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「想うものの欠片」第八話 ⑩

10
朝食の食器を片付けて、再びタースが戻ってきた時には、皇妃は部屋にいなかった。
タースの表情を読んだのか、皇帝は丸い窓の前に立って言った。
「あれは食後の散歩だそうだ。太ることを嫌っているのでね」
「あ、はい」
「…そこで、太っていないとか、今のままでも十分美しいとか」
「え…」
確かに綺麗だけれど。
「お前は本当に、心を偽ることを知らぬな」
褒められているのか、皮肉られているのか。タースは分からず、それでもただじっと皇帝を見つめていた。
背が高い。
シーガと同じくらいかな。
銀の髪。まっすぐで、背中の中ほどまである。四十代前半というところだろうか、余裕のある漆黒の衣装の上からでも鍛えられた肩と胸の厚みが想像できた。そう、ちょうどムハジク候を見たときと同じ感じだ。単純に言えば強そうだ。

「さて。お前はライトール人だったね」
「はい」
まっすぐ見つめられて、タースは内心どきどきする。瞳の色のことを指摘されたら困る。
普通、ライトール人の瞳は深いグリーンか淡い水色。後は茶色だ。タースのような、海の青に陽光を透かしたような色合いはない。
「ライトールが戦争を仕掛けたという話。知っているのかな」
内心ホッとしながら、タースは頷いた。
タースにとっても、レスカリア人は初めてだ。皇帝と皇妃は銀の髪で、最初はシデイラなのかと思った。褐色の肌のウィスロたちとは明らかに違う感じだけれど、それがレスカリア人で言う普通なのか普通じゃないのか分からない。
それと一緒で、タースがライトール人として平均的なのかどうかは皇帝にはわからないだろう。
「嘆かわしい」
「あの、陛下はどうしてティエンザ王国に来られていたのですか」
「…戦争はよくない。いや、戦争よりも。ティエンザ王国で行われている新たな実験が、よくないのでな。止めるようにと忠告に行ったのだ。しかし、戦争を仕掛けたのがライトール側からとなれば、ティエンザも対抗手段としての実験は続けると言い張る。無益なことだ」
ああ、そういえば、レスカリアの皇帝は、彼らの宗教で言う一番上の人だ。だから忠告ってわけだ。タースはガネルの姿を思い出していた。
ティエンザの実験。
「あの、ティエンザの実験、あれは恐ろしいものですか」
「知っているのかね?」
タースは首を横に振った。
「ただ、その。知人が、それに関わっているから…危険だと思うんですけど」
「そうだな。ティエンザが目指すのはな、ラニウムを使った兵器の開発だ」
「ラニウム?あの、赤い石のことですか?」
タースは眼を丸くして、窓際に立つ皇帝のすぐそばに駆け寄った。皇帝は視線を丸い窓の向こう、蒼い空に向けたまま傍らの少年に語り始めた。
「大地の血液と書いて、ラニウムと読む。古い言葉でな。シデイラの間では緋色の石、緋石と呼ばれている。何がしかの力を放ち続ける危険な鉱物だ。それはあの太陽と同じ力だという。ラニウムの放つ力は目に見えないが、人の組織を傷つけ破壊する。直接触れれば体は壊死し、そばに置くだけでも病を引き起こすという。恐ろしい石。だが同時にそのエネルギーは石炭と同じ使い方をすれば恐ろしい火力をもたらす。…兵器になる」
「あの!ティエンザではそれを新たな発見みたいに扱っていました!シモエ教区でしか取れない、不思議な赤い石といって、名前も何もなくて!陛下はどうして知ってらっしゃるんですか?」
ふと、皇帝の穏やかな顔が変わった。
「…そうか。お前はライトール人。知らぬな、その歴史は」
「あの!五百年より前にはルリアイだって普通に存在して、知られていたのに、僕らは全然知らない。記録もない!そのラニウムだって、同じだ!」
タースは気付いていなかった。
ルリアイのことを知っている時点で普通ではないことを。

だから、振り向いた皇帝に両肩を乱暴に押さえつけられて初めて、自分が言ってはいけないことを口走ったことを知った。

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ユミさん♪

タース君、成長期です♪
食べっぷりがいい子は見ていて気持ちいいですよね!
らんららも同感♪
朝ごはんをたくさん食べられるのはいいことです♪
なのに…我が家は~。

さて。皇帝陛下。気付いちゃうかな!?

おっと

タースくん、ちょっと喋りすぎちゃって、大丈夫~?!
皇帝さん今までかわい~、いい感じの人だったので、タースくんを見逃して
やってくれると、わたしとしては嬉しいです~。
朝からたくさん食べるタースくんに、ますますfall in love状態(笑)
わたしもたくさん食べますから。
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