10
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
   

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「想うものの欠片」第七話②



「女性に夢中になられるご様子は大公とよく似ておられますね」

「趣味は断然私のほうがいいよ。ね、ミネアともよく会うんだろう?元気にしてるかい?」
「エル様」

「ね、教えてくれよ、お前がマシュマロなんか出すから悪いんだよ?だいたい、スレイドなんてどうして選んだんだろ?聖女に仕える聖職者にしてはどうにも怪しげだしね、あの男とミネアが並ぶ姿、見たことないんだよね。仲悪いんじゃないかな?」

「どうでしょうね。スレイド様とあなた様ほどではありませんよ」
「あ?なんだ、くく。お前も。言うなぁ。私とスレイドは仲が悪いって言うんじゃないんだ。互いに無関心なだけさ。だいたい、私がなぜあの男と仲良くしなきゃならないんだい?」

「…そうですね、スレイド様は爵位をお持ちとはいえ、あなた様とは身分が違いますもの。ミネアも、エルさま、あなた様とは身分が違うものですよ」
「はいはい。いずれ、そばに呼んで見せるさ」

「そうやって、昔からスレイド様の物を取り上げようとなさる。どうしてでしょうねぇ」
「さあね、私にも分からん。ただ、気に入らないのさ。あいつは他の家臣とは違う。父上に取り入るようでいてそうでもない。なんだか変な感じなんだ」

ジンジャーは読みかけていた本を閉じ、大公の寝室とつながるステンドグラスの窓、そこに視線を移した。

「もしや、スレイド様なら大公様も聞いてくださるかもしれませんね」

「ジンジャー!」
「エル様、お声が大きいですよ」
「二度と、そんなこと言うなよ!お前は私の味方だ。いいな!」
癇に障ったのだろう、青年は赤みの勝った髪をかき上げると部屋を出て行った。
お休みの挨拶もなく。


ジンジャーは護り窓を振り返り、また、小さくため息をついた。
スレイドというあの黒尽くめの青年なら、大公は忠告を聞くかもしれない。そう考えたのは、思い当たることがあるからだ。それはトエリュも感じるところで、だからこそ青年はスレイドに嫉妬を隠せない。

ただの孤児である男になぜか大公は気を許し、爵位まで与え、二人きりで話しこんでいることもある。それはスレイドが聖女の付き人としてこの屋敷に出入りするようになった頃から始まっていた。
トエリュにとって、亡き母の代わりにと大公に切望される聖女とその付き人というだけでも気分を害す存在なのだ。気持ちはわからないわけではない。
ジンジャーは大きなため息をついた。

同時に大公が、まるで初恋をする若者のような想いを聖女に寄せていることもよく分かっている。どちらにしろ、召使であるジンジャーは見守ることしか出来ない。


リュエル三世は召使の思いも知らず、就寝前の習慣でベッドに横になり愛読書を開く。
なにか囁かれたかのように気まぐれな衝動が沸いた。

実のところ、赤い石を見てからというもの自分自身少し変だとは感じるのだが、その衝動は本来の自分を感じさせる。今まで気付かなかっただけで実は自分はこういうものが好きだったのだ、と改めて考えていた。
それはあなたの癖なのだと人に言われ、初めて意識するのに似ている。
抗いがたく、その存在を疎ましく感じる必要もないといった感覚。

気になるのだ。
生まれて初めて宝石を手にした若い女性のように、嬉しくてつと視線を向けてしまう。大公は起き上がると、本を置く。テーブルに乗る衿止めを持ち上げ、ふと胸元に当ててみた。

何度となく繰り返した動作だった。
そうして眺めるたび、ため息を吐いている。
麗しいほどの赤。

丁度、今肩にかける絹のローブに色合いがあう。止めてみた。
姿を見ようと壁にかかる鏡へと向かう。

テーブルの上の空になったカップを見て取ると、喉の渇きを覚え、ジンジャーを呼ぶベルに手を置いた。と、そこで時計に目をやり、随分遅い時間だと気付く。
ふん、飲み物をあきらめて再び鏡へと気持ちが戻った時だった。

どくり。

なにか、普段と違う。
意識したことのない自らの鼓動が、今は不自然に早まる。
強まり、そして、弱まる。

「な…」
寝不足だったからだろうか、と。大公が想うまもなく、一気に目の前が赤一色になる。
ひどい眩暈。
とくり。

意に反する動きを続け、心臓は苦しげに、軋むかのように。
ふいに動きを止める。


なんだ?

後頭部をぬるい湯に浸されたような感覚のなか。

リュエル三世は最期のときが来たことすら気付かずに倒れた。

次へ
ブログランキング・にほんブログ村へ
関連記事
スポンサーサイト

史間さん♪

うふ。スレイドさん、案外、奥さんに頭の上がらない人だったり?(笑)
奥さんをめぐって、二人は争わせますから。(宣言か!?)
公のことは、ちと、可哀想でしたが。そういう運命の人です。
歴史ものですから(?)いずれ、人は死んでいくものです…(諸行無常~♪)

ええええええ!?

一気読みの予定が(!)
公が死んじゃったのですかい!えええ~(混乱)←初混乱

驚いてばかりの今回の記事。
だってスレイド所帯持ち((爆笑))
あ、笑うとこ違うんですけどね、違うんですけど所帯じみたものが似合わなすぎて←失礼
しかも奥さんがエル様の想い人とは…
どんなきれいな方なんでしょう。
楽しみです♪

あ。親子そっくり認めてますね、彼。
Secret

プロフィール

らんらら

Author:らんらら
のんびり小説を書いています
日記ブログはこちら♪

ランキング参加中です♪

クリック よろしく~♪

FC2Blog Ranking

最近の記事+コメント

FC2カウンター

リンク♪

小説ブログの皆様

カテゴリー

ブログ内検索

RSSフィード

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。