(^^;)
トモキさん、はい。優しい人です♪
心の中は別として…(黒…)
シーガ様のこと?うふふ。続きをご覧下さい♪
シーガ様のイメージが壊れないといいけど…(どきどき)

うおー><;

なんだか騙し合いのようになってまいりました><;
タースくんたら、あとでダルクさんが聞いたら本当怒りそうな嘘を…(笑
でもトモキさんの嘘は笑えないですよ><;だ、大丈夫かタースくん!!
そしてダルクさん!その調子でどんどん突っ込んじゃってください!!
シーガ様のこと色々と知りたいのー!!(こいつ…

kazuさん♪

妄想しちゃってください~♪らんららも、ここはドキドキしちゃいました(?)
この後、はじめてのシーガ様独白か!?っという…
シーガ様の過去。
本当の気持ち。
実はこんな奴みたいな。(思わせぶり?)

最初からの印象と、かなり変わってきているはずです♪
今回の描きたかった一つなんです。
心を取り戻す、という感覚。
上手く伝わるといいなぁ~!!

あ、そうです!最近、自転車操業で、時々推敲などしてます!
微妙にトモキさんのせりふ、変えました…ゴメンナサイ!
一言つぶやきはトモキさんには似合わないかなぁと♪

楓さん!!

風邪ですの!?
お薬ですの~!!

って。ほんと、流行ってきてるみたいですよ~ゆっくり休んでください!
うふふ~いえね、どうやってタース君に嘘つかせよう、ごまかそうって思ったのだけど。
他に思い浮かばなくて。ゴメンダルクサン!って感じに。

というか、はい。トモキさん。
どんな人か。
うん。
今回、特に今出てる人たち、割と皆うそつきかも…ああ、素直なクラフ君が懐かしいですよ~
野いちごに推敲しながら書いていると本当にそう思います!
負けるなタース!!っと応援してやってください♪

シーガ様の本心。
うん。
ダルクサンは人を見る目があるという設定で。しかも、割と頼れる♪
がさつそうでいて思いやるところはきっちりと、というタイプです♪
だから、シーガさまったら…ごほん。
次回をお待ちください♪

・・・トモキさん・・・?

呟く、名前。取り出した、紙。
優しそうなトモキさんは、優しそうなだけだったの・・???
ダルクさんとタースくんの関係も、嘘って気付いてるのかな。
うぁぁぁ、続きが気になるのです@@;

タース君の話になると、目を細めるシーガ様。
kazuの妄想いえいえ想像が膨らんでいきます~v-343
ダルクさんの問いになんて答えるのかしら。
ドキドキしながら待ってます♪

ううーん

「…あんた、本当は助けたいんじゃないのか?」

ダルク、核心をついてきましたね。
で、そのダルクを出しに使ってタースったらぁ!笑
って、あのー
その紙はもしや指名手配書???
ばればれじゃん!!

風邪ひきました。
お体にはじゅうぶんちゅういしてください。
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