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「思うものの欠片」第六話 ③




その頃。

カヌイエの街外れで、シーガとダルクは立ち尽くしていた。
二人の影に擦り寄る少女の影。
「壊れてるです」

シーガの袖にまとわりついて、ミキーは目の前に広がる残骸を見つめた。
「地震で倒壊したんだな」
ダルクが苦々しくつぶやく。

「あそこに、何かあります」
シーガは倒れた煉瓦の壁に、いくつかの紙が置かれているのに気付いた。上の重石を取ると、一枚を手に取った。

ダルクはしゃがみこんで数枚の置手紙を読み上げる。
「住人の皆様、私は隣町リエンデに一時身をおいています。一月後には戻ってきますので、連絡先をここにお願いします。こりゃ、大家だな」

「これです。トモキといいましたね」
シーガから紙を受け取ると、ダルクは頷いた。

「ティエンザへ取材に出かける、とあるな。国境を越えたのか……」
「タースをつれてでしょうか?」
「……分からん。ま、国境付近で聞き込みすれば直ぐに分かるさ。ボウヤは案外目立っているんだぜ。ウルルカでもそれで追いついたんだ」
「国境へ行くです!」
ミキーは既に馬車のリロイに向かって走り出していた。

「スレイドを先に行かせたのは正解でしたね」
「ああ、あいつなら有無を言わさず捕まえるだろうしな。銀聖さんよ、そのまま見つからないで欲しいなんて、考えるなよ」

「…なぜですか」
「そりゃ無責任だろうが」

「タースのことは、タースに責任があるのです」

「せっかく造ったんだろ、身分証。あんたは自分の行動に責任もてよ。このまま見失ったら後悔するくせに。一緒にいるトモキが、例の手配書を見てないとも限らないんだ。それに俺はあいつに会いたいしな。あって言ってやりたいことがあるんだ」

ダルクは肩をすくめた。

不意にシーガが空を見上げた。

つられて見上げるダルクの顔を何かが横切った。

「うわ!?」


黒い影。鳥のようだ。

「び、びっくりした!なんだそりゃ」

シーガの腕に、一羽のカラスが停まっていた。
黒い瞳をダルクの方に向け、警戒の低い声を漏らす。艶やかな黒。首もとの毛を膨らまし鋭いくちばしを傾けてみせる。小刻みな機械的な動きを繰り返し、左目の照準をダルクに据えている。
グカ!

「スレイドのペットです。電報では伝えることのできない内容はこうして手紙のやり取りをするのです」
シーガはカラスの足についている小さな筒を外す。
カラスは上げていた片足を下ろすと、シーガの肩に飛び移って毛づくろいを始める。
「…趣味悪いな」
つぶやいたダルクにカラスがキッと顔を向ける。
「お、なんだこいつ」
「タンラという名があります。人の言葉をよく理解していますよ」
「ふん、悪口には敏感ってことか」
手を出そうとするダルクにタンラは威嚇の声をあげ翼を広げる。

「タンラ、うるさいですよ」
シーガの言葉が分かるのか、カラスはバサリと飛び上がると、ダルクの頭に飛び乗ろうとした。
「お、なんだ、こいつ!来るな!」
追い払おうとするダルクが帽子を落とすと、それに降り立って、嬉しそうに鳴く。
グカー!
「お、お前、どけ!俺の帽子!」
手を伸ばすと、カラスが帽子を掴んだまま飛び立った。
「おい、待て!こいつ!」
からかわれていることにも気付かず、ダルクがカラスを追い回す。そのうち、足元の瓦礫につまづいて転んだ。

シーガは皮製の筒から細く丸めた紙を取り出し、つ、と開く。
「スレイドは後一時間ほどでティエンザに到着するようです。ダルクさん、トモキさんの向かう先をご存知ですか。スレイドに先回りしてもらいますよ……」

見上げると、ダルクはまだカラスを追い回して瓦礫の中を走り回っている。
「……聞いてないですね」

ダルクの緊張感のなさに、シーガは目を細める。

聖堂の鐘が、午後二時を知らせた。

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楓さん♪

ありがとうございます~!!
黒いの大好きなスレイドさん♪ペットももちろん黒いのです♪
というか、このメンバー、シーガさまもスレイドさんもミキーちゃんも、黒い服が基本です♪
並んだら可愛いかなぁ~(?)

橋のエピソード…あってもなくてもなんですが。物語と背景に深みとコクがでるかなと。(思いつき^^;)

今日はここまで

ぼちぼち読み進めたいと思います。
国境の橋のエピソード、いいですね。
そんな場所ひとつとっても、そこにはちゃんと人の歴史がある。
ドラマですね。

で、スレイドさん。
とことん「黒」ですねぇ。
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