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「想うものの欠片」第八話 ①

らんららです♪
月1回のまとめて更新です♪

お久しぶりなので、前回までのあらすじから…


混血ゆえにライトール公国、ティエンザ王国双方から追われることになったタース君。
シーガとミキーと共に旅を続けていましたが、ライトール公国の大公が暗殺され、ついに二国の間で戦争が始まりました。
シーガの立場も危うくなり、タースは単身、レスカリア帝国へと旅立ちます。
さて。

空の冒険、です~


第八話『空』


ぐん、と機体が動き出した。
タースは暗がりの中、蒸気機関の振動と音に目を閉じていた。
目の前、それこそ肌に触れるほどの距離には麻布に包まれた食料。加工肉の癖のある匂いがしている。
あのまま、とにかく走った。振り返ったら旅立てなくなる気がした。
少女の最後の言葉はなんだっただろう。
思い出せなかった。

ただ、スレイドの言葉が何度も繰り返し胸の中をかき回していた。
不幸を呼ぶ。シデイラとの混血だと知れたとき、それまで優しくしてくれた人がそういったことがあった。まだ、十歳になる前だった。
いられなくなった。
不幸を呼んだから?
混血だったから?

どちらでも同じだと思っていた。

確かに、あの時に拾ってもらった農家は、僕が滞在し始めて一月で水害にあった。麦畑のほとんどをだめにして、僕が世話を任された数頭の羊たちもおぼれてしまった。
ユルギアの声を聞いて、いち早く家の人を避難させた僕は、混血だと知られてしまった。
羊も死んでしまって仕事もないし、お前を食べさせるだけの余裕はないんだと。
そう言われた。シディだからとは言わなかった。けれど、それまで僕のことを見ていた視線とは違う。仲良くしてくれた雇い主の息子も母親に止められてさよならも言えなかった。


『許さない』
『ユルサナイ』
許されては、いけない。
分かっているよ、だから。
母さん、言ったよね。
お前は素直な、優しい子になってって。そうしようと、そうなりたいと思ってるんだ。

僕は、何か悪いものを運ぶのかな。

赤い石を思い出した。
ぞくりと寒くなる。

「!」
タースはふと、目を開いた。
膝を抱えて縮こまっていた。木箱のざらついた表面に上等な服は擦れて傷が付いていた。ああ、ミキーが見たら怒りそうだ。この間買ってもらったばかりのハーフ丈のコート。なんとかというブランドだと言っていた。
手足がかじかんで、タースは更に小さく丸く身を護る。
寒いのは上空にいるから。貨物室は気温が下がっているのだ。
「まただ!」
狭い木箱の中に潜んでいたタースは、そっとふたを押し開けた。
音がよく聞こえる。
何かおかしな音がしている。この飛行船の機関部だ。
真っ暗な貨物室をそっと出た。
そんなに大きな船ではなかった。最新型のティエンザの軍用機とは違ってシンプルな白いバルーンに船体はくすんだ緑。三つのオレンジのプロペラを持つ小型の飛行船だ。定期船かどうかは分からないが、とにかくティエンザへ向かう飛行船の中で一番警備が手薄だった。
他の飛行船はどれも軍兵が見張っていて、近寄れなかった。
だから、この飛行船に積まれる荷物に紛れ込んだ。
飛行船には詳しくないけれど、大きさから言って十人いれば動かせるようなものだ。その機関室から聞こえる振動音に、タースは違和感を覚えていた。

今はまだ小さい。でも、もし、これに気付かれずにこのままだったら。
いずれ壊れてしまう。
少しの歪みがシャフトを折る可能性もある。そうしたらこの飛行船は航行不能になる。バルーンのガスがあるから、落ちはしないだろうけど。空を漂うことになりかねない。

タースは船尾にある貨物室と隣り合わせの機関室にそっと入り込んだ。
重い鉄の扉をハンドル式のノブを回して開く。

中は、あまり見たことのない機械が左右に並んでいた。
ひっきりなしに響く蒸気機関の音、それを使って高速回転するタービン。飛行船の推進力を作り出す蒸気タービンのエンジンだ。
機関車よりずっと大きい。
そこは暖かかった。ライト公領の機関車の工場を思い出した。
かじかんだ手をこすりながら、両脇に並ぶ計器類を眺める。太いパイプに外燃機関がつながっている。
タースはドキドキしていた。
蒸気機関車より大きなものだからその分新しい技術が取り入れられているんだ。熱効率と安全性を考えた蒸気タービンだ。燃料を燃やし発生した水蒸気を減圧して高速の風に換える。その風を使って風車みたいなタービンを回転させる。その回転運動をプロペラに伝えて前に進む。

計器のいくつかを見ていると形は違っても機関車の蒸気機関と同じ仕組みなのだと分かる。意味が分かるとおかしい場所の見当が付いた。
「おかしくねえけ?」
変わった訛りの言葉と一緒に背後の扉が開いた。

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出刃さん♪

ご訪問ありがとうございます!
どれも長いですから~(笑)
また、お時間のあるときにぼちぼちどうぞ♪
リレー小説、楽しみですね!
こちらこそよろしくお願いします!

こんばんわ

こんばんわ。コミュからご挨拶に。

こういうのは全編通して読んでから感想書くべきかと思ったのですが

、時間の都合で・・・・また全部読ませていただきます。

一部呼んで思ったのは、情景をしっかり重い浮かべながら書いてるの

がすごいなあと思いました。主人公の動きがかなりよく伝わって来る

ので、しっかり考えて書いてるという印象を強く持ちました。

つたない感想を残しつつ、また遊びに来ます。では失礼します
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