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「想うものの欠片」第八話 ⑬

13
皇帝の話は、タースの睡魔を追い払っていた。
その夜、何度も何度も自室の天井を眺めて思い出していた。
飛行船のかすかな振動を背に感じながら、タースは歴史に思いを馳せた。
初代レスカリア帝国皇帝、確かシーガがティエンザのあの博物館で言っていた。冷酷な皇帝だったと。あの時のユルギアはその三人目の皇妃ネラで、その子供が次の皇帝になった…。
陛下はネラ皇妃の息子なんだ。
裏切ったために処刑された皇妃の、息子。

父親を、殺した。

そう苦しげに告白した皇帝は、その後はなんだか、ホッとしたような顔をしていた。いたわるようにしていた皇妃以外には誰にも話していないと言った。タースがシデイラの血を引き、それでいてシデイラ民族とは違う価値観を持っていると分かったから、だから話したのだ。
自分の父親を殺した。そんなこと、例えそれで救われる人が大勢いたとしても、誰にも言えない。
だから、歴史は隠されたままで。

思わず同情してタースが涙をこぼし、それがルリアイに変わったのを見て皇妃も初めてタースに笑いかけた。
タースも、その想いは痛いほど分かる。

ユルサナイ。
どこかで自分を呪う声に、タースはぎゅっとまぶたを閉じる。
皇帝陛下は、僕と同じ痛みを抱えている。

シデイラたちは今も、レスカリアの皇帝を憎んでいるのだろう。二百年間の悪夢から救った人物なのに、彼がシデイラのために父親を手にかけたことも知らずに。だから、ノク様を作ったりするんだ。
ぐん、と胸が苦しくなる。
ノク様が抱え込んでいた憎しみ。
そんなものでは、何も解決できないのに。

翌日から、タースは皇帝の机のそばに小さな机をもらった。そこに席を置いて皇帝が与えてくれる本を読む。タースが読み終えると感想を聞かれ、答えに満足するとまた次の本を渡される。タースが最初の本で興味を持った部分に関しての、さらに詳しい内容の本だ。
タースはそれで、五百年前から改めて始まったこの世界の、主だった歴史を読みふけった。

タースの知識にある、各地に点在する古い建築物の歴史、それらがまるでパズルのピースのように世界史の中に当てはまっていくのはとても面白かった。

食事の時にはウィスロたちと話し、それ以外は皇帝の部屋で過ごすことが多くなっていた。ミレニアだけは不機嫌そうにタースの邪魔をしたり、からかったりしていたが、それもどうやら嫌ってのことではないと知ると、悪戯好きな猫がいるような気分だった。
タースの空の旅は楽しいものになっていた。

ただ。
相変わらず、ジファルだけは冷たい視線でタースを観察していた。

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