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「想うものの欠片」第七話⑫

12

同時に扉が開いた。
埃まみれの少年が立っていた。

シーガとミキーの姿を見て、タースはホッと息をついた。

先ほどから痛む腕を押さえている。部屋に入るとミキーが扉を閉めてくれた。
大聖堂からこの宿まで、かなりの距離だった。
タースは疲れきっていた。

「タース、…お前」
シーガが少年の傷を見ようと手を取った。

「匂いますね」

相変わらず無表情な青年に、タースはガクリとうなだれた。
「なんだよ、それ!まったく、人が苦労してまいてきたのに!」

本気で顔をしかめる少年にシーガは目を細めた。
「お前が勝手に引き受けたのでしょう?二度とそういうことは許しません」
「なんだよそれ!」
「バカですね」
「バ…!?」
口をあの形にしたまま、タースは額に手を置くシーガを睨んだ。
そういいつつもシーガはタースの熱を測り、傷の様子を見ている。

「タース、お着替えですの!」
ミキーが嬉しそうに換えの服を抱えて、タースを見上げていた。

は、と息を吐いて。

タースは笑う。

「うん。スレイド、どうしたの?もう国境を越えたかと思ってた。お腹すいたね、もう食べた?」

先ほどから黙り込んでいるスレイドにタースは声をかけた。そうしながらも、その場で服を脱ぎだす少年に、シーガはあきれた。

「タース、体を洗いなさい。ミキー、その後で怪我の手当てを」
「はい」
「ねえ、夕食は?」
タースはとにかく腹の虫を気にしている。

「その後です。みっともない格好で食事をするのは好みません」
「ちぇ、お腹すいた~」

つぶやきながらタースはスレイドの横顔を見ていた。
先ほどから黙ってうつむいている。

ふいに見上げた男の視線は、無機質なガラスを思わせた。

初めて見た。

「…」

タースは視線をそらし、避けるように洗面所へと向かった。

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