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「想うものの欠片」第八話 ⑧


厨房で食べたいものを頼むと、先ほどの料理人が面白そうに笑った。
「お前、案外センスがいいな」
タースは出されたベーコンとパプリカの入ったチーズオムレツとオレンジのジャムを塗りたくったパン、そして温かいコーヒーをもらった。
「お任せにしたら何を作ってくれるの?」
タースが訪ねると、料理人のパルは白い髭を揺らして笑った。
「オレならそれにサラダを付けるね」
「あ、そうか!サラダ、ほしい、サラダ!」
「残念だなぁ~ボウズ、注文は一回きり。追加は認めないのがルールだ」
「ちぇ、じゃ、明日はサラダ付にしようっと」
「明日はサラダは作らない日だ」
「意地悪だなぁ」
悪戯っぽいパルの視線に、タースは笑う。
「ああ!おめ、何でここにいるだ!」
「んだ、その格好なんだ!?」
タガとカガだった。
二人はタースが座るカウンターの両隣を陣取って、タースの服を眺めたり、タースの食べかけのオムレツをつついたりにぎやかだ。
そこにウィスロさんも現れた。
「なんだ!お前、何でここにいるんだ!」
騒がしいのでパルがあっちのテーブルに行けと手のひらをひらひらさせたので、四人は食堂の片隅にある三つのテーブルのうちの一つに集った。
タースの頼んだ朝食は、全員につつかれてあっという間になくなった。
「ふん、あのジファルがな」
神妙な顔をしながら、飛び切りおいしいオムレツを口に突っ込むウィスロ。
「あの人、すごい乱暴だよね。僕脅されて、皇帝のお世話をすることになったんだ」
「ん、まあ。よかったんじゃねえか」
「それは、そうだけど」
渋い顔のままのウィスロに、タースは首をかしげる。何か、タースの想像できないことを考えている気がした。
「だが…たりんな」
「え?」
「おい、パル、オレにもこれと同じの作ってくれよ!お前こんな上手いもん作れるんならもっと早く言えよ、いつもパンとハムとサラダじゃ飽きるぜ」
ウィスロの神妙な顔は食事に関してだったようだ。
「ね、ウィスロさん、ユナっていう人は、どうして辞めたの」
大体想像はついたが、聞いてみた。
「ん」
また、渋い顔になる。
タガもカガも互いに見合わせてそれからウィスロの言葉を待っているようだ。じっと機関長の顔を眺める。
「いなくなっちまったんだよ」
「え?」
「ティエンザにわたる途中でな。旅立ったときには確かにいたんだ。ある朝、いつもの時間に茶を取りに来ない。で、パルが心配して部屋に行った。だが、誰もいなかった。その後船内をくまなく探したんだが。見つからなかったんだ」
タースはごくりとつばを飲み込んだ。
落とす、と平気で脅した女がいた。
落とされたのかな。
「おめえ、怖い顔してる」
タガに指摘されて、タースは我に返った。
「あの、落ちちゃったんじゃないの」

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