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「想うものの欠片」第七話④



数時間後。
タースとシーガ、ミキーの三人はティエンザの首都エンザで目的の建物の前に立っていた。

尖がった屋根を持つ昔ながらの寺院建築。
サンルーを発ってから三日。またも昼食においしい肉料理を食べた後で、タースはご機嫌だ。
昼下がりのうす青い空にその屋根の青銅は鈍く輝く。時折鳩が飛び、くるくると平和に喉を鳴らす。

タースはすでにその建物の歴史について一通り傍らの少女に語り終わっていた。
さして興味もなさそうにシーガは黒いコートを翻して建物の重い鋳物の門を潜り抜ける。

装飾に造られた小さな子鬼の像が、膝を抱えて三人を見下ろしている。前庭の野ばらが深紅に咲き乱れ、ぷんと香りを運ぶ。

涼しい気候のこの街も、この時間だけは空気が蒸れている。レンガの歩道が正面玄関に続き、その周囲の生垣は綺麗に丸く刈られていた。

静かに黙って何もかもが息を殺しているように感じる。


エンザの旧聖堂。現在は新しい大聖堂が建てられ、旧建物は博物館として利用されている。

「この博物館で、ユルギアが毎晩泣くのだそうです」
シーガはけだるそうに建物を見上げた。正面の薔薇窓には精緻なステンドグラス。

「シーガ、顔色悪いよ?お昼にちゃんと食べなかったからだよ」
顎に小さな切り傷を作っている少年は屈託のない笑みを浮かべる。
「シーガ様、お薬飲まれます?」
ミキーはすかさずシーガの腕にすがり付こうとする。それをふらりとかわして、シーガは二人を冷たく見下ろした。

「タース。言ったでしょう?この博物館の館長はガネルです。ロロテス派の大司祭。お前を指名手配した張本人ですよ?」
「だから、大丈夫だって!コナツで通すし、それに普段は大聖堂にいるからこっちにはいないんだよね?」

シーガはやはり、タースだけ宿に残してくればよかったとため息をついた。

「あ、今、置いてくればよかったって思っただろ?」
「…」
「だいたい、あの手配書だっていい加減だったし、写真が載ってるわけじゃないんだ。ガネルだって僕にあったことがあるわけじゃないし」
にっこりとタースは笑う。
「それに、僕、この国の大聖堂にも興味あるし」
そういってタースは再び古めかしい博物館を見上げた。実のところ、タースの興味はそこなのだろう。

「だってね。これ、建てられた時期は不明なんだ。この国が国として形をなす前からあったんじゃないかっていう予測はされてるんだよ。でもね、僕想うんだけど」
「また、建築史の話ですか」
「不思議なんだよ」

タースはすでにシーガより、じっと見上げるミキーに視線を移していた。
熱心に聞き入る少女にタースは嬉しげに語る。

「さっきも言ったように、この建物の建築技術はとても五百年前のものとは思えないんだ。これより後の時代、それこそ四百年前の技術のほうが劣ってる。理由は分からないけど、この国が出来る五百年よりずっと前には、もっと高い技術の文明があったんじゃないかって…」
「文明?」

「そう、古代文明って呼ばれてる」

「ステキですの!」
「ロマンチックだよね」

「タース…分かりましたから、もう、その話は止めましょう」
「なんで?面白くないかな?」

シーガはふと真顔で少年を見つめた。
「古代文明の話は知っています。信じていないわけではありません。ただ。なんとなく、気分がよくないんです」
「いつも機嫌悪いくせに」

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ユミさん♪

うふ~嬉しいです♪
いやぁ、唐突に死なせちゃって、おいって感じですが(笑)
これからの展開に重要なので(にやり…)
タース君のお髭♪
どんな気分なんでしょうね!初めて生えた時って!!と、なんだかわくわくして書いたシーンです♪
ちょっと前に観た「パンズラビリンス」というダークファンタジー映画で、悪者役の軍人さんが、剃刀でそるシーンがあって。怖い映画だったのだけど、中世ヨーロッパってこんな感じかと思わせる生活のシーンがたくさんあってすごく印象に深い作品だったんです。
で、ちょっと、書いてみました。

作品一覧、前から使っていたフリーのプラグインを使ってみました。
記事内のHTMLがそのまま使えたので。
ぜひぜひ、やってみてください♪

あ~!

お出かけ前に2話だけ。そう2話だけ…
と思っていたら、リュエル3世の最期…?何故?あの石のせいなのか~?
と、ついつい時間を忘れて、ここまで来ました(笑)
あぁ、でもまだそのことについて触れるのは先なのですね!!

タースくんにお髭…うぉ~、ついにタースくん男になる。
精神的にはもう充分大人っぽいところもありますが、ちょっと寂しい気持ちが
入り混じります^^;
古代文明の話もっと聞きたい!わたしもそういうの大好き♪シーガ様、ちょっと
黙ってて(笑)

ブログの作品一覧、一段と見やすくなりましたね!
わたしも何とかしなければと思いつつ、なかなかしていないのが現状です。
参考にさせていただきます~。
続きも、楽しみに取っておきます☆
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