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片翼のブランカ その5

<<新しい世界へ。気負うことなく、いつの間にか。それが、成長するってことかもしれません。>>

ココは、ネムネ先生の言っていた、上層への入り口を思い出していた。
それはちょうど、この今ココがもたれかかっている、生命の木が、そうなのだ。この生命の木は、三つの層をつないでいる。
大きな大きな木なんだ。

ココは、背後に立つ、黒くつやつやした、暖かい木の肌をなでた。
大きな木の幹で、ココにとってはまるで壁のようだ。
その幹に沿って、ぐるっと回ってみることにした。
とても大きな木だから、幹の先は見えない。
どんな葉がついているかも、ココの場所からでは遠すぎて、見えない。
大きな大きな、生命の木。
このエノーリアを支える大切な木。
右手を木の肌に当てて、テクテクテクテク、歩き続けた。
木の周りの景色は、どんどん変わっていく。
始めは神秘の森の、大きな木の幹が重なり合う、うっそうとした景色だった。進むにつれ、木はまばらになり、空もどんどん明るくなっていった。
足元も、気付けは、森の下草や、柔らかい苔のじゅうたんではなく、ころころした、石ばかりになってきた。
どれくらい、歩き続けたのだろう。
ぐるぐるぐるぐる。
ココは思った。
 上層へ、空へ。
ラクがいる広くてきれいな空に行くんだ。
ラクは大人になって、どんな気持ちでいるんだろう!やっぱり幸せ?
鳥になって、沢山の沼地を転々と渡って、世界のあちこちを旅するんだと、ラクはいつか言っていた。
「お空へ行きたい!」
ココは声に出して言った。
その瞬間、明るい光が、ココを照らした。
まぶしくて、目をつぶる。
それでも、右手に触れる生命の木は離さない。
ふわっと風を感じた。いつもと違う。風の匂いが違う。
とてもぴりぴりとした乾いた風。その風がなでると、むき出しの腕がぞくっとする。
目をそっと開ける。
そこは、青い空と、灰色の砂漠。背後の生命の木を除いて、植物や建物その他一切の姿がない。
どこまでも続く、砂漠。
空は青く澄んで、強い日差しに、ココは顔を覆った。

「お空、だ。」
遠く青いそれは、どこまでも続いていて、かなたに広がる地平線までつながっている。ぐるぐると空を見上げたまま、ココは回る。
「うは。」
目が回って、寝転ぶ。砂漠のうえ。どこを見ても空。
面白くなって、笑い出した。
くすくすくす。
「広いなー。」
目を細める。明るいきらきらした太陽が、ちょっとまぶしくて。

しばらく黙って、空を見ていた。
何もいない。
静かな本当に静かなところ。

鳥は、いない。
ラクもいない。

「ココ、ひとりぼっち。」
また少し悲しくなった。
砂漠の砂が、ココの頬をすり抜けて、ふわと飛んだ。それが顔にかかって、くすぐったかった。
目をぱちぱちさせただけで、ココは起き上がりはしなかった。
ココ、知りたいことも、行きたい場所も、会いたい人もなくなっちゃった。

じりじりと、ただ太陽の日差しが、照りつけていた。
ココは、目を閉じた。
閉じたまま、このまま消えてしまえばいいと、少し思った。
「ココはひっとりぃ、ラクは鳥ぃ・・」
歌っても、だれも、答えない。

ポツ。
「?」
頬に何かが当たった。
「だあれ?」
目を閉じたまま、ココはつぶやいた。
なんだか、もう、動きたくなかった。
また、ポツリ。額をつつく。
「いやん。」
仕方なく目を開けた。
ポツ。
「きゃ!」
目に何か飛び込んだ。
慌てて、起き上がる。
ココの体にたくさんの水の粒が、落ちてきていた。
「・・雨?空から水が落ちてくる。雨だ!」
初めて見た。中層に雨は降らない。上層に降った雨が、生命の木に集まって、その水がブ
ランカの泉を作るってネムネ先生は言っていた。だから、上層には水が残らない。上層は
乾いた土地しかないんだって。
見渡すと、砂漠は遠くかすんで、雨の白いベールが幾重にも張り巡らされているようだ。
砂漠に落ちる雨は、何の音もしない。
ただ、自分にあたる雨粒の音だけを、ココは聞いていた。

