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「思うものの欠片」第六話 ⑧



「ダルクさんの様子から、お前のこと怪しいと思ってた…だから、賞金目当てに、助けた」
「…うん」
「だから、僕が寝ている間に、逃げてもいいよ」
タースは毛布をそっと青年にかけてやる。
目を閉じたまま、トモキは震えていた。

「寒いの?」
「…騙したんだ」

タースは自分の毛布を重ねてかけてやる。
そっと毛布の上から叩く。ぽんぽんと、それは昔眠れない夜に母親がしてくれたのに似ている。


「いいよ。僕もティエンザに両親がいるなんて嘘ついた。それより、そんな状態でどうしたいんだ?なにか、目的があるんだろ?」

「……」
「一人で置いて行けないし、理由がどうであれ、僕は国境を越えられて助けてもらってる。だから、付き合うよ。トモキさんが行きたいところに連れて行く」

「……病院に」
「え?病院?」

医者は嫌がったのに?

「ユリハが入院してる」
「あ、ああ。……恋人?」
トモキは小さく頷いた。

「タース…もし、僕がダメだったら、頼んで、いいかな」
タースはトモキから見えてもいないのに首を大きく横に振った。

「いやだ。トモキさんが自分で行くんだよ!一緒には行くけど何も頼まれない!」
「…ふ、変な、ヤツ」
トモキはそのまま、黙り込んだ。

しばらくその顔を見ていたが、青年が微かに寝息を立てたことに安心して、タースも横になった。


その夜は眠れなかった。
トモキが小さく寝返りを打つたびに、タースはその顔を覗き込んだ。熱は下がってきているようだった。


翌日になると、トモキは少し顔色が戻っていた。朝食のスープだけを口にして青年は照れくさそうに笑った。
「本当に、連れて行ってくれるのかい?」

タースに、この青年を放っておくことはできなかった。
「いいよ。ただし、ちゃんと苦しい時にはそういうんだよ。熱があったのに昨日は我慢してたんだろ?無理したらダメだからな!」
「なんだか、急に年上みたいだね」
「そ。昨日の夜逆転したんだ。そう決めたから。宿の主人がね、車を呼べるって言うから頼んだよ」
「ん、そうか」
「だから、昼前には病院につける」
「宿代は、どうした?」
「僕が払っておいた。いいから、ほら、着替えて」

髪をくしゃくしゃにしたままのトモキに、荷物の中から引っ張り出したシャツを渡す。

「…」
トモキは袖を通しながら、話し出した。

「ユリハは、大学の取材で知り合ったんだ」
「ティエンザの人なの?」
「いいや、ライトール人だ。こちらに働きに来ていて、体を壊して大学病院に入院している。心臓が悪いんだそうだ」

「病院に会いに行くのか?」
「ああ。手術をさせてやりたいんだ。それには、僕の稼ぎじゃ足りなくてね」
「…それで、ムハジク候の手伝いを?」

「ああ、金が手に入るし、候の力があれば国境を越えるのが楽だからね。会いに行きやすいし」

でも、それでトモキは体を壊したんだ。
そう思うとタースはやりきれない気持ちになる。

「タース、僕をユリハのところに連れて行ってくれ…もし、上手く手術が成功して、彼女が治ったら、もし、僕がそれまで生きていられたら。二人でライトールに帰ろうって約束しているんだ」

「分かったよ、行くよ!だから、もし、なんて言うなよ!絶対に二人でライトールに帰るんだろ?帰るところがあるんだから、帰らなきゃ」

トモキはむっとしたように口を尖らせるタースに微笑んだ。
「……お前、いいヤツだな」

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松果さん♪

トモキさん、こういう人でした。
タース君は本当にいろいろと巻き込まれます。
さて。
続きもお楽しみに~♪

うわ~ん

トモキさん、そうだったのかー!
自分の身体を壊してまで…って、それじゃユリハも悲しむよ~

いつの間にか立場が逆転したタース君、がんばって!
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