10
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
   

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「想うものの欠片」第六話 ⑫

12

柔らかい何かが頬をくすぐる。
そんなに優しい感触の物に触れたことがなかった。

なんだろう。
温かいような、くすぐったいような。

タースはそれを頬に押し当てた。

「きゃ」

え?

するりと柔らかいそれが手のひらをすり抜けた。
目を開けると可愛らしい顔がのぞいていた。

「!ミキー!」
どうやら白いそれはミキーの耳だったらしい。ぴくぴくさせながら少女は顔を赤くして口を尖らせる。

「タース、いたずらですの!」
ミキーは腰に両手を当ててつんと首を傾けてみせる。そうしてすぐに視界から消えた。
「ミキー!?」
タースが起き上がったときには、ミキーは部屋の外へ出るところだった。

「シーガ様!タース、起きましたですの~!」
あ、シーガを呼びにいったんだ、そう悟ると、タースはベッドから飛び出したかけた足を止める。ベッドに腰掛けた。気付けば裸足だ。

温かそうな木の床、白い壁紙。ベッドが一つに、目の前に小さなテーブルとイス。狭い部屋だが、宿屋らしい。
窓はすでによろい戸を閉められていて、時間は分からないが陽が沈んだのは確かだろう。
あの時。

たしか、スレイドに捕まったんだ。
それから…殴られて。
そのまま眠ってたのかな。前の晩眠れなかったから。
トモキさんは?

立ち上がったところで、扉が開いた。
黒いコート。銀の長い髪。

涼しげな翡翠色の瞳。その存在自体が温度のない風を運ぶかのような美しい青年。

「シーガ……」

目もあわせずに逃げ出してきた。二度と会えないと思っていた。

シーガの手にしがみついている、ミキーにも。

「よお!」

声を発したのはシーガのさらに後ろ、ダルクだった。

「ダルクさん!どうして?シーガと一緒なんですか?」
「まあ、これもいろいろとあってな」
ダルクがぽんとシーガの肩を叩いた。

その様子が不思議な気がして、タースは何度も瞬きした。シーガが少し、そう、照れくさそうに笑ったのだ。
「!?なんだ?変になったの?」

タースの一言に、シーガの消え入りそうな薄い笑みは完全になくなった。

「お前が馬鹿なことばかりするからですよ!我らの苦労も知らずに勝手なことばかり。夕食は抜きです!」
「あ!?なんだよ!迷惑がかかると思ったから逃げたんだろ!なんだよ、その態度!」

ぶはは!

と。
ダルクが笑い出した。

「なんだよ、ダルクさんまで!だいたい、ダルクさんが縛っていくから悪いんだよ!」
ダルクは腹を抱えたまま、タースの肩をたたいて、ベッドに座らせた。

「いや、まあ、タース。お前、面白いな」
「面白くなんかないよ!トモキさんは倒れちゃうし、スレイドは乱暴だし!あ!そうだ、トモキさん、どうなったんだろ」
ダルクは苦しそうに笑いをこらえる。

「お前相手だと、シーガ様も素に戻るんだな。それに、お前も、やっぱり嬉しそうじゃないか」
「は?」
「ダルクさん!」
タースとシーガ、二人の非難の視線を受けてさらにダルクは笑い転げる。

ミキーが嬉しそうにシーガとタースの手を取って二人の間で手をつなぐ。
「仲良しですの!」

「ミキー?」
「シーガ様はずっと不機嫌でしたの。タースがいないと寂しいです!」
「ミキー!!」
シーガは慌てて、少女の言葉を遮った。

「なに、それ?」
ミキーとシーガを見比べるタース。

「うははは!」
ベッドに横たわってダルクは相変わらず笑い転げ、腹をさする。
「ま、そういうことだよ、タース。銀聖のだんなは素直じゃないんだ、許してやれよ」
「許される覚えはありませんよ!」
ミキーの手を振り払って、シーガは腕を組んだまま、顔を背けた。

心配してくれたのか。
タースは黙って首をかしげた。
じっと見ていてもシーガが振り返る様子はない。

「素直じゃないねぇ、ま、いいさ。タース、トモキなんだが」
急にまじめな顔になって、ダルクがタースを座らせた。

「なんで、あいつ倒れたんだ?スレイドから聞いて病院には行ってきた。あいつ、何にも言わないんだよ」
タースは唇をかみ締めた。
ふと顔を上げると、シーガもいつもの無表情に戻ってタースの言葉を待っている。


タースは話した。
カヌイエの領主に渡した赤い石の話。そのために国境を越えることができたが、トモキは石の力で体を悪くしているのだと。

「もう、あんまり、長くないんじゃないかって、思った。トモキさんは、恋人のユリハさんの手術の代金を手に入れるために大学の研究所から石を盗んだんだ」

ダルクは鋭い拳で枕を殴った。ぼす、と枕は悔しさを受け止めた。
「ばか、が!」
「赤い石が、シモエ教区で採掘されていることと、そのためにシデイラを使っていることを教えてくれたんだ。僕をかばって、逃がそうとしてくれた」
「ああ、あいつはもともと、悪いことが出来るような奴じゃないさ。分かってる」
「トモキさんも、ダルクさんのことをそういってた」
タースは二人の新聞記者を思って目を細めた。

ダルクは腕を組んだまま、ベッドに二度ほど転がって、うなる。考え事をしていてもにぎやかだ。
ミキーが真似をしようと近づいたところで不意にダルクは体を起こした。

「トモキのことは、俺に任せろ。俺がついていてやる。それにな、ティエンザが石を採掘させて、何をしようとしているのか。あの研究所で何を作り出そうとしているのか、俺が暴いてやる。トモキもそのつもりのはずだ」
タースはうなずいた。
ダルクは頼りになる。トモキさんも心強いだろう。

「で、タース。お前さんは、レスカリアに逃げろ」
「え?」
タースはきょとんとした。

意味が分からない。

次へ
ファンタジー小説ブログランキング
関連記事
スポンサーサイト

楓さん♪

うふふ、いらっしゃいませ♪

プロローグでは妖怪扱い(笑)な二人でしたけど、現実の人間の醜悪さに比べれば天使です♪

一気読み、はかなり根気がいるかと~(^∇^)
ゆっくりで。
楽しんでください♪また、来てね~

さてここか。

ようやく自分の足跡を突き止めました。
あ、ここ読んだ。
これも読んだ。
やっぱし、感想のこしてる……
そんなこんなで、やっと続きを突き止めました。

ザッツ、一気読み(違う

ミキーが出ててくるとほっとします。
シーガにダルク、ほっとします。不思議。笑

野イチゴで続きを読もうとしましたが、はるかにこちらの方が読みやすいので、やっぱこっちで読みます。

ではでは~
Secret

プロフィール

らんらら

Author:らんらら
のんびり小説を書いています
日記ブログはこちら♪

ランキング参加中です♪

クリック よろしく~♪

FC2Blog Ranking

最近の記事+コメント

FC2カウンター

リンク♪

小説ブログの皆様

カテゴリー

ブログ内検索

RSSフィード

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。