不意に、どこかで低く重い音がした。
ごろごろ。
「あれ、なんだろ。」
空を覆っている灰色の雲。それが、ピンクに光った。
「うきゃ!?」
音はそちらからのようだ。

ごごご。
音は大きくなってくる。
また、ぴかっと光った。
「怖い怖い。」
ココは立ち上がろうとした。
髪も、鬣も、服も翼も。
雨にぬれて、ずっしりと重くなって、ココはバランスを崩す。片翼は、石の塊のように重
くなって、ココは横に転んだまま、ばたばたとしてみた。
それでも、動けない。
「・・困った。」

また、ぴかっと光った。
「キャー!」
「おい、お前、逃げないのか!」
どこかから声がした。
ココの前に、昨日の夜見た、大きな蹄の動物が立った。
「ココ、起きられない。」
必死でそちらを見ようとする。
目の前に、鉄色の髪の守人が、覗き込んだ。
「なんだ?お前。」
「助けて。」
「・・!ブランカ、か?」
その人は驚いたように、ココの翼を見る。
「なあに、それ、拾ってくの?だったら早くしないと、雷が来るわよ!」
もう一人、声がした。女の人だ。
「おい、これ、ブランカだ!」
「何、こんなとこにいるわけないでしょ、寝ぼけないでよ。女の子と見ればすぐ寄ってい
くんだから!」
「カータ、まじで、こいつ、ほら、羽がある。」
「あらま、本当!」
ココを見下ろす二人は、暴れて砂まみれの小さなブランカをじっと見つめた。
カータと呼ばれた女性は、明るいクリーム色の髪を頭の上できれいに束ねて、きりりとし
た表情が、ココの知るどの守人よりも、きれいだった。
「うんしょ、・・えと。」
灰色の砂を、体中につけて、ココは何とか重い翼を軸にして、起き上がろうとする。
「なあに、このブランカ。」
「翼が一つしかねえな。」
「・・出来損ない、ってこと?」
また、ぴかりと空が光った。
「きゃあ!」
ココは、驚いて、また、転ぶ。
「どうする。」
鉄色の守人が、カータを見つめた。
二人とも、砂にひざをついて、ココの様子を眺めていた。
「ブランカを見殺しにしたら、やっぱり契約違反かしら。」
「こいつが勝手に寝転んでるんだぜ。それでも、もし、死んじまったら俺たちのせいかよ。」
「あんたが、見つけるから悪いんでしょ?」
「俺のせいじゃないだろ!」
「本当にいつもいつも女と見れば、何でもいいんだから!自業自得でしょ?」
「なに言ってやがる!」
ココは、言い争う二人の守人をじっと見上げていた。
「怖い。」
そんな風に、守人が怒鳴りあうのを、初めて見た。
「怖いよ。」
泣き出した。
ココの知っている、守人は、先生たちだ。
みんないつもニコニコしていた。
怒ったりもするけど、こんな風に怖くなかった。
「やだ、やめてよ、怖いよ。」
ココの声に、二人は黙った。
「・・なに、泣いてるよ、この子。」
「・・ち、しょうがねえ、連れてくか。このままじゃ、また雷が落ちるぞ。水は十分取っ
たんだ。」
「まあ、ブランカは貴重だからね、なんかの役に立つかもね。」

ココは、抱き上げられた。
「お、やっぱ、翼のせいか、結構重いぞ。」
「びしょぬれだからね。風邪引くんじゃないの。」
「それも、俺たちの責任か?」
「拾ったあんたが悪い。」
「あの、ココ、動けないの。」
二人に話しかけたココに、鉄色の守人は、驚いた顔をした。
ココを抱えたまま、その男は翼の生えた大きな鹿に、またがった。
「行くぜ。」
その声に、鹿はゆっくりと飛び上がる。
ココは、守人の服をしっかりつかんで、震えていた。
とても、風が冷たくて、雨もひどく顔を叩いて、ココは目をつぶった。

 「片翼のブランカ」続きはこちら
http://ranrara.blog70.fc2.com/blog-entry-61.html


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eigoさんへ

ありがとーです!
今日、ピクルスを出しながら、「ピクルス好きぃ、ピクル好きー」と口ずさんでいる自分に気付いて(・_・;)
ココの生みの親って自覚しました(^o^;)

いやあ、ココの歌、いいっすねえ。「ココはひっとりい、ラクは鳥」大いに和みます。作品全体が柔らかい雰囲気でいいですよね。癒されます。
でも新たな展開に突入してるようで、なにやら雲行きが・・続きが楽しみです!!
では、又続きを読みに参ります!
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