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「想うものの欠片」第八話 ⑰

17
違う!
僕じゃない!
なんだよ、そげつって!?

狭い飛行船の中。
タースは、背後に迫るジファルから必死に逃げていた。
僕じゃない、僕は、陛下を殺そうとなんかしない!
僕はそんなこと!
「待て!逃げ場はないぞ!そいつを捕らえろ!」
すれ違う従者の脇をタースがすり抜ける。
追って来るジファルの声に、タースは機関室に逃げ込んだ。
そこなら、銃は使えないはずだからだ。
そして。

「なんだ?タース、血相かえて」
「ウィスロ、助けて!僕何も、何もしてない!」
「なんだ?」
大きな体のウィスロの回りをぐるりと回って、さらに奥に走る。
「通用口はどっち!?」
「あっちだが…?」
がん!と。派手に機関室の扉が開かれて、ジファルが飛び込んできた。
「ウィスロ!そいつは【逆月】だ。陛下を毒殺しようとしたのだ!捕まえろ!」
ジファルの言葉にウィスロの顔色が変わった。

タースはとにかく走った。

なんで、どうしてなんだ?
どうして?

狭い通路を進んで、機械ばかりの中にはしごが見えた。
それを上りだすと、ウィスロの怒鳴り声がした。
「タース!待て、おい!」

上りきるとその先は半円形のドームのような空間がある。それは船体の端を思わせた。鉄骨の簡単な柵と、板を渡してあるだけの通路を走ると、すぐに細長い扉があった。危険という文字が黄色で塗られている。
ハンドル式の扉を開いて、中に入るとすぐに閉めた。
通路を渡ってくる足音が響く。
すでに外が近いのだろう。蒸気機関の音ではなく、ぶん、という機械音が耳を占領する。
壁にかけられた袋のようなものを開いて、中から白い布がくしゃくしゃとたたまれている塊を引っ張り出した。
これが、ウィスロの行っていた、パラシュートって奴だ。
この薄い布が風を受けるんだな、タースがそれを背負おうとした時だった。

ガン!
派手な音と同時に機関室からの扉が開いた。

「動くな!」
ジファルだった。
暗がりに、冷たい目が少年を睨む。
ジファルは銃を突きつけたまま、背後で扉を閉めた。
狭い風除室に二人きり。ジファルは立ち上がると頭が天井に当たってしまうために、低い姿勢のままだ。
「…僕は、僕は何もしてない!そげつなんかなじゃない」
タースは壁際に追い詰められる。

鉄骨を組んだ上に鉄のすのこが敷かれているだけの足元。下は大きなビスでとめられている船体の隔壁だ。接合部分に足をとられそうになりながら、タースはパラシュートの一つを持ったまま、下がる。
外に出るための扉は、右手奥に赤いハンドルを光らせていた。
「僕じゃないんだ!」
ふと、ジファルが笑った。

「!?」
(なんで?)
ゆらりと、何かがタースの脇をかすめた。

「お前が犯人だ。そう、最初から決めていた。【逆月】として大人しく死んでもらう」
ジファルの笑みは暗がりに薄気味悪くゆがんだ。

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